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誓います!
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途中で色々と妨害があったけど、なんとかミカが究極魔法を使う前に大広間にたどりついた。なんだか、周りがざわついてるけど、気にせずに壇上に上がらせてもらおう。
「……やっほー、サキ! 元気そうだね!」
「元気そうだね、じゃないよ! シークレットボイス、全部聞いたんだからね!」
「あははは、バレちゃったかー……、今からでも聞かなかったことに、してもらえない?」
ミカが上目づかいになりながら、小首をかしげる。
いつもなら、きっと可愛らしさで丸め込まれてるんだろうな。でも、今はそんなわけにいかない。
「バカなこと言わないで! だいたい、あのままだったらミカは……」
「やあ、仔猫ちゃん! 僕に会いに来てくれたんだね!」
突然、目の前にダイヤが割って入った。
ああ、もう。今から、大事な話をするっていうのに……。
「ふふふ、僕のところに来るのが待ちきれなかったんだね? でも、今は立て込んでるから、もうちょっとだけ……」
「ごめん、邪魔だからちょっとどいてて!」
「ふべろっ!?」
世紀末っぽい悲鳴とともに、ダイヤは壇上から吹っ飛んでいった。
ちょっと、振り払っただけなのに、大げさだな……、まあ今は構ってられないから放っておこう。
「きゃっ! サキったらしばらく見ない間に、強くなっちゃって……、もう、す・て・き!」
「茶化さないで! そんなこととより、なんでこんな無茶なことしようとしたの!?」
「……だって、私が一緒にいたら、サキの可能性を潰しちゃうから」
その言葉は、シークレットボイスでも聞いた。それでも……。
「可能性を潰すって、一体なんのことなの!?」
バドミントン部に入らなかったのは、もともと苦手な上級生がいたから。
ミカ以外の友達と疎遠になったのは、陰口をいうような子たちだったから。
それに、ミカと同じ高校にいきたくて、苦手科目も必死に勉強して成績も上がった。
可能性が潰れることとか、ミカのおかげでできることが増えたのに。
それなのに、なんで……。
「だって……、サキ、将来子供が欲しいんでしょ?」
「……へ?」
……いきなり、なんの話になってるの?
「ほら、中学の職業体験学習のときに、子供が好きだって言ってたし……」
ああ、そういえば……、そんなこともあったか。でも、あれは……。
「……ミカ、私が子供を好きって言ったのは、見てると面白いからだよ。突然キジ車もってきて『メキシカンな鯉のぼり獲ったどー!』とか叫び出すし」
「でも……、私が『いいお母さんになるんだろうな』って言ったら、ちょっと嬉しそうにしてたじゃない……」
……そんなことまで、覚えてるのか。
まあ、たしかに、ちょっとニヤけてたと自分でも気づいてたけど……。
「……きっと、まだ見ぬすてきな旦那さんと、幸せな家庭を築いたところを想像してたんでしょ?」
ミカは後ろ手を組んで、小石を蹴っ飛ばすような仕草をした。
うん、分かりやすく拗ねる仕草も、可愛いね……、なんて現実逃避をしてる場合じゃなくて……。
「そんな想像をして、ニヤけてたわけじゃないよ」
「じゃあ、どんな想像をしてたのよ!?」
ミカは手を解きながら、肩を怒らせて詰め寄ってくる。
状況も状況だし、はぐらかすのはいけないよね……。
「あー、えーと、あれは……」
「あれは?」
「えーと……、何か奇跡的なことが起こって、ミカと結婚して二人の子供が生まれるなんてことがあったら……、すごく幸せなんだろうな……、って思って……」
うん。
我ながら、お花畑全開の発言だね!
きっと、ミカもあきれて――
「そ、そう、だったんだ……」
――くれると思ったのに。
赤面しながら、気まずそうに顔を背けられてしまった。
どうしよう、恥ずかしさが止めどなくあふれてくる。
「と、ともかく! 私はそのくらい、ミカとずっと一緒にいたいって思ってたの!」
「そ、それはすごく幸せだよ! でも、私と一緒にいたら、サキの人生の可能性を潰しちゃうのは、本当のことなんだし……」
「そんなこと言ったら、私だってミカの人生の邪魔をしちゃうかもしれないし……」
「そんなことないよ! 私だって……、サキとずっと一緒にいたいんだから!」
「なら、バカなことはやめて、二人で一緒に元の世界に帰ろうよ!」
「でも……、だって……」
ミカが口ごもりながら、目を伏せる。
まだ、踏ん切りがつかないみたいだね……。
それなら、ミカがミカエラのときにしていたように――
「羽村サキはこれから先、大好きなミカと、健やかなるときも病めるときも、喜びのときも悲しみのときも、富めるときも貧しいときも、ずっと一緒にいることを誓います! だから、二人で帰ろう!」
――思いの丈をWeb小説のタイトルっぽくぶつけるだけだ。
「もう……、サキってば大胆なんだから……」
ミカがまたしても、頬を赤く染めて、視線をそらす。
自分でもちょっと恥ずかしかったけど、そこまで恥ずかしがらなくてもいいのに……。
……ん?
……あれ?
ひょっとして、さっきの言葉って、Web小説のタイトルっていうよりも――
「……野々山ミカも、健やかなるときも病めるときも、喜びのときも悲しみのときも、富めるときも貧しいときも、大好きなサキとずっと一緒にいることを誓います」
――結婚式の誓いの言葉だ。
突然始まった結婚式に……
「元帥! おめでとうございます!」
「元帥! どうかお幸せに!」
「元帥! 元帥! 元帥!」
「元帥! 元帥! 元帥!」
「元帥! 元帥! 元帥!」
闇の勢力は元帥コールに沸き立ち……
「なあ、これって、喜んでいいのか?」
「うーん……、まあ、闇の勢力を手中に収めるのは、ある意味成功したんじゃないか?」
「光の聖女様、おめでとー」
光の勢力は戸惑いながらもゆるく祝福し……
「娘よ、よくぞここまで立派に育ってくれた……、パパはこれらもず……、ぐすっ……、と、お前のしあわ……ぐすっ、せを……ぐすっ」
……ギベオンがすすり泣いてるのか微笑んでるのか分からないかんじになりながら、祝福してくれた。
「安心して下さい、お義父さん……! 絶対、二人で幸せな家庭を築いてみせますから!」
「ぐすっ……、そうか、それは頼もし……、うわぁぁぁぁぁん!」
……前言撤回。
どこからどう見ても、号泣してるわ。
まあ、でも、唐突に始まった式なのに、こんなに大勢に祝福してもらえるなら幸せ――
「いい加減にしたまえ!」
――ということにして、きれいに話をまとめたかったんだけどね。
しばらく吹っ飛んだままになっていたダイヤが、肩を怒らせながら壇上に上がってくる。
あのまま気絶でもしてくれれば良かったのにな……。
「この僕をないがしろにして、勝手な話ばかりすすめてくれて……、この、悪女どもめ!」
「ええ、まあ、悪女っちゃあ悪女ですね。私、男装してますけど基本的には悪役令嬢ですし」
「そうですね。それだと……、昨今は聖女が悪役のことも多いですし、私も悪女っちゃあ悪女ですね」
「よそよそしい口調で、開き直らないでくれ! 本当に、二人してよくもこの僕をコケにしてくれたね……」
ダイヤが顔を真っ赤にしながら、剣を抜いて構えた。
ちょっとからかっただけなのに狭量な……、いや、今はぼやいてる場合じゃないか。
あんまりムダな魔力は使いたくなかったけど、防御とカウンターの魔法くらいなら――
「……地獄に、落ちるがいい!」
「……お前がな!」
バキッ!!
「ふごっ!?」
――使ってもいいかなって、思ったんだけどね。
突然現れた鬼軍曹スタイルのヒスイに殴り飛ばされて、ダイヤ再び吹き飛んでいった。
「百合の間に挟まろうとする不届き者には、地獄あるのみ!」
ヒスイはこれでもかというほどすがすがしい表情で、高らかにそんな言葉を言い放った。
助けてもらったのは、本当にありがたいんだけど……、さすがに命までは奪ってない……、よね?
「……やっほー、サキ! 元気そうだね!」
「元気そうだね、じゃないよ! シークレットボイス、全部聞いたんだからね!」
「あははは、バレちゃったかー……、今からでも聞かなかったことに、してもらえない?」
ミカが上目づかいになりながら、小首をかしげる。
いつもなら、きっと可愛らしさで丸め込まれてるんだろうな。でも、今はそんなわけにいかない。
「バカなこと言わないで! だいたい、あのままだったらミカは……」
「やあ、仔猫ちゃん! 僕に会いに来てくれたんだね!」
突然、目の前にダイヤが割って入った。
ああ、もう。今から、大事な話をするっていうのに……。
「ふふふ、僕のところに来るのが待ちきれなかったんだね? でも、今は立て込んでるから、もうちょっとだけ……」
「ごめん、邪魔だからちょっとどいてて!」
「ふべろっ!?」
世紀末っぽい悲鳴とともに、ダイヤは壇上から吹っ飛んでいった。
ちょっと、振り払っただけなのに、大げさだな……、まあ今は構ってられないから放っておこう。
「きゃっ! サキったらしばらく見ない間に、強くなっちゃって……、もう、す・て・き!」
「茶化さないで! そんなこととより、なんでこんな無茶なことしようとしたの!?」
「……だって、私が一緒にいたら、サキの可能性を潰しちゃうから」
その言葉は、シークレットボイスでも聞いた。それでも……。
「可能性を潰すって、一体なんのことなの!?」
バドミントン部に入らなかったのは、もともと苦手な上級生がいたから。
ミカ以外の友達と疎遠になったのは、陰口をいうような子たちだったから。
それに、ミカと同じ高校にいきたくて、苦手科目も必死に勉強して成績も上がった。
可能性が潰れることとか、ミカのおかげでできることが増えたのに。
それなのに、なんで……。
「だって……、サキ、将来子供が欲しいんでしょ?」
「……へ?」
……いきなり、なんの話になってるの?
「ほら、中学の職業体験学習のときに、子供が好きだって言ってたし……」
ああ、そういえば……、そんなこともあったか。でも、あれは……。
「……ミカ、私が子供を好きって言ったのは、見てると面白いからだよ。突然キジ車もってきて『メキシカンな鯉のぼり獲ったどー!』とか叫び出すし」
「でも……、私が『いいお母さんになるんだろうな』って言ったら、ちょっと嬉しそうにしてたじゃない……」
……そんなことまで、覚えてるのか。
まあ、たしかに、ちょっとニヤけてたと自分でも気づいてたけど……。
「……きっと、まだ見ぬすてきな旦那さんと、幸せな家庭を築いたところを想像してたんでしょ?」
ミカは後ろ手を組んで、小石を蹴っ飛ばすような仕草をした。
うん、分かりやすく拗ねる仕草も、可愛いね……、なんて現実逃避をしてる場合じゃなくて……。
「そんな想像をして、ニヤけてたわけじゃないよ」
「じゃあ、どんな想像をしてたのよ!?」
ミカは手を解きながら、肩を怒らせて詰め寄ってくる。
状況も状況だし、はぐらかすのはいけないよね……。
「あー、えーと、あれは……」
「あれは?」
「えーと……、何か奇跡的なことが起こって、ミカと結婚して二人の子供が生まれるなんてことがあったら……、すごく幸せなんだろうな……、って思って……」
うん。
我ながら、お花畑全開の発言だね!
きっと、ミカもあきれて――
「そ、そう、だったんだ……」
――くれると思ったのに。
赤面しながら、気まずそうに顔を背けられてしまった。
どうしよう、恥ずかしさが止めどなくあふれてくる。
「と、ともかく! 私はそのくらい、ミカとずっと一緒にいたいって思ってたの!」
「そ、それはすごく幸せだよ! でも、私と一緒にいたら、サキの人生の可能性を潰しちゃうのは、本当のことなんだし……」
「そんなこと言ったら、私だってミカの人生の邪魔をしちゃうかもしれないし……」
「そんなことないよ! 私だって……、サキとずっと一緒にいたいんだから!」
「なら、バカなことはやめて、二人で一緒に元の世界に帰ろうよ!」
「でも……、だって……」
ミカが口ごもりながら、目を伏せる。
まだ、踏ん切りがつかないみたいだね……。
それなら、ミカがミカエラのときにしていたように――
「羽村サキはこれから先、大好きなミカと、健やかなるときも病めるときも、喜びのときも悲しみのときも、富めるときも貧しいときも、ずっと一緒にいることを誓います! だから、二人で帰ろう!」
――思いの丈をWeb小説のタイトルっぽくぶつけるだけだ。
「もう……、サキってば大胆なんだから……」
ミカがまたしても、頬を赤く染めて、視線をそらす。
自分でもちょっと恥ずかしかったけど、そこまで恥ずかしがらなくてもいいのに……。
……ん?
……あれ?
ひょっとして、さっきの言葉って、Web小説のタイトルっていうよりも――
「……野々山ミカも、健やかなるときも病めるときも、喜びのときも悲しみのときも、富めるときも貧しいときも、大好きなサキとずっと一緒にいることを誓います」
――結婚式の誓いの言葉だ。
突然始まった結婚式に……
「元帥! おめでとうございます!」
「元帥! どうかお幸せに!」
「元帥! 元帥! 元帥!」
「元帥! 元帥! 元帥!」
「元帥! 元帥! 元帥!」
闇の勢力は元帥コールに沸き立ち……
「なあ、これって、喜んでいいのか?」
「うーん……、まあ、闇の勢力を手中に収めるのは、ある意味成功したんじゃないか?」
「光の聖女様、おめでとー」
光の勢力は戸惑いながらもゆるく祝福し……
「娘よ、よくぞここまで立派に育ってくれた……、パパはこれらもず……、ぐすっ……、と、お前のしあわ……ぐすっ、せを……ぐすっ」
……ギベオンがすすり泣いてるのか微笑んでるのか分からないかんじになりながら、祝福してくれた。
「安心して下さい、お義父さん……! 絶対、二人で幸せな家庭を築いてみせますから!」
「ぐすっ……、そうか、それは頼もし……、うわぁぁぁぁぁん!」
……前言撤回。
どこからどう見ても、号泣してるわ。
まあ、でも、唐突に始まった式なのに、こんなに大勢に祝福してもらえるなら幸せ――
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しばらく吹っ飛んだままになっていたダイヤが、肩を怒らせながら壇上に上がってくる。
あのまま気絶でもしてくれれば良かったのにな……。
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「ええ、まあ、悪女っちゃあ悪女ですね。私、男装してますけど基本的には悪役令嬢ですし」
「そうですね。それだと……、昨今は聖女が悪役のことも多いですし、私も悪女っちゃあ悪女ですね」
「よそよそしい口調で、開き直らないでくれ! 本当に、二人してよくもこの僕をコケにしてくれたね……」
ダイヤが顔を真っ赤にしながら、剣を抜いて構えた。
ちょっとからかっただけなのに狭量な……、いや、今はぼやいてる場合じゃないか。
あんまりムダな魔力は使いたくなかったけど、防御とカウンターの魔法くらいなら――
「……地獄に、落ちるがいい!」
「……お前がな!」
バキッ!!
「ふごっ!?」
――使ってもいいかなって、思ったんだけどね。
突然現れた鬼軍曹スタイルのヒスイに殴り飛ばされて、ダイヤ再び吹き飛んでいった。
「百合の間に挟まろうとする不届き者には、地獄あるのみ!」
ヒスイはこれでもかというほどすがすがしい表情で、高らかにそんな言葉を言い放った。
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