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土壇場
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静まり返った役員会議室の中、川瀬社長と葉河瀨部長が見つめ合っている。
「葉河瀨がこの条件を飲めないというなら、第二フェーズには入れないけど、どうする?」
川瀬社長は大人びた声で、葉河瀨部長に問いかけた。
一条さんに丑の刻参りを始めた日以降のことを忘れてもらう。それが、川瀬社長が提示した条件だった。
「あの、ちょっと、質問してもいいですか?」
不意に、三輪さんがおずおずと挙手をした。
「うん。何かな?三輪ちゃん」
「その……なぜ、姫ちゃ……いえ、一条さんの記憶を消す必要があるのですか?」
三輪さんが質問すると、川瀬社長は軽く頷いた。
「この間、一条ちゃんと直接話したんだけどね、彼女変な方向に責任感が強いみたいなんだよね」
「ああ、たしかに、そういうところは、ありますね……」
川瀬社長が答えると、三輪さんが軽く頷いた。
「でしょ?そんな子が冷静になって自分がしでかしちゃったことを再確認したら……」
「……多分、かなりのショックを受けるでしょうね」
三輪さんは脱力した表情で頷き、川瀬社長も頷いた。たしかに、一条さんは物事を背負いすぎているように見えるから……いや、元凶の僕がそんなことを考えてはいけないか。
「うん。そうなると、折角鬼を打ち払ったのに、また不安定になって、鬼に逆戻りなんてこともあり得るんだよね」
川瀬社長はそう言うと、困惑した表情で深くため息を吐いた。それから、川瀬社長は再び葉河瀨部長に顔を向けた。
「だから、丑の刻参りをしてた期間のことを思い出させるような話題を出すことも、禁止だよ」
川瀬社長がそう言うと、三輪さんが気まずそうな表情を葉河瀨部長に向けた。そうだ、一緒にランニングしたときに、葉河瀨部長は一条さんと一緒にシュークリームを食べに行く、という話をしていた。すごく楽しみにしていそうだったのに、その話もなくなってしまうなんて……
「もしも、第二フェーズを実行しないなら、一条ちゃんはここ最近のことを覚えたままだし、もの凄く運が良ければ、どういう常態かは置いといて、生きてまた会うこともできるかもしれないけど……どうする?」
川瀬社長は、葉河瀨部長の目を真っ直ぐに見つめながら問いかけた。対する葉河瀨部長も、軽くため息を吐いてから、伏せていた目を上げて川瀬部長を見つめ返した。
「無論、作戦に協力いたします」
そして、迷いのない声で、川瀬社長の問いかけに答えた。葉河瀨部長の答えに、川瀬社長が真剣な表情で頷く。
……うん。葉河瀨部長が納得して出した答えなら、僕がとやかく言えることではない。それでも……
「葉河瀨、本当にそれでいいのか?」
不意に、日神君が葉河瀨部長に声をかけた。日神君も、僕と同じような気持ちだったのだろう。
「今までのこと、全部なかったことになるんだぞ?」
日神君が年を押すように尋ねると、葉河瀨部長は軽くため息を吐いた。
「まあ、最後の最後で不具合が見つかって、一からやり直しなんてことはよくあることだから」
「そうかも、しれないけれども……」
日神君が納得できないと言いたげに声をかけると、葉河瀨部長は小さく欠伸をした。
「それに、一条さんが罪悪感に苛まれず穏やかに過ごしていけるなら、それ以上望むことはない」
葉河瀨部長が答えると、日神君は口を噤んだ。たしかに、葉河瀨部長の言うことはもっともだ。だけど、それなら、葉河瀨部長の想いはどうなるのだろう?
やるせなく思いながら、改めて葉河瀨部長の顔に目を向けてみた。その表情に、迷いの色は見えない。覚悟は決まっている、ということなんだろうか……
「はい。確認はここまで!」
戸惑っていると、川瀬社長のハキハキとした声のおかげで我に返った。
「心優しいひがみんは色々気になるんだろうけど、今回の件、一人でも油断すると……」
川瀬社長はそこで言葉を止めると、ニコリと微笑んだ。
「全員、死ぬよ」
そして、なんとも物騒な言葉を口にした。途端に、会議室にいる全員が背筋を正す。たしかに、一条さんが鬼になってしまったのなら、少しでも気を抜けばかなり危険なことになるはずだ。そんな状況の中、一緒に過ごしている京子は、無事だろうか……いや、必ず無事のはずだ……本当は、今すぐにでも京子の元に向かいたい……
「大丈夫だよ、つきみん。キョンキョンはまだ無事だから」
不安になっていると、いつの間にか社長がこちらを向いて微笑んでいた。
「キョンキョンくらいの実力者なら、そんなにすぐにどうにかなるわけじゃないから、焦っちゃダメだよ」
「そうですね」
僕が答えると、川瀬社長は満足げに頷いた。そうだ、川瀬社長の言うとおり、少し落ち着こう。ここで焦りすぎて単身乗り込んで、全てが水の泡になったりしたら、それこそ京子に合わせる顔がない。
「ところで、今の一条さんてそんなに危険なんすか?」
心を落ち着かせていると、早川君が挙手をしながら首を傾げた。すると、信田部長がコクリと頷いた。
「ええ。今一条さんと一緒になっている鬼が前回暴れたときは、二人ほどとり殺しかけるわ、偶然目撃した人間が呪いを受けてバタバタ倒れるわ、目的の人間をとり殺せなかったから無差別に人を襲うわで、えらいことになっていたわね」
……うん。
やっぱり、落ち着いてる場合じゃないのかもしれない。なんとか、ここを抜け出して、今すぐ京子のところに向かおう。
「部長!ストップ、ストップ!あんまり脅かすから、つきみんが思い詰めた顔しちゃってるなりよ!」
早まったことを考えていたけど、山口課長の焦った声に我に返った。
「ご、ごめんなさい、月見野君!決して、不安を煽ろうとしたわけじゃないのよ……」
続いて、信田部長がションボリとした表情で頭を下げた。
「いやいや、お気になさらずに。状況を甘く見すぎて痛い思いをしたことは沢山ありますから、厳しすぎるくらいなことを想定して丁度良いくらいだと思いますよ」
苦笑いをしながらフォローをすると、信田部長は再びペコリと頭を下げた。うん、一人で無謀なことをして大怪我でもしてしまったら、信田部長が責任を感じてしまうよね。早まったことは、なんとか堪えないと。
「まあ、でも悠長にもしていられないのも事実だからね。助手コンビによる準備が終わり次第の作戦開始だから……明日中に全てのかたをつけるよ!ちなみに、真木花から正式に受注した仕事だから、休日出勤扱いになるよ!」
川瀬社長は胸を張りながらそう言った。
明日、全ての決着がつくのか。
なら、今夜は万全の状態で明日を迎えられるように、少し厳しめにトレーニングを……
「というわけでー、今夜は決起集会を課長の家で行います!作戦に参加するメンバーは全員参加ね!」
……したかったんだけどね。
僕の決意は、意気揚々とした川瀬社長の言葉によって阻止されてしまった。
「ちなみに、社長命令!」
落胆していると、川瀬社長は胸を張りながら、そう言い放った。
……若干、横暴が過ぎないだろうか?そんなことを考えていると、川瀬社長は僕に顔を向けて、ニコリと微笑んだ。
「不安だから何かしてないと落ち着かないのは分かるよ。でも、今日根を詰めすぎると、明日がつらくなっちゃうから、ね?」
……たしかに、川瀬社長の言うとおりか。
「……そうですね」
返事をすると、川瀬社長は満足げに頷いた。すると、山口課長が楽しげな笑みを浮かべた。
「そうそう!社長の言うとおりなりよ!こういうときは、パーッと飲み明かさないと★」
「慧、飲み明かしたりしたら、それこそ明日に悪影響がでるでしょ……」
山口課長の言葉に、信田部長が脱力した表情で苦言を呈した。
……うん。
ひとまず、決起集会というのが、明日に影響が出ない程度のものであることを願おう……
「葉河瀨がこの条件を飲めないというなら、第二フェーズには入れないけど、どうする?」
川瀬社長は大人びた声で、葉河瀨部長に問いかけた。
一条さんに丑の刻参りを始めた日以降のことを忘れてもらう。それが、川瀬社長が提示した条件だった。
「あの、ちょっと、質問してもいいですか?」
不意に、三輪さんがおずおずと挙手をした。
「うん。何かな?三輪ちゃん」
「その……なぜ、姫ちゃ……いえ、一条さんの記憶を消す必要があるのですか?」
三輪さんが質問すると、川瀬社長は軽く頷いた。
「この間、一条ちゃんと直接話したんだけどね、彼女変な方向に責任感が強いみたいなんだよね」
「ああ、たしかに、そういうところは、ありますね……」
川瀬社長が答えると、三輪さんが軽く頷いた。
「でしょ?そんな子が冷静になって自分がしでかしちゃったことを再確認したら……」
「……多分、かなりのショックを受けるでしょうね」
三輪さんは脱力した表情で頷き、川瀬社長も頷いた。たしかに、一条さんは物事を背負いすぎているように見えるから……いや、元凶の僕がそんなことを考えてはいけないか。
「うん。そうなると、折角鬼を打ち払ったのに、また不安定になって、鬼に逆戻りなんてこともあり得るんだよね」
川瀬社長はそう言うと、困惑した表情で深くため息を吐いた。それから、川瀬社長は再び葉河瀨部長に顔を向けた。
「だから、丑の刻参りをしてた期間のことを思い出させるような話題を出すことも、禁止だよ」
川瀬社長がそう言うと、三輪さんが気まずそうな表情を葉河瀨部長に向けた。そうだ、一緒にランニングしたときに、葉河瀨部長は一条さんと一緒にシュークリームを食べに行く、という話をしていた。すごく楽しみにしていそうだったのに、その話もなくなってしまうなんて……
「もしも、第二フェーズを実行しないなら、一条ちゃんはここ最近のことを覚えたままだし、もの凄く運が良ければ、どういう常態かは置いといて、生きてまた会うこともできるかもしれないけど……どうする?」
川瀬社長は、葉河瀨部長の目を真っ直ぐに見つめながら問いかけた。対する葉河瀨部長も、軽くため息を吐いてから、伏せていた目を上げて川瀬部長を見つめ返した。
「無論、作戦に協力いたします」
そして、迷いのない声で、川瀬社長の問いかけに答えた。葉河瀨部長の答えに、川瀬社長が真剣な表情で頷く。
……うん。葉河瀨部長が納得して出した答えなら、僕がとやかく言えることではない。それでも……
「葉河瀨、本当にそれでいいのか?」
不意に、日神君が葉河瀨部長に声をかけた。日神君も、僕と同じような気持ちだったのだろう。
「今までのこと、全部なかったことになるんだぞ?」
日神君が年を押すように尋ねると、葉河瀨部長は軽くため息を吐いた。
「まあ、最後の最後で不具合が見つかって、一からやり直しなんてことはよくあることだから」
「そうかも、しれないけれども……」
日神君が納得できないと言いたげに声をかけると、葉河瀨部長は小さく欠伸をした。
「それに、一条さんが罪悪感に苛まれず穏やかに過ごしていけるなら、それ以上望むことはない」
葉河瀨部長が答えると、日神君は口を噤んだ。たしかに、葉河瀨部長の言うことはもっともだ。だけど、それなら、葉河瀨部長の想いはどうなるのだろう?
やるせなく思いながら、改めて葉河瀨部長の顔に目を向けてみた。その表情に、迷いの色は見えない。覚悟は決まっている、ということなんだろうか……
「はい。確認はここまで!」
戸惑っていると、川瀬社長のハキハキとした声のおかげで我に返った。
「心優しいひがみんは色々気になるんだろうけど、今回の件、一人でも油断すると……」
川瀬社長はそこで言葉を止めると、ニコリと微笑んだ。
「全員、死ぬよ」
そして、なんとも物騒な言葉を口にした。途端に、会議室にいる全員が背筋を正す。たしかに、一条さんが鬼になってしまったのなら、少しでも気を抜けばかなり危険なことになるはずだ。そんな状況の中、一緒に過ごしている京子は、無事だろうか……いや、必ず無事のはずだ……本当は、今すぐにでも京子の元に向かいたい……
「大丈夫だよ、つきみん。キョンキョンはまだ無事だから」
不安になっていると、いつの間にか社長がこちらを向いて微笑んでいた。
「キョンキョンくらいの実力者なら、そんなにすぐにどうにかなるわけじゃないから、焦っちゃダメだよ」
「そうですね」
僕が答えると、川瀬社長は満足げに頷いた。そうだ、川瀬社長の言うとおり、少し落ち着こう。ここで焦りすぎて単身乗り込んで、全てが水の泡になったりしたら、それこそ京子に合わせる顔がない。
「ところで、今の一条さんてそんなに危険なんすか?」
心を落ち着かせていると、早川君が挙手をしながら首を傾げた。すると、信田部長がコクリと頷いた。
「ええ。今一条さんと一緒になっている鬼が前回暴れたときは、二人ほどとり殺しかけるわ、偶然目撃した人間が呪いを受けてバタバタ倒れるわ、目的の人間をとり殺せなかったから無差別に人を襲うわで、えらいことになっていたわね」
……うん。
やっぱり、落ち着いてる場合じゃないのかもしれない。なんとか、ここを抜け出して、今すぐ京子のところに向かおう。
「部長!ストップ、ストップ!あんまり脅かすから、つきみんが思い詰めた顔しちゃってるなりよ!」
早まったことを考えていたけど、山口課長の焦った声に我に返った。
「ご、ごめんなさい、月見野君!決して、不安を煽ろうとしたわけじゃないのよ……」
続いて、信田部長がションボリとした表情で頭を下げた。
「いやいや、お気になさらずに。状況を甘く見すぎて痛い思いをしたことは沢山ありますから、厳しすぎるくらいなことを想定して丁度良いくらいだと思いますよ」
苦笑いをしながらフォローをすると、信田部長は再びペコリと頭を下げた。うん、一人で無謀なことをして大怪我でもしてしまったら、信田部長が責任を感じてしまうよね。早まったことは、なんとか堪えないと。
「まあ、でも悠長にもしていられないのも事実だからね。助手コンビによる準備が終わり次第の作戦開始だから……明日中に全てのかたをつけるよ!ちなみに、真木花から正式に受注した仕事だから、休日出勤扱いになるよ!」
川瀬社長は胸を張りながらそう言った。
明日、全ての決着がつくのか。
なら、今夜は万全の状態で明日を迎えられるように、少し厳しめにトレーニングを……
「というわけでー、今夜は決起集会を課長の家で行います!作戦に参加するメンバーは全員参加ね!」
……したかったんだけどね。
僕の決意は、意気揚々とした川瀬社長の言葉によって阻止されてしまった。
「ちなみに、社長命令!」
落胆していると、川瀬社長は胸を張りながら、そう言い放った。
……若干、横暴が過ぎないだろうか?そんなことを考えていると、川瀬社長は僕に顔を向けて、ニコリと微笑んだ。
「不安だから何かしてないと落ち着かないのは分かるよ。でも、今日根を詰めすぎると、明日がつらくなっちゃうから、ね?」
……たしかに、川瀬社長の言うとおりか。
「……そうですね」
返事をすると、川瀬社長は満足げに頷いた。すると、山口課長が楽しげな笑みを浮かべた。
「そうそう!社長の言うとおりなりよ!こういうときは、パーッと飲み明かさないと★」
「慧、飲み明かしたりしたら、それこそ明日に悪影響がでるでしょ……」
山口課長の言葉に、信田部長が脱力した表情で苦言を呈した。
……うん。
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