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第二章 安土桃山時代編
秘剣<十字剣>
しおりを挟む「……ここまでの僕の推理は証拠もないし、状況的に考えて宰相が怪しいというだけだ。だけど、宰相ならばこれまでの事件を引き起こせるだけの「権力」がある。というより、彼以外にこんな事ができる人物は思い当たらない」
「で、ですけど……私は信じられません、あの宰相がこんな酷い真似をするなんて……」
「う~ん……僕もあの宰相さんがそんなに悪い人には思えないけどな」
「でも、私はアルト王子の言っている事が正しいと思う。あの宰相は何か裏がありそう」
「えっ……王子?今、王子って言ったか?」
「そういえばアルトという名前、何処かで聞いた事があるような……まさか!?」
「あ、いや……イーシャンさん、それにドルトンさん、ちょっといいですか?」
もう隠し事は出来ないと判断したナイはドルトンとイーシャンにアルトが王子である事を明かし、二人は彼が王子であると知ると顔色を青くしてナイに問い質す。
「お、王子だと!?あの子供が本当に!?」
「ど、どうしてそれを早く言わなかった!?」
「ご、ごめんなさい……アルトから無暗に他の人に王子である事を言わない様に注意されていたんで」
「僕の事は気にしないでくれ。王子といっても、僕は他の二人と違って大した権力は持ち合わせていないし、それに今はそんな事を気にしている場合じゃない」
アルトは空を見上げると、既に夜明けを迎えていた。彼は閉鎖された王都の城壁を確認し、これからどうするのかをナイ達と話し合う。
「問題なのはここから先は僕達はどう動くかだ。このまま城門の前で何時までもいるわけにもいかないが、王都の様子をもう少し知っておきたい」
「といっても、城門が閉じられた状態だと中の様子を調べる事なんて……」
「いや、そこら辺については既に手を打っている。どうやら戻って来たようだしね」
「戻って来た?」
「拙者の事でござるな?」
「うおおっ!?だ、誰だお前はっ!?」
ナイ達がここまで乗ってきた狼車の上から声が聞こえ、ナイ達は驚いて振り返るとクノが立っていた。彼女は頭の上にプルミンも乗せており、二人は狼車から降りると、プルミンは嬉しそうにナイの元に飛びつく。
「ぷるぷるっ♪」
「うわっと……よしよし」
「クノ、王都の調査は済んだのかい?」
「ばっちりでござる。ちゃんと調べて来たでござるよ」
どうやらアルトは事前にクノに王都の調査を依頼していたらしく、彼女は少し前に王都に潜入し、調査を終えてきたらしい。そして何故かプルミンも彼女に同行していたらしく、彼女と共にドヤ顔を浮かべる。
クノは羊皮紙を取り出すと地面に広げる。中身は王都の地図が描かれ鳥、彼女が調査していきた情報があちこち書き込まれていた。
「現在、白猫亭は警備兵に包囲されているでござる。警備兵の話を盗み聞きした所、白猫亭の中には負傷した聖女騎士団が治療を受けているらしいでござる」
「白猫亭が包囲!?それ、大丈夫なの!?」
「兵士の話を聞く限りでは死亡した人間はいないそうでござる。それと、どうやら聖女騎士団が交戦したのはゴウカという冒険者でござる」
「ゴウカさんが……じゃあ、やっぱりゴウカさんが敵になったのは本当だったんだ……」
リーナはゴウカが聖女騎士団と交戦したという話を聞いて衝撃を受けるが、同時に納得もした。聖女騎士団は全員が強者揃いであり、彼女達ならば白面程度に後れを取る事はない。
聖女騎士団の団員全員を負傷させる程の実力を持つ人間などゴウカ以外にはおらず、彼以外に王国騎士団を相手に一人で勝つ人間など国内を探し回っても見つからないだろう。
「他にも銀狼騎士団や金狼騎士団の副団長や団員が行方不明になったという噂が飛び交っているでござる。しかし、副団長達を見かけたという目撃者の証言によると、ドリス副団長とリン副団長が闘技場に向かう所を見たそうでござる。そして現在の闘技場は閉鎖され、誰も近づけない状態でござるよ」
「ドリス副団長とリン副団長が……」
「これは……想像以上に厄介な事態に陥っているようだね」
クノからの報告を受けたアルトは珍しく険しい表情を浮かべ、事態が想定よりも最悪な事態に陥っている事を理解する。その一方で彼はバッシュや国王の動向が気になり、二人はどうしているのかを尋ねる。
「兄上と父上は?今回の事態にどう対応するつもりなんだい?」
「それが……御二人の情報は手に入らなかったでござる。噂によれば国王は体調を崩して倒れたとか、バッシュ王子に関しては一切何の情報も手に入らず……」
「じゃあ、姉上は?姉上は無事なのか?」
「姫様は兄者と共に逃げ出したそうでござる。現在、警備兵が捜索中との事らしいでござるが、未だに見つかってはいないそうでござる。但し、城下町では兄者が姫様を誘拐した事になっているでござる」
「シノビさんがリノ王女を!?」
「えっ!?もしかして……駆け落ち!?」
「か、駆け落ち!?」
リーナとモモは駆け落ちという言葉に反応し、二人は興味深そうな表情を浮かべるが、そんな二人に対してクノは苦笑いを浮かべながら首を振った。
「で、ですけど……私は信じられません、あの宰相がこんな酷い真似をするなんて……」
「う~ん……僕もあの宰相さんがそんなに悪い人には思えないけどな」
「でも、私はアルト王子の言っている事が正しいと思う。あの宰相は何か裏がありそう」
「えっ……王子?今、王子って言ったか?」
「そういえばアルトという名前、何処かで聞いた事があるような……まさか!?」
「あ、いや……イーシャンさん、それにドルトンさん、ちょっといいですか?」
もう隠し事は出来ないと判断したナイはドルトンとイーシャンにアルトが王子である事を明かし、二人は彼が王子であると知ると顔色を青くしてナイに問い質す。
「お、王子だと!?あの子供が本当に!?」
「ど、どうしてそれを早く言わなかった!?」
「ご、ごめんなさい……アルトから無暗に他の人に王子である事を言わない様に注意されていたんで」
「僕の事は気にしないでくれ。王子といっても、僕は他の二人と違って大した権力は持ち合わせていないし、それに今はそんな事を気にしている場合じゃない」
アルトは空を見上げると、既に夜明けを迎えていた。彼は閉鎖された王都の城壁を確認し、これからどうするのかをナイ達と話し合う。
「問題なのはここから先は僕達はどう動くかだ。このまま城門の前で何時までもいるわけにもいかないが、王都の様子をもう少し知っておきたい」
「といっても、城門が閉じられた状態だと中の様子を調べる事なんて……」
「いや、そこら辺については既に手を打っている。どうやら戻って来たようだしね」
「戻って来た?」
「拙者の事でござるな?」
「うおおっ!?だ、誰だお前はっ!?」
ナイ達がここまで乗ってきた狼車の上から声が聞こえ、ナイ達は驚いて振り返るとクノが立っていた。彼女は頭の上にプルミンも乗せており、二人は狼車から降りると、プルミンは嬉しそうにナイの元に飛びつく。
「ぷるぷるっ♪」
「うわっと……よしよし」
「クノ、王都の調査は済んだのかい?」
「ばっちりでござる。ちゃんと調べて来たでござるよ」
どうやらアルトは事前にクノに王都の調査を依頼していたらしく、彼女は少し前に王都に潜入し、調査を終えてきたらしい。そして何故かプルミンも彼女に同行していたらしく、彼女と共にドヤ顔を浮かべる。
クノは羊皮紙を取り出すと地面に広げる。中身は王都の地図が描かれ鳥、彼女が調査していきた情報があちこち書き込まれていた。
「現在、白猫亭は警備兵に包囲されているでござる。警備兵の話を盗み聞きした所、白猫亭の中には負傷した聖女騎士団が治療を受けているらしいでござる」
「白猫亭が包囲!?それ、大丈夫なの!?」
「兵士の話を聞く限りでは死亡した人間はいないそうでござる。それと、どうやら聖女騎士団が交戦したのはゴウカという冒険者でござる」
「ゴウカさんが……じゃあ、やっぱりゴウカさんが敵になったのは本当だったんだ……」
リーナはゴウカが聖女騎士団と交戦したという話を聞いて衝撃を受けるが、同時に納得もした。聖女騎士団は全員が強者揃いであり、彼女達ならば白面程度に後れを取る事はない。
聖女騎士団の団員全員を負傷させる程の実力を持つ人間などゴウカ以外にはおらず、彼以外に王国騎士団を相手に一人で勝つ人間など国内を探し回っても見つからないだろう。
「他にも銀狼騎士団や金狼騎士団の副団長や団員が行方不明になったという噂が飛び交っているでござる。しかし、副団長達を見かけたという目撃者の証言によると、ドリス副団長とリン副団長が闘技場に向かう所を見たそうでござる。そして現在の闘技場は閉鎖され、誰も近づけない状態でござるよ」
「ドリス副団長とリン副団長が……」
「これは……想像以上に厄介な事態に陥っているようだね」
クノからの報告を受けたアルトは珍しく険しい表情を浮かべ、事態が想定よりも最悪な事態に陥っている事を理解する。その一方で彼はバッシュや国王の動向が気になり、二人はどうしているのかを尋ねる。
「兄上と父上は?今回の事態にどう対応するつもりなんだい?」
「それが……御二人の情報は手に入らなかったでござる。噂によれば国王は体調を崩して倒れたとか、バッシュ王子に関しては一切何の情報も手に入らず……」
「じゃあ、姉上は?姉上は無事なのか?」
「姫様は兄者と共に逃げ出したそうでござる。現在、警備兵が捜索中との事らしいでござるが、未だに見つかってはいないそうでござる。但し、城下町では兄者が姫様を誘拐した事になっているでござる」
「シノビさんがリノ王女を!?」
「えっ!?もしかして……駆け落ち!?」
「か、駆け落ち!?」
リーナとモモは駆け落ちという言葉に反応し、二人は興味深そうな表情を浮かべるが、そんな二人に対してクノは苦笑いを浮かべながら首を振った。
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