94 / 191
第一章 シマシマな日常
ドカッ
しおりを挟む
シーマ十四世殿下一行が朝食をとっていたころ、魔王城の実験室では、白衣を着た魔王がため息を吐いていた。長い髪を一つ結びにした魔王の目の前には、粉末が入ったビンがいくつか並べられている。
「……分解は完了したから、あとは合成か」
魔王はそう呟くと、壁に掛かった時計に目を向けた。
「このままだと、抗魔法物質が完成するのが開演ギリギリか……点滴する時間を考えると……もう、開演時刻を遅らせるしか……いや、しかし、一時間以上遅れるとなると、さすがに……」
「おう、切羽詰まってるみたいじゃねぇか」
魔王が独り言をこぼしていると、背後からしわがれた声が響いた。
「はい。少し見込み違いがあったので……えっ!?」
不意にかけられた声に平然と返事をしかけた魔王だったが、ことの異常さに気づき、驚きながら後ろを振り返った。すると、そこには水色のつなぎに白衣をはおった灰門が立っていた。
「め、迷宮王! なぜ、ここに!?」
「だから、今の王はお前だろ!?当代魔王! 俺はただの灰門源太郎だ!」
灰門が苛立った表情で怒鳴りつけると、魔王は慌てて深々と頭を下げた。
「失礼いたしました。灰門様」
「おう。本当に次から気ぃつけろよ」
灰門はそう言いながら、眉間にシワを寄せて腕を組み、側にあった椅子にドカッと腰掛けた。テンプレートになりそうなやり取りを終えると、魔王は、コホン、と咳払いをした。
「それで、本日はどのようなご用件でしょうか?」
魔王が尋ねると、灰門は薄く紅を引いた唇の端を吊り上げ、ニッと笑った。
「なぁに、苦戦してるみてぇだから、手伝ってやろうかと思ってよ」
灰門の言葉に、魔王は目を輝かせた。しかし、すぐにハッとした表情を浮かべると、おずおずと小さく挙手をした。
「あ、あの、灰門様?」
「ん? どうした?」
「なぜ、私が窮地に立たされていると分かったのでしょうか?」
魔王が尋ねると、灰門は、ふん、と鼻を鳴らした。
「そんなの、気になって覗いたからに決まってんだろ。俺やお前にかかれば、そのくらいは朝飯前だろ? 当代魔王」
「それは、そうですけど……ワクワク迷宮アイランドの改修が忙しいからよっぽどのことがなければこの件に関わらない、とおっしゃっていましたよね?」
魔王が更に問いかけると、灰門は眉間にシワを寄せた。
「関わらねぇのは、よっぽどのことがなければ、の場合だ。今は、下手すりゃ音楽会が中止になるかもしれねぇ危機的状況なんだろ?」
「そう、ですね……」
「なら、放っておくわけにはいかねぇだろ! 俺も、ルンルン通り商店街のヤツらも、ワクワク迷宮アイランド改修現場のヤツらも、今日の音楽会を楽しみにしてたんだからよ!」
灰門はそう言い放つと、再び口の端を吊り上げて、ニッと笑った。
「サバトラ坊主が手伝っていたとはいえ、本来三人がかりでするようなことを一人ですんのは骨が折れただろ? 俺が来てやったからには、必ず間に合わせるから安心しろ」
「……ありがとうございます」
魔王が深々と頭を下げると、灰門は満足げな表情で頷いた。
「おう、任せとけ。しっかし、あの頭巾の小僧達、大口叩いてたから、もうちっとくらい使えるヤツらかと思ったんだけどな」
灰門は苦々しい表情して、頭を掻きながらそう言った。すると、魔王が、はは、と声を漏らして苦笑した。
「まあ、若いころは自分の実力を過大評価して、現実との落差に落胆するということも多々ありますから」
魔王の言葉に、灰門は再び、ふん、と鼻を鳴らした。
「まあな。肝心なのはそっからどんな対応をするかだが……」
灰門がそう言いかけたところで、実験室に扉がトントンとノックされる音が響いた。
「兄貴ー! ちょっと、いいか?」
そして、扉の外からシーマの声が聞こえた。
「ああ、シーマ、どうした? 用があるなら、部屋の中に入ってきて大丈夫だぞ」
魔王が声をかけると、ドアノブが少しだけ動いた。しかし、扉が開かれることはなかった。
「いや、今は抜け毛対策用の防護服を着てないから、止めとくよ」
「そうか……それで、何かあったのか?」
魔王は若干淋しそうな表情を浮かべたが、気を取り直して扉の向こうのシーマに声をかけた。
「ああ、はつ江からの伝言だ。キッチンの冷蔵棚におにぎりが入ってるからお腹が空いたら食べるといいだぁよ、とのことだ」
シーマがはつ江の口調を真似て伝言をすると、魔王は穏やかな微笑みを浮かべた。
「そうか。教えてくれてありがとう。はつ江にも、ありがとうと伝えておいてくれ」
「ああ、分かった! それと、もう一つ……」
シーマが言葉を続けると、魔王はキョトンとした表情で首を傾げた。
「もう一つ?」
魔王が聞き返すと、シーマは扉の向こうで、ああ、と相槌を打った。
「その、兄貴のことだから、なんだかんだで大丈夫だとは思うけど……抗魔法物質の方は間に合いそうか?」
シーマが問いかけると、魔王はギクリとした表情を浮かべた。
「あー、えーと、その、だな……」
魔王が口ごもると、扉の向こうから、ふふん、と鼻を鳴らす音が聞こえた。
「安心しろ、兄貴! 朝ご飯のときに皆で話して、もしものときははつ江の踊りや、マロさんとウェネトさんの演奏で、時間を稼ぐことにしたんだ! あのローブの二人組も力を貸してくれるんだぞ!」
シーマが得意げにそう言うと、魔王は目を輝かせた。
「そうか……! それは、凄く助かるよ、ありがとう! 他の皆にも、ありがとう、と伝えくれ」
「ああ、任せろ! それで、どのくらい時間を稼げばいい?」
「あ、えーと、それは……」
シーマが尋ねると、魔王は口ごもりながら灰門に顔を向けた。すると、灰門はニッと笑みを浮かべながら、手でVサインを作った。それを見た魔王の顔から、一気に血の気が引いていく。
「え……二日もかかるのですか?」
「馬鹿野郎! この状況でそんなにかかるわけねぇだろ!?」
灰門が椅子から立ち上がりながら怒鳴り声を上げると、魔王は怯えた表情を浮かべた。
「え、じゃ、じゃあ二秒ですか?」
再び魔王が問いかけると、灰門は額をおさえながら深いため息を吐いた。
「お前はどうしてそう、極端なんだよ!? 二十分だ、二十分! 分かったか!?」
「は、はい! 分かりました!」
魔王は姿勢を正して返事をすると、扉に向き直り、コホン、と咳払いをした。
「二十分もあれば、充分だ」
魔王が凜々しい声でそう言うと、扉の向こうから小さなため息が聞こえた。
「兄貴、格好つけてるところ悪いんだけど、全部聞こえてたぞ……」
シーマが脱力気味にそう言うと、魔王も力なく、そうか、と呟いた。
「……まあ、いいや。そのくらいの時間なら予想の範囲内だから、安心してくれ。灰門様、兄のことをよろしくお願いします」
「おうよ! 任せとけ、サバトラ坊主!」
シーマの言葉に、灰門は胸を張りながら返事をした。
「ありがとうございます。じゃあ、ボクも色々と準備することがあるから、コレで失礼するよ」
シーマがそう言うと、魔王は穏やかに微笑んだ。
「ああ、色々とありがとうな、シーマ」
「べ、別に兄貴のためじゃなくて、音楽会を楽しみにしてる皆のためなんだからな! でも、大変だったら手伝ってやらないこともないから、すぐにボクを呼ぶんだぞ! じゃあ、また後でな!」
シーマは扉の向こうでツンデレると、トコトコと足音を立てて、実験室から遠ざかっていった。
「うひゃひゃひゃひゃひゃ! 随分と良い弟じゃねぇか、当代魔王!」
笑いながら声をかけると、魔王はいつになく凜々しい表情を浮かべて、胸の辺りで手を握りしめた。
「ええ! 可愛くて、賢くて、優しい、素晴らしい弟です!」
魔王がすがすがしいくらいの自慢をすると、灰門は笑ったままコクリと頷いた。
「違ぇねぇな! それに、あの頭巾の小僧共もなんだかんだで、大丈夫そうだな」
灰門の言葉に、魔王は穏やかな微笑みを浮かべた。
「ええ。彼らは自分の過ちを認めて、ちゃんと歌姫達にも謝れるような素直な子達ですから、きっと大丈夫ですよ」
「おう、そうだな。そんじゃあ、俺は合成が終わったらあとはお前に任せて、小僧達の晴れ舞台を楽しませてもらうことにするかな」
「……くれぐれも、ヤジは飛ばさないでくださいよ」
「うひゃひゃひゃひゃひゃ! むしろヤジ飛ばすようなヤツは、俺がぶっ飛ばしてやるから任せとけ!」
灰門が笑い飛ばすと、実験室はなごやかな空気に包まれた。それから、魔王と灰門は、二人して抗魔法物質の合成に取りかかった。
こうして、抗魔法物質合成作業の人手不足も解消しつつ、音楽会開演の時刻が着実に近づくのだった。
「……分解は完了したから、あとは合成か」
魔王はそう呟くと、壁に掛かった時計に目を向けた。
「このままだと、抗魔法物質が完成するのが開演ギリギリか……点滴する時間を考えると……もう、開演時刻を遅らせるしか……いや、しかし、一時間以上遅れるとなると、さすがに……」
「おう、切羽詰まってるみたいじゃねぇか」
魔王が独り言をこぼしていると、背後からしわがれた声が響いた。
「はい。少し見込み違いがあったので……えっ!?」
不意にかけられた声に平然と返事をしかけた魔王だったが、ことの異常さに気づき、驚きながら後ろを振り返った。すると、そこには水色のつなぎに白衣をはおった灰門が立っていた。
「め、迷宮王! なぜ、ここに!?」
「だから、今の王はお前だろ!?当代魔王! 俺はただの灰門源太郎だ!」
灰門が苛立った表情で怒鳴りつけると、魔王は慌てて深々と頭を下げた。
「失礼いたしました。灰門様」
「おう。本当に次から気ぃつけろよ」
灰門はそう言いながら、眉間にシワを寄せて腕を組み、側にあった椅子にドカッと腰掛けた。テンプレートになりそうなやり取りを終えると、魔王は、コホン、と咳払いをした。
「それで、本日はどのようなご用件でしょうか?」
魔王が尋ねると、灰門は薄く紅を引いた唇の端を吊り上げ、ニッと笑った。
「なぁに、苦戦してるみてぇだから、手伝ってやろうかと思ってよ」
灰門の言葉に、魔王は目を輝かせた。しかし、すぐにハッとした表情を浮かべると、おずおずと小さく挙手をした。
「あ、あの、灰門様?」
「ん? どうした?」
「なぜ、私が窮地に立たされていると分かったのでしょうか?」
魔王が尋ねると、灰門は、ふん、と鼻を鳴らした。
「そんなの、気になって覗いたからに決まってんだろ。俺やお前にかかれば、そのくらいは朝飯前だろ? 当代魔王」
「それは、そうですけど……ワクワク迷宮アイランドの改修が忙しいからよっぽどのことがなければこの件に関わらない、とおっしゃっていましたよね?」
魔王が更に問いかけると、灰門は眉間にシワを寄せた。
「関わらねぇのは、よっぽどのことがなければ、の場合だ。今は、下手すりゃ音楽会が中止になるかもしれねぇ危機的状況なんだろ?」
「そう、ですね……」
「なら、放っておくわけにはいかねぇだろ! 俺も、ルンルン通り商店街のヤツらも、ワクワク迷宮アイランド改修現場のヤツらも、今日の音楽会を楽しみにしてたんだからよ!」
灰門はそう言い放つと、再び口の端を吊り上げて、ニッと笑った。
「サバトラ坊主が手伝っていたとはいえ、本来三人がかりでするようなことを一人ですんのは骨が折れただろ? 俺が来てやったからには、必ず間に合わせるから安心しろ」
「……ありがとうございます」
魔王が深々と頭を下げると、灰門は満足げな表情で頷いた。
「おう、任せとけ。しっかし、あの頭巾の小僧達、大口叩いてたから、もうちっとくらい使えるヤツらかと思ったんだけどな」
灰門は苦々しい表情して、頭を掻きながらそう言った。すると、魔王が、はは、と声を漏らして苦笑した。
「まあ、若いころは自分の実力を過大評価して、現実との落差に落胆するということも多々ありますから」
魔王の言葉に、灰門は再び、ふん、と鼻を鳴らした。
「まあな。肝心なのはそっからどんな対応をするかだが……」
灰門がそう言いかけたところで、実験室に扉がトントンとノックされる音が響いた。
「兄貴ー! ちょっと、いいか?」
そして、扉の外からシーマの声が聞こえた。
「ああ、シーマ、どうした? 用があるなら、部屋の中に入ってきて大丈夫だぞ」
魔王が声をかけると、ドアノブが少しだけ動いた。しかし、扉が開かれることはなかった。
「いや、今は抜け毛対策用の防護服を着てないから、止めとくよ」
「そうか……それで、何かあったのか?」
魔王は若干淋しそうな表情を浮かべたが、気を取り直して扉の向こうのシーマに声をかけた。
「ああ、はつ江からの伝言だ。キッチンの冷蔵棚におにぎりが入ってるからお腹が空いたら食べるといいだぁよ、とのことだ」
シーマがはつ江の口調を真似て伝言をすると、魔王は穏やかな微笑みを浮かべた。
「そうか。教えてくれてありがとう。はつ江にも、ありがとうと伝えておいてくれ」
「ああ、分かった! それと、もう一つ……」
シーマが言葉を続けると、魔王はキョトンとした表情で首を傾げた。
「もう一つ?」
魔王が聞き返すと、シーマは扉の向こうで、ああ、と相槌を打った。
「その、兄貴のことだから、なんだかんだで大丈夫だとは思うけど……抗魔法物質の方は間に合いそうか?」
シーマが問いかけると、魔王はギクリとした表情を浮かべた。
「あー、えーと、その、だな……」
魔王が口ごもると、扉の向こうから、ふふん、と鼻を鳴らす音が聞こえた。
「安心しろ、兄貴! 朝ご飯のときに皆で話して、もしものときははつ江の踊りや、マロさんとウェネトさんの演奏で、時間を稼ぐことにしたんだ! あのローブの二人組も力を貸してくれるんだぞ!」
シーマが得意げにそう言うと、魔王は目を輝かせた。
「そうか……! それは、凄く助かるよ、ありがとう! 他の皆にも、ありがとう、と伝えくれ」
「ああ、任せろ! それで、どのくらい時間を稼げばいい?」
「あ、えーと、それは……」
シーマが尋ねると、魔王は口ごもりながら灰門に顔を向けた。すると、灰門はニッと笑みを浮かべながら、手でVサインを作った。それを見た魔王の顔から、一気に血の気が引いていく。
「え……二日もかかるのですか?」
「馬鹿野郎! この状況でそんなにかかるわけねぇだろ!?」
灰門が椅子から立ち上がりながら怒鳴り声を上げると、魔王は怯えた表情を浮かべた。
「え、じゃ、じゃあ二秒ですか?」
再び魔王が問いかけると、灰門は額をおさえながら深いため息を吐いた。
「お前はどうしてそう、極端なんだよ!? 二十分だ、二十分! 分かったか!?」
「は、はい! 分かりました!」
魔王は姿勢を正して返事をすると、扉に向き直り、コホン、と咳払いをした。
「二十分もあれば、充分だ」
魔王が凜々しい声でそう言うと、扉の向こうから小さなため息が聞こえた。
「兄貴、格好つけてるところ悪いんだけど、全部聞こえてたぞ……」
シーマが脱力気味にそう言うと、魔王も力なく、そうか、と呟いた。
「……まあ、いいや。そのくらいの時間なら予想の範囲内だから、安心してくれ。灰門様、兄のことをよろしくお願いします」
「おうよ! 任せとけ、サバトラ坊主!」
シーマの言葉に、灰門は胸を張りながら返事をした。
「ありがとうございます。じゃあ、ボクも色々と準備することがあるから、コレで失礼するよ」
シーマがそう言うと、魔王は穏やかに微笑んだ。
「ああ、色々とありがとうな、シーマ」
「べ、別に兄貴のためじゃなくて、音楽会を楽しみにしてる皆のためなんだからな! でも、大変だったら手伝ってやらないこともないから、すぐにボクを呼ぶんだぞ! じゃあ、また後でな!」
シーマは扉の向こうでツンデレると、トコトコと足音を立てて、実験室から遠ざかっていった。
「うひゃひゃひゃひゃひゃ! 随分と良い弟じゃねぇか、当代魔王!」
笑いながら声をかけると、魔王はいつになく凜々しい表情を浮かべて、胸の辺りで手を握りしめた。
「ええ! 可愛くて、賢くて、優しい、素晴らしい弟です!」
魔王がすがすがしいくらいの自慢をすると、灰門は笑ったままコクリと頷いた。
「違ぇねぇな! それに、あの頭巾の小僧共もなんだかんだで、大丈夫そうだな」
灰門の言葉に、魔王は穏やかな微笑みを浮かべた。
「ええ。彼らは自分の過ちを認めて、ちゃんと歌姫達にも謝れるような素直な子達ですから、きっと大丈夫ですよ」
「おう、そうだな。そんじゃあ、俺は合成が終わったらあとはお前に任せて、小僧達の晴れ舞台を楽しませてもらうことにするかな」
「……くれぐれも、ヤジは飛ばさないでくださいよ」
「うひゃひゃひゃひゃひゃ! むしろヤジ飛ばすようなヤツは、俺がぶっ飛ばしてやるから任せとけ!」
灰門が笑い飛ばすと、実験室はなごやかな空気に包まれた。それから、魔王と灰門は、二人して抗魔法物質の合成に取りかかった。
こうして、抗魔法物質合成作業の人手不足も解消しつつ、音楽会開演の時刻が着実に近づくのだった。
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)
青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。
だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。
けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。
「なぜですか?」
「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」
イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの?
これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない)
因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる