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Two phrase.*・゚ .゚・*.
1st
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「ほぇ・・・・・・」
思わず情けない声が出た。
母が重々しい鉄の扉を精一杯の力で押し開ける。その扉を恐る恐る通った。
荷物と共に詰め込まれた車で4時間という長旅の後、ようやく叔母の家に着くと、夏の暖かな風が、芝生を走り、私を迎え入れた。
鉄の柵で囲まれた敷地内には、人工芝が敷いてあり、その中央には煉瓦の大きな道がある。その道は真っ直ぐ続き、屋敷の扉に続いていた。
敷地は思ったより広く、屋敷はまだ遠くに見える。
大きな、迫力のある屋敷に見とれて、煉瓦の道を軽い足取りで進むと、段々、屋敷の全貌が明らかになってきた。
「綺麗・・・・・・!」
薄ピンクの壁はあの資料と同じ色。白い屋根に、屋敷をぐるりと囲む色とりどりの花達。窓は何処かの洋画で見たような、何とも美しい造りだった。
「今日から1ヶ月。此処で、住むのよ」
鉄の扉を閉め終えた母が、息絶え絶えになって、ようやく追いついて来たよう。
なんとも達成感溢れる表情だった。
「ちょっと楽しみかも」
屋敷を見上げながら、心外ながらもそう思ってしまう。
「ふふっ、それは良かったわ」
母も何だか嬉しそうだった。露骨に嫌がってもいられない、アタシはこれから始まる新たな生活に心踊らされる。
「お婆ちゃんいるわよね」
母は、カツカツと歩き出して、屋敷の大きな扉の前に立った。
アタシも、急いでその背中を追い掛ける。
すると、母は扉の前でしゃがみ、何かに話し掛けている様だった。
「お母さん? 何と話してるの?」
お母さんの言葉を素直に聞いていたのは、白い子猫。何とも美しく、品のある、この家に適した猫だった。
「この猫にお婆ちゃん呼んできてもらうのよ」
猫も可愛らしくにゃーんと鳴き声を上げ、扉の隅にある猫用扉から屋敷内へ入っていった。
そして暫くすると。
「はぁーい」
大きな扉の置くから安心感漂う女性の声が聞こえた。
きっと、この声はお婆ちゃんだ。そう、確信する。
ーギギギィ
扉は音を立てると静かに開き始めた。その微かな隙間から、先程の子猫を抱いた人物が見える。次第にその隙間は大きくなって、子猫を抱いた人物の顔が顕になった。
「まぁ! 煽姫! ようこそ!」
あれ?
小さい頃のイメージと全然違う。
優しげに微笑むその女性は、まだお婆ちゃんとは言えない程若々しく、別に魔女といった怪しい雰囲気も無い。
こんなお婆ちゃんに歓迎してもらえるなんて、ちょっと胸が軽くなった。
「この子。今日からお世話になるね」
母は、深々と頭を下げる。それを見てお婆ちゃんはふふっ、と笑うと、「任せて頂戴」と猫を撫でながら言った。
「じゃ、私は行くから」
「えっ! もうお母さん行くの?」
「お母さんまだ仕事あるから」
母もくす、と微笑む。やはり親子。お婆ちゃんとよく似た笑顔だと思った。
あんなに怒鳴り散らした母だけど、今は寂しい。しばらくは会えないのだと思うと、胸の奥が詰まる。
「お、お母さん。アタシ頑張るから。しっかりいい女になって、真面目になって、いい学校入れてくれた恩、返すから!」
今日で一体何回泣くのだ。
また自然と涙が溢れる私の肩を、いつの間にか猫を降ろしたお婆ちゃんが、そっと支えてくれた。
「頑張れ」
母はそう告げると、煉瓦の道を1人、進んで行く。
母は強し、その言葉こそ言い過ぎだが、何だかとても強く美しく、母の背中はアタシの目に焼き付いた。
「あっ、そう言えば荷物は?」
お婆ちゃんに問い掛けると、笑顔のまま、アタシの隣を指さす。
首を傾げて指された方向に視線を向けると、そこにはいつの間にか、あの大量の荷物が置かれていた。
「いつの間に!?」
驚いて1歩下がると、お婆ちゃんはくすくすと肩を揺らして笑って。
「使用人にやってもらったのよ。さぁ、家の中へ入って?」
猫もにゃーんと足元で鳴く。
アタシは重い荷物を両手に抱えて、屋敷の中に入って行った。
荷物のせいでよく見えないが、床は大理石に真紅のカーペット。壁は薄いレモン色。3m置きくらいにランタンが灯してあり、美しく揺れる炎は、心を奪われそうだった。
「うふふ、転ばないようにね」
お婆ちゃんは手伝ってこそくれないものの、アタシの歩調に合わせて歩いてくれている。
「あ、うん。大丈夫」
まだ慣れないお婆ちゃんとの会話にぎくしゃくしながらも、愛想笑いを浮かべた。
ちょ、腕・・・・・・辛い。
腕の痛さに眉間に皺が寄る。
「煽姫、お疲れ様。此処が貴女の部屋よ」
お婆ちゃんは扉の横に立って、扉を開けて待ってくれている。
「あ!うん!」
やっとこの腕の痛みから開放されると思って、最後は部屋へ向かって走った。
荷物があるので、部屋の内装もよく確認しないまま、取り敢えずベッドであろう場所に山積みの荷物をどさっと置く。
「私は部屋にいるから、長旅だったし、少し休みなさいね」
ニコッと笑うお婆ちゃんに、頭を下げてお礼を言うと、お婆ちゃんは去っていった。
がちゃりと扉の閉まる音と共に、この脱力感。
アタシはその場にへたりと座り込んだ。
扉は焦げ茶色の木の造り。なんだかチョコレートみたいで美味しそう。
ーぐぎゅるる
そう思ったら、腹の音がなった。そうか、お腹が減ったのか。
その事に気付くと、先程荷物を置いたベッドに腰掛け、荷物の中を漁り、数粒の飴を見つける。
「あったあった」
笑顔でその飴を口に含むと、ふんわりと苺みるくの優しい甘さが広がった。
その飴を口の中でコロコロと転がしながら、部屋をぐるりと見回す。アタシの元住んでいた部屋とはまるで違った。
壁は1面薄いピンク。お婆ちゃん相当薄いピンクの好きなのかな。
そのピンクの中に、金で縁どった黄緑色の家具達が綺麗に並んで置かれている。
ここの掃除も、その使用人さんとやらがしてくれたのかな?
「大変そうだな」
思わず本音が漏れた。
飴はなかなか無くならない。今現在腰掛けているこのベッドも天蓋付きで、とても安い物とは思えなかった。
お婆ちゃんお金持ちなんだね、学園理事長してるだけあるし。
「そういえば・・・・・・」
此処は、元々誰の部屋なのだろう。
淡いピンクと爽やかなエメラルド色の部屋だ。女の子のものには違いないが、でも、誰の?
来客用かとも思ったが、来客用にしては少し気合いが入り過ぎている。
かと言ってアタシの為だけに作られた部屋と言うのもない。1ヶ月、それだけの期間の為だけにこれだけの家具を一式揃えるとも思えなかった。
いくら金持ちでも、きっとこの美しいレースで取り繕われたベッドだって、ウン万円じゃ買えないだろう(貧乏人判断)。
「・・・・・・ん?」
部屋の端のカーペットがめくれてしまっている。静かに立ち上がると、その端へ向かった。
カーペットのめくれた床を覗き込む。そこには大理石の床が・・・・・・。
「!?」
思わず1歩引いてしまう。別に怖かった訳じゃない。だって慣れてるし。でも、今この建物にあるべきものではないのに。
大理石の美しい白に、赤い血が乾いていた。
なんでと首を傾げるスキもなく、お婆ちゃんの声がこちらに向かって廊下を響き渡っている。
「煽姫~っ、お昼を作ったわよ。いらっしゃい」
いらっしゃいと言われても、何処に行けばいいのか・・・。
取り敢えず、扉を開けて、廊下を見渡した。すると、幾つか先の扉を開けて、手を振るお婆ちゃんの姿が見える。
「はぁ~い!」
大きく返事して、お婆ちゃんの元へ走って向かった。
次、部屋に戻る頃には、あの血の事なんて忘れていた。
風でも吹いたのだろうか。カーペットのめくれも、直っていたから。
思わず情けない声が出た。
母が重々しい鉄の扉を精一杯の力で押し開ける。その扉を恐る恐る通った。
荷物と共に詰め込まれた車で4時間という長旅の後、ようやく叔母の家に着くと、夏の暖かな風が、芝生を走り、私を迎え入れた。
鉄の柵で囲まれた敷地内には、人工芝が敷いてあり、その中央には煉瓦の大きな道がある。その道は真っ直ぐ続き、屋敷の扉に続いていた。
敷地は思ったより広く、屋敷はまだ遠くに見える。
大きな、迫力のある屋敷に見とれて、煉瓦の道を軽い足取りで進むと、段々、屋敷の全貌が明らかになってきた。
「綺麗・・・・・・!」
薄ピンクの壁はあの資料と同じ色。白い屋根に、屋敷をぐるりと囲む色とりどりの花達。窓は何処かの洋画で見たような、何とも美しい造りだった。
「今日から1ヶ月。此処で、住むのよ」
鉄の扉を閉め終えた母が、息絶え絶えになって、ようやく追いついて来たよう。
なんとも達成感溢れる表情だった。
「ちょっと楽しみかも」
屋敷を見上げながら、心外ながらもそう思ってしまう。
「ふふっ、それは良かったわ」
母も何だか嬉しそうだった。露骨に嫌がってもいられない、アタシはこれから始まる新たな生活に心踊らされる。
「お婆ちゃんいるわよね」
母は、カツカツと歩き出して、屋敷の大きな扉の前に立った。
アタシも、急いでその背中を追い掛ける。
すると、母は扉の前でしゃがみ、何かに話し掛けている様だった。
「お母さん? 何と話してるの?」
お母さんの言葉を素直に聞いていたのは、白い子猫。何とも美しく、品のある、この家に適した猫だった。
「この猫にお婆ちゃん呼んできてもらうのよ」
猫も可愛らしくにゃーんと鳴き声を上げ、扉の隅にある猫用扉から屋敷内へ入っていった。
そして暫くすると。
「はぁーい」
大きな扉の置くから安心感漂う女性の声が聞こえた。
きっと、この声はお婆ちゃんだ。そう、確信する。
ーギギギィ
扉は音を立てると静かに開き始めた。その微かな隙間から、先程の子猫を抱いた人物が見える。次第にその隙間は大きくなって、子猫を抱いた人物の顔が顕になった。
「まぁ! 煽姫! ようこそ!」
あれ?
小さい頃のイメージと全然違う。
優しげに微笑むその女性は、まだお婆ちゃんとは言えない程若々しく、別に魔女といった怪しい雰囲気も無い。
こんなお婆ちゃんに歓迎してもらえるなんて、ちょっと胸が軽くなった。
「この子。今日からお世話になるね」
母は、深々と頭を下げる。それを見てお婆ちゃんはふふっ、と笑うと、「任せて頂戴」と猫を撫でながら言った。
「じゃ、私は行くから」
「えっ! もうお母さん行くの?」
「お母さんまだ仕事あるから」
母もくす、と微笑む。やはり親子。お婆ちゃんとよく似た笑顔だと思った。
あんなに怒鳴り散らした母だけど、今は寂しい。しばらくは会えないのだと思うと、胸の奥が詰まる。
「お、お母さん。アタシ頑張るから。しっかりいい女になって、真面目になって、いい学校入れてくれた恩、返すから!」
今日で一体何回泣くのだ。
また自然と涙が溢れる私の肩を、いつの間にか猫を降ろしたお婆ちゃんが、そっと支えてくれた。
「頑張れ」
母はそう告げると、煉瓦の道を1人、進んで行く。
母は強し、その言葉こそ言い過ぎだが、何だかとても強く美しく、母の背中はアタシの目に焼き付いた。
「あっ、そう言えば荷物は?」
お婆ちゃんに問い掛けると、笑顔のまま、アタシの隣を指さす。
首を傾げて指された方向に視線を向けると、そこにはいつの間にか、あの大量の荷物が置かれていた。
「いつの間に!?」
驚いて1歩下がると、お婆ちゃんはくすくすと肩を揺らして笑って。
「使用人にやってもらったのよ。さぁ、家の中へ入って?」
猫もにゃーんと足元で鳴く。
アタシは重い荷物を両手に抱えて、屋敷の中に入って行った。
荷物のせいでよく見えないが、床は大理石に真紅のカーペット。壁は薄いレモン色。3m置きくらいにランタンが灯してあり、美しく揺れる炎は、心を奪われそうだった。
「うふふ、転ばないようにね」
お婆ちゃんは手伝ってこそくれないものの、アタシの歩調に合わせて歩いてくれている。
「あ、うん。大丈夫」
まだ慣れないお婆ちゃんとの会話にぎくしゃくしながらも、愛想笑いを浮かべた。
ちょ、腕・・・・・・辛い。
腕の痛さに眉間に皺が寄る。
「煽姫、お疲れ様。此処が貴女の部屋よ」
お婆ちゃんは扉の横に立って、扉を開けて待ってくれている。
「あ!うん!」
やっとこの腕の痛みから開放されると思って、最後は部屋へ向かって走った。
荷物があるので、部屋の内装もよく確認しないまま、取り敢えずベッドであろう場所に山積みの荷物をどさっと置く。
「私は部屋にいるから、長旅だったし、少し休みなさいね」
ニコッと笑うお婆ちゃんに、頭を下げてお礼を言うと、お婆ちゃんは去っていった。
がちゃりと扉の閉まる音と共に、この脱力感。
アタシはその場にへたりと座り込んだ。
扉は焦げ茶色の木の造り。なんだかチョコレートみたいで美味しそう。
ーぐぎゅるる
そう思ったら、腹の音がなった。そうか、お腹が減ったのか。
その事に気付くと、先程荷物を置いたベッドに腰掛け、荷物の中を漁り、数粒の飴を見つける。
「あったあった」
笑顔でその飴を口に含むと、ふんわりと苺みるくの優しい甘さが広がった。
その飴を口の中でコロコロと転がしながら、部屋をぐるりと見回す。アタシの元住んでいた部屋とはまるで違った。
壁は1面薄いピンク。お婆ちゃん相当薄いピンクの好きなのかな。
そのピンクの中に、金で縁どった黄緑色の家具達が綺麗に並んで置かれている。
ここの掃除も、その使用人さんとやらがしてくれたのかな?
「大変そうだな」
思わず本音が漏れた。
飴はなかなか無くならない。今現在腰掛けているこのベッドも天蓋付きで、とても安い物とは思えなかった。
お婆ちゃんお金持ちなんだね、学園理事長してるだけあるし。
「そういえば・・・・・・」
此処は、元々誰の部屋なのだろう。
淡いピンクと爽やかなエメラルド色の部屋だ。女の子のものには違いないが、でも、誰の?
来客用かとも思ったが、来客用にしては少し気合いが入り過ぎている。
かと言ってアタシの為だけに作られた部屋と言うのもない。1ヶ月、それだけの期間の為だけにこれだけの家具を一式揃えるとも思えなかった。
いくら金持ちでも、きっとこの美しいレースで取り繕われたベッドだって、ウン万円じゃ買えないだろう(貧乏人判断)。
「・・・・・・ん?」
部屋の端のカーペットがめくれてしまっている。静かに立ち上がると、その端へ向かった。
カーペットのめくれた床を覗き込む。そこには大理石の床が・・・・・・。
「!?」
思わず1歩引いてしまう。別に怖かった訳じゃない。だって慣れてるし。でも、今この建物にあるべきものではないのに。
大理石の美しい白に、赤い血が乾いていた。
なんでと首を傾げるスキもなく、お婆ちゃんの声がこちらに向かって廊下を響き渡っている。
「煽姫~っ、お昼を作ったわよ。いらっしゃい」
いらっしゃいと言われても、何処に行けばいいのか・・・。
取り敢えず、扉を開けて、廊下を見渡した。すると、幾つか先の扉を開けて、手を振るお婆ちゃんの姿が見える。
「はぁ~い!」
大きく返事して、お婆ちゃんの元へ走って向かった。
次、部屋に戻る頃には、あの血の事なんて忘れていた。
風でも吹いたのだろうか。カーペットのめくれも、直っていたから。
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