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オークと比べてはいけない ☆

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「これが、精子……」
 セラフィナは手にベッタリと付いたモノを不思議そうに眺めている。
 処女に呆気なくイカされてしまった。
 何あの手捌きと舌使い。
 チートか、チートなのか。
 情けなく思う気持ちを押し殺して、木から立ち上がってカバンに向かう。
「取り敢えず、これで拭いておこう」
 カバンの中に入れておいた布切れで、セラフィナの手や身体を拭う。結構飛ばしてしまった。
「あの、気持ちよかったですか?」
 大人しく拭かれながら、セラフィナが聞いてくる。
 気持ちよくなかったら、あんなにあっさりイってない。
「ああ、良すぎて瞬殺だった」
「データはあっても、初めてだったので……良かった」
 嬉しそうに微笑むセラフィナに、情けなさが吹き飛んでしまう。
 セラフィナが喜んでいるなら、まあいいじゃないか。
 何のデータがどれだけあるのかも気になるけど、それもまあいいじゃないか。
 俺はセラフィナの頭をポンポン撫でてから、ローブを着せた。
 まだまだ攻略は続くから、セラフィナにはノーパンで頑張って貰おう。

 俺も服を着ると、実った果実を一つもぎ取ってから、植物性モンスターを一刀両断した。
 俺の武器は斧でもない普通の剣なのに、あっさりと真っ二つだ。フロア最弱なだけはある。
 ボスはシュワシュワと光の粒になって消えていった。
「美味しそうですね」
「食べるか?」
 ぶどうのような果実をセラフィナに差し出すと、素直に受け取った。
「催淫効果と避妊効果があるけど」
 スライムと一緒じゃないかと言うツッコミは、童貞の妄想相手にするだけ無駄だ。
「……止めておきます」
 セラフィナに突き返された果実を笑いながら食べると、セラフィナが慌てて俺を止めた。
「だ、駄目です」
「男が食べても、ただ回復するだけだから大丈夫だ」
 剣士としての強さはカンストクラスでも、アッチの方はオッサンのままのようだ。
 ちゃんと回復しておかないと、色々保たない。
 何個か実を食べると、残りは大切にカバンにしまった。
「よし、行こう。次も頑張ってくれ」
「はい……」
 顔を赤らめるセラフィナに、俺の特定部位が熱くなる。流石ダンジョン産アイテム。即効性だな。


「あの、本当に、やるんですか?」
「本当に、申し訳ない」
 第三階層の最奥部で、セラフィナが布切れを片手に戸惑いの表情を浮かべていた。
「これを着て……」
 セラフィナが手にしているのは、途中で宝箱から取得した『きけんな下着』だ。
「あそこで……」
 セラフィナの視線の先には、石で出来た台座がある。キングサイズのベッドぐらいある巨大な物だ。
 第三階層でのボス出現条件は、フロア内で取得した『きけんな下着』を着て、ボスの間にある台座の上で自慰をする事だ。
 俺は、なんて物を考えてしまったんだ。

「無理にやる事はないんじゃないか?」
 俺もあそこで一人でやれと言われたら泣くかもしれない。
「もう、終わりにしよう」
 俺は慰めるようにセラフィナの肩に手を置いた。
「大丈夫ですトオル。私、やります」
 俺の手に自身の手を重ねると、セラフィナは俺の手を退かしてローブを脱ぎ捨てた。
 真っ直ぐ台座を見据えたまま、セラフィナはきけんな下着を身に着けていく。
 一度決めたら何があってもやり遂げる。
 俺はそんな強い意思を持つセラフィナが大好きだけど、だからと言ってこんな事までする必要はないだろう。
「セラフィナ……」
 やっぱり止めようと声を掛け、振り返ったセラフィナの姿を見て俺は固まった。
 布面積の少ない黒いパンツからは複雑に紐が伸び、黒いブラジャーとつながっている。
 いや、胸の先端しか覆えていないアレを、ブラジャーと言っていいんだろうか。上下左右溢れまくっている。

「これで、合っているんでしょうか」
 恥ずかしそうに目を反らしたまま聞いてくるセラフィナに、思わず欲望をぶち撒けたくなる。
 正直、非常にエロい。
「ああ、よく似合っている」
「トオルは、好きなんですか?こう言うの……」
 俺は恥ずかしそうにするセラフィナを抱き寄せた。
「どんな格好のセラフィナも好きだよ」
 つまり、この格好のセラフィナも大好きです。
 言っておくが、俺だって下着のデザインまでは考えていない。
 誰だよ、デザインした奴。いい仕事するじゃないか。
「あの、私、行きます」
 セラフィナは俺にそう告げると、台座に向かって歩き出した。
 後ろはほぼ紐しかないなとか呑気に眺めていると、振り返ったセラフィナと目があった。
「トオルは、その、私がしてる間、何をしているんですか?」
 何と言われても、セラフィナを見ながら俺は俺で楽しんでいますと言う訳にもいかないし、特にやる事はない。
「ボスのオークが出現したら呼んでくれ。それまで、そこの影に隠れてるから」
 きっと恥ずかしいんだろうなと思い、台座近くの柱の影に向かう。
 紳士ストッパーは叩き壊したものの、俺は根が紳士なんだ。別にヘタレな訳じゃない。
「襲われる前にちゃんと呼べよ」
「……はい」
 か細い返事をして台座に上がるセラフィナを最後に、俺は柱の影で息を潜めた。


「……んっ……」
「…………あっ……」
「……は、あっ……」
 しばらく剣を構えて待っていると、セラフィナの荒い息遣いが聞こえてきた。
 時折漏れ出る声が悩ましくて、ついつい耳をこらしてしまう。
「……あっ…………んんっ……」
 くちゅくちゅと水っぽい音まで聞こえてきて、ついつい覗き見たくなってしまう。
 隠れてるとは言ったけど、見ないとは言わなかったからな。
 でも、見たら俺もしたくなっちゃいそうだしな。
 やってる最中にオークが出てきたら困るしな。
「……トオ、ル……あ、んっ……」
 しょうもない事で悩んでいると、甘く呟かれた俺の名が聞こえてきた。
 俺の事を、考えてしてたのか。
 嬉しいような恥ずかしいような、胸と特定部位が熱くなってしまう。
 俺しか知らないんだから当然かとか、どんな事考えてるんだろうなとか、そもそもどんなポーズで何をしてるんだとか、色々ぐるぐる考えていたら、グオッと獣じみた声が聞こえた。
 柱の影から飛び出ると、恐怖で固まったセラフィナが、全裸のオークに伸し掛かられようとしていた。

「退け!」
 台座に飛び乗り、剣を突き刺しながら思いっきり体当たりをかますと、咆哮を残してオークは消えた。
「大丈夫か?」
 声をかけると、セラフィナは青い顔でカタカタ震えていた。
「もう、大丈夫だ」
 極力優しく抱き寄せると、セラフィナの震えは治まり、俺にしがみついてきた。
「大丈夫、です。ちょっと、あの、大き過ぎて、驚いてしまって」
 それは身体かアレか、どっちの事を言っているんだ。
「あんなの、入るんでしょうか……」
 やっぱそっちか。
「俺は、見てないから、なんとも」
「トオルのは、あんなに大きくなくて良かった……」
 良かったと言われても、大きくないと言われると若干心が抉られる。
「俺のは普通サイズだからな。大きくなくても小さくもない」
 男のプライドが、どうでもいい事を口にさせる。
「そうですか?十分、大きかったですよ?」
「セラフィナはいい子だな」
 思わず頭を撫でてイイコイイコしてしまう。
 セラフィナは不思議そうな顔をしてから、嬉しそうに笑った。
 怖い思いをさせてしまったけど、この様子なら大丈夫だろう。

「それは、そのままでいいのか?」
 辛うじて先端は覆っていたブラジャーらしき物は、ずらされてただの紐になっている。
 パンツもちょっと見ただけで濡れているのが分かるぐらい、染みになっていた。
「ぬ、脱ぎます」
 赤くなるセラフィナを置いて台座を降り、ローブを拾うとセラフィナに向かって投げた。
「物足りないなら、手伝おうか?」
「大丈夫です!」
 俺の言葉にセラフィナは慌ててローブを着る。
 俺は笑いながらオークがドロップしたアイテムを拾うと、セラフィナに手渡した。
「これは?」
「オーク印の精力剤。女が使えば、ただの回復薬だけどな。折角だから飲むといい」
 茶褐色の小瓶に貼られたシールには、かなり可愛くデフォルメされたオークの絵が描いてある。
 見た目は完全に栄養ドリンクだ。
「ありがとうございます」
 セラフィナはパキッと音をさせてキャップを外した。
 その音、職場でよく聞いた。やっぱり栄養ドリンクだな。
「ふがっ!」
 中身を確認するように鼻を近づけたセラフィナが、奇声を上げて小瓶を遠ざけた。
「うわっ」
 セラフィナにそのつもりは無かったんだろうが、こぼれ出た液体が俺の顔に掛かってしまった。
 叫んだ拍子に少し口の中にも入ってしまう。よくある栄養ドリンクの味だった。

「す、すびばぜん、凄い、刺激臭で」
 鼻を摘みながらセラフィナに謝られる。
「そうか?特に何も臭わないけどな」
 顔に掛かった液体を手で拭って臭いを嗅いでも、特に変な臭いはしなかった。
 男女で効能が違うぐらいだから、臭いの感じ方も違うのかもしれない。
 その辺の細かい設定は俺がした訳じゃないからよく分からない。

 ドクン。
 クンクンと臭いを嗅いでいたら、俺の心臓が大きく脈打った。
 それと同時に、急速に血液が下半身に集まるのを感じる。
 なんだ、これ。
 オーク印の精力剤の効果か?口に入ったのなんて、数滴だぞ。
「トオル?大丈夫ですか?」
 小瓶を持ったままのセラフィナを見ると、今すぐ挿れて腰を振りたくなった。
 気がつけば、俺はセラフィナの腕を掴んで押し倒していた。 
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