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第一章 柊の木の呪い

魔除け

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 庭の木が伸びすぎて、せっかく植えたミカンの木が日陰になっている。

 母親からそんな話を聞いて、三本の庭木を切ることにした。

 要領が分からないので、とりあえず、枝を落としていって、2メートルぐらいの木を50センチぐらいにしてしまった。

 小さな庭の南西にあるひいらぎの木などは、みかんの木のすぐそばにあり、幹からバッサリ切ってしまい、枝一本を残してほとんどの枝を落とした。

 確かに、日当たりは良くなったが、ちょっとやり過ぎではと母親からも言われた。



 その日から、夢の中にそのひいらぎの木が出てくるようになった。

 耳を澄ますと気のせいか、イタイ、イタイという声が聞こえてきた。

 生きながら切れないノコギリで身体を切り刻まれたのだから、人間であれば失神しかねない重傷である。

 確かに、ひどいことをしてしまったと思った。


 翌朝、母親にその話をすると、まあ、あまり気にしないようにしなさいと言われた。

 もう切ってしまったのは仕方ないし、遅ればせながら剪定せんていの本などを読んだ。

 庭木の手入れは「 いみ えだ」というものを払う事によって、木の病気や発育を促すようにしないといけないらしい。

 二本、平行に生えている枝、根の近くから生えている枝、幹に絡んでる枝などの不要な枝を落としていって、散髪同様に枝をすいていくのが基本であるようだ。

 僕は柊ひいらぎの木の尊い犠牲のおかげで、隣のミカンの木を剪定せんていしていった。


 その日の晩もひいらぎの木の夢を見た。

 幹の切り口に小さな子供の顔が浮かび、その口がイタイ、イタイと言っていた。



 翌朝、この話を母親にしたところ、まあ、あまり気にしないように言われた。

 ただの夢なんだからと。 

 確かにそうである。 

 でも、柊の木について調べていたら、通常は北東の鬼門封じの魔除まよけの木らしいことが分かった。

 それが南西に植えられているというのは、少しおかしな気がした。

 普通、南西にはナンテンの木を植えて「裏鬼門封じ」とする。 

 節分の夜に、柊の枝、大豆の枝、イワシの頭を門の上におくと、悪鬼をはらえるという言い伝えもある。










-----------あとがき---------------------------------------------------

出だしはほとんど実話ですが、徐々に幻想世界の行ってしまうのが、伝奇SF小説のパターンです。ホラーというのは法螺ほらなのか?

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