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逃げる。

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(もう猶予は無いな。
全員ぶちのめそう。)

「なっ、なんだ。貴様。
ぐぁあーー」

「なんじゃ。おいっ。切り捨てろ。
うぼぇーーー」

「なんザマス。なんなんザマス。たすけるザマス。
ぎょうえぇー」


「皆。手伝って。
こいつらふん縛るよ。」

「君、わかってるねー。」

「な、なん。
どういうこと?」

「勇者君。バカも大概にしないと死ぬよ。
こいつらは戦争の道具としてわたしたちを召喚して、隷属しようとしてるの。逃げないと戦える人は戦争に、戦え無い人は女性なら慰み者かな。
この状況で逃げないなんて人はいないと思うけどどうする?」

「逃げるわ。」

「じゃあ、勇者くん。
わたしについてきて。
蹴散らしていくから、皆は身動き取れないように縛っていって。」

「と、止まれーー。」

「バカね。止まるわけないでしょう。
食料と金目のものは片っ端から貰っていくよー。
仕舞えるスキル持ちはいる?」

「あ、わたしが。」

「じゃあお願いね。
あとで分配するから。」



粗方奪い取り、ここは廃墟の中。

「全部で十二人か。
自己紹介は要らないからスキルを教えて。」

「じゃあ僕から。僕は勇者で。スキルは勇気。」

「やっぱり勇者だったんだね。
テンプレだなあ。」

「ホントだね。
勇者くん。ここでは盗賊も居るし魔物も居ると思って。死にたくないなら他人は疑って掛かって。この世界の知識も無いのにリーダーシップを取ろうとしたら見限るから。
次は僕が。僕は魔導師。全属性魔法だよ。」







「先ずこの国はまずい。
直ぐ逃げるよ。地図は。くーちゃん。
スキルおねがい。」

「くーちゃん?わたし?
わかったわ。
ワールドマップ」

「ふーん。移動手段は徒歩しか無いけど頑張って。
移動が辛いなら途中の村か町で置いてくから。
後は冒険者になるとか商業ギルドで薬師とかで生き抜いてね。」

「貴女、チートが凄いんでしょう?
なら皆を助けてよ。」

「んー。隣国に逃げたらわたしは皆と離れるよ。
わたしって運動音痴なのは皆も知ってるよね。
皆笑ってたもん。それがチートで普通以上に動けるようになったんだから、この世界を楽しむよ。」

「そ、それは。」

「じゃあ後はわっくん。リーダーとして皆をお願いね。」

「僕かよ。まあ皆が納得するまで教えてみるか。」

「僕は納得してないぞ。何故そいつがリーダーなんだ。」

「勇者くん。貴方バカなんだから話を聞きなさい。」

「バカ。バカァ。僕は全国模試でも一桁だったんだぞ。」

「勇者くん。だからバカだって言ってるのよ。
ここで全国模試が関係ある?
生きるか死ぬかの時に話を聞かないバカは縛って置いてくよ?」
(絶対こいつ納得してない。そのうち大バカやらかす。)

「ぐっ、ぐぅうう。」

「駄目だ。殴る。
縛っておいて。
ここがどんなに死が近い世界なのかよく考えて。
黙ってるってことは皆、それなりに異世界物読んでるんでしょう?勇者くんは知識がないみたいだけど、こいつ絶対何かやらかすよ。ざまぁ物なら行く行くは盗賊のパターンかな。」

「ホントに君わかってるねー。
食料はあるからちょっとずつ隣国に向けて進みましょう。で、多分国境付近には衛兵がいる。捕まったら隷属か死だからね。」

「わたし、勇者くん城に置いてくるよ。
戻って来るから基本的なことを教えといて。」

「見殺しよりはいいか。お願いするよ。
この世界なんだけど、ケーちゃんが言ったように魔物や盗賊が普通に居る世界だと思って。
男性なら殺す。女性なら嬲られて売られるかな。
いや、嬲られてもいいなら城に戻ってもいいよ。
いずれ人を殺さなくちゃいけない時が来る。
多分すぐに。
スキルは使えるものは常時使って。特に索敵と魔力感知。不審者の接近に備えられる。
それと魔法を使える人。火の魔法は極力使わない。
じゃあケーちゃんが戻ってくるまで魔法の練習でもしよう。」






「ただいま。
魔法の練習?皆優秀だね。
じゃあわたしのスキルでわかっていることだけ教えてあげる。スキルの補助ねー。何でも出来る。冒険者の補助って言ったら?ポーターとか薬師とか魔術師とかね。でもネットショッピングとかは無理だよ。この世界での事はなんでもかな。」

「はー、ホントにチートだね。」

「あっちでは歩くのさえまともじゃなかったんだから。つまり、一人で完結してるの。皆と一緒にいる理由がないの。わかってくれた?」

「わかったわ。散々無視したり悪口言ったりだったのに今更よね。暫くは脇役くん。あ、ごめん。わっくんに頼ることになるけど、宜しくお願いします。」
















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