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押し通ります
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部屋を脱出して、光の勇士たちと広間に向かってるわけだけど――
「闇の元帥がなぜここに!?」
「ことが済むまで閉じ込めておくと、光の聖女が言っていたではないか!?」
――早くも、城内に紛れ込んでいたダイヤの私兵二名と遭遇してしまった。
「みんな、すまないね……、全ての私兵を眠らせられなかったみたいだ……」
スイが落胆した表情でそう呟いた。
「気にしないで、数を減らしてくれただけでも御の字だから。このくらいなら、簡単な攻撃魔法で対応できるだろうし」
フォローをすると、スイは安心したように微笑んだ。
「そう……、ありがとう、闇のお嬢さん。でも……、自分の不始末は自分で処理しないとね」
そんな言葉とともに、どこからともなくリュートが現れた。
「スイ、貴様なんのつもりだ!?」
「私たちをダイヤ様の親衛隊と知っての狼藉か!?」
ダイヤの私兵たちが、とってもテンプレートなセリフを吐きながら、スイに武器を向ける。
「ふふふ、だからなんだっていうんだい? 僕が仕えているのはダイヤ君じゃなくて、光の聖女様だよ」
対するスイもテンプレートなかんじの言葉を返しながら、パッケージイラストにも載っている余裕のある笑みを浮かべた。
そして、リュートをポロンと鳴らし――
「それでは、お聞きください。『アンカーズロンド』!」
――敵の足止めをする曲を奏で始めた。
「ぐぁっ!?」
「うわぁ!?」
途端に、私兵たちが床に這いつくばった。
「さ、闇のお嬢さん。この二人は僕が足止めしてるから、先に進むんだ。落ち着いたら、僕もすぐに追いかけるからね」
死亡フラグにしか聞こえないけど……、今はミカのことを優先させてもらおう。きっと、騒ぎを聞きつければ、うちの職員たちも、来てくれるだろうから。
「ありがとう、スイ。じゃあ、ここは任せたから!」
「ああ、行っておいで、闇のお嬢さん」
ヒラヒラと手を振るスイを背にして、再び大広間に向かって走り出した。
それから――
「元帥さん、ここはボクに任せて! 『忍法・影縫い』!」
「押忍! ここは、自分に任せてほしいっす! 『アイシクルケイジ』!」
「闇の嬢ちゃん、光の嬢ちゃんを任せたぜ! 『疾風迅雷拳』!」
「ふん、年寄りの回復術師だと思ってバカにしよって。元帥殿、先に行きたまえ。 『奥義・自己回復停止』」
――次々と、光の勇士たちが足止めのため離脱していった。
カイがショタジジイだったことにはかなり衝撃を受けたけど……、気にせずミカのところまで急ごう。あと少しで、大広間にたどり着くんだから。
「おやおや? そこに見えるのは、闇の元帥じゃないですか」
「あれあれ? 全てが終わるまで、カゴの中のはずだったのに」
……なんか、背後から聞き慣れない、不穏な声がする。
間違いなくダイヤの私兵なんだろうけど――
「ははは、怯えているのかな? 私はアギョウ、ダイヤ様の親衛隊長にして右腕!」
「ふふふ、怯えているんだね? 僕はウンギョウ、ダイヤ様の親衛隊副隊長にして左腕!」
「ダイヤ様の望みを邪魔するものは、少し痛い目を見て……、あれ!?」
「ダイヤ様の望みを邪魔するものは、少し痛い目を見て……、ぬん!?」
――相手をしている場合じゃないから、振り返らずに先に行こう。
「おのれ、待ちたまえ! とぉっ!」
「この、バカにして! ふんっ!」
ガシャンッ!
「うわぁっ!?」
いきなり、照明が天井から落ちてきた。
なんとか避けたけど、直撃してたら、大怪我どころじゃ済まなかっただろうな……。
「さあ、闇の元帥よ! 勝負です!」
「さあ、闇の元帥! 勝負だよ!」
……どうやら、放置させてはくれないみたいか。まあ、当然といえば当然だけど……、体力と魔力を消耗するのは避けたいのに。
でも、仕方ない。中ボスクラス二人なら、私一人でなんとか――
「そこまでです! 『運命の車輪』!」
「そこまでだ! 『イービルスレイヤー』!」
――しようと思ったら、聞き覚えのある声が二人分聞こえてきた。
「ぐぁっ!?」
「うぐっ!?」
悲鳴と同時に振り返ると、ムラサキとオウギョクが、やたらとヒラヒラした服を着たマッチョな二人組を足蹴にしていた。
「お待たせしました、闇の元帥殿。この二人の処理は私たちに任せて、光の聖女様のところへ!」
「ふん、気に食わないが、光の聖女様を救えるのは、お前しかいないからな」
「ヒスイ、オウギョク……、ありがとう!」
あとは二人にお願いして、早く大広間に……、でも、ちょっとだけ気にかかるのが……。
「ん? どうした? 闇の元帥」
「オウギョクの間抜け面になにかついているのですか?」
「あ、いや、そうじゃなくて……、その、オウギョクは誰かを足蹴にしても、大丈夫なの? なんというか、ポリシー的に……」
……我ながら、聞いちゃいけない質問をした気がする。
まあ、オウギョクは私のことまだよく思ってないみたいだし、鼻で笑って受け流して――
「ふっ、私が足蹴にされたいのは、光の聖女様だけだ。まあ、光の聖女様が、他人に足蹴にされてこい、と言うのならば、そういうプレイとして受け入れるがな!」
――ほしかったんだけどね。
知りたかったような、知りたくなかったような世界を垣間見ちゃったな……。
「ほら、闇の元帥殿、マゾヒストのことは放っておいて、光の聖女様のところへ」
「あ、うん。そうだね」
「ムラサキ! ドMとは失礼な!」
「だから、ドMとまでは言ってないでしょう!?」
……またあらぬ方向、でイザコザが始まっちゃったみたいだ。
でも、あと少しでミカに会えるし、放っておくことにしよう。
「闇の元帥がなぜここに!?」
「ことが済むまで閉じ込めておくと、光の聖女が言っていたではないか!?」
――早くも、城内に紛れ込んでいたダイヤの私兵二名と遭遇してしまった。
「みんな、すまないね……、全ての私兵を眠らせられなかったみたいだ……」
スイが落胆した表情でそう呟いた。
「気にしないで、数を減らしてくれただけでも御の字だから。このくらいなら、簡単な攻撃魔法で対応できるだろうし」
フォローをすると、スイは安心したように微笑んだ。
「そう……、ありがとう、闇のお嬢さん。でも……、自分の不始末は自分で処理しないとね」
そんな言葉とともに、どこからともなくリュートが現れた。
「スイ、貴様なんのつもりだ!?」
「私たちをダイヤ様の親衛隊と知っての狼藉か!?」
ダイヤの私兵たちが、とってもテンプレートなセリフを吐きながら、スイに武器を向ける。
「ふふふ、だからなんだっていうんだい? 僕が仕えているのはダイヤ君じゃなくて、光の聖女様だよ」
対するスイもテンプレートなかんじの言葉を返しながら、パッケージイラストにも載っている余裕のある笑みを浮かべた。
そして、リュートをポロンと鳴らし――
「それでは、お聞きください。『アンカーズロンド』!」
――敵の足止めをする曲を奏で始めた。
「ぐぁっ!?」
「うわぁ!?」
途端に、私兵たちが床に這いつくばった。
「さ、闇のお嬢さん。この二人は僕が足止めしてるから、先に進むんだ。落ち着いたら、僕もすぐに追いかけるからね」
死亡フラグにしか聞こえないけど……、今はミカのことを優先させてもらおう。きっと、騒ぎを聞きつければ、うちの職員たちも、来てくれるだろうから。
「ありがとう、スイ。じゃあ、ここは任せたから!」
「ああ、行っておいで、闇のお嬢さん」
ヒラヒラと手を振るスイを背にして、再び大広間に向かって走り出した。
それから――
「元帥さん、ここはボクに任せて! 『忍法・影縫い』!」
「押忍! ここは、自分に任せてほしいっす! 『アイシクルケイジ』!」
「闇の嬢ちゃん、光の嬢ちゃんを任せたぜ! 『疾風迅雷拳』!」
「ふん、年寄りの回復術師だと思ってバカにしよって。元帥殿、先に行きたまえ。 『奥義・自己回復停止』」
――次々と、光の勇士たちが足止めのため離脱していった。
カイがショタジジイだったことにはかなり衝撃を受けたけど……、気にせずミカのところまで急ごう。あと少しで、大広間にたどり着くんだから。
「おやおや? そこに見えるのは、闇の元帥じゃないですか」
「あれあれ? 全てが終わるまで、カゴの中のはずだったのに」
……なんか、背後から聞き慣れない、不穏な声がする。
間違いなくダイヤの私兵なんだろうけど――
「ははは、怯えているのかな? 私はアギョウ、ダイヤ様の親衛隊長にして右腕!」
「ふふふ、怯えているんだね? 僕はウンギョウ、ダイヤ様の親衛隊副隊長にして左腕!」
「ダイヤ様の望みを邪魔するものは、少し痛い目を見て……、あれ!?」
「ダイヤ様の望みを邪魔するものは、少し痛い目を見て……、ぬん!?」
――相手をしている場合じゃないから、振り返らずに先に行こう。
「おのれ、待ちたまえ! とぉっ!」
「この、バカにして! ふんっ!」
ガシャンッ!
「うわぁっ!?」
いきなり、照明が天井から落ちてきた。
なんとか避けたけど、直撃してたら、大怪我どころじゃ済まなかっただろうな……。
「さあ、闇の元帥よ! 勝負です!」
「さあ、闇の元帥! 勝負だよ!」
……どうやら、放置させてはくれないみたいか。まあ、当然といえば当然だけど……、体力と魔力を消耗するのは避けたいのに。
でも、仕方ない。中ボスクラス二人なら、私一人でなんとか――
「そこまでです! 『運命の車輪』!」
「そこまでだ! 『イービルスレイヤー』!」
――しようと思ったら、聞き覚えのある声が二人分聞こえてきた。
「ぐぁっ!?」
「うぐっ!?」
悲鳴と同時に振り返ると、ムラサキとオウギョクが、やたらとヒラヒラした服を着たマッチョな二人組を足蹴にしていた。
「お待たせしました、闇の元帥殿。この二人の処理は私たちに任せて、光の聖女様のところへ!」
「ふん、気に食わないが、光の聖女様を救えるのは、お前しかいないからな」
「ヒスイ、オウギョク……、ありがとう!」
あとは二人にお願いして、早く大広間に……、でも、ちょっとだけ気にかかるのが……。
「ん? どうした? 闇の元帥」
「オウギョクの間抜け面になにかついているのですか?」
「あ、いや、そうじゃなくて……、その、オウギョクは誰かを足蹴にしても、大丈夫なの? なんというか、ポリシー的に……」
……我ながら、聞いちゃいけない質問をした気がする。
まあ、オウギョクは私のことまだよく思ってないみたいだし、鼻で笑って受け流して――
「ふっ、私が足蹴にされたいのは、光の聖女様だけだ。まあ、光の聖女様が、他人に足蹴にされてこい、と言うのならば、そういうプレイとして受け入れるがな!」
――ほしかったんだけどね。
知りたかったような、知りたくなかったような世界を垣間見ちゃったな……。
「ほら、闇の元帥殿、マゾヒストのことは放っておいて、光の聖女様のところへ」
「あ、うん。そうだね」
「ムラサキ! ドMとは失礼な!」
「だから、ドMとまでは言ってないでしょう!?」
……またあらぬ方向、でイザコザが始まっちゃったみたいだ。
でも、あと少しでミカに会えるし、放っておくことにしよう。
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