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第三章 飛鳥戦国時代編
スナイパーアレイ VS ベアトリスナイト
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「スナイパーアレイ起動!」
「了解! マスター」
坂本龍馬の声に人工知能ネメシスが応える。
スナイパーアレイの背中のバックパックの排気口からキラキラとした燐光のようなものが空気中に流れだす。
それはスナイパーアレイの背後に後光のように広がると、静かに『整列』した。
自動制御された特殊な超小型ドローンがその正体である。
一陣の風が吹いたように、煌めく超小型ドローンが薔薇十字騎士の前衛三十機に襲いかかる。
スナイパーアレイの背中のステルスレーザー砲が自動で起動して出力が上がって発射された。
ステルスレーザーが超小型ドローンの反射鏡に次々と命中して、細かくレーザー光線が分化していく。
それが一瞬にして、薔薇十字騎士に次々と命中していく。
ある者は剣をもつ機体の利き腕を奪われ、ある者は機体の片足を吹っ飛ばされて片膝をつき、運が悪いものは機体ごと爆発に巻き込まれて行った。
それはもう戦闘ではなく、一方的な殺戮、蹂躙に近かった。
「おのれ、飛び道具とは卑怯なり! ベアトリス様の怒りの雷を喰らえ!」
ベアトリスナイト指揮官のリカウド・バウアーは、スナイパーアレイに向けて、自らの剣を振り下ろした。
天空から一筋の雷撃が<スナイパーアレイ>を襲ったが、バリア状の五芒星の聖陣に跳ね返されて地面に流れていく。
石田三成の愛機<ホワイトナイト ドローンマスター>の防衛ドローンが守護聖陣をスナイパーアレイの上部に張っていた。
「忌々しい奴め、今日の所はこれぐらいにしておく。また、明日会おう!」
リカウド・バウアーはマイペースでそう宣言すると、難攻不落の原城にさっさと引っ込んでいった。
破損した機体は十機ばかりが城外に取り残されたが、前衛二十機は何とか城の中に帰還したようだ。
「全く、拍子抜けする奴だな。相変わらず」
幸村は呆れるばかりだが、潮時とみて、メガネや心之助、夜桜達を前線砦<真田丸>に退却させた。
まあ、挨拶代わりの遣り取りで前衛三十機のうち、十機を戦闘不能、二十機を破損させたのだから、まずまずの戦果である。
友軍と敵の情報交換、原城攻略作戦の打ち合わせをしてから、また再戦すればいい。
✝
「新免武蔵と申す者である。真田殿は居られますか?」
よく通る声である。
実に柔和な表情の初老の武士が、<真田丸>の裏門に来て、馬上から叫んでいた。
当時、新免武蔵こと、宮本武蔵は中津藩主の小笠原長次の後見役として島原の乱に出陣していた。53歳であった。
養子の伊織も小倉藩主の小笠原忠真に従い出陣していた。
武蔵の背後に、若干、25歳ほどの若侍が見えた。
伊織だろう。
「俺が真田幸村だが、何か用かな?」
幸村の応えはやはり、少し横柄だが、誰に対してもこんな感じである。
「あれ、あの鉄の人形に乗らせてもらえぬかな?」
武蔵の要求もなかなか遠慮のないものだが、稚児のように、実にいい笑顔で言われたら、なかなか断れないものだ。
「ほう、気に入った。予備のものがあるのでお貸ししよう」
幸村も気前よく、予備兵力の白兵戦用試作機の白銀の<サムライマスター>を武蔵に貸し与えることにした。
機体を余らすぐらいなら、稼働戦力は多い方がいい。
「かたじけない」
武蔵は馬上で軽く頭を下げると、城門をくぐり、<真田丸>のボトルストライカーを興味深そうに見て回った。
三成が白銀の<サムライマスター>に案内すると、やはり、稚児のように喜び搭乗したが、機体を派手に倒したりしていた。
その様子を伴の伊織は笑いながら眺めている。
「幸村さん、あれ、大丈夫なんですか?」
心之助は少し心配した表情で尋ねた。
「よく見てみろ。段々、コツを掴んでる。あの足捌きを出来るようになったら、俺でも手こずるかもしれん」
心之助はピンと来てなさそうだが、夜桜には解ったようだ。
「幸村さん、あの歩法は何というんですか?」
「あれか、瞬歩もしくは、縮地法と呼ばれる足捌きだ。身体を前傾させながら、そのままの流れで足を運ぶ。足を踏ん張らないから、ゆっくりに見えて、普通の足捌きより数秒速くなる。あれが積み重なれば、まるで瞬間移動したような動きができるようになる。ゆえに、瞬歩、地を縮める疾風のような足捌きで、縮地法とも呼ばれる。縮地法は道教の仙術と言われてるが、ちゃんと武道にもある実践的な歩法だ」
幸村は珍しく丁寧に説明した後に、軽く瞬歩を披露した。
確かに、夜桜から見ても足捌きが速すぎて何をやってるか解らない程だが、雰囲気は何となく伝わってきた。
夜桜は自分の愛機の漆黒の機体<ニンジャハインドGR>に乗り混んで、武蔵の方へ向いながら言った。
「幸村さん、ちょっと、武蔵さんに教えてもらって来ます」
「そうか。剣豪から学ぶことも多かろう」
幸村も楽しそうな声で送り出す。
ちゃんと、武蔵のことは知ってたらしい。
「夜桜さん、おらも行くよ」
心之助も<ニンジャハインド ブラックソード>を駆って、負けずに追いすがる。
それを見たメガネ君とハネケまでが、新免武蔵こと、剣豪宮本武蔵に足捌きのレクチャーを受けに行った。
「この人形を速く動かすにはどうすればいいのかの?」
武蔵は早くも<ボトムストライカー>の操縦のコツは掴んでいたが、まだその動きが不満らしく、夜桜たちに教えを請うていた。
「それは、このレバーを一度、キャンセルして入れ直せば、硬化時間なしで動かせます。結果、動きは速くなります」
夜桜も嬉しそうに説明している。
「おお! こりゃ、凄い!」
武蔵は子供のようにはしゃいでいる。
レバーキャンセル技を覚えた武蔵の動きは格段に速くなった。
何とも不思議な光景だが、そこには強くなりたいと願う者達の絆のようなものがあった。
明日は命が亡くなるかもしれない戦場で生きてきた者ゆえに、分かり合える何かがあった。
幸村と三成は自分たちが育てた戦士たちが、一段、強くなっていくことを願いながら、その光景を暖かく見つめていた。
(あとがき)
実に一年十ヶ月振りの更新とかだと思いますが、そろそろ、イギリス、イスラエル辺りで、新型567もただの風邪扱いに格下げされるようです。
ビル・ゲイツも同じようなことを言い始めた。
日本はフランス同様、まだまだやる気ですが、○○○○で免疫低下データ出始めてヤバいから辞めるらしいです。
田中宇氏の記事参照。
「了解! マスター」
坂本龍馬の声に人工知能ネメシスが応える。
スナイパーアレイの背中のバックパックの排気口からキラキラとした燐光のようなものが空気中に流れだす。
それはスナイパーアレイの背後に後光のように広がると、静かに『整列』した。
自動制御された特殊な超小型ドローンがその正体である。
一陣の風が吹いたように、煌めく超小型ドローンが薔薇十字騎士の前衛三十機に襲いかかる。
スナイパーアレイの背中のステルスレーザー砲が自動で起動して出力が上がって発射された。
ステルスレーザーが超小型ドローンの反射鏡に次々と命中して、細かくレーザー光線が分化していく。
それが一瞬にして、薔薇十字騎士に次々と命中していく。
ある者は剣をもつ機体の利き腕を奪われ、ある者は機体の片足を吹っ飛ばされて片膝をつき、運が悪いものは機体ごと爆発に巻き込まれて行った。
それはもう戦闘ではなく、一方的な殺戮、蹂躙に近かった。
「おのれ、飛び道具とは卑怯なり! ベアトリス様の怒りの雷を喰らえ!」
ベアトリスナイト指揮官のリカウド・バウアーは、スナイパーアレイに向けて、自らの剣を振り下ろした。
天空から一筋の雷撃が<スナイパーアレイ>を襲ったが、バリア状の五芒星の聖陣に跳ね返されて地面に流れていく。
石田三成の愛機<ホワイトナイト ドローンマスター>の防衛ドローンが守護聖陣をスナイパーアレイの上部に張っていた。
「忌々しい奴め、今日の所はこれぐらいにしておく。また、明日会おう!」
リカウド・バウアーはマイペースでそう宣言すると、難攻不落の原城にさっさと引っ込んでいった。
破損した機体は十機ばかりが城外に取り残されたが、前衛二十機は何とか城の中に帰還したようだ。
「全く、拍子抜けする奴だな。相変わらず」
幸村は呆れるばかりだが、潮時とみて、メガネや心之助、夜桜達を前線砦<真田丸>に退却させた。
まあ、挨拶代わりの遣り取りで前衛三十機のうち、十機を戦闘不能、二十機を破損させたのだから、まずまずの戦果である。
友軍と敵の情報交換、原城攻略作戦の打ち合わせをしてから、また再戦すればいい。
✝
「新免武蔵と申す者である。真田殿は居られますか?」
よく通る声である。
実に柔和な表情の初老の武士が、<真田丸>の裏門に来て、馬上から叫んでいた。
当時、新免武蔵こと、宮本武蔵は中津藩主の小笠原長次の後見役として島原の乱に出陣していた。53歳であった。
養子の伊織も小倉藩主の小笠原忠真に従い出陣していた。
武蔵の背後に、若干、25歳ほどの若侍が見えた。
伊織だろう。
「俺が真田幸村だが、何か用かな?」
幸村の応えはやはり、少し横柄だが、誰に対してもこんな感じである。
「あれ、あの鉄の人形に乗らせてもらえぬかな?」
武蔵の要求もなかなか遠慮のないものだが、稚児のように、実にいい笑顔で言われたら、なかなか断れないものだ。
「ほう、気に入った。予備のものがあるのでお貸ししよう」
幸村も気前よく、予備兵力の白兵戦用試作機の白銀の<サムライマスター>を武蔵に貸し与えることにした。
機体を余らすぐらいなら、稼働戦力は多い方がいい。
「かたじけない」
武蔵は馬上で軽く頭を下げると、城門をくぐり、<真田丸>のボトルストライカーを興味深そうに見て回った。
三成が白銀の<サムライマスター>に案内すると、やはり、稚児のように喜び搭乗したが、機体を派手に倒したりしていた。
その様子を伴の伊織は笑いながら眺めている。
「幸村さん、あれ、大丈夫なんですか?」
心之助は少し心配した表情で尋ねた。
「よく見てみろ。段々、コツを掴んでる。あの足捌きを出来るようになったら、俺でも手こずるかもしれん」
心之助はピンと来てなさそうだが、夜桜には解ったようだ。
「幸村さん、あの歩法は何というんですか?」
「あれか、瞬歩もしくは、縮地法と呼ばれる足捌きだ。身体を前傾させながら、そのままの流れで足を運ぶ。足を踏ん張らないから、ゆっくりに見えて、普通の足捌きより数秒速くなる。あれが積み重なれば、まるで瞬間移動したような動きができるようになる。ゆえに、瞬歩、地を縮める疾風のような足捌きで、縮地法とも呼ばれる。縮地法は道教の仙術と言われてるが、ちゃんと武道にもある実践的な歩法だ」
幸村は珍しく丁寧に説明した後に、軽く瞬歩を披露した。
確かに、夜桜から見ても足捌きが速すぎて何をやってるか解らない程だが、雰囲気は何となく伝わってきた。
夜桜は自分の愛機の漆黒の機体<ニンジャハインドGR>に乗り混んで、武蔵の方へ向いながら言った。
「幸村さん、ちょっと、武蔵さんに教えてもらって来ます」
「そうか。剣豪から学ぶことも多かろう」
幸村も楽しそうな声で送り出す。
ちゃんと、武蔵のことは知ってたらしい。
「夜桜さん、おらも行くよ」
心之助も<ニンジャハインド ブラックソード>を駆って、負けずに追いすがる。
それを見たメガネ君とハネケまでが、新免武蔵こと、剣豪宮本武蔵に足捌きのレクチャーを受けに行った。
「この人形を速く動かすにはどうすればいいのかの?」
武蔵は早くも<ボトムストライカー>の操縦のコツは掴んでいたが、まだその動きが不満らしく、夜桜たちに教えを請うていた。
「それは、このレバーを一度、キャンセルして入れ直せば、硬化時間なしで動かせます。結果、動きは速くなります」
夜桜も嬉しそうに説明している。
「おお! こりゃ、凄い!」
武蔵は子供のようにはしゃいでいる。
レバーキャンセル技を覚えた武蔵の動きは格段に速くなった。
何とも不思議な光景だが、そこには強くなりたいと願う者達の絆のようなものがあった。
明日は命が亡くなるかもしれない戦場で生きてきた者ゆえに、分かり合える何かがあった。
幸村と三成は自分たちが育てた戦士たちが、一段、強くなっていくことを願いながら、その光景を暖かく見つめていた。
(あとがき)
実に一年十ヶ月振りの更新とかだと思いますが、そろそろ、イギリス、イスラエル辺りで、新型567もただの風邪扱いに格下げされるようです。
ビル・ゲイツも同じようなことを言い始めた。
日本はフランス同様、まだまだやる気ですが、○○○○で免疫低下データ出始めてヤバいから辞めるらしいです。
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