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クラフト系サンドボックスゲーマーとメスガキ系の姫
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俺の名は坂本タツヤ。
クラフト系サンドボックスゲームに日夜心血を注いでいた、どこにでもいる社畜から異世界に転移しちゃった系男子だ。そして、御多分にもれず、転移前にのめり込んでいたゲームの能力を使えたりする。
そんな俺が異世界に呼ばれたのは、ここのお姫様のために、宮、つまり宮殿を作るためだ。
「わー、お兄ちゃんてば、自分の立場分かってないのぉ?」
今まで作ってきた建築物たちより、ずっとシンプルなものでいいらしい。
「アタシの宮、さっさと造ってよ」
しかも、素材につかう石は、建設予定地すぐ近くの崖から、大量に採掘できる。
「あれぇ? ひょっとして、本当はできないのかなぁ? そうだよねぇ、こんなひ弱そうなお兄ちゃんに、宮を造るなんてできるわけないもんねぇ」
この作業小屋もゲームと同じくらいのスピードで造れたし、宮殿も同じくらいで造れるはずだ。
「ざぁこ♡、ざぁこ♡、ざこお兄ちゃん♡、足腰よわよわ♡」
それが終わったら元の世界に帰れるらしいけど、折角ならもう少しこの世界を冒険したい──
「ライスに甘辛く煮た牛肉と、チーズと、ゆるく茹でた玉子乗せて食べてそう♡」
──ただし、このメスガキ属性の姫とは、二度と関わらずに。
「食べてねーよ! 俺は大盛りねぎだくギョク派だ!」
怒鳴りながら振り返ると、金髪ボブカットでピンクのドレスを着た姫が、ニヤついた笑みを浮かべていた。
「えー? どっちだって、同じでしょ?」
「断じて違う! こっちはもっと硬派でストイックなんだよ!」
「キャハハ、ムキになっちゃって、器ちっさ♡」
小さな口から、八重歯と共に煽り文句がこぼれる。
本当にこいつは……、見た目だけなら超絶美少女なのに……。
「あれぇ? 黙り込んじゃって、どうしたのぉ? ひょっとして、アタシの可愛さに見惚れちゃった?」
「うるさい。というか、邪魔しに来るなよ」
「えー、作業放り投げてお絵描きしてるサボサボお兄ちゃんに、そんなこと言われたくなーい」
「だ、誰がサボサボお兄ちゃんだ、失敬な。今はな、設計図を書いてるんだよ」
たしかに、神官っぽい青年からもらった夕食を食べてから、なんか胃の辺りの調子が悪くて、少し手が止まってたけれど。
「ふーん、せっけーず?」
「そう。それが終われば、すぐに作業にとりかかるから、黙っててくれ」
「ふーん、そう。すぐに、ね……」
うん?
なんかいきなり、表情が曇ったような?
「……なら、これ飲んでさっさと完成させてよね! みんな待ってるんだから!」
「うわっ!?」
「キャハハ、ざこお兄ちゃんのくせにナイスキャッチ!」
「コラ! ビンなんか投げたら危ないだろ!?」
「うるさーい。じゃあ、私は帰るから、バイバーイ」
手をヒラヒラと振りながら、姫は作業小屋を出ていった。手の中に残ったビンには子供っぽい字で、「お腹よわよわお兄ちゃん用のお薬」と書いてある。
……これ以上煽られるのも嫌だし、薬を飲んでさっさと設計図を作り上げるとしよう。
クラフト系サンドボックスゲームに日夜心血を注いでいた、どこにでもいる社畜から異世界に転移しちゃった系男子だ。そして、御多分にもれず、転移前にのめり込んでいたゲームの能力を使えたりする。
そんな俺が異世界に呼ばれたのは、ここのお姫様のために、宮、つまり宮殿を作るためだ。
「わー、お兄ちゃんてば、自分の立場分かってないのぉ?」
今まで作ってきた建築物たちより、ずっとシンプルなものでいいらしい。
「アタシの宮、さっさと造ってよ」
しかも、素材につかう石は、建設予定地すぐ近くの崖から、大量に採掘できる。
「あれぇ? ひょっとして、本当はできないのかなぁ? そうだよねぇ、こんなひ弱そうなお兄ちゃんに、宮を造るなんてできるわけないもんねぇ」
この作業小屋もゲームと同じくらいのスピードで造れたし、宮殿も同じくらいで造れるはずだ。
「ざぁこ♡、ざぁこ♡、ざこお兄ちゃん♡、足腰よわよわ♡」
それが終わったら元の世界に帰れるらしいけど、折角ならもう少しこの世界を冒険したい──
「ライスに甘辛く煮た牛肉と、チーズと、ゆるく茹でた玉子乗せて食べてそう♡」
──ただし、このメスガキ属性の姫とは、二度と関わらずに。
「食べてねーよ! 俺は大盛りねぎだくギョク派だ!」
怒鳴りながら振り返ると、金髪ボブカットでピンクのドレスを着た姫が、ニヤついた笑みを浮かべていた。
「えー? どっちだって、同じでしょ?」
「断じて違う! こっちはもっと硬派でストイックなんだよ!」
「キャハハ、ムキになっちゃって、器ちっさ♡」
小さな口から、八重歯と共に煽り文句がこぼれる。
本当にこいつは……、見た目だけなら超絶美少女なのに……。
「あれぇ? 黙り込んじゃって、どうしたのぉ? ひょっとして、アタシの可愛さに見惚れちゃった?」
「うるさい。というか、邪魔しに来るなよ」
「えー、作業放り投げてお絵描きしてるサボサボお兄ちゃんに、そんなこと言われたくなーい」
「だ、誰がサボサボお兄ちゃんだ、失敬な。今はな、設計図を書いてるんだよ」
たしかに、神官っぽい青年からもらった夕食を食べてから、なんか胃の辺りの調子が悪くて、少し手が止まってたけれど。
「ふーん、せっけーず?」
「そう。それが終われば、すぐに作業にとりかかるから、黙っててくれ」
「ふーん、そう。すぐに、ね……」
うん?
なんかいきなり、表情が曇ったような?
「……なら、これ飲んでさっさと完成させてよね! みんな待ってるんだから!」
「うわっ!?」
「キャハハ、ざこお兄ちゃんのくせにナイスキャッチ!」
「コラ! ビンなんか投げたら危ないだろ!?」
「うるさーい。じゃあ、私は帰るから、バイバーイ」
手をヒラヒラと振りながら、姫は作業小屋を出ていった。手の中に残ったビンには子供っぽい字で、「お腹よわよわお兄ちゃん用のお薬」と書いてある。
……これ以上煽られるのも嫌だし、薬を飲んでさっさと設計図を作り上げるとしよう。
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