椅子になった小隊長

白玉しらす

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椅子になった小隊長

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 16歳の時、私は田舎から王都に働きに出てきた。皆もそうしていたから、深く考えず新しい暮らしを始めた。
 勤め先はお城からほど近い、食堂兼酒場。
 お客さんには騎士の人達も多く、他のお店に比べたら治安はいいんだと思う。
 それでも、酔っ払うと口や手を出してくる人は多くて、そう言った事に免疫の無い田舎者の私は、格好の餌食となっていた。

「ひあっ!あの、は、離してください……」
「君、かわいいね。今晩どう?」
 料理をテーブルに置くと、手を掴まれてお尻を揉まれた。
 耳元でねちっこく囁かれて鳥肌がたった。
「し、仕事中なので……」
「うん、仕事が終わったら、楽しもっか」
「な、舐めないでください!」
「触るのはいいんだ」
 首筋を舐められた事に抗議すると胸を揉まれた。
 もう、これはお盆でぶっ叩いてもいいんじゃないか、そう考えていると後ろから影がさした。

「リチャード、それ以上はしょっぴくぞ」
「ちっ、クレイグまたお前か」
 振り返ると、背が高い黒髪の騎士が、私の胸をもみ続ける騎士を睨みつけていた。
「この娘だって、もう少ししたら自分から股を開いたさ」
 胸を揉む手を掴み上げられても、リチャードさんは強気だった。
 助けてくれたクレイグさんがそうなのかと言った目で見てきたので、ぶんぶんと首を振る。
「違うようだが」
「くそ童貞のお前には分からないだろうよ」
「なっ、そんな事実は、ない」
「そう言う反応が、童貞臭いんだよ」
 少し顔が赤くなったクレイグさんを、リチャードが鼻で笑った。もはやリチャードに敬称をつける必要は無いだろう。
「あの、お料理、冷めてしまいますよ。ごゆっくり!お客様もお席にお戻りください」
 私はクレイグさんの腕を掴み、引っ張るように元の席まで連れて行った。
 これ以上揉め事が大きくなると、クレイグさんにも迷惑がかかってしまう。

「すみません。ありがとうございました」
「いや、こちらこそ、同じ騎士として申し訳ない」
「あー、その、騎士の方は人気ですから……ちょっと、強引になっちゃうのも、仕方ないですよ」
 街を警備する騎士は、王都に住むお嬢さん方から絶大な人気を誇っていた。
 平民出の人も多いから結婚の可能性もなくはないし、何よりその制服姿は三割増しにカッコよく見える。
 このお店も騎士が集まると言うことで、騎士目当ての女性客も多い。
 モテるんだから、調子に乗るのも仕方ないだろう。さすがにリチャードほど酷いのは初めてだったけど。
「申し訳ない」
「いえ、だからクレイグさんが謝る必要ないですから」
「私が店にいる時は、君に失礼な事を働く者が出ないよう気をつけていよう。何かあったら言ってくれ」
「ありがとうございます。心強いです」
 私は笑顔でお礼を言い、仕事に戻った。

 それが、私とクレイグさんとの出会い。
 正直、私は騎士の人が苦手だった。
 何かと言うと身体を触ろうとするし、出会った女の人とすぐイチャイチャするし。
 でも、クレイグさんはそんな人達とは全く違って、真面目で誠実な人だった。
 時折、店に来ては私の事を気にかけてくれる。知らない土地で頼る人もあまりいない私には、それがとても嬉しかった。

 その後も何度か助けて貰う事があり、私とクレイグさんはすっかり打ち解けていた。
 お礼です。他の人には内緒ですよ。なんて言って賄い用に私が作ったスープやちょっとしたおかずをサービスしたり。
 クレイグさんも、貰い物なんだが私は食べないから。なんて言ってお菓子をくれたり。
 そんなやり取りを繰り返す内に、私はクレイグさんの事が好きになってしまった。
 でも、クレイグさんにとって私は、行きつけの店の店員止まりなんだろう。
 最初の頃と変わらぬ紳士的な態度が崩れる事はなく、さり気なく私を気にかけてはくれるけど、完全にただのお客さんだった。
 
 最初の出会いから半年ほど経ったある日、クレイグさんの胸に小隊長のバッチが付けられている事に気付いた。
「あれ?クレイグさん。そのバッチ、小隊長になったんですか?」
「ああ」
 誇らしげに微笑むクレイグさんに胸がきゅっとなったけど、中身よし将来性よし、ついでに顔もよしとなれば、もう私が出る幕はないだろう。
「では小隊長、本日のご注文はいかがなさいますか?」
「エールと、食事はいつも通り君に任せるよ」
「畏まりました、小隊長」
「いや、いつも通りで構わないんだが……」
「イエッサー」
 その日から私は、クレイグさんの事は小隊長と呼び、自分の中で線を引く事にした。これ以上恋心を膨らませてしまわないように。

「小隊長、いつも助けていただいて申し訳ありません。私が不甲斐ないばっかりに」
「いや、謝らなければならないのはこちらの方だ。同じ騎士として恥ずかしい」
「いえ、諸先輩方を見習って、もっと客あしらいが上手くなるよう、努力邁進いたします」
「そうか、あの、リディア。普通に喋ってくれて構わないから」
「おかしかったでしょうか」
「前はもう少し、砕けていたと思う」
「そうでしたか?」
「呼び方も名前でいいんだが……」
「では小隊長、お代わりお持ちしますね!」

 そうこうしてる内に私も客あしらいが上手くなり、お触りしようとする手の回避能力も上がった。
 結果、小隊長に助けて貰うこともほとんど無くなり、全く何の進展もなく二年が経ってしまった。
 それでも、ついつい賄いのスープやおかずをサービスしてしまうのは、いつまで経っても恋心が無くならないからだ。
 小隊長もそのお礼のようにお菓子や小物をくれるから、余計次の恋に行けないでいた。
 とは言え、そろそろ私も結婚適齢期。いつまでも不毛な恋に囚われていては駄目だろう。
 いっそ、告白して振られてしまおうか。
 そして振られて最初に告白された人と付き合ってしまおう。小隊長じゃなきゃ、誰だって同じなんだから。
 ああでも、小隊長の事だから、振るとなったら物凄く心苦しい顔をするんだろうな。
「本当に、申し訳ない……」
 そんな風に謝る小隊長の姿が目に浮かぶ。
 自分の心を軽くするために、小隊長に余計な心労をかける訳にはいかないか。
 もういっそ、田舎に帰っちゃおうかな……


 と、そんな事を考えていた私の目の前に、小隊長がいた。
 見知らぬ部屋の中央、椅子に座って小隊長がいた。
 全裸だった。
 いや、正確に言うと股間は布切れ一枚で隠されていた。そして明らかに山になっていた。
「しょう、たい、ちょう?」
 私の言葉に、小隊長は目を見開いた。
 喋りも動きもせず、目だけで何かを語っていた。
 商売柄、人の目を見て考えている事を予測する事は得意だ。
 この人おかわり欲しいのかなとか、そろそろオーダーかなとか、あ、これお尻触ろうとしてるなとか。
 その経験を活かして小隊長の表情を読み解くと、驚きと期待と戸惑いと羞恥。それらがないまぜになって吹き荒れているようだった。

「あの、大丈夫ですか?」
 必死の形相の小隊長が心配になり一歩を踏み出すと、早く来てくれとも来ないでくれとも取れる目をしたので、私は足を止めた。
 小隊長は全裸だ。しかもまあ、なんと言ったらいいのか、酒場のお客さんの言葉を借りれば、アソコをギンギンにおっ勃てている。
 こんな姿見られたくないだろう。
「すみません。ええと、なんか魔術師を名乗る人達がお店に来て、転移魔法?とか言うのを使ったらなぜかここにいて。あの、その、お邪魔しました」
 目を逸らしてそれだけ言うと、私はドアに向かった。
 なぜ小隊長が全裸で椅子に座ってアソコをおっ勃てているのか分からないけど、こんな所を見てしまったんだから、もうお店には来なくなるだろう。
 良かった。田舎に帰る必要が無くなったね、あはは。
 心の中で乾いた笑いを零しながらドアを開けると、黒いローブを纏った三人組が立っていた。
 私をここに連れてきた元凶だった。


 時は少しだけ遡る。
 お昼営業が終わり、掃除をしたり夜のための仕込みを手伝ったりしていると、店内がキラキラと光りだした。
 皆作業していた手を止めて不思議そうに見つめていると、床に魔法陣とその中央に黒いローブを着た人影が三つ現れた。

「金環亭の看板娘リディアはいるか」
「緩くカールした栗色の髪に、ヘーゼルの瞳を持つリディアだ……」
「素朴な雰囲気に反して、隠しきれないエロボディのリディアを出せ~」
 皆呆気に取られて何も言えずにいるけど、お知り合い?と言った目で私を見てきた。
 違いますと言おうとしたら、思いの外素早い動きで近づいてきた三人組に、よってたかって掴まれてしまった。
「お前だなリディアは」
「事態は一刻を争う……」
「確かに、エプロン姿もエッロ~」
 順番に喋りながらも言っていることはバラバラだ。意味が分からない。
「あの、あなた達何なんですか?」
「俺たちは天才魔術師だ」
「リディア確保、転移魔法開始……」
「しっとりと吸い付くような肌がエッロ~」
 そしてまたキラキラと光りだしたと思ったら、私は見知らぬ部屋に移動して、全裸の小隊長と対峙していた。


「お前が変な事言うから座標がずれたんだぞ」
「思わず、しっとりと吸い付くような肌が、ねっとりと吸い付かれる所を想像してしまった……」
「どう考えても、ずれたのは君達のせいだよね~」
 私が開けたドアの先では、元凶たる魔術師達が言い争っていた。
「なんだ、まだやってないのか」
「さっさとあの変態椅子に跨って腰を振ってこい……」
「早くしないと死ぬよ~」
 三人の言葉が私の頭を素通りしようとして、最後の言葉だけが引っかかった。
「死ぬって、小隊長の事ですか?」
「そうそう、だから早くしないとヤバイんだって」
「もうかれこれ一時間ほどあの状態だ……」
「早くしないと壊死しちゃうよ~」
 小隊長が壊死って、どう言う事だろう。

「はあ、生身の女は察しが悪くて嫌になる」
「長時間勃起したまま放置すると、男性器は壊死する……」
「だから君が柔肉で優しく包んでビュッビュさせる必要があるんだよ~」
 ひょっとして、この人達は外国の人なんだろうか。言葉が理解できるようで全く理解できない。
 三人は困惑する私の様子を見てため息をつくと、私を押し込めるように部屋に入ってきた。
「仕方ない、頭の悪いお前にも分かるように説明してやろう」
「あそこに座っている男は、魔法のせいでああなっている……」
「解除するには、君がくぱぁと広げて、ぬぷぬぷっと出し入れして、ドピュッと出すしかないんだよ~」
 理解しようとしっかり聞いていたのに、最後の最後で脳が理解を拒否してしまった。
 助けを求めるように小隊長の方を見ると、全裸のまま苦悩に満ちた顔をしていた。
 助けが必要なのは小隊長の方だった。

「俺たちは魔術師で、騎士団からの無理難題をこなすため、連日の徹夜仕事で疲れていた」
「疲れた時には欲望のまま、新たな魔法を開発するに限る……」
「そんなこんなで、できたものを三人で見せあいっこする事にしたわけ~」
 私の反応はお構いなしに、説明が続いていた。
「俺が開発したのはとにかくギンギンになって治まらなくなる魔法だ。インポの金持ちで一儲けしてやるぜ」
「魔法倫理機構に見つかったらアウトだな……」
「男のチンコに興味ないから~。でも、アリだよ~」
 なんか小芝居が始まった。
「私の魔法は椅子だと思い込む魔法だ……服を脱ぎ捨て、全裸空気椅子でプルプルする騎士団の面々を思うと疲れも消し飛ぶ……」
「洗脳も魔法倫理機構に見つかったらアウトだぞ」
「男のチンコに興味ないから~。でも、アリだね~」
 初めて喋る順番が変わった。
「僕は魔法具にしてみたよ~。二つの魔法を閉じ込めると、素敵に合成してくれる秘密道具、マジカルカプセル~」
「お前にしてはまともだな」
「普通に有用なのでは……」
「君達なら素敵な魔法を作ってくれると信じてたからね~。合成してパワーアップした魔法を、騎士の誰かにぶつけてやるんだよおぉ。あはは~」
「天才かよ」
「異議無し……」
 私は三人の一方的な小芝居を無表情で見つめていた。これ、いつまで続くんだろう。早く小隊長をどうにかしてあげた方がいいんじゃないだろうか。
「そして俺たちは二つの魔法を閉じ込めたマジカルカプセルを握りしめ騎士団に向かった」
「折しも向こうからリチャードが呑気に歩いて来るのが見えた……」
「処女を食い散らかしていると噂の、うらやまけしからん男だよ~」
「今こそ、三つの力を一つに合わせる時」
「正義は我らにあり……」
「死にさらせ~」
 三人が同時に何かを投げる動きを取った。マジカルカプセルは一つじゃなかったのか。

「で、投げたマジカルカプセルが、脇からひょいと現れたこの男にあたったと」
「まさに不運……」
「よりによってこの人に当たるとはね~」
「これが他の騎士ならしばらく放っておいても良かったんだが、この男はいいやつだからな」
「我々の才能を認める数少ない騎士の一人……」
「あと童貞って噂だからね~。仲間は大切にしないとね~」
 私はつい、小隊長を見てしまった。ち、違う!と力説していた。瞳だけで。
「俺たちはすぐさま魔法を解除しようとしたんだが、そこで問題に気づいた」
「マジカルカプセルで合成された魔法は術式が分からない……」
「分からないものは解除できないんだよね~」
「小隊長はどうなるんですか?」
 まさかずっとあのままなんだろうか。壊死しちゃうんだろうか。
「だが安心しろ。魔法と言うものは必ず解除方法を設定しておくものなのだ。俺の魔法は中出ししてスッキリ満足したら解除される」
「私の魔法は愛する者に座られれば解除される……」
「つまり、合成された魔法は、愛する人に跨がられながら種付けセックスしたら、解除されると推測されるわけ~」

「た、種付け?え?セックス?」
「ぶっちゃけ、あの男がこのままだと、俺たちもヤバイ」
「魔法倫理機構に処罰されてしまう……」
「人助けと思って、セックスセックス~」
 言いたい事は言い終わったのか、三人は満足そうに立ち去ろうとした。
「待って、なぜ私なんですか。愛する者って、まさか……」
 私が引き止めると三人は足を止めた。
「俺たちの天才的魔術と聞き込み調査の結果、あの男は金環亭のリディアにぞっこんラブと言う事が分かった」
「二年間デートにすら誘えず、リディア目当てで店に通い続けたへたれ……」
「童貞だから仕方ないよね~」
 ぞっこんラブ……小隊長が私を?
 私目当てでお店に?まさか。
「空気椅子のままだとかわいそうだから椅子に座らせてやり、そそり勃つ股間のブツも隠してやった」
「転移魔法まで使って想い人も連れてきてやった……」
「僕たちがやれることはやったんだから、あとは君たちがヤレばスッキリ解決だよ~」
「全て終わったら浄化魔法をかけてやるから、さっさとヤレ」
「女なんてものは騎士を見たら股を開く生き物だろう……さっさとヤレ……」
「ズッコンバッコン、さっさとヤレ~」
 小隊長が私を好きかもしれないと思うと、嬉しくて恥ずかしくて、ぼんやりと三人が出ていくのを見送ってしまった。

「いや、でも、セックスって……」
 閉じられた扉に向かって思わず呟いてから、私は振り返り小隊長を見た。
 小隊長は少し赤い顔で、この世の終わりのような顔をしていた。
 あまりにかわいそうで、私はおずおずと小隊長に近づく。
「あの、小隊長、大丈夫……じゃないですよね」
 どこか泣きそうな顔で私を見つめる小隊長を、私もじっと見つめる。 
「あの、その……私で、いいんですか?」
 本当に、小隊長の想い人は私なんだろうか。
 私が聞くと、小隊長は少し目を細めて私を見つめた。それでもその顔は苦渋に満ちている。
 これは、好きだと言いたいけど言えなくてもどかしい。そう言う事なんだろうか。そう思って、いいんだろうか。
「小隊長、私……」
 あまりの恥ずかしさに、私は小隊長から目を背けてしまう。私の顔はきっと真っ赤になっている。
「小隊長を助けられるのなら、その……がんばります……」
 ドキドキと煩い胸をぎゅっと握りしめた手で押さえる。
 ちらりと小隊長を見ると、嬉しそうでもあり辛そうでもあり、本当に私がしていいのか不安になった。
 それに私はこう言う事は初めてで、ちゃんとできるのかも分からない。
 お店に来るお客さん達の猥談で、それなりに知識はあるつもりだけど、自分からするとなるとどうしたらいいのか困ってしまう。
「あの、でも、私初めてで……ちゃんとできなかったら、すみません」
 私の言葉に小隊長は目を見開き、じっと私を見つめた。
 男女間の事となると経験値が少なすぎて、小隊長の考えている事を読み取ることはできなかった。


 私と小隊長は赤い顔をして見つめあっていた。
 なんだか、いつもの小隊長とは違って妙に色っぽい。
 そんな顔を私に向けてくれる事が嬉しくて、私は小隊長を助けるために精一杯頑張ろうと気合いを入れ直した。
「ええと、セッ……クス……すれば、いいんですよね?」
 だめだ。恥ずかしくて死にそうだ。私は震える手で顔を覆った。
 小隊長が心配そうに私を見つめている。
「大丈夫です……ええと、乗っかって、腰を振る。入れて、出す……合ってますか?」
 大きく深呼吸してからそれだけ聞くと、小隊長は相変わらず心配そうに……いや、なんだか少し嬉しそうと言うか、わくわくしているような。
 これは、合っていると言う事でいいんだろうか。
「乗っかる……乗っかる?あ、まずは座ってみます。ひょっとしたら、それだけで解除できるかもしれないですし」
 椅子になる魔法は、愛する者に座られれば解除できると言っていた。座るだけでなんとかなる可能性が無いわけでもない。

「それでは、失礼しますね」
 セックスよりはましとは言え、全裸の小隊長に座るのは十分恥ずかしい。
 私は後ろを向き、布切れがかけられて山になっている部分を避けるようにして、そっと小隊長に座った。
「どう、なんでしょ……わあっ」
 言葉の途中で後ろから胸を掴まれた。
「え?小隊長?手、手が……あっ……やっ……」
 小隊長の大きな手が私の胸を揉みしだいている。
 ギリギリと奥歯を噛み締める音が聞こえたので、身体をよじるようにして後ろを見ると、懸命に何かに抗おうと必死の形相を浮かべる小隊長と目があった。
「あ、の……んっ……小隊長……」
 その目は心からすまないと謝ってくれているようで、この手の動きは本意ではないんだろう。
「私は、大丈夫、ですから……小隊長が、嫌でなければ、んっ……止めなくて、大丈夫です……無理、あっ……しないで、ください……」
 途中から乳首を捏ねるように胸を揉まれて、喋るどころでは無くなってしまう。
 それでも小隊長にはちゃんと伝わったようで、ギリギリといった音は聞こえなくなった。
 代わりに耳元で荒い息遣いが聞こえてきて、ただでさえ熱くなっている身体が更に熱くなる。

「ひあっ……あっ、のっ……あ、や……待って……」
 片方の手は胸を揉んだまま、もう片方の手がスカートを捲り、太ももを撫であげながら上へと向かった。
 思わず足を閉じて、手を挟み込んでしまったけど、この先の事を考えれば、この手に身を委ねた方がいいんだろうか。
「う、あっ……あのっ、お願い、します……」
 自分でも何をお願いしているのかよく分からないけど、とにかくそれだけ言うと私は足を軽く開いた。
 流石に恥ずかしくてそんなに大きくは開けられないけど、精一杯足を開いた。
 小隊長の手は太ももの際どいところを撫で回している。
「小隊長……ああっ!」
 私が誘うように呼びかけると、小隊長は一気に手を滑らせて、下着の上から割れ目を触った。
 小隊長の太い指でぐにぐにと押されると、痺れるような快感が走る。
「あっ……んっ……ああっ……」
 片方の手で乳首を捏ねられ、もう片方の手で割れ目を押すように撫でられて、下着の上でも分かるぐらい濡れてしまっている。
 しばらく同じ刺激が続いて、この先どうなってしまうんだろうと思っていたら、下着の中に手が差し込まれ、割れ目を直に撫でられた。
「ああっ、やっ……あんっ……小、隊長っ……」
 割れ目の上の方を指がかすめるたびに、身体が跳ねてしまうような強い快感が走る。
「ああっ、あっ……だめっ、やっ……そこはっ、ああっ……ああっ、んっ、ああっ……」
 多分そこがクリトリスなんだろう。ぐにぐにと押されて頭が真っ白になった。身体は硬直して小刻みに震える。

「あ、の、小隊長っ……私が、あっ……満足してもっ、仕方、ないっ……ひあっ、ああっ、やあっ……」
 私が話しかけてる間も手の動きは止まらず、更に途中でぬるりと指が私の中に入ってきた。
「あっ、あっ……やっ……待って……」
 ぐちょぐちょに濡れてしまっているそこは、すんなりと小隊長の指を受け入れてはいるけど、初めての感覚に私は身体を強張らせた。
「い、やっ……あっ……ふっ……」
 くちゅくちゅと出し入れされる音が恥ずかしくて、もうどうしたらいいのか分からない。
「あうっ……あっ、だめっ……やっ、またっ……気持ち、よくっ……なっちゃうっ……ああっ……」
 中をかき混ぜられながら、クリトリスまで押され、異物感よりも快感の方が強くなる。
「はっ、あっ……だめっ、気持ち、いいっ……やあっ、あっ……しょう、たい、ちょおっ……」
 私は小隊長にもたれかかるように身体を仰け反らせた。
 されるがまま、びくびくと身体を震わせていると、小隊長の指が奥の方で小刻みに震えた。
「ああっ……それっ、だめぇっ……あっ、ああっ、あ、んっ……やあぁっ……」
 快感の波が私の意識をどこかに追いやってしまう。私の足はピンと伸び、腰がガクガクと揺れた。
「はあっ、あっ……ふっ、えっ……」
 強すぎる快感が去ると、くったりと力が抜けて勝手に涙が出た。
「ふっ、うっ……小隊長……小、隊長……」
 感情の昂ぶりをどうしたらいいのか分からなくて、私は泣きながら小隊長を呼んだ。
 優しく抱きしめて欲しかったし、名前を呼んで欲しかった。
「あっ、やっ……」
 それなのに、小隊長の手は少し乱暴に私の服を脱がしだした。
 また、小隊長がギリギリと奥歯を噛み締めている。
「あの、待って……脱ぐから、自分で脱ぎますから」
 ワンピースの前ボタンがブチブチと引きちぎられて、私は慌てて小隊長の手を押さえた。
 泣いたところで、小隊長の意思では何もできないんだから、私が頑張るしかない。
 私は小隊長から飛び退くと、小隊長の後ろに回り込んで服を脱いだ。
 物凄く恥ずかしいけど、もっと凄い事をしないといけないわけで、ここで怖気づいていてはいけない。
 後ろからそっと小隊長の頬に触れると、まだ奥歯を噛み締めているのか、強張っていた。

「小隊長、私は大丈夫ですから」
 そう言いながら私は小隊長に跨り、裸を見られるのは恥ずかしいので、隠すように小隊長に抱きついた。
 私の心臓もドキドキと煩いけど、小隊長の胸からもドキドキと大きな音が聞こえた。
「あの、小隊長……その、キスしてもいいですか?」
 おずおずと小隊長の顔を見上げると、小隊長は苦しそうな顔をしていた。
 それがどう言う意味を持つのかよく分からなかったけど、私は小隊長の唇に自分のものを重ねた。
 私はキスがしたい。この先も頑張るから、少しぐらいはわがままを言ってもいいんじゃないか。
 快感を与えられ過ぎて、私の思考力は低下してい
る。同意を得られたかどうか分からないまま、私は小隊長の唇を食むようにキスをした。

「ふうっ、んっ……んんっ……」
 小隊長の手がまた、胸や割れ目に伸びてきて、私は身体をくねらせながらキスを続けた。
「んっ……ちゅっ……んんっ……」
 小隊長の頬や唇にキスをすると、小隊長も嬉しそうに目を細めてくれた。
「小隊長……んんっ……好き、ですっ……好きっ、ああっ……」
 もっとキスをしたいのに、小隊長の手が乳首をつまみ、割れ目の奥へと指が差し込まれ、それどころでは無くなってしまう。
 私が気持ちよくなっても、小隊長の魔法は解けない。早く入れて出す所まで持っていかないと。
「小隊長、あのっ……これっ、んんっ……外し、ますねっ……」
 私は小隊長にかけられた小さな布切れに手をかけた。
「うわっ……」
 一気に取り払って目に入ったそれを見て、私のやる気は一気に低下してしまう。
「入れて、出す?え?こんな、大きいのを?」
 思わず小隊長の顔を見ると、苦しげな顔を赤くして私を見つめる小隊長と目が合った。
 私のアソコは小隊長の指を咥え込んでくちゅくちゅとよだれを垂らし続けている。
 でも、だからといって、こんな大きなものが入るんだろうか。
 ちょっとだけ、逃げ出したくなった。


「あのっ……本当に、これ、入るんっ……ですか?」
 私が泣きそうな顔で小隊長を見つめると、小隊長は力強い眼差しで私を見つめた。
 大丈夫だ、入る。そう言われた気がした。
 そうだ。お店のお客さんの猥談を思い出せば、入らない訳がない。きっと。人体の神秘を信じるんだ。
「やって、みます……」
 私は小隊長の指を引き抜くと、その手を胸に当てた。
 少しでも気持ちよくなって、理性を失いたい。
「んっ……あっ……」
 両手で胸を揉みしだかれながら、私は割れ目を小隊長の大きなものに押し当てた。
 ぐいぐい押し込もうとしても、どこにどうやって入るのか分からないし、私のも小隊長のもぬるぬるしていて滑ってしまう。
「かた……あつ、い……」
 滑らないように小隊長のものを手で握ると、その硬さと熱さに驚いた。
 手で押さえていても全く入る気がしなくて、ぬるぬると割れ目に擦りつけてしまう。
「はっ、あっ……小隊長……」
 なんだか凄くエッチな事をしてる気がして、凄く気持ちよくて、私は小隊長の硬くて熱いものをなぞるように割れ目に擦りつけた。
「ふっ、あっ……やあ、んっ……」
 何度か押し込もうとするけど、滑って先端から根本まで一気に擦れてしまう。小隊長のものがクリトリスに当たって、もうどうしようもなく気持ちいい。
「やっ、あっ……ああっ、んっ……わっ!」
 欲望のままに何度か擦りつけていると、小隊長のものがどくりと脈打ち、そして勢いよく何かが飛び出てきた。
「……せい、し?」
 顔や身体にかかったものを見ると、白くてとろっとしていた。
 初めて見る男の人の精子に、ちょっとどうしていいか分からず、私は小隊長を見つめたまま固まってしまった。

「リ、ディア……」
「小隊長!もう、大丈夫なんですか?」
 ドピュッと出たから魔法が解けたんだろうか。
「……なん、とか、声が出せる、だけで……すまない……」
「手も、動いてますが……」
 小隊長の手は相変わらず私の胸を揉み続けている。
「すま、ない……どうにも、止められ、なくて……」
 小隊長は意思の力でなんとか止めようと、ギリギリと奥歯を噛み締めだした。
「あの、無理……しないで、ください……嫌、では、な、いっ……ああっ……」
 途中で中に指を入れられてしまい、言葉が続かない。
「リディア……好き、なんだ……ずっと……」
「小、隊長……」
「こんな、欲望のまま……したい、訳では……」
 苦しげな小隊長の顔と、追い立てるような手の動き、そのどちらもが私の心と身体を揺さぶった。
 胸はきゅうっと苦しくなるし、アソコもきゅうっと締め付けちゃうし、もうどうしたらいいか分からない。
「小隊長っ、あんっ……好きっ……好き、ですっ……だから、私なら、大丈夫……」
「リディア……くそっ、抱きしめ、たい、のに……」
 その言葉に、私は小隊長に抱きついた。
 胸やアソコを弄られていてぎゅっとは抱きつけないのが残念だ。
「終わったら、いっぱい……抱き、しめて……ふっ、うっ……ああっ……」
 私が満足しても仕方ないのに、小隊長の手は容赦なく私を快感の渦に引き込もうとする。
「小、隊長っ……もうっ、私っ……ああっ、入れ、ますっ……」
 私は小隊長の指と自分の指で広げるようにして、小隊長のものを押し込んだ。もう、必死だった。
「うっ、あっ……ふっ、ううっ……」
 痛みに腰が引けそうだったけど、小隊長の指をどかすと、思い切って一気に押し込んだ。
「いっ、たっ……あのっ、これでっ……あって……ます、かっ?」
 私は苦しさに涙を浮かべながら小隊長を見る。
 ひょっとして違うところに入れてしまったんじゃないかと思うぐらい、もうみっちみちだった。
「あって、る……リディア……」
「はや、く……出し、て……」
 確か乗っかった後は腰を振らないといけないはず。でも、私にそんな余裕は無かった。
 小隊長には頑張って、ビュッビュかドピュッか知らないけど、なんとか自分で出して欲しかった。


 つながったまま、はあはあと荒い息だけ吐いて、膠着状態が続く。
「はあっ、はあっ……少し、落ち着いて……きました……」
「すまない……どうにも、身体が……動かな、くて……物凄く、動き、たいんだが……」
 小隊長の手は私のお尻や胸を撫で回しているけど、とてつもない異物感にそれどころではなかった。
「あの、どうしたら……小隊長は……気持ちよく、なれ、ますか?」
 息も絶え絶えにそれだけ聞く。とにかく私は必死だった。
「本当に、すまない……」
 小隊長は心底申し訳なさそうに謝ってきた。私はそう言って振られるんだろうと思っていたのに、なんでこんな事になっているのか。
 喜ぶべきなのか悲しむべきなのか、よく分からなかった。
「名前を、呼んで……くれないか?」
 人生の不思議に思いを馳せ、現実逃避しそうになっていた私を、小隊長の言葉がピンク色の現実に引き戻してくれた。
「クレイグさん……大好き、です……」
「リディア……ずっと、君が……好きだった……愛して、いる……」
 じっと見つめられて告げられた言葉に勇気づけられ、私は少し腰を揺らしてみた。
「リ、ディア……」
「クレイグ、さん……あっ、やあっ……」
 若干大人しくなっていたクレイグさんの手が、再び容赦なくクリトリスを押してきた。反対の手はいやらしい手付きで乳首を捏ね繰り回している。
「あっ、やっ……待って……あ、うっ……」
 思わず、快感から逃げようとしてしまったけど、そんな事をしていてはいつまで経っても終わらない。
「クレイグ、さんっ……いきますっ!」
 私は大きく息を吸うと、自分からクレイグさんの指にクリトリスを押し付けるように腰を振った。
「あっ、ああっ……やあんっ……」
 とにかく痛みよりも快感に集中して、私は腰を振り続けた。
「あっ、ああっ……んっ……クレイグ、さんのっ……おっきいっ……気持ち、いいっ……」
「リディアッ……」
 自分に言い聞かせるようにそう言うと、クレイグさんもなんだか反応してくれた。
「あっんっ……初めて、なのにっ……ああっ……イッちゃうっ……」
 言葉でもクレイグさんを気持ちよくできるのかもしれないと、私はお店のお客さん達の猥談を必死に思い出していた。
「だ、めえっ……もうっ、出してっ……いっぱい、中にっ、出してぇっ……」
「うっ……」
「熱いのっ、いっぱい……欲しいのっ……」
「リディア……くっ……」
「クレイグさんのっ、子種をっ……リディアの、中にっ……」
「くっ、うっ……」
「我慢しないでっ、早くっ、出してくださいっ!」
「あっ……」
「んんっ……」
 若干キレ気味に叫ぶと同時に、ドクドクと熱いものが中に注がれた。
 やっと終わった……
 もう、それしか考えられなかった。


「リディア……」
 疲れ果てた私は、ぐったりとクレイグさんにもたれかかっていた。
「ありがとう」
 クレイグさんは私を抱きしめてくれている。
「魔法、解けたんですね……」
「ああ、リディアのおかげだ」
 囁くようにそう言うと、クレイグさんは頬に優しくキスをした。
「良かった……」
 どう考えても上手くはできなかったけど、なんとか魔法を解くことができた。
「……とりあえず、もう、抜きましょう」
「す、すまない」
 クレイグさんが慌てて私を抱き上げて、立たせてくれた。たらりとクレイグさんの出したものが溢れて、物凄く恥ずかしかった。
「あの、今日の事は、忘れてください」
 もう恥ずかし過ぎて、私はクレイグさんの背中に回り込むと、自分を抱きしめるようにして羞恥に耐えた。
「リディアが私を好きと言ってくれた事も、初めてだった事も、それなのに私のために頑張ってくれた事も、どれもこれも嬉しくて、忘れたくない」
 クレイグさんが後ろから私を抱きしめて、甘く囁く。
「改めて、ちゃんと言わせてくれ。リディア、君が好きだ」
「クレイグさん……私も……」
 私がクレイグさんに向き直り、気持ちを伝えようとした瞬間。

「おめでとう、おめでとう」
「おめでとう……おめでとう……」
「おめでとう~おめでとう~」
 勢いよくドアが開き、魔術師三人組が手を叩きながら部屋に入ってきた。
 ちょっと殺意が湧いた。


「魔法が解けたと思って来てみたら、裸のままってどう言う事だ」
「これが噂の二回戦と言うヤツか……」
「隠しきれないエロボディが隠されてないんだから、仕方ないよね~」
「出ていけ」
 クレイグさんは三人に背を向けて、私を隠すようにきつく抱きしめてくれた。
「問題は解決したが、また一人この世から童貞が消えた」
「所詮ヤツは騎士……童貞の中でも最弱……」
「童貞騎士からヤリチン騎士にクラスチェンジだね~」
「出ていけ」
 クレイグさんが殺気を放つと、さすがの三人組も黙った。
「私が呼ぶまで外で待機していろ。いいな」
「童貞じゃなくなったからって偉そうに」
「こんな事でも無ければ、デートにも誘えなかったへたれが……」
「感謝して欲しいぐらいだよね~」
 三人はブツブツ文句を言いながら部屋から出ていった。

「まったく、あの三人は……」
 クレイグさんは床に散らばった服を集めると、私に渡してくれた。
「ありがとうございます」
 受け取った服を着るとパンツはぐしょぐしょだし、ワンピースはボタンが引きちぎられているし、泣きそうになった。
「すまない……とりあえずこれを着ておいてくれ」
 差し出された制服の上着を着るとブカブカで、なんだか気恥ずかしかった。
「これでよし……じゃないな」
 私の姿を確認していたクレイグさんが、慌てて布で髪を拭いてくれた。
 クレイグさんが飛ばしたものが付いていたんだろう。恥ずかしい。
「……よし」
 クレイグさんは再度確認すると扉に向かい、三人を呼び入れた。
「浄化魔法と復元魔法をかけてくれ」
「魔法でも失われた童貞は戻せない」
「無かった事にはできないのだ……」
「だから簡単に捨てちゃだめなんだよ~」
「元々童貞ではない!彼女の服を破ってしまったので、元に戻して欲しい」
「服を破くって野獣かよ」
「たわわに実る二つの果実を前に、理性を失ったか……」
「エッロい身体してるもんね~」
 クレイグさんの無言の殺気により、私に浄化魔法と復元魔法がかけられた。
「彼女を店まで送っていったら、お前たちを魔法倫理機構に付き出す。逃げるなよ」
 若くして小隊長になっただけあって、クレイグさんは迫力満点だった。


 その後、私は改めてきちんと告白してくれたクレイグさんとお付き合いする事になった。
「リディア」
 クレイグさんは二人きりになると、すぐに私を膝の上に乗せたがった。
「リディアを膝に乗せている時が、一番落ち着く……」
「胸も揉んでますけど……」
 後ろから揉みしだかれて、私は横向きに座り直すとじっとりとした視線をクレイグさんに向けた。
「すまない、つい」
「ふっ、んんっ……」
 クレイグさんは微笑みを浮かべて謝ると、私の顎を持ち上げてキスをしてきた。
「んっ、ふっ……はあっ……んっ……」
 私が前にしたような拙いキスとは違い、クレイグさんがするキスは舌が絡められ、劣情を煽るような大人のキスだった。
「クレイグさん……」
 力が抜けた私を満足そうに見下ろすクレイグさんに、もたれ掛かりながら話しかける。
「クレイグさんが、こんなエッチな人だとは思いませんでした」
 さわさわと太ももを撫でながら、期待に満ちた顔を向けるクレイグさんに、少しだけ不満を漏らす。
「嫌だったか?」
 しょんぼりして手を離すクレイグさんを、かわいいと思ってしまう。
「嫌では、ないです」
 私はそう言って自分からキスをすると、クレイグさんに背を向けて座り直した。
「だから、もっと……気持ちよく、して……」
 私の言葉に、クレイグさんは後ろから胸を揉み、割れ目を撫で擦った。
「あっ、んんっ……やっ……だ、めっ……」
 クレイグさんの巧みな指遣いに、私の身体はすぐに溶けていった。

 最初の内は優しく普通にしてくれていたクレイグさんから「リディアの椅子になりたい」と言われた時は聞こえないふりをしてしまった。
 どう考えても、あの魔法のせいで変な扉を開いている。
 それでも、気持ちよくして貰っているばかりは悪い気がして、喜んでくれるならいいかなと許してしまえば、会うたびにクレイグさんは椅子になりたがった。

「あっ、やっ……気持ち、いいっ……」
 向かい合わせになるように跨った私は、指で中をかき混ぜられながら服を脱ぎ捨てた。
 押し付けるようにクレイグさんの口元に胸を差し出せば、きつく吸われて更なる快感が走る。
 どうやらクレイグさんの中では「変態椅子に跨り自慰に耽る淫らなリディア」と言う設定があるようで、どうせなら喜んで貰いたい私は、お客さんの猥談から得た情報をフル活用してそれに答えていた。
「あっ、んっ……そこっ、いいのっ……」
 自分から腰を振りながら、クレイグさんのズボンを緩め、下履きから大きくそそり勃つものを取り出す。
「ああんっ……凄いっ……おっきい……」
 ぬるつくそれを扱きあげると、クレイグさんの口から吐息が漏れた。
「熱いの……いっぱい……中に欲しい……」
 私がクレイグさんのものに割れ目を押し付けると、中をかき混ぜていた指は引き抜かれ、胸を揉みしだきだした。
「はっ、あっ……ああっ……」
 ゆっくりと腰を揺らしながら、クレイグさんの服を脱がす。
 騎士の人は制服を着ると三割増しにカッコいいと思っていたけど、クレイグさんは裸になってもカッコよかった。
 鍛えられた筋肉を指でなぞり、首筋に吸い付く。
 太ももで挟み込むようにクレイグさんのものを上下に擦ると、クリトリスが擦れて気持ちが良かった。
「あっ、んっ……もう、だめっ……我慢、できない……ああっ……」
 ゆっくりと腰を落とし、クレイグさんのものを飲み込んでいく。
「クレイグさん……あっ、ああっ……」
 クレイグさんの目を見つめながら腰を上下に動かせば、満たされる喜びに私のあそこはどうしようもなくひくついてしまう。
「はあっ……ねえ、クレイグ、さんっ……」
 私はゆっくりと腰を動かしながら、クレイグさんを見つめる。
「私以外はっ……乗せちゃ、だめですよっ……」
「リディア……もちろん、君だけだっ」
「あっ、やっ、ああっ……」
 満足げなクレイグさんに下から突き上げられて、それだけでイキそうになる。
「かわいいリディア……私は、君だけの椅子だ……」
 椅子じゃなくてもいいんだけどと、思わなくも無かったけど、私だけと言って貰えてとても幸せだった。


 こうして、小隊長は私専用の椅子になった。
 あのまま田舎に帰っていたかもと思うと、三人の魔術師にも感謝……する気には全くならなかった。
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