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第二章 安土桃山時代編

<TOKOYO DRIVE>の謎

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「メガネ、お前も成長したな。確かにパンツは白がいいかもしれぬ」

 信長が我が子の成長を誉めるような口振りである。

(ここだけの話ですが、個人的には別意見もあるのですが、ここは白が正解です。軍師としてはオタクたちの幻想を利用してでも生き残りを図りたいです)

 メガネはテレパシー通信で信長にだけ本音を漏らす。

「ハネケ、気を落すな。虎柄パンツの鬼っこ宇宙人が活躍するアニメもあったしね」

 メガネはハネケを慰めたが、彼女はしょんぼりしたままだ。
 彼女の<ボトムストライカー>は再起動していなかった。
 だが、安部清明のお陰か、信長たちが搭乗する式鬼シリーズのためか、結界が張られているいるようで、<ブラックナイト>の重力波は全く影響を及ぼしてないようだった。

「メガネ隊長、ハネケさんは俺が護りますよ」
 
「夜桜、お前、どこにいたんだ?」

 黒の<ニンジャハインド>にはメガネ隊のメンバーである黒髪の男が乗っているはずである。

「神沢隊の方に混じってました。出番はなさそうだったので」

 低い声で答える。

「今回はお前の出番があるかもしれない」

「了解。隊長、ちょっとハネケさんを頼みます」

 そういうと夜桜の<ニンジャハインド>は飛行ユニットを展開して空中の<ブラックナイト>へと飛び立った。

 <ブラックナイト>は幅1kmにも及ぶブーメラン型の衛星であり、空中要塞のように天空に君臨していた。
 数十機の<ボトムストライカー>が基底部から攻撃を加えているが、重力砲によって振り払われてしまい、なかなか取り付けないでいた。
 <ブラックナイト>の上部攻略部隊も同じで、やはり重力砲の射線をかい潜れなくて近づくことさえできないでいた。

(清明様、<TOKOYO DRIVE>って何ですか?)

(<TOKOYO DRIVE>はわしもよく分からないんだが、生体エンジンの一種で人間の生命力、気の力<マナ>を動力源として起動するものだと言われている。<ボトムストライカー>には通常動力のエンジンもあるのだが、その性能を飛躍的に高めると言われている)

(だが、左に逆回転すれば人間を獣化させて堕落させるという欠点もある訳ですよね) 

 メガネが見えないはずの神霊の清明に鋭い視線を向けた。 

(そう、<TOKOYO DRIVE>は元々、異世界侵攻軍の兵器のひとつで、<刀剣ロボットバトルパラダイス>のユーザーたちを奴隷化して兵士に仕立て上げるものだったのだ)

(そんな陰謀があったのですか!)

(まあ、いろいろなことがあって未然に防がれたのだがな)  
 
 今日の清明は歯切れが悪い。
 何か隠してる気もするがするが、ここは訊かない方がいい気がする。

(しかし、ハネケがあれで聖刀<オリハルコン>はしばらく使えそうもないし、夜桜に期待するしかないか)

(聖刀<天羽羽斬剣あまのはばきりのつるぎ>というやつか?)

(ハネケと夜桜はメガネ隊の隠し飛車角みたいなものですからね)

(さて、メガネ、軍師としてはここはどうする?)
 
 信長が会話に割り込んできた。
 魔人眼がメガネを鋭く射抜く。
 まるで物理的な熱のように、メガネの皮膚がぴりぴりとした。

(考えても仕方ないです。信長様、ハネケを頼みます)

(おいおい。わしが護るのか?)

 信長は笑いながら嬉しそうな表情をしている。
 
(はい、お願いします。僕は隊長なので最前線で突破口を開きます)

 メガネは不思議な自信に包まれていた。

(言うようになったな。では、お前に全て任す。オタクたちの骨は全てわしが拾ってやる)

 信長は言い放った。

(では)

 メガネの<ボトムストライカー>は飛行ユニットを展開して天に舞い上がっていった。

(小僧もなかなか頼もしくなったな)

 信長は魔人眼で<ブラックナイト>の弱点を探しはじめた。

(いや、信長様がおられるから安心して戦えるのですよ)

 安部清明も空を見上げてメガネの背中を見つめた。
 ひょっとすると、オタクたちの成長と奮戦で『未来の大戦の敗戦』が覆るかもしれないという淡い期待を抱いて。

   
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