安倍晴明と安東総理のやり直し転生譚

坂崎文明

文字の大きさ
上 下
48 / 48
第三章 飛鳥戦国時代編

スナイパーアレイ VS ベアトリスナイト

しおりを挟む
「スナイパーアレイ起動!」

了解イエッサー! マスター」

 坂本龍馬の声に人工知能A Iネメシスが応える。
 スナイパーアレイの背中のバックパックの排気口からキラキラとした燐光のようなものが空気中に流れだす。
 それはスナイパーアレイの背後に後光のように広がると、静かに『整列アレイ』した。
 自動制御された特殊な超小型ドローンがその正体である。
 一陣の風が吹いたように、煌めく超小型ドローンが薔薇十字騎士ベアトリスナイトの前衛三十機に襲いかかる。
 スナイパーアレイの背中のステルスレーザー砲が自動で起動して出力が上がって発射された。
 ステルスレーザーが超小型ドローンの反射鏡に次々と命中して、細かくレーザー光線が分化していく。
 それが一瞬にして、薔薇十字騎士ベアトリスナイトに次々と命中していく。
 ある者は剣をもつ機体の利き腕を奪われ、ある者は機体の片足を吹っ飛ばされて片膝をつき、運が悪いものは機体ごと爆発に巻き込まれて行った。
 それはもう戦闘ではなく、一方的な殺戮、蹂躙に近かった。

「おのれ、飛び道具とは卑怯なり! ベアトリス様の怒りの雷を喰らえ!」

 ベアトリスナイト指揮官のリカウド・バウアーは、スナイパーアレイに向けて、自らの剣を振り下ろした。
 天空から一筋の雷撃が<スナイパーアレイ>を襲ったが、バリア状の五芒星の聖陣に跳ね返されて地面に流れていく。
 石田三成の愛機<ホワイトナイト ドローンマスター>の防衛ドローンが守護聖陣をスナイパーアレイの上部に張っていた。

忌々いまいましい奴め、今日の所はこれぐらいにしておく。また、明日会おう!」

 リカウド・バウアーはマイペースでそう宣言すると、難攻不落の原城にさっさと引っ込んでいった。
 破損した機体は十機ばかりが城外に取り残されたが、前衛二十機は何とか城の中に帰還したようだ。

「全く、拍子抜けする奴だな。相変わらず」

 幸村は呆れるばかりだが、潮時とみて、メガネや心之助、夜桜達を前線砦<真田丸>に退却させた。
 まあ、挨拶代わりの遣り取りで前衛三十機のうち、十機を戦闘不能、二十機を破損させたのだから、まずまずの戦果である。
 友軍と敵の情報交換、原城攻略作戦の打ち合わせをしてから、また再戦すればいい。


    ✝


「新免武蔵と申す者である。真田殿は居られますか?」 
 
 よく通る声である。
 実に柔和な表情の初老の武士が、<真田丸>の裏門に来て、馬上から叫んでいた。
 
 当時、新免武蔵こと、宮本武蔵は中津藩主の小笠原長次の後見役として島原の乱に出陣していた。53歳であった。
 養子の伊織も小倉藩主の小笠原忠真に従い出陣していた。
 武蔵の背後に、若干、25歳ほどの若侍が見えた。
 伊織だろう。

「俺が真田幸村だが、何か用かな?」

 幸村のいらえはやはり、少し横柄だが、誰に対してもこんな感じである。

「あれ、あの鉄の人形ひとがたに乗らせてもらえぬかな?」
 
 武蔵の要求もなかなか遠慮のないものだが、稚児ちごのように、実にいい笑顔で言われたら、なかなか断れないものだ。

「ほう、気に入った。予備のものがあるのでお貸ししよう」

 幸村も気前よく、予備兵力の白兵戦用試作機の白銀の<サムライマスター>を武蔵に貸し与えることにした。
 機体を余らすぐらいなら、稼働戦力は多い方がいい。

「かたじけない」

 武蔵は馬上で軽く頭を下げると、城門をくぐり、<真田丸>のボトルストライカーを興味深そうに見て回った。
 三成が白銀の<サムライマスター>に案内すると、やはり、稚児のように喜び搭乗したが、機体を派手に倒したりしていた。
 その様子をともの伊織は笑いながら眺めている。

「幸村さん、あれ、大丈夫なんですか?」 

 心之助は少し心配した表情で尋ねた。

「よく見てみろ。段々、コツを掴んでる。あの足捌きを出来るようになったら、俺でも手こずるかもしれん」

 心之助はピンと来てなさそうだが、夜桜には解ったようだ。

「幸村さん、あの歩法は何というんですか?」

「あれか、瞬歩しゅんぽもしくは、縮地法しゅくちほうと呼ばれる足捌きだ。身体からだを前傾させながら、そのままの流れで足を運ぶ。足を踏ん張らないから、ゆっくりに見えて、普通の足捌きより数秒速くなる。あれが積み重なれば、まるで瞬間移動したような動きができるようになる。ゆえに、瞬歩、地を縮める疾風のような足捌きで、縮地法とも呼ばれる。縮地法は道教の仙術と言われてるが、ちゃんと武道にもある実践的な歩法だ」

 幸村は珍しく丁寧に説明した後に、軽く瞬歩を披露した。
 確かに、夜桜から見ても足捌きが速すぎて何をやってるか解らない程だが、雰囲気は何となく伝わってきた。
 夜桜は自分の愛機の漆黒の機体<ニンジャハインドGRゴールドレア>に乗り混んで、武蔵の方へ向いながら言った。

「幸村さん、ちょっと、武蔵さんに教えてもらって来ます」 

「そうか。剣豪から学ぶことも多かろう」

 幸村も楽しそうな声で送り出す。
 ちゃんと、武蔵のことは知ってたらしい。

「夜桜さん、おらも行くよ」

 心之助も<ニンジャハインド ブラックソード>を駆って、負けずに追いすがる。
 それを見たメガネ君とハネケまでが、新免武蔵こと、剣豪宮本武蔵に足捌きのレクチャーを受けに行った。

「この人形を速く動かすにはどうすればいいのかの?」 

 武蔵は早くも<ボトムストライカー>の操縦のコツは掴んでいたが、まだその動きが不満らしく、夜桜たちに教えをうていた。 

「それは、このレバーを一度、キャンセルして入れ直せば、硬化時間なしで動かせます。結果、動きは速くなります」
 
 夜桜も嬉しそうに説明している。

「おお! こりゃ、凄い!」

 武蔵は子供のようにはしゃいでいる。
 レバーキャンセル技を覚えた武蔵の動きは格段に速くなった。
 何とも不思議な光景だが、そこには強くなりたいと願う者達の絆のようなものがあった。
 明日は命が亡くなるかもしれない戦場で生きてきた者ゆえに、分かり合える何かがあった。
 幸村と三成は自分たちが育てた戦士たちが、一段、強くなっていくことを願いながら、その光景を暖かく見つめていた。





(あとがき)

 実に一年十ヶ月振りの更新とかだと思いますが、そろそろ、イギリス、イスラエル辺りで、新型567もただの風邪扱いに格下げされるようです。
 ビル・ゲイツも同じようなことを言い始めた。
 日本はフランス同様、まだまだやる気ですが、○○○○で免疫低下データ出始めてヤバいから辞めるらしいです。
 田中宇氏の記事参照。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

帰る旅

七瀬京
歴史・時代
宣教師に「見世物」として飼われていた私は、この国の人たちにとって珍奇な姿をして居る。 それを織田信長という男が気に入り、私は、信長の側で飼われることになった・・・。 荘厳な安土城から世界を見下ろす信長は、その傲岸な態度とは裏腹に、深い孤独を抱えた人物だった・・。 『本能寺』へ至るまでの信長の孤独を、側に仕えた『私』の視点で浮き彫りにする。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

織田信長IF… 天下統一再び!!

華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。 この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。 主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。 ※この物語はフィクションです。

滝川家の人びと

卯花月影
歴史・時代
故郷、甲賀で騒動を起こし、国を追われるようにして出奔した 若き日の滝川一益と滝川義太夫、 尾張に流れ着いた二人は織田信長に会い、織田家の一員として 天下布武の一役を担う。二人をとりまく織田家の人々のそれぞれの思惑が からみ、紆余曲折しながらも一益がたどり着く先はどこなのか。

地獄極楽仕留屋稼業 ~聚楽第異聞~

戸影絵麻
歴史・時代
文禄4年秋。朝鮮出兵で湧く京都の町に横行する、若い女ばかりを狙った残忍な辻斬り。 人の世の片隅で、仇討ち代行を生業としてひそかに生きる化生の一族、夜叉姫、犬丸、撫佐の3人は、とある異人の依頼で、その辻斬りの犯人を追うことになる。はたしてこれは、豊臣秀吉の怒りを買い、一族郎党ともども惨殺された殺生関白秀次の呪いなのか。謎を追ううちに夜叉姫らは、秀吉の手によって完膚なきまでに破壊され尽くされた聚楽第の地下の黄金の迷宮に誘われ、世界を根底から覆す陰謀に巻き込まれる…。

処理中です...