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第一章 シマシマな日常
トビウオの夜に
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先端が渦を巻いた三日月と無数の星が浮かぶ濃紺の空。
悲しげな夜の鳥たちの泣き声が響く暗い森。
赤墨色の水を湛えて横たわる血の大河。
ここは魔界。
魔のモノたちが住まう禁断の土地。
そんな魔界の一角にある、切り立った岩山の山頂に築かれた白亜の城。
その城の廊下で、白地に青い魚の柄が描かれたパジャマを着た仔猫が、赤い絨毯をフカフカと踏みながら歩いていた。
艶のあるフカフカしたサバトラ模様の毛並み。
キラキラした青色のアーモンド型の大きな目。
つやつやしたピンク色の小さな鼻と、フカフカの白い口元。
彼の名はシーマ十四世。
この魔界を統べる魔王の弟だ。
シーマは尻尾をピンと立てながら廊下をフカフカと進み、一つの扉の前で足を止めた。
「おーい、はつ江、まだ起きてるか?」
シーマが扉をノックしながら声をかけると、中からズッという椅子を引く音が聞こえてきた。
「起きてるだぁよ! ちょっと待っておくれ」
それから、しわがれているが活力にあふれた声が、扉の中から響いた。
シーマが扉の前で待っていると、トントンという軽快な足音が近づいて来た。そして、扉がぎぃと音を立てて、ゆっくりと開いた。
現れたのは、丈の長い白いネグリジェを着た一人の老女だった。
パーマがかかった短髪の白髪頭。
笑いじわが深く刻まれた目元。
色白で華奢な手足。
彼女の名は、森山はつ江。
シーマの世話係として魔界にやってきた齢米寿のハツラツ婆さんだ。
はつ江はシーマの姿を見ると、ニッコリと笑った。
「シマちゃんや、どうしたのかね?」
「ああ。もうすぐトビウオたちがやってくるから、よかったら一緒に見にいかないか?」
シーマが尻尾の先をクニャリと曲げて問いかけると、はつ江は更に笑みを深めた。
「ほうほう。そんなら、およばれしようかねぇ」
はつ江の返事を聞き、シーマは耳と尻尾をピンと立てた。
「そうか! じゃあ、バルコニーまで案内するからついてきてくれ!」
「分かっただぁよシマちゃん!」
二人はそう言うと、部屋を後にして廊下を進んでいった。
バルコニーに辿り着くと、二人は、よいしょ、と声を出しながら、用意されていた椅子に腰掛けた。そして、無数の星が散らばる夜空を見上げた。
「ほうほう、とっても綺麗なお空だぁね」
「この辺りは街からもちょっと離れてるから、星がよく見えるんだ。それに、今日は星の他にも、トビウオに乗っていく魂が光っているから、いつもよりキラキラしてるんだ」
「ほうほう、そうなのかい!」
「ああ、そうなんだ。今日は音楽会も大成功だったから、前回よりももっとキラキラしてるかも」
「バスちゃんたちのお歌は、すごくよかったからねぇ」
はつ江はシミジミとした声を出しながら、音楽会のことを思い出すように目を閉じた。それから、はつ江はゆっくりと目を開き、西側の空に目を向けた。
「バスちゃんたち、今日も泊まっていけばよかったのにねぇ」
「そうだな。でも、すぐに次の公演が待っているっていう話だったから」
二人の会話通り、歌姫レディ・バステト一行は、音楽会が終わるとシーマたちに何度もお礼を言い、夜行列車に乗り込んで次の公演場所へ向かっていった。
「頭巾ちゃんたちも、ちゃんとお家に帰れたかねぇ」
「まあ、兄貴が直々に転移魔法を使ったから、大丈夫じゃないかな。色々と大変なこともあるかもしれないけど、本人たちも元の世界で一から頑張るって前向きなことも言ってたし」
「そうだねぇ。そうだ、連絡先を教えてもらったから、帰ったら調子はどうか聞いてみようかね」
「ああ、そうしてあげるといいかもな。誰かが声をかければ、思い詰めて変な奴らとつるむ可能性も低くなるだろうし」
二人は、ローブの二人組についても会話を交わし、うんうん、と頷き合った。
そんな会話をしていると、にわかに空の東側が銀色に輝きだした。
「あ、はつ江! もうすぐトビウオが来るぞ!」
「あれまぁよ! 本当かね!?」
シーマが椅子から飛び降りて東の空を指さすと、はつ江も立ち上がり東の空に顔を向けた。
二人が眺めていると、銀色の光は段々と広がっていき、魔王城の上空も包み込んだ。はつ江は光の眩しさに数回まばたきをしてから、目をこらして真上を見上げた。
光の中では、銀色に輝く流線型の身体に白い翼を持った大きな魚が、無数に羽ばたいていた。
はつ江は顔を下ろすと、今度は空全体を見渡すように首を動かした。
すると、銀色に染まった空から、薄緑色の光が、所々にキラキラと降り注いでいた。
「ほー……すごく綺麗だぁね……」
「ああ……すごく綺麗だな……」
二人は感嘆の声を漏らしながら、辺りの様子を眺めていた。
そんな中、不意に、シーマがはつ江の手をギュッと握った。
「どうしたんだい? シマちゃん」
はつ江が顔を覗き込みながら尋ねると、シーマは尻尾の先をピコピコと動かしながら、軽く目を泳がせた。それから、キュッと唇を結び、はつ江の目をジッと見つめた。
「はつ江、実はな……ボクもトビウオの夜に、魔界に生まれたんだ」
シーマがそう言うと、はつ江は円らな目を見開いた。それから、はつ江はニッコリと笑い、シーマの頭をポフポフとなでた。
「あれまぁよ、そうだったのかい。私はてっきり、ヤギさんとソックリだから、同じお父さんとお母さんから生まれたんだと思ってただぁよ」
はつ江がそう言うと、シーマは軽く耳を反らして、尻尾をパシパシと縦に振った。
「もう、茶化さないでくれよ!」
「わはははは、悪かっただぁよ!」
シーマが抗議すると、はつ江はカラカラと笑った。それから、はつ江は再びシーマの頭をポフポフとなでた。
「それで、シマちゃんは前にいた世界のことを覚えているのかい?」
はつ江が優しい声で問いかけると、シーマは目を閉じて首をゆっくりと横に振った。
「いいや、それがあんまり覚えてないんだ」
シーマはそう答えると、再び空を見上げた。
「ただ、火がすごく怖かったことと……ボクのせいで、すごく大事な子が傷ついたり、悲しんだりしたことをなんとなく覚えてるんだ……」
シーマは、そう言うと、どこか悲しげに小さくため息を吐いた。
「その子は、ボクのこと怒ったり、恨んだりしてるのかな……」
シーマがいつになく弱々しい声で呟くと、はつ江はキョトンとした表情を浮かべた。それから、はつ江はニッコリと笑うと、シーマの脇腹を掴み、高々と持ち上げた。
「うわぁっ!? は、はつ江、いきなり何をするんだ!?」
「ほーら、シマちゃん! 高い高いだぁよ!」
はつ江がカラカラと藁ながらそう言うと、シーマは耳を反らして尻尾をパシパシと縦に振った。
「もう! 唐突なタイミングで、子供扱いしないでくれよ!」
抗議の言葉を受けて、はつ江はカラカラと笑いながらシーマを下ろした。
「わははははは! 悪かっただぁね! でも、落ち込んでるときはこうすると元気になるだぁよ!」
「ま、まあ、たしかに、ちょっとは楽しかったけど……」
はつ江の言葉に、シーマは小声で呟いた。シーマの言葉を聞き、はつ江はニッコリと微笑んだ。
「大丈夫、きっとその子は全然怒ってないだぁよ」
はつ江がそう言いながら頭をなでると、シーマは目を見開いた。
「それに、シマちゃんがこっちで楽しく元気に暮らしてるってわかれば、すごく喜ぶはずだよ」
はつ江が言葉を続けると、シーマは片耳をパタパタと動かして、穏やかな微笑みを浮かべた。
「そうか。そうだと、いいな」
「そうに決まってるだぁよ!」
二人はそう言い合うと、頷き合ってから、空を見上げた。
「今日の歌、その子に伝わってるといいな……」
「大丈夫、ちゃんと伝わったから」
銀色の光に包まれた空の下で、二人はどちらともなく手をギュッと握っていた。
それから二人は、トビウオが去っていくまで、銀色の空と、降り注ぐ薄緑色の光をずっと眺めていた。
悲しげな夜の鳥たちの泣き声が響く暗い森。
赤墨色の水を湛えて横たわる血の大河。
ここは魔界。
魔のモノたちが住まう禁断の土地。
そんな魔界の一角にある、切り立った岩山の山頂に築かれた白亜の城。
その城の廊下で、白地に青い魚の柄が描かれたパジャマを着た仔猫が、赤い絨毯をフカフカと踏みながら歩いていた。
艶のあるフカフカしたサバトラ模様の毛並み。
キラキラした青色のアーモンド型の大きな目。
つやつやしたピンク色の小さな鼻と、フカフカの白い口元。
彼の名はシーマ十四世。
この魔界を統べる魔王の弟だ。
シーマは尻尾をピンと立てながら廊下をフカフカと進み、一つの扉の前で足を止めた。
「おーい、はつ江、まだ起きてるか?」
シーマが扉をノックしながら声をかけると、中からズッという椅子を引く音が聞こえてきた。
「起きてるだぁよ! ちょっと待っておくれ」
それから、しわがれているが活力にあふれた声が、扉の中から響いた。
シーマが扉の前で待っていると、トントンという軽快な足音が近づいて来た。そして、扉がぎぃと音を立てて、ゆっくりと開いた。
現れたのは、丈の長い白いネグリジェを着た一人の老女だった。
パーマがかかった短髪の白髪頭。
笑いじわが深く刻まれた目元。
色白で華奢な手足。
彼女の名は、森山はつ江。
シーマの世話係として魔界にやってきた齢米寿のハツラツ婆さんだ。
はつ江はシーマの姿を見ると、ニッコリと笑った。
「シマちゃんや、どうしたのかね?」
「ああ。もうすぐトビウオたちがやってくるから、よかったら一緒に見にいかないか?」
シーマが尻尾の先をクニャリと曲げて問いかけると、はつ江は更に笑みを深めた。
「ほうほう。そんなら、およばれしようかねぇ」
はつ江の返事を聞き、シーマは耳と尻尾をピンと立てた。
「そうか! じゃあ、バルコニーまで案内するからついてきてくれ!」
「分かっただぁよシマちゃん!」
二人はそう言うと、部屋を後にして廊下を進んでいった。
バルコニーに辿り着くと、二人は、よいしょ、と声を出しながら、用意されていた椅子に腰掛けた。そして、無数の星が散らばる夜空を見上げた。
「ほうほう、とっても綺麗なお空だぁね」
「この辺りは街からもちょっと離れてるから、星がよく見えるんだ。それに、今日は星の他にも、トビウオに乗っていく魂が光っているから、いつもよりキラキラしてるんだ」
「ほうほう、そうなのかい!」
「ああ、そうなんだ。今日は音楽会も大成功だったから、前回よりももっとキラキラしてるかも」
「バスちゃんたちのお歌は、すごくよかったからねぇ」
はつ江はシミジミとした声を出しながら、音楽会のことを思い出すように目を閉じた。それから、はつ江はゆっくりと目を開き、西側の空に目を向けた。
「バスちゃんたち、今日も泊まっていけばよかったのにねぇ」
「そうだな。でも、すぐに次の公演が待っているっていう話だったから」
二人の会話通り、歌姫レディ・バステト一行は、音楽会が終わるとシーマたちに何度もお礼を言い、夜行列車に乗り込んで次の公演場所へ向かっていった。
「頭巾ちゃんたちも、ちゃんとお家に帰れたかねぇ」
「まあ、兄貴が直々に転移魔法を使ったから、大丈夫じゃないかな。色々と大変なこともあるかもしれないけど、本人たちも元の世界で一から頑張るって前向きなことも言ってたし」
「そうだねぇ。そうだ、連絡先を教えてもらったから、帰ったら調子はどうか聞いてみようかね」
「ああ、そうしてあげるといいかもな。誰かが声をかければ、思い詰めて変な奴らとつるむ可能性も低くなるだろうし」
二人は、ローブの二人組についても会話を交わし、うんうん、と頷き合った。
そんな会話をしていると、にわかに空の東側が銀色に輝きだした。
「あ、はつ江! もうすぐトビウオが来るぞ!」
「あれまぁよ! 本当かね!?」
シーマが椅子から飛び降りて東の空を指さすと、はつ江も立ち上がり東の空に顔を向けた。
二人が眺めていると、銀色の光は段々と広がっていき、魔王城の上空も包み込んだ。はつ江は光の眩しさに数回まばたきをしてから、目をこらして真上を見上げた。
光の中では、銀色に輝く流線型の身体に白い翼を持った大きな魚が、無数に羽ばたいていた。
はつ江は顔を下ろすと、今度は空全体を見渡すように首を動かした。
すると、銀色に染まった空から、薄緑色の光が、所々にキラキラと降り注いでいた。
「ほー……すごく綺麗だぁね……」
「ああ……すごく綺麗だな……」
二人は感嘆の声を漏らしながら、辺りの様子を眺めていた。
そんな中、不意に、シーマがはつ江の手をギュッと握った。
「どうしたんだい? シマちゃん」
はつ江が顔を覗き込みながら尋ねると、シーマは尻尾の先をピコピコと動かしながら、軽く目を泳がせた。それから、キュッと唇を結び、はつ江の目をジッと見つめた。
「はつ江、実はな……ボクもトビウオの夜に、魔界に生まれたんだ」
シーマがそう言うと、はつ江は円らな目を見開いた。それから、はつ江はニッコリと笑い、シーマの頭をポフポフとなでた。
「あれまぁよ、そうだったのかい。私はてっきり、ヤギさんとソックリだから、同じお父さんとお母さんから生まれたんだと思ってただぁよ」
はつ江がそう言うと、シーマは軽く耳を反らして、尻尾をパシパシと縦に振った。
「もう、茶化さないでくれよ!」
「わはははは、悪かっただぁよ!」
シーマが抗議すると、はつ江はカラカラと笑った。それから、はつ江は再びシーマの頭をポフポフとなでた。
「それで、シマちゃんは前にいた世界のことを覚えているのかい?」
はつ江が優しい声で問いかけると、シーマは目を閉じて首をゆっくりと横に振った。
「いいや、それがあんまり覚えてないんだ」
シーマはそう答えると、再び空を見上げた。
「ただ、火がすごく怖かったことと……ボクのせいで、すごく大事な子が傷ついたり、悲しんだりしたことをなんとなく覚えてるんだ……」
シーマは、そう言うと、どこか悲しげに小さくため息を吐いた。
「その子は、ボクのこと怒ったり、恨んだりしてるのかな……」
シーマがいつになく弱々しい声で呟くと、はつ江はキョトンとした表情を浮かべた。それから、はつ江はニッコリと笑うと、シーマの脇腹を掴み、高々と持ち上げた。
「うわぁっ!? は、はつ江、いきなり何をするんだ!?」
「ほーら、シマちゃん! 高い高いだぁよ!」
はつ江がカラカラと藁ながらそう言うと、シーマは耳を反らして尻尾をパシパシと縦に振った。
「もう! 唐突なタイミングで、子供扱いしないでくれよ!」
抗議の言葉を受けて、はつ江はカラカラと笑いながらシーマを下ろした。
「わははははは! 悪かっただぁね! でも、落ち込んでるときはこうすると元気になるだぁよ!」
「ま、まあ、たしかに、ちょっとは楽しかったけど……」
はつ江の言葉に、シーマは小声で呟いた。シーマの言葉を聞き、はつ江はニッコリと微笑んだ。
「大丈夫、きっとその子は全然怒ってないだぁよ」
はつ江がそう言いながら頭をなでると、シーマは目を見開いた。
「それに、シマちゃんがこっちで楽しく元気に暮らしてるってわかれば、すごく喜ぶはずだよ」
はつ江が言葉を続けると、シーマは片耳をパタパタと動かして、穏やかな微笑みを浮かべた。
「そうか。そうだと、いいな」
「そうに決まってるだぁよ!」
二人はそう言い合うと、頷き合ってから、空を見上げた。
「今日の歌、その子に伝わってるといいな……」
「大丈夫、ちゃんと伝わったから」
銀色の光に包まれた空の下で、二人はどちらともなく手をギュッと握っていた。
それから二人は、トビウオが去っていくまで、銀色の空と、降り注ぐ薄緑色の光をずっと眺めていた。
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