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そう願うのならば
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目を覚ますと、鉄製の梁が無数に張り巡らされた天井が目に入った。
半身を起こして辺りを見渡すと、瓦礫や廃材が転がる灰色の床が目に入る。
詳しいことは分からないけれど、どこかの建物の中なのだろう。
ゆっくりと起き上がり、首を回してみる。
重さは感じるが、動かしづらいというほどではない。
両手を握りしめて開いてみても、違和感を覚えることはない。
どうやら、身体は自由に動かせる。
それならば、久しぶりに外の世界を歩き回りたい。
それなのに、辺りにはこざかしい結界が張られている。
ためしに出入り口に足を進め、扉に触れてみた。
すると、手のひらに焼けるような痛みを感じた。
結界を破るほどの力は、まだ戻っていないらしい。
ここから外に出るのは、簡単なことではないのかもしれない。
ある程度は覚悟していたが、折角、自由に動き回れるようになったというのに……
「気分はいかがかしら?」
煩わしく思っていると、背後から声が聞こえた。
振り返ると、黒尽くめの服を着た女が立っている。
ああ、そうか。
結界を破るほどの力が出せないのは、この女の仕業なのだろうな。
思わず、深いため息が漏れた。
「ああ、またお前なのか……」
「あら、また、とはどういうことかしら?」
落胆していると、女は白々しく問いかけてきた。
この女の邪魔が入らなければ、もう少し早く自由になれたはずだった。
それなのに……
「この依代が、呪い事に関わらないように邪魔をしてくれたことを忘れたとでも?」
問いかけると、女は薄ら笑いを浮かべた。
「あら。私は弊社の判断基準に則って、社員を適切な部署に配属させただけよ?」
「よく言う」
そう吐き捨ててやると、女はにわかに表情を歪めた。
そして、口元を手でおさえ、小うるさく咳き込み始めた。
しばらく眺めていると、女の咳は徐々に治まった。
それから、呼吸を整えながら、口元をおさえていた手を外した。
口元には、薄らと血が滲んでいる。
さしずめ、私の力をおさえている反動がきているのだろう。
「……何がおかしいのかしら?」
不意に、女がこちらを睨みつけてきた。
思わず笑みをこぼしていたらしい。
「別に。その様子では、3日ともたないだろうと思ってね」
「そのくらいもてば、充分よ」
女は眉を顰めながら答えた。
声の調子は、強がりを言っているようには聞こえない。
と言うことは、援軍か……
「……たかだか、恋に破れた憐れな娘一人を相手に、大仰なことだ」
呆れていると、女は口元を歪めて笑みを浮かべた。
「貴女こそ、よく言うわ。目に入ったもの全てに、呪いをふりまこうとしているくせに」
「当たり前だ。私はこの世の全てが、憎くて仕方がないのだから」
私を裏切ったあの男も。
私の幸せを奪ったあの女も。
私だけを責めたあの呪い師も。
私を嘲笑った周囲の人間たちも。
全て恨めしい。
「……千年以上昔のことに、よくそこまでこだわれるわね」
不意に、女の呆れたような声が耳に入った。
「何とでも言うが良い。いつか、この世の全てを不幸にし恨みを晴らすことが、私の願いなのだから」
そのためだけに、まだ身体が朽ち果てる前から、心血を注いできた。
いつか依代にするためだけに、子をなし、血を絶やさぬよう言いつけた。
ただ、依代が脆すぎて、身体が崩れてしまうことも度々あった。
そのせいか、いつの間にか、依代たちは私を恐れ、自分たちの役割を放棄しだした。
その間、ろくに手出しもできず、歯がゆい思いをしてきた。
そして、今度こそ丁度良い依代を見つけた。
「この依代さえあれば、私の願いをかなえることも難しくはないというのに」
「一条さんは、別にそこまで望んでいないのではなくて?」
「依代が何を思ったかなど、気にする必要もないだろうに」
私の言葉を聞き、女は深いため息を吐いた。
「血の繋がった子孫を相手に、随分な言い方ね」
「ふん。依代など、願いを成就させるための道具にすぎないだろう」
言い返してやると、女は再びため息を吐く。
「仕事でなければ、貴女みたいなモノとは一生関わり合いたくなかったわ」
「ならば、さっさとここを去ればいいだろう」
「それは、できないわね。貴女を外に出すわけにはいかないもの」
強情な女の態度に、思わずため息が出た。
「分からないな。お前からも、世の中に対する恨みを感じるのに」
思ったことを口にすると、女は眉をピクリと動かした。
それから、女はすぐに嘲笑うような笑みを浮かべた。
「何がおかしい?」
「いえ、これを恨みと思うなんて、貴女も若いのね」
「……恨みではないなら、何だと?」
苛立ちながら問いかけると、女は軽く首を傾げた。
「さあ?でも、恨みなんて積極的な感情ではないわ。しいて言うなら……諦念でしょうね」
「諦念?」
「私が不幸な目に遭ったときに助けが来ないのは当然だと思うけれど、周囲がどんな不幸な目に遭おうとも仕事でもない限り手出しはしない、そんなところよ」
「周囲がどうなっても構わないという割には、この依代に随分と執心していたようだが?」
苛立ちながら尋ねると、女はまた深くため息を吐いた。
「そうね。この子には……できれば、どこかで幸せになって欲しいとは思ったかもしれないわね」
「そう願うのならば、私に手を貸さないか?」
「貴女に手を貸す?」
私が提案すると、女は眉を顰めた。
「たしかに、今は私が表立っているが、この依代が信頼しようとした男に裏切られたと思い込み、絶望していたのは事実だ。この依代だって、周囲の全てが厭わしいと思っているはず」
「……ふふっ」
私の言葉に、女は何故か笑い声を上げた。
「悪いけど、部下の痴話ゲンカに深入りするつもりはないわ。まあ、葉河瀨部長に、小言を言いたくもなるのはたしかですけれども」
女はそこで言葉を止めると、冷ややかな目をこちらに向けた。
「それに私、貴女のように子孫を自分の道具としてしか考えない下劣なモノの側にいると、反吐が出るのよね」
女は表情に違わず冷ややかな声で、そう吐き捨てた。
私を下劣と呼ぶとは……
「うっ……」
軽く睨みつけてやると、女は再び口元をおさえて咳き込んだ。
こんなにも脆いくせにこちらを挑発してくるとは、いっそ憐れだな。
「へえ、本当に血反吐が出るのだな」
皮肉を吐いてやると、女は憎々しげにこちらを睨みつけた。
「そう怒るな。もう無駄口を叩かないというなら、これ以上お前には構わない」
そう告げてやると、女は咳き込みながら顔を背けた。
「……なら、私は少し席を外させてもらうわ。用があるなら、呼んでちょうだい」
女は呼吸を整えると、そう言い残して去っていく。
そして、出入り口とは反対側にある扉の中へ消えていった。
女が歩いた場所には、点々と赤黒いシミが残っている。
これなら、3日も待たずに外に出られるかもしれない。
ただし、援軍が来るというのが、少し厄介だ。
当代にあの呪い師ほどの実力者がいるとは思えないが……
力を出し切れない状態で、相手をするのは多少骨が折れるな。
ああ、そうだ。
もしも、援軍というのに、あの男がいるのならば……
この依代を盾にして揺さぶりをかけてやれば良いか。
恋しい相手が涙でも浮かべれば、取り乱しもするだろう。
そうすれば、内部から崩壊させることなど造作もない。
それに、たとえいないとしても、あの男と親しい様子だった蟲使いくらいは来るだろう。
友人の思い人を手にかけるつもりかと問いただせば、怯まないわけはない。
ああ、これなら、心配には及ばないな。
さて、気がかりなこともなくなったことだから、少し眠るとしよう。
援軍とやらが来るのが、今から楽しみで仕方がない。
半身を起こして辺りを見渡すと、瓦礫や廃材が転がる灰色の床が目に入る。
詳しいことは分からないけれど、どこかの建物の中なのだろう。
ゆっくりと起き上がり、首を回してみる。
重さは感じるが、動かしづらいというほどではない。
両手を握りしめて開いてみても、違和感を覚えることはない。
どうやら、身体は自由に動かせる。
それならば、久しぶりに外の世界を歩き回りたい。
それなのに、辺りにはこざかしい結界が張られている。
ためしに出入り口に足を進め、扉に触れてみた。
すると、手のひらに焼けるような痛みを感じた。
結界を破るほどの力は、まだ戻っていないらしい。
ここから外に出るのは、簡単なことではないのかもしれない。
ある程度は覚悟していたが、折角、自由に動き回れるようになったというのに……
「気分はいかがかしら?」
煩わしく思っていると、背後から声が聞こえた。
振り返ると、黒尽くめの服を着た女が立っている。
ああ、そうか。
結界を破るほどの力が出せないのは、この女の仕業なのだろうな。
思わず、深いため息が漏れた。
「ああ、またお前なのか……」
「あら、また、とはどういうことかしら?」
落胆していると、女は白々しく問いかけてきた。
この女の邪魔が入らなければ、もう少し早く自由になれたはずだった。
それなのに……
「この依代が、呪い事に関わらないように邪魔をしてくれたことを忘れたとでも?」
問いかけると、女は薄ら笑いを浮かべた。
「あら。私は弊社の判断基準に則って、社員を適切な部署に配属させただけよ?」
「よく言う」
そう吐き捨ててやると、女はにわかに表情を歪めた。
そして、口元を手でおさえ、小うるさく咳き込み始めた。
しばらく眺めていると、女の咳は徐々に治まった。
それから、呼吸を整えながら、口元をおさえていた手を外した。
口元には、薄らと血が滲んでいる。
さしずめ、私の力をおさえている反動がきているのだろう。
「……何がおかしいのかしら?」
不意に、女がこちらを睨みつけてきた。
思わず笑みをこぼしていたらしい。
「別に。その様子では、3日ともたないだろうと思ってね」
「そのくらいもてば、充分よ」
女は眉を顰めながら答えた。
声の調子は、強がりを言っているようには聞こえない。
と言うことは、援軍か……
「……たかだか、恋に破れた憐れな娘一人を相手に、大仰なことだ」
呆れていると、女は口元を歪めて笑みを浮かべた。
「貴女こそ、よく言うわ。目に入ったもの全てに、呪いをふりまこうとしているくせに」
「当たり前だ。私はこの世の全てが、憎くて仕方がないのだから」
私を裏切ったあの男も。
私の幸せを奪ったあの女も。
私だけを責めたあの呪い師も。
私を嘲笑った周囲の人間たちも。
全て恨めしい。
「……千年以上昔のことに、よくそこまでこだわれるわね」
不意に、女の呆れたような声が耳に入った。
「何とでも言うが良い。いつか、この世の全てを不幸にし恨みを晴らすことが、私の願いなのだから」
そのためだけに、まだ身体が朽ち果てる前から、心血を注いできた。
いつか依代にするためだけに、子をなし、血を絶やさぬよう言いつけた。
ただ、依代が脆すぎて、身体が崩れてしまうことも度々あった。
そのせいか、いつの間にか、依代たちは私を恐れ、自分たちの役割を放棄しだした。
その間、ろくに手出しもできず、歯がゆい思いをしてきた。
そして、今度こそ丁度良い依代を見つけた。
「この依代さえあれば、私の願いをかなえることも難しくはないというのに」
「一条さんは、別にそこまで望んでいないのではなくて?」
「依代が何を思ったかなど、気にする必要もないだろうに」
私の言葉を聞き、女は深いため息を吐いた。
「血の繋がった子孫を相手に、随分な言い方ね」
「ふん。依代など、願いを成就させるための道具にすぎないだろう」
言い返してやると、女は再びため息を吐く。
「仕事でなければ、貴女みたいなモノとは一生関わり合いたくなかったわ」
「ならば、さっさとここを去ればいいだろう」
「それは、できないわね。貴女を外に出すわけにはいかないもの」
強情な女の態度に、思わずため息が出た。
「分からないな。お前からも、世の中に対する恨みを感じるのに」
思ったことを口にすると、女は眉をピクリと動かした。
それから、女はすぐに嘲笑うような笑みを浮かべた。
「何がおかしい?」
「いえ、これを恨みと思うなんて、貴女も若いのね」
「……恨みではないなら、何だと?」
苛立ちながら問いかけると、女は軽く首を傾げた。
「さあ?でも、恨みなんて積極的な感情ではないわ。しいて言うなら……諦念でしょうね」
「諦念?」
「私が不幸な目に遭ったときに助けが来ないのは当然だと思うけれど、周囲がどんな不幸な目に遭おうとも仕事でもない限り手出しはしない、そんなところよ」
「周囲がどうなっても構わないという割には、この依代に随分と執心していたようだが?」
苛立ちながら尋ねると、女はまた深くため息を吐いた。
「そうね。この子には……できれば、どこかで幸せになって欲しいとは思ったかもしれないわね」
「そう願うのならば、私に手を貸さないか?」
「貴女に手を貸す?」
私が提案すると、女は眉を顰めた。
「たしかに、今は私が表立っているが、この依代が信頼しようとした男に裏切られたと思い込み、絶望していたのは事実だ。この依代だって、周囲の全てが厭わしいと思っているはず」
「……ふふっ」
私の言葉に、女は何故か笑い声を上げた。
「悪いけど、部下の痴話ゲンカに深入りするつもりはないわ。まあ、葉河瀨部長に、小言を言いたくもなるのはたしかですけれども」
女はそこで言葉を止めると、冷ややかな目をこちらに向けた。
「それに私、貴女のように子孫を自分の道具としてしか考えない下劣なモノの側にいると、反吐が出るのよね」
女は表情に違わず冷ややかな声で、そう吐き捨てた。
私を下劣と呼ぶとは……
「うっ……」
軽く睨みつけてやると、女は再び口元をおさえて咳き込んだ。
こんなにも脆いくせにこちらを挑発してくるとは、いっそ憐れだな。
「へえ、本当に血反吐が出るのだな」
皮肉を吐いてやると、女は憎々しげにこちらを睨みつけた。
「そう怒るな。もう無駄口を叩かないというなら、これ以上お前には構わない」
そう告げてやると、女は咳き込みながら顔を背けた。
「……なら、私は少し席を外させてもらうわ。用があるなら、呼んでちょうだい」
女は呼吸を整えると、そう言い残して去っていく。
そして、出入り口とは反対側にある扉の中へ消えていった。
女が歩いた場所には、点々と赤黒いシミが残っている。
これなら、3日も待たずに外に出られるかもしれない。
ただし、援軍が来るというのが、少し厄介だ。
当代にあの呪い師ほどの実力者がいるとは思えないが……
力を出し切れない状態で、相手をするのは多少骨が折れるな。
ああ、そうだ。
もしも、援軍というのに、あの男がいるのならば……
この依代を盾にして揺さぶりをかけてやれば良いか。
恋しい相手が涙でも浮かべれば、取り乱しもするだろう。
そうすれば、内部から崩壊させることなど造作もない。
それに、たとえいないとしても、あの男と親しい様子だった蟲使いくらいは来るだろう。
友人の思い人を手にかけるつもりかと問いただせば、怯まないわけはない。
ああ、これなら、心配には及ばないな。
さて、気がかりなこともなくなったことだから、少し眠るとしよう。
援軍とやらが来るのが、今から楽しみで仕方がない。
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