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1章 パーティー追放からざまぁするまで
32話 元仲間たちと決着がつきました
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「……気のせいか?」
特に変わった様子はない。揺れたはずの空間にも異常はないように思う。
一体、何だったのだろうか。
カインを中心に空間ごと揺れた気がするんだけど……。
……まあいいか。
とりあえず、シオンには気を失ってもらおう。
牢屋にぶち込むってなると、起きていたらワーキャー喚いてやかましいだろうし、魔法を撃たれたら面倒だ。
俺はシオンに向かって歩みを進める。
「な、何よ! 来ないでよ! アンタが悪いんじゃない!」
まだ俺が悪いと騒ぐのか。
もう勝ち目はないんだから、せめて自分の非を認めるような素振りぐらい見せてみろ。
そんな表面上の反省をされてもトドメを刺すことには変わりないけどな。
「来ないでって言ってるでしょ! 何でっ、何でこんなことになるのよ! アンタ、今まで私たちを騙してたの!? そんなに強いなんて聞いてない! そっ、そうよ! 私は悪くない! 悪いのはカインとリリアよ! 私は止めたよ? だから私は見逃して――」
「――知るか。じゃあな」
俺はシオンの頭部に問答無用でスライムを作り出した。
すると、シオンは苦しいのかその場で悶え始めた。
それもそうだろう。
シオンが話しているときにスライムを作り出したから、今あいつの口の中はスライムに侵されている。
といってもただそこに留まり続けるだけだから、別に害があるわけじゃない。
だから無理して剥がそうとしない方がいい。
気を失ったのを確認できたら勝手に剥がれるように命令してあるし、もがき続ける限り苦しめられるだけだ。
早く意識を手放した方が楽になれるぞ。
俺も見ていて気持ちのいいことじゃないし。
それにしてもシオンは何が言いたかったんだろう? 言ってることが無茶苦茶で意味が分からなかった。
アホな奴だというのは改めて思い直したけど。お前も一緒になって俺をパーティーから追い出していただろうに。
何が私は見逃して――だ。
人のことを馬鹿にするのも大概にしろよな。
「……さて」
ファイアスパイラルに吹き飛ばされてから身動き一つ取らないカインの下へ。
どうやらまだ意識を持っているらしい。あれで意識を飛ばさないのは、流石Sランクといったところか。
それにしても酷い有り様だな。
カインの腹部は焼き爛れていた。未だに煙が上がっていて、微かに肉の焼ける匂いがする。
ただ、ファイアインパクト・廻を使ったときみたいに肋骨が見えている、なんてことはなかった。
「…………」
俺はカインの顔を見下ろせる位置にやってきた。
後はこいつにトドメを刺して、牢屋にぶち込むだけだ。
しかし、
「何で、こんなことになっちまったんだぁ……? 何でSランクの俺が負けて、無能のアルトに見下されてんだ?」
カインが何か言いたげなので、最後まで聞いてやることにした。
「なあアルト……。お前は無能じゃなかったのかよぉ……。ずっと力を隠して騙してたのか……?」
「…………」
「何とか言えよ……。俺たちを騙してたんだろ? パーティーからお前を追い出すよう、お前が仕向けたんだ……。だったら俺たちなんも悪くねぇじゃねぇか。……そうだよ、何も悪くねぇ。騙してたアルトが悪い。だから償え。パーティーに戻ってこい。そんなに強いなら追い出す必要もなかった……」
「…………」
「お前の後に入れた奴はもう追い出した。お前が望むなら、シオンもリリアも好きにしていい。だから、また俺たちと一緒に冒険者を――」
「――やるわけねぇだろ。もう遅いんだよ、何もかも……」
それにここまで来て、一切の謝罪もない。
そのうえ俺が悪いと決めつけて、こいつは一体何様のつもりだ? 人にものを頼む態度じゃない。
つーか、いらねぇよ。シオンもリリアも。
俺はあいつらが大嫌いだ。この世で一番嫌いなお前に何度も抱かれた女なんざ欲しくもねぇ。
大して可愛くもねぇし、クソなんだよ。
だから、
「もう二度と俺の目の前に現れるな。クソ野郎!」
言いたいことを言ってやった。
「じゃあな、カイン」
「まっ、待て! わ、分かった! 俺が悪かった――」
「――もう遅いって。それぐらい、分かるだろ」
そして俺はカインにトドメを刺した。
シオンとリリアと同じ方法で。
だが、それだけでは気が済まない。
流石に性別上女の子だからシオンとリリアにはできなかったが、カインは男だからな。
手加減はしてやらない。
俺はカインの身ぐるみを全部剥ぎ、すっぽんぽんの状態にしてやった。
後は奴の息子にマジックでゾウさんの絵を描いて……と。
「よし。これで子どものゾウさんだな」
まさかカインのそれがこんなに小さかったとは……。
シオンとリリアはこれで満足してたのか?
……お似合いだな。
シオンとリリアは胸小さいし。
さて。
「一回、ロンドに戻るか。後は兵士に任せればそれでいいだろう」
こうして俺は過去と決別し、ようやく前だけを向くことができるようになるのだった。
特に変わった様子はない。揺れたはずの空間にも異常はないように思う。
一体、何だったのだろうか。
カインを中心に空間ごと揺れた気がするんだけど……。
……まあいいか。
とりあえず、シオンには気を失ってもらおう。
牢屋にぶち込むってなると、起きていたらワーキャー喚いてやかましいだろうし、魔法を撃たれたら面倒だ。
俺はシオンに向かって歩みを進める。
「な、何よ! 来ないでよ! アンタが悪いんじゃない!」
まだ俺が悪いと騒ぐのか。
もう勝ち目はないんだから、せめて自分の非を認めるような素振りぐらい見せてみろ。
そんな表面上の反省をされてもトドメを刺すことには変わりないけどな。
「来ないでって言ってるでしょ! 何でっ、何でこんなことになるのよ! アンタ、今まで私たちを騙してたの!? そんなに強いなんて聞いてない! そっ、そうよ! 私は悪くない! 悪いのはカインとリリアよ! 私は止めたよ? だから私は見逃して――」
「――知るか。じゃあな」
俺はシオンの頭部に問答無用でスライムを作り出した。
すると、シオンは苦しいのかその場で悶え始めた。
それもそうだろう。
シオンが話しているときにスライムを作り出したから、今あいつの口の中はスライムに侵されている。
といってもただそこに留まり続けるだけだから、別に害があるわけじゃない。
だから無理して剥がそうとしない方がいい。
気を失ったのを確認できたら勝手に剥がれるように命令してあるし、もがき続ける限り苦しめられるだけだ。
早く意識を手放した方が楽になれるぞ。
俺も見ていて気持ちのいいことじゃないし。
それにしてもシオンは何が言いたかったんだろう? 言ってることが無茶苦茶で意味が分からなかった。
アホな奴だというのは改めて思い直したけど。お前も一緒になって俺をパーティーから追い出していただろうに。
何が私は見逃して――だ。
人のことを馬鹿にするのも大概にしろよな。
「……さて」
ファイアスパイラルに吹き飛ばされてから身動き一つ取らないカインの下へ。
どうやらまだ意識を持っているらしい。あれで意識を飛ばさないのは、流石Sランクといったところか。
それにしても酷い有り様だな。
カインの腹部は焼き爛れていた。未だに煙が上がっていて、微かに肉の焼ける匂いがする。
ただ、ファイアインパクト・廻を使ったときみたいに肋骨が見えている、なんてことはなかった。
「…………」
俺はカインの顔を見下ろせる位置にやってきた。
後はこいつにトドメを刺して、牢屋にぶち込むだけだ。
しかし、
「何で、こんなことになっちまったんだぁ……? 何でSランクの俺が負けて、無能のアルトに見下されてんだ?」
カインが何か言いたげなので、最後まで聞いてやることにした。
「なあアルト……。お前は無能じゃなかったのかよぉ……。ずっと力を隠して騙してたのか……?」
「…………」
「何とか言えよ……。俺たちを騙してたんだろ? パーティーからお前を追い出すよう、お前が仕向けたんだ……。だったら俺たちなんも悪くねぇじゃねぇか。……そうだよ、何も悪くねぇ。騙してたアルトが悪い。だから償え。パーティーに戻ってこい。そんなに強いなら追い出す必要もなかった……」
「…………」
「お前の後に入れた奴はもう追い出した。お前が望むなら、シオンもリリアも好きにしていい。だから、また俺たちと一緒に冒険者を――」
「――やるわけねぇだろ。もう遅いんだよ、何もかも……」
それにここまで来て、一切の謝罪もない。
そのうえ俺が悪いと決めつけて、こいつは一体何様のつもりだ? 人にものを頼む態度じゃない。
つーか、いらねぇよ。シオンもリリアも。
俺はあいつらが大嫌いだ。この世で一番嫌いなお前に何度も抱かれた女なんざ欲しくもねぇ。
大して可愛くもねぇし、クソなんだよ。
だから、
「もう二度と俺の目の前に現れるな。クソ野郎!」
言いたいことを言ってやった。
「じゃあな、カイン」
「まっ、待て! わ、分かった! 俺が悪かった――」
「――もう遅いって。それぐらい、分かるだろ」
そして俺はカインにトドメを刺した。
シオンとリリアと同じ方法で。
だが、それだけでは気が済まない。
流石に性別上女の子だからシオンとリリアにはできなかったが、カインは男だからな。
手加減はしてやらない。
俺はカインの身ぐるみを全部剥ぎ、すっぽんぽんの状態にしてやった。
後は奴の息子にマジックでゾウさんの絵を描いて……と。
「よし。これで子どものゾウさんだな」
まさかカインのそれがこんなに小さかったとは……。
シオンとリリアはこれで満足してたのか?
……お似合いだな。
シオンとリリアは胸小さいし。
さて。
「一回、ロンドに戻るか。後は兵士に任せればそれでいいだろう」
こうして俺は過去と決別し、ようやく前だけを向くことができるようになるのだった。
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