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第一章
新しいお友達ユージェニー
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父は一言、「好きにすればいい」と言っただけだった。もともと父としては、断る理由がないから受けた、その程度のものだったのだろう。
ヴィクトリアとギルバートの婚約は、王家から打診されたものだった。本来ならばギルバートは、今の王太子が即位したのちに公爵位を与えられて、王族を離れる予定だった。二番目の王子もそう決まっている。
だが、アイラ公爵家との結びつきを強めたい国王の意向により、同い年のヴィクトリアとギルバートが婚約することとなった。
ここ十年ほどは特に、アイラ公爵領の発展は目覚ましい。大きな街道がいくつも通っていることもあって、人も物も集まって来る。領民たちは良く働き、その賑わいは王都に勝るとも劣らないと言われている。
貴族の中でも発言力の強いアイラ公爵家。それが王家の忠臣だと示すことで、貴族たちをまとめたいのだ。
国を乱すのは本意ではない。アイラは今も昔も、このタディリス王国に忠実に仕えてきた。
ただそれだけの婚約だった。だが、王子本人がこちらを愚弄するなら話は別だ。
「問題はどうやって婚約を解消するか、だわ」
「あの女のことを除けば、アレの素行は悪くありませんから」
リアムは相変わらず、ヴィクトリア以外に対する扱いが雑だ。宥めるように頭を撫でてあげると、気持ちよさげに、だが恥ずかしそうに目を細めた。
「学園内ですよ、お嬢様」
「飼い主のわたくしが、従者をかわいがって何が悪いのかしら」
「お嬢様がお望みなら、ワンと鳴きましょうか」
このテラスはヴィクトリアがいつも使っているため、他の人間は用が無ければやって来ない。学園内では常に注目を浴びるヴィクトリアが、人目を気にせず休める数少ない場所だ。
しかしリアムの言う通り、誰かに見られたら妙な誤解をされそうだ。どこからも見えない場所という訳ではないのだから。
前にギルバートとポーラの逢瀬をしていた裏庭からは、手すりが邪魔して見えないだろうが。
(もしかしたら、わたくしに見せつけているつもりだったのかしら、あれは)
もしそうだとしたら、くだらない見栄だ。嫌がらせにもなりやしない。
正直なところ、愛人を持つことは貴族にはよくあることで、婚約を解消するための理由としては弱い。浮気として慰謝料を請求することはできるが、公爵家から男爵家にそれをやると、むしろアイラ公爵家の格が下がる。しかも、一度は認めてしまっている。
念のために、と証拠を集めてはいるが、ギルバートはどれだけポーラを特別扱いしようとも、愛人として以上の接し方はしていないようだ。それは、ヴィクトリアとの婚約を継続する意思がある、ということ。ポーラの方が、それを理解しているかは別として。
だが、理由もなしに王家絡みの婚約を解消できるわけがない。
「何か、殿下が悪さをしてくれないかしら?」
そんな荒唐無稽な希望が通るとも思えず、ヴィクトリアはため息をついた。
座学の授業の後は、教室内に残ってお喋りする令嬢たちがたくさんいる。ヴィクトリアは大抵その時間を復習に宛てているが、時折話に参加することもある。
「ヴィクトリア様、どうかお礼を言わせていただけますか?」
「わたくし、何かしましたかしら?」
ユージェニー・ソマーズ・デラリア。デラリア領を治める伯爵家の長女で、やや気の強い性格をしているものの、成績も優秀な令嬢だと記憶している。
ユージェニーはにこりと微笑んで、ヴィクトリアに向かって深く頭を下げた。
「ヴィクトリア様が我がデラリア領で作られたハンカチを気に入ってくださったお陰で、生地生産に携わる職人たちが喜びの悲鳴を上げておりますの。デラリア領を代表して、感謝申し上げますわ」
そういえば、と思い出した。ヴィクトリアは柔らかく眉を下げて、ユージェニーの頭を上げさせた。
「どうぞ、お気になさらないで。わたくしは美しいものをそうと認めただけですもの」
「そのお言葉、職人たちにとっては何よりの喜びですわ」
ヴィクトリアはユージェニーをまじまじと見た。そして、ゆるゆると綻ぶように笑みを浮かべる。
「まあ……。なんて美しいのかしら」
「え? ……あ、もしかしてこの銀細工でしょうか。これもデラリアの細工物ですわ。我が領には手先の器用な者が多いのです」
ユージェニーは胸元に着けていた銀細工のブローチを外してこちらへ差し出した。言葉に甘えて、ブローチを手に取ってじっくりと眺めさせてもらう。
宝石がついていない分、普段ヴィクトリアが身に着けているようなアクセサリーよりは価値が下がるだろう。だが、細工そのものは見事な出来だ。
「これも、とても美しいわ」
「ありがとうございます!」
ユージェニーの顔がパッと輝く。そうすると、少し吊り目がちの顔が幼く、愛らしく見える。
「ユージェニーさん、よろしければ、この後一緒にお茶をしませんこと? お話を聞きたいわ」
「ええ、もちろんです!」
銀細工を持ったまま、そう話していると。
「ヴィクトリア様! また人の物を盗っているのですか!?」
大きな声が教室に響き渡った。
ユージェニーと話している間、ずっと背後に控えていたリアムがさっと前に出た。突進するような勢いでやってきたポーラに、ユージェニーが鼻を鳴らす。
「まあ、アーキン男爵令嬢。あなたはまだまともな振る舞いを覚えていらっしゃらないのね」
「な、なんですか。あたしはただ、ヴィクトリア様が悪いことをしないようにと思って……」
まさか、ユージェニーから冷たい視線を貰うとは思っていなかったらしい。リアムに行く手を阻まれ、ユージェニーに突き放され、さすがのポーラもたじろいでいる。
「だって、ユージェニー様のブローチを……」
「私が自ら、ヴィクトリア様に見ていただいているのです。あなたも貴族令嬢ならば、ヴィクトリア様を見習って少しは着飾ることをなさってはいかが? アーキン家はそこまで貧しくもないでしょう」
どうやらユージェニーはポーラのことが嫌いらしい。確かに彼女は、好かれる要素など無いだろうけれど。
「ユージェニー様までそんなことを……、やっぱり、あたしが平民だったから?」
もはやヴィクトリア抜きで話が進んでいる。ポーラと進んで話したいわけではないので、このまま黙って見守ることにした。
「誰がそんなことを言いましたか? 令嬢として振る舞いを身につけろと、そう注意しているだけです。魔力を持っているのだから、あなたを元平民だなどと口さがなく言う者はこの学園にいないでしょうに」
「でも、令嬢としての振る舞いって言われても、よく分からないです。皆、無駄に着飾って遊んでるだけじゃないですか? ヴィクトリア様だって」
ユージェニーが深くため息をついた。ヴィクトリアも同じ気分だ。
「アーキン家では教育もされていないの? 私たち令嬢が華々しく着飾るのは、その商品を広く知らしめるため、という理由もあるのですよ。ヴィクトリア様は特に、ですけれど」
ほかにも権力の誇示だとかいろいろあるが、ポーラが納得しやすいのはそこだろう。
「……あたしたちが使ったものが、売れるようになるってことですか?」
「その通りです。それがゆくゆくは、その仕事に携わる人々の生活の糧となります。意味もなくお金を使っているわけではありませんの」
なぜこんなことも知らない、とユージェニーは呆れているが、ポーラはひどく感心していて気づいていないようだった。
「そうだったんですね! あたしてっきり、ただ贅沢してるだけなんだと……」
そういう貴族もいるにはいる。貴族としての役割など何も考えていない者たちが。
「ありがとうございます、ユージェニー様! あたし、もうちょっとそれらしい恰好をするようにしてみます!」
「……まあ、分かっていただけたならよろしいわ。できればそれ以外の勉強もしていただきたいところですけれど……」
ユージェニーの言葉を最後まで聞かず、さっさと走り去ってしまったポーラに、それを期待するのは酷かもしれない。
ヴィクトリアとギルバートの婚約は、王家から打診されたものだった。本来ならばギルバートは、今の王太子が即位したのちに公爵位を与えられて、王族を離れる予定だった。二番目の王子もそう決まっている。
だが、アイラ公爵家との結びつきを強めたい国王の意向により、同い年のヴィクトリアとギルバートが婚約することとなった。
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貴族の中でも発言力の強いアイラ公爵家。それが王家の忠臣だと示すことで、貴族たちをまとめたいのだ。
国を乱すのは本意ではない。アイラは今も昔も、このタディリス王国に忠実に仕えてきた。
ただそれだけの婚約だった。だが、王子本人がこちらを愚弄するなら話は別だ。
「問題はどうやって婚約を解消するか、だわ」
「あの女のことを除けば、アレの素行は悪くありませんから」
リアムは相変わらず、ヴィクトリア以外に対する扱いが雑だ。宥めるように頭を撫でてあげると、気持ちよさげに、だが恥ずかしそうに目を細めた。
「学園内ですよ、お嬢様」
「飼い主のわたくしが、従者をかわいがって何が悪いのかしら」
「お嬢様がお望みなら、ワンと鳴きましょうか」
このテラスはヴィクトリアがいつも使っているため、他の人間は用が無ければやって来ない。学園内では常に注目を浴びるヴィクトリアが、人目を気にせず休める数少ない場所だ。
しかしリアムの言う通り、誰かに見られたら妙な誤解をされそうだ。どこからも見えない場所という訳ではないのだから。
前にギルバートとポーラの逢瀬をしていた裏庭からは、手すりが邪魔して見えないだろうが。
(もしかしたら、わたくしに見せつけているつもりだったのかしら、あれは)
もしそうだとしたら、くだらない見栄だ。嫌がらせにもなりやしない。
正直なところ、愛人を持つことは貴族にはよくあることで、婚約を解消するための理由としては弱い。浮気として慰謝料を請求することはできるが、公爵家から男爵家にそれをやると、むしろアイラ公爵家の格が下がる。しかも、一度は認めてしまっている。
念のために、と証拠を集めてはいるが、ギルバートはどれだけポーラを特別扱いしようとも、愛人として以上の接し方はしていないようだ。それは、ヴィクトリアとの婚約を継続する意思がある、ということ。ポーラの方が、それを理解しているかは別として。
だが、理由もなしに王家絡みの婚約を解消できるわけがない。
「何か、殿下が悪さをしてくれないかしら?」
そんな荒唐無稽な希望が通るとも思えず、ヴィクトリアはため息をついた。
座学の授業の後は、教室内に残ってお喋りする令嬢たちがたくさんいる。ヴィクトリアは大抵その時間を復習に宛てているが、時折話に参加することもある。
「ヴィクトリア様、どうかお礼を言わせていただけますか?」
「わたくし、何かしましたかしら?」
ユージェニー・ソマーズ・デラリア。デラリア領を治める伯爵家の長女で、やや気の強い性格をしているものの、成績も優秀な令嬢だと記憶している。
ユージェニーはにこりと微笑んで、ヴィクトリアに向かって深く頭を下げた。
「ヴィクトリア様が我がデラリア領で作られたハンカチを気に入ってくださったお陰で、生地生産に携わる職人たちが喜びの悲鳴を上げておりますの。デラリア領を代表して、感謝申し上げますわ」
そういえば、と思い出した。ヴィクトリアは柔らかく眉を下げて、ユージェニーの頭を上げさせた。
「どうぞ、お気になさらないで。わたくしは美しいものをそうと認めただけですもの」
「そのお言葉、職人たちにとっては何よりの喜びですわ」
ヴィクトリアはユージェニーをまじまじと見た。そして、ゆるゆると綻ぶように笑みを浮かべる。
「まあ……。なんて美しいのかしら」
「え? ……あ、もしかしてこの銀細工でしょうか。これもデラリアの細工物ですわ。我が領には手先の器用な者が多いのです」
ユージェニーは胸元に着けていた銀細工のブローチを外してこちらへ差し出した。言葉に甘えて、ブローチを手に取ってじっくりと眺めさせてもらう。
宝石がついていない分、普段ヴィクトリアが身に着けているようなアクセサリーよりは価値が下がるだろう。だが、細工そのものは見事な出来だ。
「これも、とても美しいわ」
「ありがとうございます!」
ユージェニーの顔がパッと輝く。そうすると、少し吊り目がちの顔が幼く、愛らしく見える。
「ユージェニーさん、よろしければ、この後一緒にお茶をしませんこと? お話を聞きたいわ」
「ええ、もちろんです!」
銀細工を持ったまま、そう話していると。
「ヴィクトリア様! また人の物を盗っているのですか!?」
大きな声が教室に響き渡った。
ユージェニーと話している間、ずっと背後に控えていたリアムがさっと前に出た。突進するような勢いでやってきたポーラに、ユージェニーが鼻を鳴らす。
「まあ、アーキン男爵令嬢。あなたはまだまともな振る舞いを覚えていらっしゃらないのね」
「な、なんですか。あたしはただ、ヴィクトリア様が悪いことをしないようにと思って……」
まさか、ユージェニーから冷たい視線を貰うとは思っていなかったらしい。リアムに行く手を阻まれ、ユージェニーに突き放され、さすがのポーラもたじろいでいる。
「だって、ユージェニー様のブローチを……」
「私が自ら、ヴィクトリア様に見ていただいているのです。あなたも貴族令嬢ならば、ヴィクトリア様を見習って少しは着飾ることをなさってはいかが? アーキン家はそこまで貧しくもないでしょう」
どうやらユージェニーはポーラのことが嫌いらしい。確かに彼女は、好かれる要素など無いだろうけれど。
「ユージェニー様までそんなことを……、やっぱり、あたしが平民だったから?」
もはやヴィクトリア抜きで話が進んでいる。ポーラと進んで話したいわけではないので、このまま黙って見守ることにした。
「誰がそんなことを言いましたか? 令嬢として振る舞いを身につけろと、そう注意しているだけです。魔力を持っているのだから、あなたを元平民だなどと口さがなく言う者はこの学園にいないでしょうに」
「でも、令嬢としての振る舞いって言われても、よく分からないです。皆、無駄に着飾って遊んでるだけじゃないですか? ヴィクトリア様だって」
ユージェニーが深くため息をついた。ヴィクトリアも同じ気分だ。
「アーキン家では教育もされていないの? 私たち令嬢が華々しく着飾るのは、その商品を広く知らしめるため、という理由もあるのですよ。ヴィクトリア様は特に、ですけれど」
ほかにも権力の誇示だとかいろいろあるが、ポーラが納得しやすいのはそこだろう。
「……あたしたちが使ったものが、売れるようになるってことですか?」
「その通りです。それがゆくゆくは、その仕事に携わる人々の生活の糧となります。意味もなくお金を使っているわけではありませんの」
なぜこんなことも知らない、とユージェニーは呆れているが、ポーラはひどく感心していて気づいていないようだった。
「そうだったんですね! あたしてっきり、ただ贅沢してるだけなんだと……」
そういう貴族もいるにはいる。貴族としての役割など何も考えていない者たちが。
「ありがとうございます、ユージェニー様! あたし、もうちょっとそれらしい恰好をするようにしてみます!」
「……まあ、分かっていただけたならよろしいわ。できればそれ以外の勉強もしていただきたいところですけれど……」
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