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夏祭り……後の祭り?

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 そうして始まった四条と僕の同居生活は驚くほど穏やかなものだった。というか、そもそも思っていたより家で共に過ごす時間が少なかった。
 夏休みに入って、僕はこれ稼ぎ時とギリギリまでバイトの予定を詰めていたし、手持ちの金を増やしたい四条も似たようなものだろう。加えて僕は、深夜の時給アップ目当てに、昼夜が逆転しそうなシフトを組んでいた。

 金といえば。
 違う銀行で口座を開設よりも、今まで使っていた銀行で通帳を再発行すれば金も下ろせるだろうと僕が尋ねたら、四条は曖昧な笑みを浮かべた。

 「どのみちほとんど入っていなかったので」

 今になって思い返せば、何とも不可思議な話だ。ちょっと前に20万の服を買おうとしていた奴が1ヶ月足らずですっからかん、なんてことがあるのだろうか。

 四条は、謎の多い男だと思う。整った容姿、ともすると欠点が無さすぎて無機質な感じすら覚えるほどなのに、表情は柔らかく人懐っこい。少なくとも僕に見せる顔は。そもそも他の人もいる場で四条と過ごす機会がないから比べようがないのだ。
 
 僕は先ほど焼いた食パンを齧りながらそんなことを考え込んだ。
 ちなみに、この家にはトースターがないため、フライパンで焼いた。二人暮らしを始めてから学んだライフハックだ。なんなら下手に安物のトースターで焼くよりも表面がサクッと仕上がって美味しく出来上がる。

 律儀なことに、四条は毎朝冷蔵庫の中に僕の分の朝食を用意してから出て行くのだが、今朝は、ラップで覆われた皿に付箋が添えてあった。先程のフライパンで焼く方法も同じように付箋に残されていたのである。

 「今日はバイト先で習ったタコさんウインナーを作ってみました。なかなか可愛く出来たと思います。玉ねぎが入っているのはマリネサラダです」

 僕はタコさんウインナーの胡麻で出来たつぶらな瞳と目を合わせる。
 「はは、遠足の弁当以来だな」
 うちのタコさんは目までは用意してもらえなかったけど。本当に律儀なことだ。

 午前はゆっくり家で過ごそう。昼は買い物だな。夜には四条も帰ってくるし晩飯の材料を買いに行こう。そういえば、顔を見るのも四日振りになる気がする。
 僕のバイト先は賄いが出るため、夜は大体そこで済ましてしまう。だから、夕食当番が回ってくるのは休みの日だけ。そう思うと四条の食べたいものを作ってやりたくなった。
 こういう時に気軽にメッセージで尋ねられないのは不便だなと感じる。
 
 まぁいいか。どうせ明日も休みだし、今日の夜にメニューを訊いて明日作れば。

 久しぶりの連休に僕は背伸びをして周りを見渡した。
 四条は2時間前には部屋を出たはずだったが、なんだかそこここから彼の存在を感じた。
 以前ならその辺りの床に転がっていたであろうテレビのリモコンは、今やきちんとローテーブルの上に並べられている。
 家事割を記入した——僕は半々でいいと言ったのに結局四条が7割を担っている——カレンダーも目に留まった。
 
 そして——僕は今日の付箋を3段ボックスの中にあるクッキー缶に仕舞い込んだ。
 このデジタルの時代に、わざわざ手書きで残された気遣いは、なんだか捨てる気にはなれなかったから。気付けばそこそこの枚数が溜まっていた。


 頭の中で立てた予定通りに午前をダラダラすごし、その後買い物を済ませた僕はチキンライスを炒め四条の帰りを待った。

 「ただいまです」
 「おかえり。今からご飯用意するから手を洗って待ってて」
 「何か手伝うことは?」
 「んー、冷蔵庫にあるサラダとドレッシング運んでもらえる?」
 「わかりました」

 帰宅した四条と会話しながらチキンライスをレンジに入れた。温め終わったら卵を2個割ってそれを包む。オムライスの完成だ。別に店で出てくるふわふわとろ~り、みたいなやつじゃない、極めて普通のぺらぺらの玉子に包まれたオムライス。家庭に並ぶにはこちらの方が一般的だろう、多分。

 「美味しいです!」
 「お前が食べるのを見てると、一流シェフになった気がする」
 「お世辞じゃないですよ?」
 「だろうね、じゃなきゃ俳優を目指した方がいい」

 せっせとスプーンを動かす四条の、気持ちのいい食べっぷりを横目に、リモコンに手を伸ばす。開催中の花火大会の様子が映されていた。そういえば、バイト先の奴が行くって言ってたような。 

 「いいなぁ。日本にいたのは小学生の頃までだから、お祭りってあんまり覚えてなくて。憧れます」
 
 あっという間に夕食を平らげた四条は、テレビの画面を食い入るように見つめている。切り取られた祭りの風景は、地面が見えないほどに人で埋め尽くされていた。
 どこがいいんだか。この汗が滴り落ちるような暑い日に、ろくに歩けもしないほど混雑する場所に行きたいとは、世の中の人間はなんて酔狂なんだろう。レタスを齧りながら、心の中で毒づいた。

 「ご馳走様でした!」
 「後で洗うから流しにおいといて」
 「はい」

 よく食う奴だからとかなり大目に作ってやったのに、普通の量を盛った僕と食べ終わるのに同じくらいの時間しかかからないとは。 

 すぐに食器を運ぶ同居人を横目に、食後しばらくは動く気になれない僕は、スマホに手を伸ばした。
 
 「あ、ちょうど来週近くでも祭りあるぞ。自治体がやってるやつだから花火とかはないけど」
 「ホントですか!?行きたいです。あと、浴衣も着てみたいです……。先輩も一緒に」
 「浴衣? 浴衣はちょっとすぐには用意できないだろうけど、僕で良ければ付き合うよ」

 大喜びする四条に、ないはずの尻尾が見えた。急激に上がったテンションをそのまま全身で表現する姿は、すこぶる犬っぽい。

 「本当に楽しみです!りんご飴に焼きそばにかき氷に……。考えるだけでお腹空いてきました」
 「さっき食べたとこなのに、一体どんな胃をしてるのか不思議になってきたよ。あ、そういえば。明日の昼何がいい?家で食べるよね?」
 「先輩の作るご飯はなんでも美味しいので悩みます……。うーん……」
 「あんなに熱く語るもんだから、屋台飯に負けてるのかと思った」
 「えっ!?そ、そんなつもりじゃ」
 「あはは、冗談だって。じゃあ僕のおまかせってことで」

 結局次の日は和風パスタを作ってやった。

 それからまた、家ではほとんど会うことのない生活を再び一週間送り、やってきた祭り当日。

 夜のシフトを終えて疲れ果てた僕は、家に帰るなりすぐにベッドに倒れ込みぐっすり眠った。
 その後、しばらくして目を覚まし、時計を見た僕は、ひと足先に着替えて祭りに向かう準備をしていた。
 玄関の方から足音が聞こえてきたので、九条が鍵をカバンから出す前に中から開けてやる。
 「! 先輩、その格好……!」
 「浴衣と下駄、お前の分も用意してるから。さっさと着替えて出発するぞ」
 「え?は、はい!」
 混乱する四条はわけがわからないという顔をしていたが、着付けする手際に迷いはなく、日本の文化に興味があると言っていたことを思い出した。
 
 浴衣に身を包んだ僕たちは、近くの公園で行われている祭りに足を運んだ。祭りの会場に近づくにつれて、段々と盆踊りの音頭が聞こえてくるようになる。
 縁日に並ぶ色とりどりの提灯と、食欲を誘う匂いを漂わせる屋台たち。
 小規模の祭りとはいえ、それなりに賑わっている。柄も色彩もさまざまな浴衣が目に入り、あちこちでカラカラという下駄の立てる音と楽しげな笑い声がする。

 公園の中に入りぶらぶらと散策していると、四条が急にぴたりと足を止めた。

 「俺、運はないですけど、あのゲームはちょっと自信ありますよ」
 四条が指差した屋台の中は棚状となっており、的がずらりとならんでいた。射的だ。

 料金を払って香具師から受け取ったコルク銃をしばらく見分した四条は、いとも容易く狙った先に当ててみせた。パンっと音がなり、景品が下に落ちる。

 「アメリカにいる頃、祖父に狩猟を教わったことがあるんです。ほぼ強制で、あまり楽しい思い出じゃなかったんですが、先輩にいいところを見せることが出来てよかったです」

 得意げに目を細める表情は少し子供っぽいが、下品にならない程度に着崩された浴衣の色気とギャップがあってかなりかっこいい。僕の隣で一生懸命銃を構えていた女の子が、顔を赤くして的をそっちのけで四条の顔を見つめていた。

 「上手いのはわかったから……まだ弾残ってるでしょ?続けないの?」
 「まさか。動かない的なんて、百発百中ですよ……! ……あれ?」

 先程の威勢は何処へやら。四条の顔は急速に青ざめていった。しばらくガチャガチャ音をさせた後、観念したようにか細い声で嘆いた。
 「詰まジャムりました」

 ああ、そうだったな。とんでも不幸体質の持ち主だった。というか、射的用の銃でもそんなことがあるんだ。

 「っ…あは!あははは!!お前って本当に運がないね!」

 耐えきれずに僕は大声で笑い出した。こんなになんでもこなせるイケメンです——実際に大抵の場合そうなんだけど——って顔をしているのに、運だけで台無しにしていく姿は、見ていて本当に面白い。右往左往しコロコロと変わる表情も含めて。

 「笑わないでください!!あんなに格好つけたのに……! 恥ずかしすぎる……」 
 「ごめんって。とにかく、新しい銃に替えてもらったら?」

 それからの四条はまぁ悲惨だった。受け取った新しい銃で見事なシューティングを再び見せたかと思うと、すぐに詰まってしまった。
 撃ってはジャム、撃ってはジャム。終いには替わりの銃すら足りなくなった。はじめは申し訳なさそうにしていた店主は呆れ顔になり、羨望の目を向けていた女児もすっかり冷めてしまったようで、幻滅を隠さずそっぽを向いてしまった。
 とはいえ、3発中3発を当ててみせた彼が、景品のうち二つを彼女にあげたので、なんとか面目を保てたようだ。
 女の子に手を振りながら、その場を離れる。

 「これ……先輩にあげます」
 「……僕に?」
 「はい。いつも朝、テレビで犬が出てくるコーナーを真剣に見てるから」

 好きですよねと渡されたのは、小さな犬のぬいぐるみがついたキーホルダーだった。先程射的で取った景品のうちの一つ。愛嬌のあるつぶらな瞳と目が合った。

 「……よく見てるね。ありがとう」
 「良かったです!大事にしてくださいね?」
 「……ウン…」

 なんというか、かなり気恥ずかしい。
 事前に何度も弾を詰まらせてくれていて良かった!あれがなければ、あまりの少女漫画の王子様すぎて変な勘違いをしてしまうところだった。

 僕が四条に貰ったキーホルダーをせっかくだしと家の鍵につけようとしている時に、となりからぐぅぅという音が聞こえてきた。
 それに釣られてこちらまでお腹が空いてくる。それに、誰かさんのせいで、さっき死ぬほど笑わせられた。とにかく、カロリーが足りない。

 腹をすかした僕たちは、辺りを見渡して、食べ物の屋台と見るやいなやその全てに並んだ。というか、四条が店を見るなり引き寄せられていった。
 焼きそばにかき氷にやきとうもろこし。引っ張られるままに子どもしか列にいない、キャラクターのわたあめに並ばされた時は流石に恥ずかしかったが、楽しそうな四条に水を差すこともできなかった。
 
 少しお腹が膨れてきたところで目に入った、赤い看板に四条は瞳を一際キラキラと輝かせた。

 「わぁ、りんご飴だ!懐かしいなぁ……。母には大きい方をねだったのに、食べきれないでしょって小さい方を渡されたんです。実際、当時の俺は少食だったから」
 「少食?意外かも。ウチは逆に、サイズがこんなに違うのに100円しか変わらないなら大きい方選びなさいってそっちしか買ってもらえなかったな。しかも妹と分けろって」
 「妹さんいるんですね。確かに先輩からは頼れる兄!みたいな感じがします」
 「自分じゃ実感ないけどそうなのかな? そっちは兄弟いるの?」
 「えっと……弟が一人います」

 妙に歯切れの悪い返事だった。前々から気になっていたが、もしかしたら複雑な家庭事情があるのかもしれない。
 微妙な雰囲気に耐えかねた僕は、わざと明るい声を作って、隣の列に並んでくるからと、イカ焼きの屋台に足を向けた。 
 祭りに来た人々が座って休憩できるよう設置された飲食スペースで待ち合わせることにして、その場を離れたが、こっそり振り向いて様子を伺うと、四条は少し安堵した顔をしていた。僕の判断は正解だったらしい。

 イカ焼きとセット売りされていた缶チューハイを手にした僕は、人で溢れかえる座席の中から四条を見つけて、その前に座った。

 無事に念願の大きいりんご飴を手に入れた四条は、先ほどの気まずさをつゆほど感じさせないほど気分が良さそうで、席につくなり自分のりんご飴を一口食べるかと尋ねてきた。
 
 「いや、イカ焼きとりんご飴はちょっと……」
 合わない組み合わせに首を振る僕に、四条は少し残念そうな顔を見せたが、すぐに気を取り直して勢いよくかぶりついた。モデル並みに顔が小さいせいで、りんご飴がより大きく見える。表面の飴が砕ける小気味よい音が響いた。

 「気をつけて食べなよ、浴衣借りものなんだから」
 「あ、そういえば。これ、どうしたんですか」 
 「お前のこと話したら、バイト先の先輩が貸してくれた。弟の浴衣で良ければって。いや~、本人もバスケのサークル入ってるっていってたけど、弟さんの身長も高くてラッキーだった」

 自分の分は実家から送ってもらった、そう話している時に四条の顔が少しぼんやりしていることに気がついた。

 「聞いてる?」
 「あ、いえ……。俺の話、外でしてるんだと思って」
 「? しちゃまずかった? お前の写真と交換ならって貸してくれたんだ。イケメンだって話してたら見たいってさ」
 「いえ。別に話してもらっていいんですが……。浴衣を借りてまで用意してくれてありがとうございます。ところで俺、先輩から見てかっこいいですか?」
 「えっ!?」
 
 衝撃のあまり、手の中のチューハイがべキャっと凹んで音を立てた。
 四条の顔は真剣そのものだった。
 なぜ?その顔を褒められるのはそんなに珍しいことなのか? それとも、容姿に言及されるのが嫌だった? 
 食い入るようにこちらをじっと見つめて僕の返答を待つ四条に、思わずたじろいだ。

 「……かっこいいと思うよ」

 面と向かって本人に言うのはなんだか照れてしまう。
 もしかして、揶揄うために問い詰めたのか? そう思ったものの、僕の言葉に四条は屈託ない満面の笑みを浮かべて喜ぶだけだった。綺麗な顔をくしゃっとして笑っているその姿に、心臓が大きく跳ねた。
 
 そんな、まさか。
 僕は四条蓮に惹かれている。

 突如降って湧いたその考えを、頭の中で言葉にしてみると、なんの突っかかりもなくすとんと胸に落ちてきた。
 好きなメニューを作ってあげたいだとか、何気ないメッセージを缶に入れて残しておくだとか、そんなのは全部相手が好きじゃないとしないことだ。

 とたんに顔が熱くなる。きっと赤くなっていることだろう。紅潮を酒のせいにするために僕は勢いよくチューハイを一気に飲み干した。



 これがまずかった。
 居酒屋の店員なんてバイトをやっている割に、僕はアルコールにそれほど強くない。それどころかむしろかなり弱い方だ。
 にもかかわらず、しょっぱいものに目がなく、つまみの類に目がない。
 大抵の場合、アテだけを頼む訳にはいかないので、酒も注文する。すぐに酔っ払わないようにちびちびと口にして、水も同時に飲むように気をつけている。……気をつけていた。


 僕は自分の部屋で一糸纏わず——では幸いなくパンツ一丁で——目を覚ました。ベッドの周りには脱ぎ捨てられた浴衣と帯が落ちている。極め付けは、身体についた赤い斑点。
 なにかの冗談だろうと思いたかったが、動かぬ証拠が揃った今、どう考えても後の祭りだ。

 酒を飲んで、そこからの記憶を飛ばすなんて初めてだった。そして多分、別の初めても済ませてしまったに違いない。

 カレンダーに目を向けた。今日はシフトが入ってない。ああ、夜勤が入っていれば少しでも問題を先延ばしできたのに。
 カフェのバイトから帰ってきた四条とどんな顔を合わせればいいのだろう。

 もういいや。
 思考放棄した僕は二度寝を決め込んだ。

 
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