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第二章 安土桃山時代編
明智光秀の「南光坊天海」転生説
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「信長さま、この格好はちと恥ずかしいですね」
無事、救出された明智光秀は信長とお揃いの白地に橙色の花模様を散らした小袖を名護屋帯で結んでいた。何故か小袖はミニスカ風に短く切られていて、黒い二ーハイソックス姿である。髪だけは落武者風のざんばら頭であるが。
しかし、何といっても、自分を殺そうとした光秀に対して満面の笑みで迎えた信長の態度が不気味であった。
「光秀、こうやってみろ。コマネチ!」
股間で両手のひらを上下させる有名なギャグを異世界通信スマホ動画でみた信長は、このギャグがお気に入りになったようだ。
メガネ君に汚された小袖を大胆にカットして、やはり、ミニスカにしていて、黒い二ーハイソックスをはいていた。髪はバカ殿風の唐輪髷にしている。
「こうですか。コマネチ!」
光秀はどうも恥じらいがあって、いまいちギャグに冴えがない。
「お前は相変わらず思いっきりがないというか、そこを突き抜ければ伸びるのになあ」
信長は嘆息した。
「まあ、良い。お前にしては上出来じゃ」
信長はカラカラと豪快に笑った。
とても上機嫌のように見えた。
(あれ、やっぱり仲がいいんでしょうか?)
そんな光景を遠くからみていた安東要は不思議そうに尋ねた。
そこはパラレルワールドもタイムトラベルも何でもありの移動迷宮の安全地帯である。安倍晴明の陰陽術で動いてるらしいが結構、いい加減な原理かもしれない。謎も多い。
(そうじゃのう、信長公も薄々、光秀の謀叛に気づいていたんじゃろうな。本能寺の変の前に、信長公がもっていた天災を予知するという三本足の蛙の置物が鳴いたという逸話もある。信長公の苛烈すぎる生き様はその生涯において多くの謀叛を生んだ。光秀の謀反もある程度、予想していたから「是非もなし」という本能寺の名言を放ったのだろう。実は真面目一辺倒な光秀の裏切りは信長公にとって予想外のもので、少し光秀を見直したのかもしれんのう。信長公が光秀をとても信頼していたのも事実で、腹心として側に置いていたし、厳しく当たったのも、光秀ならできるという期待の裏返しだったと思う)
晴明はそんな感想を漏らした。
(僕もそう思います。僕も死にかけてますし。信長さまは前向きに倒れる人間には、たとえ失敗しても優しいと思います。力があるのに手を抜いたリ、心が定まらない人間にはとても厳しいです)
信長に心酔しているメガネ君が言った。
(何かいじめてるだけにもみえるけど)
月読波奈は疑惑いっぱいの見方である。
(あれは天然だと思うけど。信長公は夢中になると見境がなくなると思うし)
神沢優の意見が意外と当たってるかもしれない。
(しかし、明智光秀って、実は死んでなくて、家康の懐刀の南光坊天海に転生したという説があったりしますね)
安東要はそんな歴史の謎を晴明に尋ねてみたかった。
(そういう説もあるな。天海が突然、歴史に顔を出しはじめたのは秀吉が亡くなった頃(慶長3年8月18日、1598年9月18日)からだが、慶長8年2月12日(1603年3月24日)に家康は征夷大将軍に就任し、江戸幕府を開いているが、その年、天海に下野国久下田(栃木県真岡市)の新宗光寺の再建、慶長12年(1607年)には比叡山の復興に当たらせている。この時、比叡山東塔の南光坊在住を命じていて、これが南光坊天海の由来となった。それと慶長20年(1615年)の2月17日に比叡山に「光秀」の名で石灯籠がで寄進されたという記録がある。慶長20年(1615年)と言えば大坂夏の陣で豊臣家が滅びてるし、なかなか意味深なタイミングじゃな。天海は明智光秀の御膝元であった坂本の復興に力を注いだし、怪しいことばかりじゃ)
(でも、ひとつネックあって、天海(寛永20年、1643年没)と光秀(享禄元年、1528年生まれ)が同一人物だとすると115歳で没したことになり、不可能ではないけど、当時としては長命すぎる点ですね。しかし、光秀が天海に転生していたとすると、この問題は一気に解決する)
(それはしかし、どこかの小説投稿サイトのライトノベルみたいな発想ね)
要の珍説を聴いて神沢優は鼻で笑った。
(でも、それができる人物がここにいますよね? 晴明さま)
安東要にしては鋭い推理である。
(確かに、わしの本業は「陰謀」で趣味は「暗躍」だが、さすがにそれはないわ。そもそも、そんなことをする動機がないし、何が目的なのか意味不明だと思わんか?)
(確かに、そうなんですよね)
(かなめちん、詰めが甘いね)
月読波奈にたしなめられる。
(でも、安倍晴明ならやりかねない。もしくは未来の何らかの事情からそんなことになるとは考えられませんか? それと南光坊天海と明智光秀、共通する「光」という文字がまた、怪しいと思うのですよ)
メガネ君はここで重要な問題提起をした。
(「光」か。確かにいいところに気づいたな。実は明智光秀は、四天王と共に酒呑童子を退治した源頼光の子孫なのじゃ。今風にいえば、妖怪バスターズの子孫というところかな)
晴明は意外なことを言った。
(源頼光?)
安東要はぽかんとした顔をしている。
(長い話になるが、明智光秀のことを知るよい機会じゃ。ちょっとわしの話を聴きなさい)
安倍晴明は昔を思い出すように一息いれた。
「コマネチ!」
光秀の会心のコマネチにちょっと嬉しそうな信長だった。
-----------あとがき---------------------------------------------------
次回は明智光秀の新たなる魅力をご紹介する「妖怪バスターズ 源頼光」です。
光秀の扱いがあまりにもひどいので、ちょっとイメージアップを図ってみます。
無事、救出された明智光秀は信長とお揃いの白地に橙色の花模様を散らした小袖を名護屋帯で結んでいた。何故か小袖はミニスカ風に短く切られていて、黒い二ーハイソックス姿である。髪だけは落武者風のざんばら頭であるが。
しかし、何といっても、自分を殺そうとした光秀に対して満面の笑みで迎えた信長の態度が不気味であった。
「光秀、こうやってみろ。コマネチ!」
股間で両手のひらを上下させる有名なギャグを異世界通信スマホ動画でみた信長は、このギャグがお気に入りになったようだ。
メガネ君に汚された小袖を大胆にカットして、やはり、ミニスカにしていて、黒い二ーハイソックスをはいていた。髪はバカ殿風の唐輪髷にしている。
「こうですか。コマネチ!」
光秀はどうも恥じらいがあって、いまいちギャグに冴えがない。
「お前は相変わらず思いっきりがないというか、そこを突き抜ければ伸びるのになあ」
信長は嘆息した。
「まあ、良い。お前にしては上出来じゃ」
信長はカラカラと豪快に笑った。
とても上機嫌のように見えた。
(あれ、やっぱり仲がいいんでしょうか?)
そんな光景を遠くからみていた安東要は不思議そうに尋ねた。
そこはパラレルワールドもタイムトラベルも何でもありの移動迷宮の安全地帯である。安倍晴明の陰陽術で動いてるらしいが結構、いい加減な原理かもしれない。謎も多い。
(そうじゃのう、信長公も薄々、光秀の謀叛に気づいていたんじゃろうな。本能寺の変の前に、信長公がもっていた天災を予知するという三本足の蛙の置物が鳴いたという逸話もある。信長公の苛烈すぎる生き様はその生涯において多くの謀叛を生んだ。光秀の謀反もある程度、予想していたから「是非もなし」という本能寺の名言を放ったのだろう。実は真面目一辺倒な光秀の裏切りは信長公にとって予想外のもので、少し光秀を見直したのかもしれんのう。信長公が光秀をとても信頼していたのも事実で、腹心として側に置いていたし、厳しく当たったのも、光秀ならできるという期待の裏返しだったと思う)
晴明はそんな感想を漏らした。
(僕もそう思います。僕も死にかけてますし。信長さまは前向きに倒れる人間には、たとえ失敗しても優しいと思います。力があるのに手を抜いたリ、心が定まらない人間にはとても厳しいです)
信長に心酔しているメガネ君が言った。
(何かいじめてるだけにもみえるけど)
月読波奈は疑惑いっぱいの見方である。
(あれは天然だと思うけど。信長公は夢中になると見境がなくなると思うし)
神沢優の意見が意外と当たってるかもしれない。
(しかし、明智光秀って、実は死んでなくて、家康の懐刀の南光坊天海に転生したという説があったりしますね)
安東要はそんな歴史の謎を晴明に尋ねてみたかった。
(そういう説もあるな。天海が突然、歴史に顔を出しはじめたのは秀吉が亡くなった頃(慶長3年8月18日、1598年9月18日)からだが、慶長8年2月12日(1603年3月24日)に家康は征夷大将軍に就任し、江戸幕府を開いているが、その年、天海に下野国久下田(栃木県真岡市)の新宗光寺の再建、慶長12年(1607年)には比叡山の復興に当たらせている。この時、比叡山東塔の南光坊在住を命じていて、これが南光坊天海の由来となった。それと慶長20年(1615年)の2月17日に比叡山に「光秀」の名で石灯籠がで寄進されたという記録がある。慶長20年(1615年)と言えば大坂夏の陣で豊臣家が滅びてるし、なかなか意味深なタイミングじゃな。天海は明智光秀の御膝元であった坂本の復興に力を注いだし、怪しいことばかりじゃ)
(でも、ひとつネックあって、天海(寛永20年、1643年没)と光秀(享禄元年、1528年生まれ)が同一人物だとすると115歳で没したことになり、不可能ではないけど、当時としては長命すぎる点ですね。しかし、光秀が天海に転生していたとすると、この問題は一気に解決する)
(それはしかし、どこかの小説投稿サイトのライトノベルみたいな発想ね)
要の珍説を聴いて神沢優は鼻で笑った。
(でも、それができる人物がここにいますよね? 晴明さま)
安東要にしては鋭い推理である。
(確かに、わしの本業は「陰謀」で趣味は「暗躍」だが、さすがにそれはないわ。そもそも、そんなことをする動機がないし、何が目的なのか意味不明だと思わんか?)
(確かに、そうなんですよね)
(かなめちん、詰めが甘いね)
月読波奈にたしなめられる。
(でも、安倍晴明ならやりかねない。もしくは未来の何らかの事情からそんなことになるとは考えられませんか? それと南光坊天海と明智光秀、共通する「光」という文字がまた、怪しいと思うのですよ)
メガネ君はここで重要な問題提起をした。
(「光」か。確かにいいところに気づいたな。実は明智光秀は、四天王と共に酒呑童子を退治した源頼光の子孫なのじゃ。今風にいえば、妖怪バスターズの子孫というところかな)
晴明は意外なことを言った。
(源頼光?)
安東要はぽかんとした顔をしている。
(長い話になるが、明智光秀のことを知るよい機会じゃ。ちょっとわしの話を聴きなさい)
安倍晴明は昔を思い出すように一息いれた。
「コマネチ!」
光秀の会心のコマネチにちょっと嬉しそうな信長だった。
-----------あとがき---------------------------------------------------
次回は明智光秀の新たなる魅力をご紹介する「妖怪バスターズ 源頼光」です。
光秀の扱いがあまりにもひどいので、ちょっとイメージアップを図ってみます。
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