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003 刀撃スナイパー
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「お、<紅蓮剣>のナガモリ撃破か。なかなかの戦果だな」
メガネ隊長の背後で、通信器越しに隊員の低いどよめきが聞こえる。
「スナイパーも捨てたもんじゃないですね。相手の必勝パターンが分かりやすくて助かりました」
とはいえ、何か久々に接近戦からの刀の遣り取りをして、昔を思い出した。
やっぱり、刀撃による命の遣り取りがこのゲームの醍醐味である。
「今日はもう、退却してもいいぞ。こちらも適当にやって基地に帰還する」
メガネ隊長の許しが出た。
さて、帰ろうと思ったら、厄介な機体がこちらに向かってきていた。
サブマシンガンを両手に構えた高機動タイプの機体である。
<スナイパーキラー>と呼ばれるスナイパー殲滅専用機体、隠蔽装甲で姿を隠す気さえない。
銀色の機体が夕日に輝いている。
それだけ自分の機動力に自信があるのだろう。
「嫌な相手だ。ワトソン、衛星兵器を用意してくれ」
「了解、マスター」
スナイパーアレイ専用人工知能ワトソンが金属的な音声を返す。
実はこれがあるから高精度の狙撃が可能なのだ。衛星軌道上からのナビゲート支援によって誤差数センチの高精度射撃が可能になる。
決してアキラの技量のみではない。
左手を失った今では機体がバランスを取るのさえ困難になりつつある。
「来やがった」
かなり早い。
スナイパーは接近されればひとたまりもない、はずであった。
だが、元々、風守アキラは超接近戦の戦いを得意としていたのだ。
聖刀<蕨手刀>を残った右腕で居合いに構える。
<スナイパーキラー>のサブマシンガンの銃弾を両足のブレードローラーのトリッキーな動きで回避しつつ、すれ違い際に抜刀して一撃を加えた。
手ごたえはあった。
敵のサブマシンガンをひとつ粉砕した。
が、<スナイパーキラー>も予備のサブマシンガンを背中から右腕に持ち替えた。
もう一度、ヒットアンドアウェイで仕掛けてくるつもりか、旋回してすぐにアキラに向かってサブマシンガンを乱射する。
それをさらにトリッキーなステップでかわして、アキラは右肩を前にして半身になって居合いに構える。
元々、<ニンジャハインド>の機動突撃での超接近戦を得意としていたアキラは、先の<紅蓮剣>のナガモリとの戦いで何かが覚醒しはじめていた。
「ワトソン、今だ!」
アキラが通信機に向かって叫ぶ。
衛星軌道上から透明なレーザー光線が<スナイパーキラー>の左腕を蒸発させた。
アキラの聖刀<蕨手刀>が一閃する。
左右の手を失った<スナイパーキラー>がバランスを崩しそうになる。
後ろから急加速で機動突撃を仕掛けて、アキラの<スナイパーアレイ>が両足のブレードローラーで<後回転宙返り両足刀技>を決めた。
<スナイパーキラー>は背中を三分割されて、大地を滑りながらスクラップになった。
「<スナイパーキラー>撃破! <スナイパーキラー>撃破!」
人工知能ワトソンが撃破報告を告げる。
「ちょっと卑怯過ぎるが、こっちも余裕がなくてな。すまんね」
衛星軌道上から人工知能ワトソンからのステルスレーザー攻撃、高精度射撃支援などによって、先の<紅蓮剣>のナガモリの撃破も達成されたと言える。
それだけでなく、アキラの超絶刀技の居合いも神速の域に達していた。
スナイパーでありながら、超接近戦でもひけを取らない、後に<刀撃スナイパー>と呼ばれる風守アキラの伝説が今、始ろうとしていた。
メガネ隊長の背後で、通信器越しに隊員の低いどよめきが聞こえる。
「スナイパーも捨てたもんじゃないですね。相手の必勝パターンが分かりやすくて助かりました」
とはいえ、何か久々に接近戦からの刀の遣り取りをして、昔を思い出した。
やっぱり、刀撃による命の遣り取りがこのゲームの醍醐味である。
「今日はもう、退却してもいいぞ。こちらも適当にやって基地に帰還する」
メガネ隊長の許しが出た。
さて、帰ろうと思ったら、厄介な機体がこちらに向かってきていた。
サブマシンガンを両手に構えた高機動タイプの機体である。
<スナイパーキラー>と呼ばれるスナイパー殲滅専用機体、隠蔽装甲で姿を隠す気さえない。
銀色の機体が夕日に輝いている。
それだけ自分の機動力に自信があるのだろう。
「嫌な相手だ。ワトソン、衛星兵器を用意してくれ」
「了解、マスター」
スナイパーアレイ専用人工知能ワトソンが金属的な音声を返す。
実はこれがあるから高精度の狙撃が可能なのだ。衛星軌道上からのナビゲート支援によって誤差数センチの高精度射撃が可能になる。
決してアキラの技量のみではない。
左手を失った今では機体がバランスを取るのさえ困難になりつつある。
「来やがった」
かなり早い。
スナイパーは接近されればひとたまりもない、はずであった。
だが、元々、風守アキラは超接近戦の戦いを得意としていたのだ。
聖刀<蕨手刀>を残った右腕で居合いに構える。
<スナイパーキラー>のサブマシンガンの銃弾を両足のブレードローラーのトリッキーな動きで回避しつつ、すれ違い際に抜刀して一撃を加えた。
手ごたえはあった。
敵のサブマシンガンをひとつ粉砕した。
が、<スナイパーキラー>も予備のサブマシンガンを背中から右腕に持ち替えた。
もう一度、ヒットアンドアウェイで仕掛けてくるつもりか、旋回してすぐにアキラに向かってサブマシンガンを乱射する。
それをさらにトリッキーなステップでかわして、アキラは右肩を前にして半身になって居合いに構える。
元々、<ニンジャハインド>の機動突撃での超接近戦を得意としていたアキラは、先の<紅蓮剣>のナガモリとの戦いで何かが覚醒しはじめていた。
「ワトソン、今だ!」
アキラが通信機に向かって叫ぶ。
衛星軌道上から透明なレーザー光線が<スナイパーキラー>の左腕を蒸発させた。
アキラの聖刀<蕨手刀>が一閃する。
左右の手を失った<スナイパーキラー>がバランスを崩しそうになる。
後ろから急加速で機動突撃を仕掛けて、アキラの<スナイパーアレイ>が両足のブレードローラーで<後回転宙返り両足刀技>を決めた。
<スナイパーキラー>は背中を三分割されて、大地を滑りながらスクラップになった。
「<スナイパーキラー>撃破! <スナイパーキラー>撃破!」
人工知能ワトソンが撃破報告を告げる。
「ちょっと卑怯過ぎるが、こっちも余裕がなくてな。すまんね」
衛星軌道上から人工知能ワトソンからのステルスレーザー攻撃、高精度射撃支援などによって、先の<紅蓮剣>のナガモリの撃破も達成されたと言える。
それだけでなく、アキラの超絶刀技の居合いも神速の域に達していた。
スナイパーでありながら、超接近戦でもひけを取らない、後に<刀撃スナイパー>と呼ばれる風守アキラの伝説が今、始ろうとしていた。
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