恋される上条家の三男坊。 ～奈緒紀の甘い誘惑～

24 ＜Hシーン注意＞

　恭介が自分のものよりすこし小ぶりな彼のものを握ると、奈緒紀の身体がびくりと跳ねた。自分がしたことに返ってくる反応であれば、なにだって満足だ。たとえそれが悲鳴でも、暴力でもいいと、本気で思える。

　恭介は自分のボトムのまえを寛げると、尻のポケットから邪魔になる財布を取りはずした。ついでに慌ただしい手つきで、財布のなかにひとつだけ入れていた避妊具をとりだす。
　そして慣れた手つきで自分のものにそれを装着すると、すぐに片腕でさっきずらしたボトムごと奈緒紀の下腿かたいをまとめて抱え上げた。

　晒した彼の尻からすぼまりを探りあて、自分の猛り立つ反りかえったものを無理やりに押しこむ。
「――ぅくっ」
　奈緒紀は押し殺した悲鳴をいちど上げただけだった。

　恭介はみっちりと塞がった肉のあいだを、避妊具の僅かな潤滑剤だけを頼りにして無理にぐい、ぐい、と押しこんでいく。荒くたい動きにあわせて、彼の上体が地面を擦りつけるようにして揺れていた。

　奈緒紀のなかは快感を得られるどころか、普通なら萎えてしまいそうなほどきつさだ。それでも不思議なもので、自分のするがままに揺さぶられ、自分の与えるすべての感覚を彼が甘受しているという事実だけで、恭介は悦楽を感じて、痺れてくる歯を噛みしめた。

「んっ……んんっ……」
　どんなにそこが狭くても陰茎が一向に強度を失わないので、恭介はガンガンに腰を打ちつけて彼を苛さいなむことができる。漏れ聞こえる彼の息を呑みこむ音に、背筋がぞくぞくした。
　いつのまにがぎゅっと瞑られていた彼の瞼に、そして額や頬にたくさんのキスをする。ほんとうなら耳に齧りつきたかったが、いかんせん彼の両耳には無数のピアスがついているので諦めるしかない。

　かわりに奈緒紀の顔にむさぶりつきながら、好きに腰を振っていると、ふいに接合部にちいさな痛みと違和感を感じた。慌てて装着した避妊具が、なんらかの理由で破けたのだ。

「ちっ」
　彼のなかから一瞬でも出たくはなかったが、異物を彼の体内に残して万が一のことになってもいけない。恭介はやむなくいちど自分のものをひき抜ぬくことにした。

「――っうっ」
　乱暴な所作に奈緒紀が呻く。
　無性に彼と離れたくないという気持ちが強くて、恭介はさっさと破裂したゴムを外してその辺に放ると、ふたたび彼に覆いかぶさった。手を添えてぎゅっと生のままの性器を奈緒紀のなかに潜りこませると、ついでに彼の着ていたＴシャツも脱がしてしまう。

　肌をぴたりと合わせて、奈緒紀の温もりをじかに感じ安心する。肩に齧りつきながら胸のちいさな突起を指の腹に擦りつけていると、ほどなく恭介は一度目の絶頂を迎えた。

　奥歯を噛みしめても「くぅっ」と声が漏れてしまう、最高の悦楽を味わう恭介の腕に、鋭い痛みが走ったのは、しがみついてきた奈緒紀の爪が原因だ。恭介は大きく胴震いしながら放った白濁を、すべて奈緒紀の体内に流しこんだ。

　はぁはぁはぁ。
　荒い息を吐恭介の下で、奈緒紀が総毛だったようにぶるりと震える。
「奈緒紀、顔……」
　顰める顔をあげさせて、深く舌を差しこみ、息が苦しいくらいのキスをつづけていると、またすぐに恭介の分身が固くなっていく。

（あともう一回だけ……）
　体内にある恭介の状況を察したのか、にわかに身を固くした奈緒紀は、様子見で恭介がちいさく一突きすると、びくっとした。ぎゅっと目を瞑り、しゃくりあげた呼吸を舐めるようにして呑みこんでいる。辛いのだろう。

　でも、本気で可哀そうですまないと思っていても、ダメなのだ。今の恭介には奈緒紀との境界線を曖昧とするこの繋がりが、必要で。これしか餓えた自分の内部を潤して、安らがせてくれるものがない。
（ごめん）
　少しづつ腰を振っていくと、こんどは自分の放った体液のお陰で、彼のなかをいい具合に動けるようになっていた。もしかしたら奈緒紀の身体のほうもすこしは慣れて、中が柔らかくなったのかもしれない。恭介は僅かでもいいから奈緒紀にも快楽があればいいと願った。

　それならば、自分が彼の陰茎を擦ってやればすむことなのだが、しかし片側の手は彼の脚を抱えなければならかったし、そうしてもう一方 いっぽうの手は、――情けない話だが抓つまみみ心地のいい彼の乳首から離れてはくれなかった。

　二度目の途中から奈緒紀は、その華奢な腕を恭介の背中にまわして抱きしめ返してきた。恭介が戸惑って一瞬だけ動きをとめると、彼はふたたび自分の眉間にやさしく触れた。

「……先輩。またここに皺、寄っちゃってるよ」
　彼の言葉に息が止まりそうになる。恭介はぎゅっと目を瞑ると涙を堪えた。
「……も、そんな顔しなくていいからさ。好きに気持ちよくなちゃって」

　奈緒紀は恭介に笑いかけようとして、痛みで失敗したようだ。細めた眦まなじりに溜まった涙が光って、まるで泣いているように見えていた。

　恭介には奈緒紀にどんな気持ちの変化があったのかはわからない。ただ彼が行為に慣れてきて余裕ができただけだったのかもしれない。けれどもこのときの恭介はそれ以上を考えることもなく、彼の体内から得られる快感を、貪欲に貪り続けることに必死でいた。