コスプレから始まる恋は本物ですか!?

白群

文字の大きさ
19 / 21
第2部

第8話

しおりを挟む
「お兄ちゃん、かっこいいよー!!」
温泉から帰ってきた数日後。
奏多は久々にコスイベに参加をしていて、ラッキーに扮した愛佳が嬉しそうにレオンに扮した奏多にカメラを向けて何枚も撮っていた。
恥ずかしそうにしていると、そこにマルスとリリィのコスをした琉斗とゆいがやってきて近寄ってきた瞬間、琉斗に手を掴まれてしまった。
「へ?」
「奏多さん、久しぶりですね…ずっと会いたかった…」
「いや、この間会ったじゃないですか!?というか、こんな手を握ったりしたら駄目です!!」
ペシっと無理矢理剥がすと琉斗はしゅんと落ち込んできて、心にぐさっと来たが何とか我慢をすると…そこにハイトの新衣装に身を包んだはじめがやってきてあまりの綺麗さに周りは見惚れていた。
奏多も見惚れているとバッチリ目があってしまい、笑顔を向けられた。
「奏多さん、愛佳さん、琉斗さん、ゆいさんおはようございます!」
「お、おはよう、はじめさん、衣装凄いですね」
「はい、愛佳さんに手伝ってもらいながら準備しました!」
「じゃあ早速写真撮っていいですか?」
カメラを構える愛佳に全員は頷くとそれぞれポーズや表情を作って撮影を開始した。
久々のコスイベに奏多は心の中で楽しんでいると、琉斗とはじめが奏多を挟んで立ってきて、ん?となった時にはかなりの密着度で奏多は顔を真っ赤にしながら2人を剥がした。
「密着度高い!駄目!」
「はーい…」
しゅんと落ち込む2人に怒っていると…愛佳が声をかけてきた。
「お兄ちゃん、そろそろ休憩に行かない?」
愛佳の提案に奏多は「そうだな」と言うと、他の3人にも了承を得て全員で近くのファミレスに移動をした。

ファミレスに入り、奥に座る琉斗、ゆい、はじめの3人を見てイケメンっぷりに奏多はボーッとしながら見ていると琉斗とばっちり目が合ってしまい、すぐに愛佳とメニュー表を見始めた。
それぞれ頼んで料理来るまで他愛ない話をしていると、ゆいがスマホを取り出して画面を見せてきた。
「じゃーん、この間の温泉旅行の写真でーす」
「おお!!めっちゃくちゃ素敵ー!!」
流石に愛佳の前なので絡みが強いのは除外しており、奏多はホッとしながら見ていると…ふとはじめを見ると真剣な表情で見ていて首を傾げた。
問いかけようとしたが、そこに料理が来てしまい何も言えなくなってしまった。
そして休憩を終えてファミレスを出ると、ゆいと琉斗は他の人と撮影があるのでその場で別れてしまい3人で撮影を再開することにした。

色んなレイヤーさんや一般参加している方々と楽しんでいるとだんだん人気が少なくてなってきてコスイベの終わりが近づいてきていた。
奏多はゆっくり目を閉じてから開くと、愛佳と話していたはじめに近寄り声をかけた。
「ごめん、愛佳。はじめさん借りていい?」
「?いいよ、撮影ならしよっか?」
きょとんとした顔でカメラを見せてきた愛佳に対し、奏多は首を横に振ると真剣な表情と声色で伝えた。
「大事な話だから」
その言葉に察したのかはじめは「分かりました」と言うと、その場から離れて人気が少ないところに向かった。

「それで奏多さん、大事な話って…」
「うん、告白なんだけど…」
そこで言葉が途切れてしまい、口に出しづらかったが何とか決心すると頭を思いっきり下げて伝えた。

「ごめんなさい、付き合えません」

頭を上げたが顔を上げることが出来ず、俯いているとはじめの声が聞こえてきた。
「やっぱりそうですよね…何となく気づいていました」
「え…?」
顔を上げるとはじめがスマホを弄っていて、画面を見せてきて見てみるとそこにはさっき皆で撮った写真と温泉の時に撮った写真があり、首を傾げた。
ジーッと見ても何の違和感もなく不思議そうに見つめているとはじめが言ってきた。
「奏多さん、皆さんの前と琉斗さんの前じゃ全然顔が違うんだな…って思っていました」
「嘘っ!?」
まさかの事に何度も見返したがやっぱり分からなかった。
そんな奏多を見て、はじめはクスクス笑うとスマホをしまって話し出した。
「いつも2人を見ていて…思ったんです。奏多さんにマルスっぽく振る舞う琉斗さん心までマルスになりきっているのか…と思ったらそんな事なくて、奏多さんが好きだからあんな行動をしているんだなーって…そしてそんな事されて奏多さんは凄く嬉しそうで…だから告白しても無いだろうなと思ってました」
「はじめさん…ごめんなさい」
もう一度頭を下げるとはじめが慌てながらすぐに上げさせてきた。
そして肩をしっかり掴むと真剣な表情で聞いてきた。
「奏多さんは琉斗さんのことどうなんですか?」
「俺は………

大好きです…マルスとかイケメンとか関係なく琉斗さんが大好きです」

そう答えるとはじめは嬉しそうに笑って肩を掴んでいた手を離して一歩下がった。
「琉斗さんじゃ敵いませんね、俺は諦めます…」
「はじめさん…」
「それより、これからも一緒にコスプレしてくれますか?」
まさかの問いかけに奏多はきょとんとしたが、すぐに「もちろん!」って返事をするとはじめはニッコリ笑って奏多も笑顔で返したのであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

聖女召喚の巻き添えで喚ばれた「オマケ」の男子高校生ですが、魔王様の「抱き枕」として重宝されています

八百屋 成美
BL
聖女召喚に巻き込まれて異世界に来た主人公。聖女は優遇されるが、魔力のない主人公は城から追い出され、魔の森へ捨てられる。 そこで出会ったのは、強大な魔力ゆえに不眠症に悩む魔王。なぜか主人公の「匂い」や「体温」だけが魔王を安眠させることができると判明し、魔王城で「生きた抱き枕」として飼われることになる。

偽物勇者は愛を乞う

きっせつ
BL
ある日。異世界から本物の勇者が召喚された。 六年間、左目を失いながらも勇者として戦い続けたニルは偽物の烙印を押され、勇者パーティから追い出されてしまう。 偽物勇者として逃げるように人里離れた森の奥の小屋で隠遁生活をし始めたニル。悲嘆に暮れる…事はなく、勇者の重圧から解放された彼は没落人生を楽しもうとして居た矢先、何故か勇者パーティとして今も戦っている筈の騎士が彼の前に現れて……。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

αからΩになった俺が幸せを掴むまで

なの
BL
柴田海、本名大嶋海里、21歳、今はオメガ、職業……オメガの出張風俗店勤務。 10年前、父が亡くなって新しいお義父さんと義兄貴ができた。 義兄貴は俺に優しくて、俺は大好きだった。 アルファと言われていた俺だったがある日熱を出してしまった。 義兄貴に看病されるうちにヒートのような症状が… 義兄貴と一線を超えてしまって逃げ出した。そんな海里は生きていくためにオメガの出張風俗店で働くようになった。 そんな海里が本当の幸せを掴むまで…

家を追い出されたのでツバメをやろうとしたら強面の乳兄弟に反対されて困っている

香歌奈
BL
ある日、突然、セレンは生まれ育った伯爵家を追い出された。 異母兄の婚約者に乱暴を働こうとした罪らしいが、全く身に覚えがない。なのに伯爵家当主となっている異母兄は家から締め出したばかりか、ヴァーレン伯爵家の籍まで抹消したと言う。 途方に暮れたセレンは、年の離れた乳兄弟ギーズを頼ることにした。ギーズは顔に大きな傷跡が残る強面の騎士。悪人からは恐れられ、女子供からは怯えられているという。でもセレンにとっては子守をしてくれた優しいお兄さん。ギーズの家に置いてもらう日々は昔のようで居心地がいい。とはいえ、いつまでも養ってもらうわけにはいかない。しかしお坊ちゃん育ちで手に職があるわけでもなく……。 「僕は女性ウケがいい。この顔を生かしてツバメをしようかな」「おい、待て。ツバメの意味がわかっているのか!」美貌の天然青年に振り回される強面騎士は、ついに実力行使に出る?!

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

転生DKは、オーガさんのお気に入り~姉の婚約者に嫁ぐことになったんだが、こんなに溺愛されるとは聞いてない!~

トモモト ヨシユキ
BL
魔物の国との和議の証に結ばれた公爵家同士の婚約。だが、婚約することになった姉が拒んだため6男のシャル(俺)が代わりに婚約することになった。 突然、オーガ(鬼)の嫁になることがきまった俺は、ショックで前世を思い出す。 有名進学校に通うDKだった俺は、前世の知識と根性で自分の身を守るための剣と魔法の鍛練を始める。 約束の10年後。 俺は、人類最強の魔法剣士になっていた。 どこからでもかかってこいや! と思っていたら、婚約者のオーガ公爵は、全くの塩対応で。 そんなある日、魔王国のバーティーで絡んできた魔物を俺は、こてんぱんにのしてやったんだが、それ以来、旦那様の様子が変? 急に花とか贈ってきたり、デートに誘われたり。 慣れない溺愛にこっちまで調子が狂うし! このまま、俺は、絆されてしまうのか!? カイタ、エブリスタにも掲載しています。

処理中です...