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第二章 呪われた上司
すこしむかし
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「っ……、ふっ……、ぅ♡」
石畳の地下牢にどこか悩ましげな吐息が響く。格子の内では銀髪の青年、あやかし退治人のセツが、尻を突き出すような格好で床に伏せている。手首と足首を一まとめにする鉄製の枷以外何も身につけていないため、後孔からてらてらと光る鎖が垂れているさまがはっきりと見える。
そんな痴態を赤髪で金泥色の目をした少年……に見えるあやかしが、笑顔を浮かべて手持ち燭台で照らしている。
「っぁ……くっ♡」
「あははは、可愛い声! やっぱりセツは退治人なんかより、僕の愛玩のほうがむいてるよ!」
「ふざけるな……ぁ♡」
「えー? でも、こんなに美味しそうに鎖を咥え込んでるじゃない」
「ひっ♡!?」
後孔から垂れた鎖に指がかけられ、ほんの少しだけ外に引かれる。その微かな刺激だけで、うっすらと噛み跡がのこる背中が粟立った。
「あはは! 期待してるんだ? セツ、ここをぐちゃぐちゃにされるの大好きだもんね」
「っぁ♡、すきじゃな……ひっ♡、やっ♡」
「本当? でもほら、こうやって小刻みに動かされたり」
「あ゛っ♡、やめっ……♡、ぅっく♡」
「キュウキュウ締めつけてる穴の縁を、指先でカリカリされたり」
「ひぅっ♡、っあ♡、さわっるなぁ♡」
「お腹の上から、中に入った鎖を揉まれたりしたら」
「お゛っ♡!? やら゛♡、それやら……ぁ゛♡」
「気持ちよくて仕方ないもんね?」
「きもちよく、なぃ♡、からっ♡、もっやめ……♡」
銀髪を振り乱しながら否定すると、金泥色の目が笑みを深めた。
「セツ、嘘はよくないよ。ほら、お仕置き」
「あ゛つ゛ぅぅっ♡!?」
突き出された尻に蝋が垂らされ、熱さに収縮した後孔が深く咥え込んだ鎖を締めあげてしまう。そのせいで、前立腺や結腸口がゴリゴリと抉られ、下半身が強烈な快感に襲われる。
「あ゛っ♡、ぃや♡、とまら……っう♡、とめっ♡」
一度深い快楽を感じた身体は、無意識のうちに鎖を一定のリズムで締め上げ続けた。自分の意思では止められない甘い刺激が、身体と心を蝕んでいく。
「あぅ♡、もっ♡、むり、なのにぃ♡」
「ありゃ、お仕置きなのに気持ちよくしちゃったか。じゃあ、追加をしないと」
「うぅ……♡」
熱に蕩けた目が虚空を見つめるなか、蝋を垂らされた尻がなでられた。突然の柔らかな刺激に心地よさを感じていると、腹の中から微かな振動が伝わる。
「あぇ……♡?」
「一気にひきぬいてあげようね」
「っ!? やめ、まっ……お゛ぉぉ゛ぉお゛ぉ♡♡!?」
制止も虚しく食い締められた鎖が一気に引き抜かれ、快感に噛み跡の残る背中が強張りながら震える。
「あははは! 穴がまだパクパクしてる! よしよし、中をいじめてもらえなくてさみしいねぇ」
「ちがっ♡、あ♡、あっ♡、ゃ♡」
嘲る声と後孔の縁をそっと撫でられる感触が、さらに淫らな熱を煽っていく。
「こんなに物欲しそうにしてるのに、なにが違うの。それにほら、ここももうこんなにガチガチになってる」
「ひぎっ♡!?」
不意に、腹につくほど反り返った性器がきつく握り込まれた。痛みに近い刺激に、鈴口から先走りがとめどなく溢れでる。
「あはは! 穴がまたキュッてなった! このまま前をいじめられながら僕ので後ろを掻き回したら、きっとすごく気持ちよくなれるよね」
「んぐっ♡、んんっ♡」
セツはくぐもった嬌声を漏らしながら、銀髪を振り乱して首を振る。しかし、それであやかしが止まるはずもなく、ヒクヒクと蠢く後孔に熱く濡れた塊が触れた。
「そんなに嫌がらないでよ。ちゃんとこっちはセツが満足できそうな形と大きさにしてるんだから。ほら、奥まで入れてほしいでしょ?」
「ほしくなぃ♡、はいっれくるな……ぁああぁあ♡♡♡!?」
「欲しくないって言うわりには、美味しそうにモグモグ飲み込んでくれるよ」
「ゃ、あ♡」
亀頭を飲み込んだ後孔が吸い付くように蠢きながら、突き入れられた性器を奥へ奥へと飲み込んでいく。
「あ、ぐっ♡」
「ほら、もう奥まで入っちゃった。じゃあ上手くできたご褒美に、前立腺と前を一緒にグリグリしてあげようね」
「やら♡、いっしょはやら♡、おねがひしまっやめ……」
「はーい、グリグリ」
「おぉお゛ぉぉぉ♡♡♡!?」
角度を変えた熱い塊が前立腺を何度も的確に抉り、幼さの残る指先が裏筋の辺りをこね回す。強烈な快感が全身を震わせるが、鈴口から飛び散るのは透明な液体のままだ。
「あぅ……♡、も、イきたひのに……ぃっ♡、っうぁ♡」
端正な顔を涙と涎でぐちゃぐちゃにしながら、セツが譫言のような嬌声をあげる。その姿に、金泥色の目が満足げに細められた。
「セツはこのくらいじゃ、もう満足できないもんね」
吊り上がった口の端から、鋭い牙が溢れる。
あやかしは身を乗りだすと、紅潮した耳に軽く息を吹きかけた。
「っう♡」
「ふふ、可愛い。ねえ、セツ」
「ぁあぁぁ……♡」
性器と前立腺への刺激が、優しく撫でるような動きに変わる。もどかしい刺激に、腰が自ずから前後に動きだす。
「やっぁ♡、もっ……♡」
「腰ヘコヘコするのやめられなくなっちゃったね。このまま思いっきり牙を突き立てられたら、君はどうなっちゃうのかなぁ?」
「ぁう……♡」
吐息混じりの声と甘い刺激が、思考を溶かしていく。
「痛みと快感がグチャグチャに混ざってわけが分からなくなるの、大好きだもんねぇ?」
「ぁ……♡、ぁ……♡」
否定しないといけないと分かっていても、言葉がうまく紡げない。
「気持ちよく、なりたい?」
「や……♡♡、ぁ……♡♡」
「なりたい、よね? ん」
「ひぅ♡♡!?」
首筋に軽く牙を当てられ、冷ややかな刺激に戒められた身体が大きくはねた。それでも、絶頂には至らない。
「ほら、ちゃんと言ってくれないと分からないよ?」
「ぅ……♡、ぁ♡♡♡」
快楽と涙でぐちゃぐちゃになった視界のなかで、顔を覗き込む金泥色の目が細められていく。
それ以外に縋れるものは、もうなにひとつ見えない。
「……は、ぃ♡、きもちよく、してくらさい♡♡♡」
震える声で返事をすると、あやかしは笑みを深めた。
「あははは! やっぱり、君は最高だよ! じゃあ望み通りにしてあげる!」
「あ゛ぁああ゛ぁぁあぁ♡♡♡!?」
後孔の最奥が穿たれると同時に、肩口に鋭い牙が突き立てられる。皮膚を貫き肉を抉られる痛みに、手足を拘束する鎖を鳴らしながら背中が大きくのけぞった。それでも、深く突き刺さった牙は放れない。
「ぃっく♡! イくぅぅぅぅぅ♡♡♡!!」
神経を焼き切られるような痛みに全身がガクガクと痙攣し、振り乱された性器から勢いよく精液が飛び散る。
「ぁぁあぁ……♡」
「……んく、んっ」
「んっぁ♡、とまらっなひ……♡」
全身の痙攣が落ち着くと、あやかしは溢れ出す血を啜りながら、後孔の中に性液を注いでいく。その刺激にあわせるように、セツの性器も精液を垂れ流した。
「……ぷはっ」
「ひぅ……っ♡」
後孔と肩口が開放されると、滲みでるような精液がようやく止まった。
「はっ♡、はっ♡、はっ♡」
「あはは、やっぱりセツは味も身体の具合も僕の好みにピッタリだなぁ。あ、そうだ!」
「うぐっ♡!?」
不意に銀色の髪を掴まれ、顔を持ち上げられた。快楽の余韻に滲んだ視界の中で、金泥色の目だけが爛々と輝いている。
「このままずっと僕の傍にいてよ! そうすれば、ほかの人間を食べたりしないし、毎日すっごく可愛がってあげるからさ!」
「……」
退治人の本分は人間をあやかしから守ること。それならば、この提案をうけたとしても本分を外れることにはならないはず。
それでも。
そうなってしまえば。
仲間たちの無念は──。
※※※
「……セツ!」
「わぁっ!?」
突然の大声に、セツは叩き起こされた。目を擦ると、ぼやけた視界のなかでロカが眉間に皺を寄せて腕を組んでいる。どうやら打ち合わせの途中、会議室の中で居眠りをしていたようだ。
「まったく。二人きりのミーティングだからって、気を抜きすぎですよ」
「ははは、すまなかった。次からは気をつけるよ」
「そのセリフ、前回も聞きましたけどね」
「う……、そうだっけ?」
「そうですよ。まあ最近仕事が続いていましたし、多少の居眠りなら見逃そうと思ったのですが」
眼鏡越しの金泥色の目に影が落ちる。
「うなさるのは、控えていただきたい。決心が揺らぐので」
「……揺らいでもらったほうがありがたいんだけどな、私としては」
「……本当にろくでもない大人ですね、貴方は」
「ははは、まったくもってその通りだよ。それで」
セツは苦笑を浮かべながら首を傾げた。
「今回の任務は救抜衆生会の殲滅だっけ?」
「はい。危険集団殲滅班から協力要請があったので、本部第一班も参加することになりました」
「ふーん。じゃあ今回は、私も退治人としての業務に専念すればいいんだな?」
「その通りです」
「よかった。それなら、少しだけ気が楽だ」
「……」
「それにしても危険集団殲滅班のやつら、あの本拠地がずっと分からなかった集団をよく見つけたなー」
「ああ、はい。なんでも、拠点から逃げてきた子供を見つけて聞き出したらしいですよ」
「子供?」
「はい。ウワサだと赤毛で俺と同じ目の色をしているとのことなので……多分、人間も食べることができる類のあやかしの血を引いている子供かと」
「赤毛にロカと同じ色の目をした子供、ね」
このままずっと僕の傍にいてよ!
「……セツ? どうしましたか?」
「いや、なんでもないよ。ただ、大事な仕事の前に夢見が悪いのはよろしくないから、子守唄でも歌ってくれないか?」
「仮にも上司の前で、ミーティングをサボって寝ると宣言しないでください」
「えー、頼むよロカえもんー。さっき見逃してくれるって言ったじゃないかー」
「変なあだ名をつけないでくださいよ。まったく本っ当にろくでもないんですから」
不服そうな小言のあと、会議室には子守唄と穏やかな寝息が響きだした。
石畳の地下牢にどこか悩ましげな吐息が響く。格子の内では銀髪の青年、あやかし退治人のセツが、尻を突き出すような格好で床に伏せている。手首と足首を一まとめにする鉄製の枷以外何も身につけていないため、後孔からてらてらと光る鎖が垂れているさまがはっきりと見える。
そんな痴態を赤髪で金泥色の目をした少年……に見えるあやかしが、笑顔を浮かべて手持ち燭台で照らしている。
「っぁ……くっ♡」
「あははは、可愛い声! やっぱりセツは退治人なんかより、僕の愛玩のほうがむいてるよ!」
「ふざけるな……ぁ♡」
「えー? でも、こんなに美味しそうに鎖を咥え込んでるじゃない」
「ひっ♡!?」
後孔から垂れた鎖に指がかけられ、ほんの少しだけ外に引かれる。その微かな刺激だけで、うっすらと噛み跡がのこる背中が粟立った。
「あはは! 期待してるんだ? セツ、ここをぐちゃぐちゃにされるの大好きだもんね」
「っぁ♡、すきじゃな……ひっ♡、やっ♡」
「本当? でもほら、こうやって小刻みに動かされたり」
「あ゛っ♡、やめっ……♡、ぅっく♡」
「キュウキュウ締めつけてる穴の縁を、指先でカリカリされたり」
「ひぅっ♡、っあ♡、さわっるなぁ♡」
「お腹の上から、中に入った鎖を揉まれたりしたら」
「お゛っ♡!? やら゛♡、それやら……ぁ゛♡」
「気持ちよくて仕方ないもんね?」
「きもちよく、なぃ♡、からっ♡、もっやめ……♡」
銀髪を振り乱しながら否定すると、金泥色の目が笑みを深めた。
「セツ、嘘はよくないよ。ほら、お仕置き」
「あ゛つ゛ぅぅっ♡!?」
突き出された尻に蝋が垂らされ、熱さに収縮した後孔が深く咥え込んだ鎖を締めあげてしまう。そのせいで、前立腺や結腸口がゴリゴリと抉られ、下半身が強烈な快感に襲われる。
「あ゛っ♡、ぃや♡、とまら……っう♡、とめっ♡」
一度深い快楽を感じた身体は、無意識のうちに鎖を一定のリズムで締め上げ続けた。自分の意思では止められない甘い刺激が、身体と心を蝕んでいく。
「あぅ♡、もっ♡、むり、なのにぃ♡」
「ありゃ、お仕置きなのに気持ちよくしちゃったか。じゃあ、追加をしないと」
「うぅ……♡」
熱に蕩けた目が虚空を見つめるなか、蝋を垂らされた尻がなでられた。突然の柔らかな刺激に心地よさを感じていると、腹の中から微かな振動が伝わる。
「あぇ……♡?」
「一気にひきぬいてあげようね」
「っ!? やめ、まっ……お゛ぉぉ゛ぉお゛ぉ♡♡!?」
制止も虚しく食い締められた鎖が一気に引き抜かれ、快感に噛み跡の残る背中が強張りながら震える。
「あははは! 穴がまだパクパクしてる! よしよし、中をいじめてもらえなくてさみしいねぇ」
「ちがっ♡、あ♡、あっ♡、ゃ♡」
嘲る声と後孔の縁をそっと撫でられる感触が、さらに淫らな熱を煽っていく。
「こんなに物欲しそうにしてるのに、なにが違うの。それにほら、ここももうこんなにガチガチになってる」
「ひぎっ♡!?」
不意に、腹につくほど反り返った性器がきつく握り込まれた。痛みに近い刺激に、鈴口から先走りがとめどなく溢れでる。
「あはは! 穴がまたキュッてなった! このまま前をいじめられながら僕ので後ろを掻き回したら、きっとすごく気持ちよくなれるよね」
「んぐっ♡、んんっ♡」
セツはくぐもった嬌声を漏らしながら、銀髪を振り乱して首を振る。しかし、それであやかしが止まるはずもなく、ヒクヒクと蠢く後孔に熱く濡れた塊が触れた。
「そんなに嫌がらないでよ。ちゃんとこっちはセツが満足できそうな形と大きさにしてるんだから。ほら、奥まで入れてほしいでしょ?」
「ほしくなぃ♡、はいっれくるな……ぁああぁあ♡♡♡!?」
「欲しくないって言うわりには、美味しそうにモグモグ飲み込んでくれるよ」
「ゃ、あ♡」
亀頭を飲み込んだ後孔が吸い付くように蠢きながら、突き入れられた性器を奥へ奥へと飲み込んでいく。
「あ、ぐっ♡」
「ほら、もう奥まで入っちゃった。じゃあ上手くできたご褒美に、前立腺と前を一緒にグリグリしてあげようね」
「やら♡、いっしょはやら♡、おねがひしまっやめ……」
「はーい、グリグリ」
「おぉお゛ぉぉぉ♡♡♡!?」
角度を変えた熱い塊が前立腺を何度も的確に抉り、幼さの残る指先が裏筋の辺りをこね回す。強烈な快感が全身を震わせるが、鈴口から飛び散るのは透明な液体のままだ。
「あぅ……♡、も、イきたひのに……ぃっ♡、っうぁ♡」
端正な顔を涙と涎でぐちゃぐちゃにしながら、セツが譫言のような嬌声をあげる。その姿に、金泥色の目が満足げに細められた。
「セツはこのくらいじゃ、もう満足できないもんね」
吊り上がった口の端から、鋭い牙が溢れる。
あやかしは身を乗りだすと、紅潮した耳に軽く息を吹きかけた。
「っう♡」
「ふふ、可愛い。ねえ、セツ」
「ぁあぁぁ……♡」
性器と前立腺への刺激が、優しく撫でるような動きに変わる。もどかしい刺激に、腰が自ずから前後に動きだす。
「やっぁ♡、もっ……♡」
「腰ヘコヘコするのやめられなくなっちゃったね。このまま思いっきり牙を突き立てられたら、君はどうなっちゃうのかなぁ?」
「ぁう……♡」
吐息混じりの声と甘い刺激が、思考を溶かしていく。
「痛みと快感がグチャグチャに混ざってわけが分からなくなるの、大好きだもんねぇ?」
「ぁ……♡、ぁ……♡」
否定しないといけないと分かっていても、言葉がうまく紡げない。
「気持ちよく、なりたい?」
「や……♡♡、ぁ……♡♡」
「なりたい、よね? ん」
「ひぅ♡♡!?」
首筋に軽く牙を当てられ、冷ややかな刺激に戒められた身体が大きくはねた。それでも、絶頂には至らない。
「ほら、ちゃんと言ってくれないと分からないよ?」
「ぅ……♡、ぁ♡♡♡」
快楽と涙でぐちゃぐちゃになった視界のなかで、顔を覗き込む金泥色の目が細められていく。
それ以外に縋れるものは、もうなにひとつ見えない。
「……は、ぃ♡、きもちよく、してくらさい♡♡♡」
震える声で返事をすると、あやかしは笑みを深めた。
「あははは! やっぱり、君は最高だよ! じゃあ望み通りにしてあげる!」
「あ゛ぁああ゛ぁぁあぁ♡♡♡!?」
後孔の最奥が穿たれると同時に、肩口に鋭い牙が突き立てられる。皮膚を貫き肉を抉られる痛みに、手足を拘束する鎖を鳴らしながら背中が大きくのけぞった。それでも、深く突き刺さった牙は放れない。
「ぃっく♡! イくぅぅぅぅぅ♡♡♡!!」
神経を焼き切られるような痛みに全身がガクガクと痙攣し、振り乱された性器から勢いよく精液が飛び散る。
「ぁぁあぁ……♡」
「……んく、んっ」
「んっぁ♡、とまらっなひ……♡」
全身の痙攣が落ち着くと、あやかしは溢れ出す血を啜りながら、後孔の中に性液を注いでいく。その刺激にあわせるように、セツの性器も精液を垂れ流した。
「……ぷはっ」
「ひぅ……っ♡」
後孔と肩口が開放されると、滲みでるような精液がようやく止まった。
「はっ♡、はっ♡、はっ♡」
「あはは、やっぱりセツは味も身体の具合も僕の好みにピッタリだなぁ。あ、そうだ!」
「うぐっ♡!?」
不意に銀色の髪を掴まれ、顔を持ち上げられた。快楽の余韻に滲んだ視界の中で、金泥色の目だけが爛々と輝いている。
「このままずっと僕の傍にいてよ! そうすれば、ほかの人間を食べたりしないし、毎日すっごく可愛がってあげるからさ!」
「……」
退治人の本分は人間をあやかしから守ること。それならば、この提案をうけたとしても本分を外れることにはならないはず。
それでも。
そうなってしまえば。
仲間たちの無念は──。
※※※
「……セツ!」
「わぁっ!?」
突然の大声に、セツは叩き起こされた。目を擦ると、ぼやけた視界のなかでロカが眉間に皺を寄せて腕を組んでいる。どうやら打ち合わせの途中、会議室の中で居眠りをしていたようだ。
「まったく。二人きりのミーティングだからって、気を抜きすぎですよ」
「ははは、すまなかった。次からは気をつけるよ」
「そのセリフ、前回も聞きましたけどね」
「う……、そうだっけ?」
「そうですよ。まあ最近仕事が続いていましたし、多少の居眠りなら見逃そうと思ったのですが」
眼鏡越しの金泥色の目に影が落ちる。
「うなさるのは、控えていただきたい。決心が揺らぐので」
「……揺らいでもらったほうがありがたいんだけどな、私としては」
「……本当にろくでもない大人ですね、貴方は」
「ははは、まったくもってその通りだよ。それで」
セツは苦笑を浮かべながら首を傾げた。
「今回の任務は救抜衆生会の殲滅だっけ?」
「はい。危険集団殲滅班から協力要請があったので、本部第一班も参加することになりました」
「ふーん。じゃあ今回は、私も退治人としての業務に専念すればいいんだな?」
「その通りです」
「よかった。それなら、少しだけ気が楽だ」
「……」
「それにしても危険集団殲滅班のやつら、あの本拠地がずっと分からなかった集団をよく見つけたなー」
「ああ、はい。なんでも、拠点から逃げてきた子供を見つけて聞き出したらしいですよ」
「子供?」
「はい。ウワサだと赤毛で俺と同じ目の色をしているとのことなので……多分、人間も食べることができる類のあやかしの血を引いている子供かと」
「赤毛にロカと同じ色の目をした子供、ね」
このままずっと僕の傍にいてよ!
「……セツ? どうしましたか?」
「いや、なんでもないよ。ただ、大事な仕事の前に夢見が悪いのはよろしくないから、子守唄でも歌ってくれないか?」
「仮にも上司の前で、ミーティングをサボって寝ると宣言しないでください」
「えー、頼むよロカえもんー。さっき見逃してくれるって言ったじゃないかー」
「変なあだ名をつけないでくださいよ。まったく本っ当にろくでもないんですから」
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