10 / 66
第一章
実技授業での事故
しおりを挟む
魔法の実技授業は、教師たちが結界を張り巡らせた講堂で行われる。騎士を志す令息や、逆に官僚を目指す者などは、それぞれ専攻の講義を受ける。だが今日の授業は、令嬢も令息も受ける基礎講義だった。
最終学年ともなれば、自分で術式を改良する力が求められる。今日はそれを教師に披露する場だ。
講堂には幾人もの教師がいる。この授業は事故が起こりやすい。血に宿る魔力が少ない者は貧血で倒れることもある。貴族の子弟がわざわざ学園に集められるのは、そういった事態にすぐさま対処できるように、という理由もあるのだ。
ヴィクトリアは早々に課題を終わらせ、ユージェニーと談笑していた。ヴィクトリアは生まれつき魔力が飛び抜けて多く、また座学の成績も常に上位を保っている。教師たちもヴィクトリアのことは信頼しており、授業中に多少自由にしていても許されていた。
もちろん、リアムもしっかり合格を貰っている。今はヴィクトリアの後ろで静かに待機していた。
「ヴィクトリア様のような才能が私にもあれば……」
「ユージェニーも先生に褒めていただいてたじゃない」
「あれは、前にリアム卿が見てくださった術式ですわ。もちろん、私なりに改良も致しましたけれど」
「そうやって努力することがあなたの美しさなのだから、わたくしはそれを横で見ていたいわ」
「またそうやって、ヴィクトリア様は私を甘やかすのです!」
拗ねたように言うユージェニーだが、耳の先が赤くなっている。微笑ましくその姿を眺めていると、突然リアムが前に飛び出した。
懐から引っ張り出した筒状のスクロールを投げつけ、ヴィクトリアとユージェニーに覆い被さるようにして身を伏せる。
悲鳴が上がった。ユージェニーのものと、もう一つ別の女性の声。
リアムが頷いたのを確認して、ヴィクトリアは体を起こした。
少し離れた場所に、頭から爪先までぐっしょりと濡れた令嬢が立っていた。ぷるぷると震える手に、スクロールらしき紙が握られている。そちらも、濡れて原形を留めていなかったが。
「お嬢様、お怪我はございませんか」
「ええ。さすがはわたくしのリアムね。ユージェニーも大丈夫?」
「はい……。問題ありませんわ」
護衛の仕事をきっちりと果たしたリアムをとりあえず褒め、ユージェニーも落ち着いているのを確認してから、令嬢に視線を戻す。寒さか恐怖か、彼女は真っ青になってその場に崩れ落ちた。
「も、申し訳ございません! 間違ってスクロールを発動してしまったのです……! ヴィクトリア様に攻撃しようなどとは、決して……!」
言葉を交わしたことはなかったが、彼女が子爵家の次女であることは知っていた。ヴィクトリアはゆったりと目を細め、その姿をじっと眺める。
教師たちも寄ってきて、双方の無事を確認している。
こういった事故は、実技授業ではよくあることだ。そのために結界が張られているのだし、いつでも教師が対応できるように配置されている。
ヴィクトリアのように従者や侍女を連れている者は、彼らに護衛を任せてもいる。だから、そこまで目くじらを立てることでもないのだ。本来は。
「リアム」
その一言で主の意図を察したリアムは、淀みない口調で答えた。
「あの令嬢が、お嬢様の方を何度も見ていたので、気にしておりました。術式を刻んだ後、こちらに向き直ったので、反射のスクロールを発動させました」
ヴィクトリアは見ていなかったから分からないが、恐らくは水をぶつけるだけの術式だったのだろう。子爵令嬢は濡れているだけのようだし、リアムが発動した魔法は、攻撃をそのまま返すだけのものだ。
とはいえ、ヴィクトリアにわざと魔法を向けたのなら、それは許されることではない。
「何か申し開きはあるかしら」
「ほっ、本当に、そんなつもりはなかったのです!」
地面に額を擦り付けんばかりの令嬢に、ヴィクトリアは首を傾げた。
「だったら、どういうつもりだったのかしらね」
一層体を震わせる令嬢を見て、一瞬だけ愉悦の笑みを浮かべる。
「まあ、よろしいわ。先生、意図的であれどうであれ、これは指導の対象ですわよね? いつも通りの対応でお願いいたします」
「え……」
令嬢が顔を上げるが、ヴィクトリアはもう笑ってはいなかった。
どちらかと言えば、退屈そうな、苛立ったような、そんな目をしている。
「ヴィクトリア嬢、アイラ公爵家への詫びは必要ないと?」
駆け付けた教師が尋ねてくる。わざわざそう確認するということは、教師の方からも彼女が意図的に魔法を発動したように見えたのだろう。
「ええ。この程度の者に割く時間がもったいないですから」
「な……」
子爵令嬢は絶句したが、教師は呆れたように笑っただけだった。
「ヴィクトリア嬢らしい。それでは、そのようにしましょう」
子爵令嬢が何か言いながら、教師に連れられて行く。その背中を見送っていると、講堂の離れた所からポーラが走って来るのが見えた。
面倒なことになったと思っていると、リアムが強張った顔でその前に立った。
「ヴィクトリア様! さっきの子に何したんですか!?」
「ポーラ・アーキン嬢。お嬢様にそれ以上近づかないでもらいたい」
状況も分からないのにヴィクトリアを悪者扱いするポーラ。前よりも強い敵意が爛々と目に光っているのを見て、ヴィクトリアは隠しもせずにため息をついた。リアムが警戒するのも当然だ。
「何かされたのはわたくしの方ですわ。言いがかりはよしてくださる」
「そんなわけありません! あの子は優しい子なんだから!」
周囲で成り行きを見守っていた高位貴族の令嬢たちが、非難めいた声を上げた。それをユージェニーが抑えてくれる。今のポーラに、ヴィクトリア以外が何かを言うのは悪手だ。なぜなら。
「ポーラ、危ないから突然走ったらいけないよ」
ポーラの後ろには、ギルバートがいるのだから。
「ごめんなさい。でもどうしても気になって」
「授業中の事故は良くあることだよ。そうだよね、ヴィクトリア」
ギルバートはこちらに笑いかける。だが、その目が冷めていることは見れば分かった。リアムに庇われながら、ヴィクトリアも涼しげに返す。
「そうですわね。ここで何があったかは、先生方が知っておられますから。ああ、リアムに記憶映像を再生させてもよろしいわ。あの魔法は偽れませんから」
ポーラと違ってギルバートは馬鹿じゃない。だから、証拠があると知れば引くだろう。ギルバートは少し黙り込んで、優しくポーラを促した。
「ほらね、ポーラ。ヴィクトリアは何もしてないよ」
「そんなはずが……っ」
ポーラはぐっと唇を噛んで、ヴィクトリアを睨みつけた。
「今は……、仕方ないです。でも、絶対にあなたの悪事を暴いて、罪を償わせてみせますから!」
「存在しないものを暴くなど、おかしなことを言うのね」
ポーラにも分かるように嘲笑う。さらにきつく睨まれたが、ヴィクトリアには意味を成さない。
「覚えておいて欲しいのだけれど、わたくしとあなたには大きな身分差がありますの。わたくしが目溢ししているうちに、その態度を正すことをおすすめしますわ」
「身分なんて……! 今に意味がなくなるんだから!」
その発言が、何を意味するのか分かっていないのだろう。
これでまた、証拠が一つ増えたと、ヴィクトリアはほくそ笑んだ。
最終学年ともなれば、自分で術式を改良する力が求められる。今日はそれを教師に披露する場だ。
講堂には幾人もの教師がいる。この授業は事故が起こりやすい。血に宿る魔力が少ない者は貧血で倒れることもある。貴族の子弟がわざわざ学園に集められるのは、そういった事態にすぐさま対処できるように、という理由もあるのだ。
ヴィクトリアは早々に課題を終わらせ、ユージェニーと談笑していた。ヴィクトリアは生まれつき魔力が飛び抜けて多く、また座学の成績も常に上位を保っている。教師たちもヴィクトリアのことは信頼しており、授業中に多少自由にしていても許されていた。
もちろん、リアムもしっかり合格を貰っている。今はヴィクトリアの後ろで静かに待機していた。
「ヴィクトリア様のような才能が私にもあれば……」
「ユージェニーも先生に褒めていただいてたじゃない」
「あれは、前にリアム卿が見てくださった術式ですわ。もちろん、私なりに改良も致しましたけれど」
「そうやって努力することがあなたの美しさなのだから、わたくしはそれを横で見ていたいわ」
「またそうやって、ヴィクトリア様は私を甘やかすのです!」
拗ねたように言うユージェニーだが、耳の先が赤くなっている。微笑ましくその姿を眺めていると、突然リアムが前に飛び出した。
懐から引っ張り出した筒状のスクロールを投げつけ、ヴィクトリアとユージェニーに覆い被さるようにして身を伏せる。
悲鳴が上がった。ユージェニーのものと、もう一つ別の女性の声。
リアムが頷いたのを確認して、ヴィクトリアは体を起こした。
少し離れた場所に、頭から爪先までぐっしょりと濡れた令嬢が立っていた。ぷるぷると震える手に、スクロールらしき紙が握られている。そちらも、濡れて原形を留めていなかったが。
「お嬢様、お怪我はございませんか」
「ええ。さすがはわたくしのリアムね。ユージェニーも大丈夫?」
「はい……。問題ありませんわ」
護衛の仕事をきっちりと果たしたリアムをとりあえず褒め、ユージェニーも落ち着いているのを確認してから、令嬢に視線を戻す。寒さか恐怖か、彼女は真っ青になってその場に崩れ落ちた。
「も、申し訳ございません! 間違ってスクロールを発動してしまったのです……! ヴィクトリア様に攻撃しようなどとは、決して……!」
言葉を交わしたことはなかったが、彼女が子爵家の次女であることは知っていた。ヴィクトリアはゆったりと目を細め、その姿をじっと眺める。
教師たちも寄ってきて、双方の無事を確認している。
こういった事故は、実技授業ではよくあることだ。そのために結界が張られているのだし、いつでも教師が対応できるように配置されている。
ヴィクトリアのように従者や侍女を連れている者は、彼らに護衛を任せてもいる。だから、そこまで目くじらを立てることでもないのだ。本来は。
「リアム」
その一言で主の意図を察したリアムは、淀みない口調で答えた。
「あの令嬢が、お嬢様の方を何度も見ていたので、気にしておりました。術式を刻んだ後、こちらに向き直ったので、反射のスクロールを発動させました」
ヴィクトリアは見ていなかったから分からないが、恐らくは水をぶつけるだけの術式だったのだろう。子爵令嬢は濡れているだけのようだし、リアムが発動した魔法は、攻撃をそのまま返すだけのものだ。
とはいえ、ヴィクトリアにわざと魔法を向けたのなら、それは許されることではない。
「何か申し開きはあるかしら」
「ほっ、本当に、そんなつもりはなかったのです!」
地面に額を擦り付けんばかりの令嬢に、ヴィクトリアは首を傾げた。
「だったら、どういうつもりだったのかしらね」
一層体を震わせる令嬢を見て、一瞬だけ愉悦の笑みを浮かべる。
「まあ、よろしいわ。先生、意図的であれどうであれ、これは指導の対象ですわよね? いつも通りの対応でお願いいたします」
「え……」
令嬢が顔を上げるが、ヴィクトリアはもう笑ってはいなかった。
どちらかと言えば、退屈そうな、苛立ったような、そんな目をしている。
「ヴィクトリア嬢、アイラ公爵家への詫びは必要ないと?」
駆け付けた教師が尋ねてくる。わざわざそう確認するということは、教師の方からも彼女が意図的に魔法を発動したように見えたのだろう。
「ええ。この程度の者に割く時間がもったいないですから」
「な……」
子爵令嬢は絶句したが、教師は呆れたように笑っただけだった。
「ヴィクトリア嬢らしい。それでは、そのようにしましょう」
子爵令嬢が何か言いながら、教師に連れられて行く。その背中を見送っていると、講堂の離れた所からポーラが走って来るのが見えた。
面倒なことになったと思っていると、リアムが強張った顔でその前に立った。
「ヴィクトリア様! さっきの子に何したんですか!?」
「ポーラ・アーキン嬢。お嬢様にそれ以上近づかないでもらいたい」
状況も分からないのにヴィクトリアを悪者扱いするポーラ。前よりも強い敵意が爛々と目に光っているのを見て、ヴィクトリアは隠しもせずにため息をついた。リアムが警戒するのも当然だ。
「何かされたのはわたくしの方ですわ。言いがかりはよしてくださる」
「そんなわけありません! あの子は優しい子なんだから!」
周囲で成り行きを見守っていた高位貴族の令嬢たちが、非難めいた声を上げた。それをユージェニーが抑えてくれる。今のポーラに、ヴィクトリア以外が何かを言うのは悪手だ。なぜなら。
「ポーラ、危ないから突然走ったらいけないよ」
ポーラの後ろには、ギルバートがいるのだから。
「ごめんなさい。でもどうしても気になって」
「授業中の事故は良くあることだよ。そうだよね、ヴィクトリア」
ギルバートはこちらに笑いかける。だが、その目が冷めていることは見れば分かった。リアムに庇われながら、ヴィクトリアも涼しげに返す。
「そうですわね。ここで何があったかは、先生方が知っておられますから。ああ、リアムに記憶映像を再生させてもよろしいわ。あの魔法は偽れませんから」
ポーラと違ってギルバートは馬鹿じゃない。だから、証拠があると知れば引くだろう。ギルバートは少し黙り込んで、優しくポーラを促した。
「ほらね、ポーラ。ヴィクトリアは何もしてないよ」
「そんなはずが……っ」
ポーラはぐっと唇を噛んで、ヴィクトリアを睨みつけた。
「今は……、仕方ないです。でも、絶対にあなたの悪事を暴いて、罪を償わせてみせますから!」
「存在しないものを暴くなど、おかしなことを言うのね」
ポーラにも分かるように嘲笑う。さらにきつく睨まれたが、ヴィクトリアには意味を成さない。
「覚えておいて欲しいのだけれど、わたくしとあなたには大きな身分差がありますの。わたくしが目溢ししているうちに、その態度を正すことをおすすめしますわ」
「身分なんて……! 今に意味がなくなるんだから!」
その発言が、何を意味するのか分かっていないのだろう。
これでまた、証拠が一つ増えたと、ヴィクトリアはほくそ笑んだ。
10
お気に入りに追加
78
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
領主の妻になりました
青波鳩子
恋愛
「私が君を愛することは無い」
司祭しかいない小さな教会で、夫になったばかりのクライブにフォスティーヌはそう告げられた。
===============================================
オルティス王の側室を母に持つ第三王子クライブと、バーネット侯爵家フォスティーヌは婚約していた。
挙式を半年後に控えたある日、王宮にて事件が勃発した。
クライブの異母兄である王太子ジェイラスが、国王陛下とクライブの実母である側室を暗殺。
新たに王の座に就いたジェイラスは、異母弟である第二王子マーヴィンを公金横領の疑いで捕縛、第三王子クライブにオールブライト辺境領を治める沙汰を下した。
マーヴィンの婚約者だったブリジットは共犯の疑いがあったが確たる証拠が見つからない。
ブリジットが王都にいてはマーヴィンの子飼いと接触、画策の恐れから、ジェイラスはクライブにオールブライト領でブリジットの隔離監視を命じる。
捜査中に大怪我を負い、生涯歩けなくなったブリジットをクライブは密かに想っていた。
長兄からの「ブリジットの隔離監視」を都合よく解釈したクライブは、オールブライト辺境伯の館のうち豪華な別邸でブリジットを囲った。
新王である長兄の命令に逆らえずフォスティーヌと結婚したクライブは、本邸にフォスティーヌを置き、自分はブリジットと別邸で暮らした。
フォスティーヌに「別邸には近づくことを許可しない」と告げて。
フォスティーヌは「お飾りの領主の妻」としてオールブライトで生きていく。
ブリジットの大きな嘘をクライブが知り、そこからクライブとフォスティーヌの関係性が変わり始める。
========================================
*荒唐無稽の世界観の中、ふんわりと書いていますのでふんわりとお読みください
*約10万字で最終話を含めて全29話です
*他のサイトでも公開します
*10月16日より、1日2話ずつ、7時と19時にアップします
*誤字、脱字、衍字、誤用、素早く脳内変換してお読みいただけるとありがたいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる