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(コレ写真に撮ったらダメかな?)
「みっ、見ないでくださいっ!」
 潤太がもじもじと太ももを擦りあわせているのは、きっと股間を隠したいからだろう。だけどもそれがまた、なんともなまめかしい。

「せ、ぱいっ、……手ぇ、離して……」
「でも、吉野。大智は吉野の買ってきた料理、食べたよね? 僕は食べ損ねたよ? それって大智だけずるくない?」
「あっ。で、でもっ」
 食べなかったのは自分の勝手なのに。

「だから、かわりに吉野を食べさせてよ?」
 俊明は潤太の耳もとでそう囁くと、伸ばした手を彼の性器にすぅっと添わせてみた。
「ひゃんっ」
 そのまま竿を軽く掴む感じで触れると、それがどくんと脈打つのが布越しに伝わってくる。叫んだ潤太は身を捩り、解放された左腕ですぐに顔を隠してしまった。

 男の性器なのに、男らしかぬ声や仕草であるのに、それらにまったく抵抗はない。自分は相手が潤太であるのなら、なんでも平気なようだ。

「ふ、ふぇ……」
 それどころか俊明は自分の手のひらの中で形を変えていく彼のものに、ますます興奮してきた。
「吉野、おいしそう」
 情欲に駆られいてでたセリフは、掠れてしまっていた。手のひらのなかの潤太がぴくんとなる。

「お、俺は食べ物じゃないよっ! ケーキっ! ケーキがあるでしょ! 先輩は、そのケーキ全部食べちゃっていいからぁっ!」

 あれほど固執していたケーキを身代わりにするぐらいに潤太が必死になって抵抗する。それでも俊明はやめてやろうという気にさらさらなれない。なぜなら多少強引になってしまってでもことを進めてしまいたいのは、性欲だけが理由ではないからだ。俊明にはやはり大智に対する嫉妬がある。
ふいにあの従兄のまえで無邪気に笑っていた潤太を思いだして、胸がきしっと痛んだ。

「ねぇ、吉野。さっき大智と話していたラブレターって、なんのこと?」
「へ? あ、えっと、ラブレター?」
「そう。ラブレター」

 自由になっていた左手を床について、「うんしょ」と潤太が上体を起こした。その手はスカートの裾へと移動し俊明の手を追い払うと、そのまま股間をぎゅっと押さえつけて、勃起を押し隠してしまう。

(このアングルいいな。撮りたいな)
「ラブレターってね、俺が先輩に書いたラブレターのことだよ?」
 すっかり気分をかえて、目をくるくるしながら話しだした潤太に、俊明は「はて?」と眉間を寄せた。そのラブレターとやらは、いったいどうしたのだろう。自分はもらってなどいない。

「俺ね、毎日毎日、先輩にラブレター書いててね、で、先輩の靴箱に入れに通ってたんだぁ」
 いよいよ俊明の眉間に皺が寄る。
「それ、いつのこと? 僕、知らないんけど?」
「うん。だって俺、間違ってアラハっていうひとのとこに入れてたんだもん」
「……は?」
 潤太が「えへへへへっ」と照れながら笑った。

「で、アラハさんが大智先輩に相談してぇ、で、大智先輩に間違ってるって俺、教えてもらったんだ」
「えへへって……」
 首を傾げて笑う潤太にくらりとした。云っていることはむちゃくちゃだったが、上目遣いでサンタコスの吉野。緩勃起でスカートがめくれている吉野。

(いや、もう、コレ、大智が家にいなけりゃ、縛りあげてぱっくり呑みこんでるわ)
 この危険な考えも、もはや彼のせいだ。
「それでそのラブレターはどうなったの?」
「どうなったんだろ?」
 潤太は今度は反対側に首を傾けた。

「でも、いっぱい書いたんだよ? 先輩に読んで欲しかったなぁ」
「ふぅん。僕も読みたかったよ。……で、スカートって?」
「それは、話すと長くなるんだけど――」
 長くなるときいて、俊明は顎を引いた。

(だめだ。こんな調子じゃ、せっかくの流れが無駄になる)
 ラブレターの行方も、スカートの話も詳しく知りたいが、今はこの瞬間に必要な言質さえとれれば充分だ。早くしないと時間がないし、本当にもうムラムラが治まらない。
 俊明はいちばん大切なことを優先するべく、頭の回転を速くした。


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