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ファンタジー官能譚
亜人執事に堕ちた悪役令嬢
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この世界には人間の他にエルフや半獣の亜人も多く存在し人間と共存してきた。
特にヴァンヒリ王国は亜人に広く門を開けた最初の国であり、耳と尻尾を隠せるためか大勢の亜人が暮らしている。ヴァンヒリ王国出身の亜人も居るくらい、王国は居心地の良い場所だった。
ロベルトは狼の亜人であり、ヴァンヒリ王国に四つあるうちの一つであるバロン公爵家の娘、エスメラルダの執事として幼い頃より従事している。
エスメラルダは美しい外見とは裏腹に気性の激しい持ち主で、よく言えば貴族らしく、悪く言えば我儘だった。
しかしそのエスメラルダも今夜の舞踏会には輝かんばかりの笑顔を浮かべ、機嫌よくロベルトに良くしてくれていた。
それもそうだろう、なにせ今夜はエスメラルダの婚約者、ヴァンヒリ王国の皇太子であるラインハルトとパーティーへ同行するのだから。
鼻歌を歌いながら馬車に乗ったエスメラルダを見送り、ロベルトはつかの間の休息を得た。
しかし……。
「お嬢様! お開け下さい!」
「どうしました?」
エスメラルダの自室の扉を何度もノックする侍女が泣き出しそうな顔でこちらを見る。
「急に帰ってきたと思ったら部屋に閉じこもってしまって……」
もしかしたら具合でも悪いのかも……と青ざめた顔をする侍女に、ロベルトは溜息をついた。
こういうことはエスメラルダが幼い頃よりあった行動だ。気に食わず喚いて、意思が通らないと不貞腐れて自室に籠もる。成人を間近に控え、その行動はほぼ皆無になっていたが、ここへ来てぶり返したか……とロベルトは呆れたように溜息をついた。
「君はお嬢様の好きな紅茶とお茶菓子を用意してくれ」
「はい……!」
余程心配だったのだろう、侍女は大急ぎで用意を終えて紅茶と焼き菓子を持ってきた。
「お嬢様、ロベルトです。お嬢様が好きな紅茶と焼き菓子を持ってきましたよ」
数回ノックをしても、部屋の中から返事はない。
仕方ない、とロベルトは深く息を吸ってもう一度ノックをした。
「仕方ありませんね。お嬢様、ドアを壊します」
亜人であるロベルトには貴族御用達の重厚なドアなど、所詮は木材と難なく破壊できる。
そしてドアを破壊して怒られるのは不貞腐れて部屋から出なかったエスメラルダだった。
ロベルトの言葉に、ドスドスと部屋の奥から走り寄ってくる音が聞こえて扉が開け放たれる。
「ちょっと止めてよ!!」
「お嬢様……!」
「どうしたんですか、その顔は!」
「うるさいうるさい! お茶を持ってきたなら早く寄越しなさい!」
エスメラルダの顔を見て侍女とロベルトはギョッとする。あれだけ時間をかけて満足のいったメイクがドロドロに落ちていたのだ。
「良いから早くしなさいよ!」
「君は部屋から離れて、他の者たちも近づかないように言って下さい」
「は、はい!」
ロベルトは侍女に言いつけると、お茶を持ってエスメラルダの自室に入った。
ティーセットをテーブルに置き、エスメラルダに向き直るが、その華奢な身体は背中を向けている。
クローゼットから引っ張り出したトランクにドレスを詰め込むが、畳むということをしたことのないエスメラルダに荷造りなど到底出来ない。
「何があったんです?」
「アンタには関係ないでしょ!」
「主人がそんな顔でパーティーから帰宅して気にしない執事がいますか?」
グスグスと鼻を啜るエスメラルダの金色の髪は折角セットしたというのに崩れている。まるで暴漢にでもあったように見ていられない格好だ。
「執事? そうしていられるのも今だけよ。そのうちお父様からお前も追い出されるわ」
エスメラルダの口から信じられない言葉が飛び出す。
「なんですって?」
「……その言葉通りよ。私はもう公爵家の娘として価値はないの……」
エスメラルダはポツリポツリと先ほどまで楽しんでいたパーティーの内容を話し始めた。
エスメラルダは婚約者のラインハルトを愛していた。それは盲目的であり、凄まじい情熱を持って。
しかしラインハルトに想い人が出来たというのだ。女性の名前はエリザベス・ファース。
エリザベス・ファースの噂はロベルトの耳にも入っていた。容姿端麗で品行方正な彼女はアカデミーを優秀な成績で卒業し、成人間近になった今では慎ましい性格と清楚な顔立ちを揶揄され社交界の撫子と言われている。
容姿が派手で社交界の薔薇と言われているエスメラルダとは対象的な令嬢だった。
「あの女! 私のラインハルト様と!」
苦々しい表情をしたエスメラルダはドレスを引っ掴んで地面へ叩きつける。
エリザベスとエスメラルダ、そして皇太子であるラインハルトはアカデミーの同級生だった。その中でもエリザベスとラインハルトの仲の良さは評判で、嫉妬したエスメラルダはエリザベスにラインハルトを諦めさせようと嫌がらせをした。
今夜はそれを咎められ、婚約破棄を言い渡されたのだ。
「なによ! なによ! 婚約者がいる殿方に近づくエリザベスが悪いのに!」
エスメラルダの怒りはもっともだった。婚約者がいる男と親しくなるのは貴族社会では憚れることだ。
しかしエリザベスはそんなことお構い無しでラインハルトに近づき、そして寵愛を得た。エスメラルダの絶望はどれほどなのか。自業自得だとしても、ラインハルトに自身の立場を顧みてほしいと思うのは、主人を心配する執事心だ。
「それではお嬢様は廃嫡(嫡子を廃する、なので、跡継ぎでないなら勘当でよいかと)ということになるのでしょうか?」
「そうよ! だからアンタもクビ!」
そう言い捨て、エスメラルダは荷物が入らないトランクに怒りをぶつける。
「あぁもう!」
細い金糸の髪を振り乱して目元を擦る。
「とりあえず落ち着いて下さい。そんなに乱暴では入るものも入りません」
今にもドレスを破かんばかりに力が入っている手を優しく包み込むロベルトに、エスメラルダはやっと肩の力を抜いた。
「まずは化粧を落としましょう」
慣れた手付きでコットン製の布にオイルをなじませ、エスメラルダの目元を拭き取る。
厚く塗られた化粧はスルスルと落ちていき、素顔に戻ったエスメラルダは幼い顔立ちをしていた。
「落ち着きましたか?」
「無理よ、もうこの家にも居られないのよ? 私がなにをしたというのよ!」
またパーティーでのことを思い出したのか、フツフツと怒りの炎が燃えだしたエスメラルダは、キッとロベルトを睨みつける。
「アンタも私のこと内心笑ってるんでしょう? 意地悪で高飛車な私が痛い目を見て気味だって!」
泣かんとする気丈さは、いっそ尊敬に値する。貴族らしいエスメラルダにとって泣くことは弱みを見せること。彼女が涙を噛み殺すのは自然なことだった。
しかし素直に泣けないエスメラルダをロベルトは哀れに思った。ラインハルトに涙のひとつでも見せて縋れば違う未来もあっただろうに……。
「もう何もないの、もう……私には何も……」
落胆する肩に、ロベルトはエスメラルダはこんなに小さい人だったかと思う。幼い頃からエスメラルダは横柄でロベルトはいつも辟易していたが、気付いたらエスメラルダは成人を迎えようとして、多少気難しいところはあるが立派な淑女だ。
美しい金髪は艶があり、白い肌は陶器のように滑らかで、果実を食べたように色づいている唇、瞳は薄いスミレ色をしていおり、黙っていれば絶世の美女だ。更に公爵令嬢の肩書があるのだから、結婚したい男はごまんといるだろう。
しかし社交界の噂は早い。皇太子から婚約破棄されたエスメラルダが行く末は暗雲が立ち込めている。むしろ廃嫡はエスメラルダにとってまだマシなのかもしれない。
「……お嬢様が廃嫡されるのなら、僕もついていきます」
「本気で言ってるの? どうして私がアンタを連れて行かなきゃいけないのよ。それも亜人を!」
ロベルトの肩がピクリと動いた。
ヴァンヒリ王国では亜人への差別を禁止している。しかし亜人の貴族はおらず、亜人はいくら功績を上げても貴族にはなれないのだ。それは貴族社会に根を張る亜人は人間の下に着くべきだという傲慢さだった。
そしてエスメラルダは生粋の貴族であり、やはり亜人に対して下に見る傾向があった。それでも口にはしてこなかったので、ロベルトは付き従っていたのだ。
それが、こんな形で知ることになるとはロベルトも思っておらず、悔しさに炎に囲まれたように目の前が真っ赤になる。
「……亜人だからなんです……?」
「え……?」
それまでの物腰の柔らかさは鳴りを潜め、ロベルトは瞳孔を細めた。
「人間なんて亜人からすれば赤子のようなものですよ」
ロベルトはエスメラルダの手首を捻り上げる。
「痛い……! 離しなさい! ロベルト! 私にこんなことしていいと思っているの!」
エスメラルダは信じられない、と睨みつける。
しかしロベルトからすれば大したことではないのだ。
ザワリ、と身体の緊張を解くと、大きな耳と豊かな毛に覆われた尻尾が現れる。鋭い牙が伸び、爪も長く尖っている。
その姿を見た途端エスメラルダは恐怖に震えた。
ロベルトがこの姿をエスメラルダに見せたのは初めてのことだ。驚くのも無理はなかった。
「あ、あ……」
「平民に堕ちるなら、私が貴方を頂いても構いませんね?」
ロベルトの眼光がギラリと光った。それは獰猛な狼そのもので、エスメラルダの顔は青ざめる。
「何を言っているの! 離しなさい! 離しなさいったら!」
ロベルトの言葉通り、大の男でも亜人の力には叶わない。エスメラルダのようなか細い女性をベッドへ押し倒すなど造作もないことだった。
「な、何をするの!」
両腕を頭の上でロベルトの手で固定されたエスメラルダは目を見開く。
ベッドへ押し倒されブルブルと肩を震わせるエスメラルダのドレスを鋭い爪で切り裂けば悲鳴が上がる。
「誰か! 誰かいないの!」
「無駄ですよ、侍女は部屋から離れていますし周りにも部屋へ近寄るなと言付けていますから」
「ひぃ!」
長い爪で谷間を撫でれば、エスメラルダの抑えきれなかった悲鳴が漏れ出る。
「可哀想なお嬢様。今のような悲壮感を漂わせればラインハルト様もお嬢様の印象が変わったでしょうに」
ロベルトはエスメラルダの身体を締め上げるコルセットすら、その腕力で引きちぎる。
するとコルセットに押さえつけられていた豊満な双丘がブルン、と揺れて開放された。
「な、なにをするの……!」
「鈍いですねお嬢様。人間の男女と同じことですよ」
色素の薄いエスメラルダの乳頭は桃色で、谷間からは甘い香りが漂う。
これは雌のフェロモンだ……。
背中が粟立ち、その興奮が下半身に集まるのを感じると、ロベルトは舌なめずりをした。
「震えて可哀想に、今にその震えは甘美なものになりますよ」
「そんなわけないでしょう!」
身体は恐怖で強張っているのに、エスメラルダはそれでも涙のひとつすら見せない。最初こそ驚いて悲鳴を上げたが、今は歯を食いしばりロベルトを睨みつけている。その強い視線がこの後どうなるのか想像して、ロベルトはその双丘の片方に舌を這わせた。
「やめなさい! い、いや!」
ピチャピチャとミルクを飲む子猫のように乳房を舐め回し、敏感な先端を尖った舌でチロチロと遊ぶ。
胸の中心にある小さな果実は恐怖と刺激で固くなっていき、ロベルトは食べごろだと口に含んだ。
「んん!」
エスメラルダの肌は鳥肌が立っており、身体が危機感を感じているのだろう。
ロベルトはニヤリと笑うと、口の中に含んだ果実を飴を舐めるようにコロコロと転がす。程よい大きさと弾力がある乳首はロベルトの好みで、舐めることが止められない。
「いや、いや」
刺激から逃げるように頭を振るエスメラルダはそれでも涙は見せない。
唾液をたっぷり纏わせた舌で果実を舐め上げて、押しつぶす。
「ひん!」
ジュルルル、と下品に音を立てて乳首を吸い上げるとエスメラルダの腰が僅かに浮いたのをロベルトは見逃さなかった。
「おやおや、お嬢様も楽しんで頂いているようで」
「どこを見て言っているのよ!」
未だ睨みつけてくるエスメラルダの腕を解放すれば逃げようと藻掻く。
そうはさせないと、裾まで破れたドレスから見える白い太腿を割り開き、純白の下着へと舌を這わせた。
「きゃあ!」
汗と雌の匂いが充満しているそこは、鼻のいい狼の亜人であるロベルトには咲き乱れる花畑そのままだ。
「やめなさい!」
泣き出しそうな声を無視して長い舌で恥列をなぞり、陰核をグリグリと押しつぶす。
「ひぃ!」
ロベルトの頭を押し退けようと掴むエスメラルダは、ビクともしない力強さに涙目になっていた。
「やめて、やめてぇ!」
とうとう涙声になったエスメラルダに、それでもロベルトは行為を止める気はなく、花芯に吸い付いた。
「あぁ!」
肉芽への刺激に仰け反ったエスメラルダの力は弱まる。
ジュルジュル、と音を立てながら思う存分花芯を弄んだロベルトは下着を引きちぎり、薄く産毛が生えているだけの花園へ顔を近づけた。
「んあ!」
たっぷりと濡れた肉壺へ舌を挿れる。
狼の亜人の特徴である長い舌は蜜壺の中を我が物顔で暴れまわった。
ジュル、ジュルル、グポ、ジュポ、まるで男の逸物で膣を蹂躙されるような動きに、エスメラルダの足はピクピクと痙攣が止まらない。
「ひ、やぁ、あ、あ、」
エスメラルダの口から甘い声が混じり始める。
「だめ、いやぁ、あ、あんん」
言葉では嫌がっているが、頭を掴んでいた力は自分の身体の方へ、そしてロベルトの顔に恥部を押し付けている。
エスメラルダの身体は敏感なようで、肉壷を舐めていると放置されているにも関わらず、陰核が包皮を押しのけて顔を出していた。
「あぁ、寂しそうにしていますね」
長い爪で突付くと鋭い刺激にエスメラルダの身体がビクン! と飛び跳ねる。
親指の腹でクリクリ、と愛撫し、ロベルトはまた肉壷に舌を挿れた。
「あひ、あ、あ、」
短い喘ぎは与えられる快感に戸惑っているようにも見える。
貴族社会では婚前交渉は禁止されており、成人を控えたエスメラルダも例に漏れなかった。
だからこそ、ロベルトは最大限の誠意を持ってエスメラルダに愛撫をする。せめて痛みがないように、と。
ロベルトから与えられる快感に拒絶する力を完全に失ったエスメラルダは燻る熱を持て余しているようだ。
それもそのはずで、ロベルトが加減をしているせいだった。
「あ、あ、あ」
イキたいけど、イッたらいけない。
そのもどかしさと、公爵令嬢としてのプライドがエスメラルダを混乱させているのは、ロベルトには手に取るように分かる。
もっと自分から求めるようにしなければ……。
「お嬢様」
秘部から顔を離したロベルトはエスメラルダに声をかけた。その瞬間に力強い光が宿り、ロベルトをキッと睨みつける。
「今なら飼い犬に噛まれたと思ってやるわ! 早く退きなさい!」
バラ色に染まった頬でそんな事言われても説得力はないが、なけなしのプライドだとしてもエスメラルダは気高さを失われていない。
「まさか、僕がそんな言葉で止めるとでも?」
「……くっ!」
上体を起こしてロベルトの胸を押し退けようとするが、亜人の強い力で押さえつけられている太腿は全く動く気配すらない。
ロベルトは必死なエスメラルダを見てニッコリ、と笑った。
「お嬢様が処女を奪われる瞬間、きちんと覚えておいてくださいね」
「や、やめて……! 嫌よ、初めてが亜人なんて!」
「あぁ悲しいです」
涙を流すフリをして、ロベルトは片手でスラックスの前を寛げると、未だ立ち上がっていない男根を取り出して、柔らかいままエスメラルダの恥裂にヌチュリ、と擦りつけて入り口にあてがった。
「いや、やめて……!」
「それは聞けない命令ですね」
ニュルン、と入ってしまった柔らかい肉竿はエスメラルダの蜜壺を傷つけることなく、肉壁の柔らかさを確かめるように動く。
想像していたよりもずっと軽い衝撃に、エスメラルダは嘲笑を浮かべた。
「なによ、アンタ大したことないわね」
「お嬢様、アカデミーでは亜人について学ばれましたか?」
「当たり前でしょう? さ、退きなさい!」
ロベルトは興奮の片鱗すら見せていなかった。いや、見せまいとしていた。
「アカデミーでは亜人の性交については確かに学びませんね」
「そんなこと興味ないわ……!」
「お嬢様、後学のために教えて差し上げます。僕たち狼の亜人は、挿入してからペニスが膨張するんですよ」
「え……、あ!」
もどかしい刺激で熱を持て余し煮えたぎったような蜜壺の中で柔らかく擦りつけていただけのペニスに質量が宿っていく。
「あ、あ、」
「ほら、お嬢様のナカを満たしていきますよ」
あっという間に大きくなった巨根と呼ぶに相応しい肉竿がエスメラルダの肉壷をミチミチ、と押し上げた。
「あう! 苦しい……!」
「初めてですから優しく、と言いたいところですが、このぐらい濡れているなら大丈夫でしょう」
「いや、やめて、今動かれたら……!」
ズチュン! と打ち付けられた腰にエスメラルダが声を上げる。
「あぁ!」
それまでの刺激はなんだったのか、と言いたいようなエスメラルダの反応にロベルトは口角が上がった。
「ほら、気持ちいでしょう?」
「き、気持ちよくなんて……ああ!」
ロベルトは緩急をつけてエスメラルダを攻め続け、組み敷かれたエスメラルダは喘ぎ声を噛み殺すことしか出来ない。
「ふう! んん!」
「強情なお嬢様ですねぇ」
ペロリ、とエスメラルダの紅潮した頬を舐めたロベルトは、そのままエスメラルダの耳へとその長い舌を這わす。
「は、ああ!」
エスメラルダは耳が弱いようで、這う舌の快感に力が抜けていき、声も甘く変わる。
「や、んん! やめ、耳はだめぇ……!」
「なぜです? 耳が気持ちいいのでしょう? ほら、舐める度にナカがキュンキュンと締めてきますよ」
「あ、あ、あ」
如何に剛直を締め付けているか分からせるために、ロベルトの動きはゆっくりになり、それはエスメラルダに自覚させるには十分だった。
「認めない……! こんなのセックスなんて!」
エスメラルダにとって性交は神聖なものだった。
婚約者であり、想い人であったラインハルトと睦言を交わしながら行う、愛を伴った行為。
しかしいま行われているのは強姦以外にない、とエスメラルダは叫ぶ。
ロベルトはエスメラルダの言葉を一頻り聞き、そして彼女の身体を反転させた。
「う……!」
エスメラルダの背面に伸し掛かり、ロベルトは真っ赤になった耳にひっそりと囁く。
「そうですよ、これは愛のあるセックスではありません。……ただ快楽を貪るだけの交尾です」
「こう……び……」
「そう、愛なんて必要ない、ただ男女の身体だけ必要な、獣の交尾です。そこに理性なんてそんなものは必要ありません」
「そんな、そんなものって……!」
エスメラルダはスミレ色の瞳からビー玉のように大きな雫を零した。
「ほら、気持ちいいでしょう? 身を任せてしまいたくなるでしょう? 今まで我慢ばかりしてきたでしょう? 愛する人に愛されず、周りのプレッシャーに潰されそうになって……。全て忘れて自分の欲に素直になれば楽になれますよ」
まるで悪魔の囁き。
エスメラルダはガクガクと震えながら怯えた瞳をロベルトに向けた。
「イヌ科の生き物は主人の気持ちに敏感なんです。お嬢様の苦しみ、僕が一番理解しています」
「あ、あぁ……」
「お嬢様が素直になれるように体勢を変えましょうか?」
ロベルトは挿入したまま上体を起こすと、エスメラルダの太腿を掴み、そのまま持ち上げた。
「あぁ!」
背面駅弁の格好のまま、ロベルトは広い部屋にある一席のカウチに腰を掛ける。
「あひぃ」
ロベルトが腰をかけると、エスメラルダの体重が負荷となり、突き立てられた長物が蜜壺の奥深くまで沈む。
「ぅうん!」
息苦しさで繰り返す浅い呼吸に混じって甘い吐息が混じっているのをロベルトは見抜く。
小さく腰を揺すれば、エスメラルダの爪先はピクンピクン、と上下した。
「お嬢様が刺繍に勤しんだソファーの上で足を広げて執事のペニスを咥えこんでいる気分はどうです?」
「ひ……あぁ」
「素直じゃないですねぇ」
ロベルトはエスメラルダを素直にするため、掴んでいた太腿を持ち上げてズルズルと肉棒をギリギリまで引き抜き、そして打ち付けた。
「んあ!」
いよいよエスメラルダの声は甘い声を隠せなくなり、蜜壺の中から溢れていくる愛液が肉竿を揺らす度にプチュ、グチュン、と水音が大きくなる。
「あぁ…‥!」
もう少し激しくしてみようか、そうロベルトが思った時、部屋のドアがノックされた。
「お嬢様大丈夫ですか? 長い時間経ちましたので様子を伺いに来ました」
先程の侍女だ。
その声は本当にエスメラルダを心配していて、何度もノックを繰り返している。これはエスメラルダ自身が応対しなければ納得しないだろう。
執事人生もこれで終わりか、と自嘲気味に笑みを浮かべたところで、エスメラルダが息を吸った。
「だ、大丈夫よ。少し、気分が悪いの……ぁ、近くにロベルトが、いてくれるか、ら、心配、しない、で」
プルプルと小刻みに震えるエスメラルダのナカはこれ以上無いくらいに剛直を締め付けていた。肉襞が竿に絡みつき、無数の突起が愛撫を繰り返している。
「そうですか……、お呼びがなければ失礼しますね」
「え、えぇ、ありがと、う」
ロベルトは破顔する。
侍女が部屋から遠ざかる音を聞いてから、ロベルトは腰を下から突き上げた。
「あひん!」
「良いんですか? 折角助けを呼べたのに……」
それまで静止の言葉ばかり口にしていた唇がゆるゆると上がった
「いいのぉ、ロベルトと交尾するぅ」
「あぁお嬢様、亜人に犯されて悦んでしまったんですね?」
「あぁん、そうなの、私亜人に犯されて嬉しいのぉ」
腰をくねらせながらロベルトに顔を向けたエスメラルダに気高い公爵令嬢の面影はなかった。
理性を手放した目は蕩けて、頬は林檎のように赤く、いつも生意気ばかり言っていた唇は甘い声しか上げない。
「お嬢様、侍女がノックした時に僕のペニスを締めていたのは何故です? ほら教えて下さい」
ロベルトは甘く囁く。
口の端から唾液を垂らして、エスメラルダは恍惚の表情を浮かべた。
「ロベルトとのぉ、生ハメ交尾見られると思って興奮したのぉ、気持ち良くてアヘ顔してるところ見られたら公爵家の娘として生きていけなくなっちゃうぅ」
「大丈夫ですよ、もうお嬢様は廃嫡になるのですから」
ロベルトは汗の浮かんだエスメラルダの項を舐める。塩辛くも甘く感じる不思議な味は癖になりそうだった。
「あぁん! そうだったぁ、じゃあいっぱい交尾しても良いんだあ」
力のないスミレ色の瞳は、新たな希望を見つけたようにロベルトを見つめて輝く。
「哀れなお嬢様。僕が一生側にいてあげます。ほら交尾もいっぱいしてあげますね」
「あひん!」
腰を揺すってエスメラルダの好きな場所を擦れば、今までの堪えてきた強情さは何処へ行ったのか、今では全ての快楽を得ようと貪欲になって自らペニスに肉癖を擦り寄せる。
「あぁん! 交尾ぃ、嬉しいぃ、あひ、あ、あぁ~そこダメ、ダメェ」
「ん? どこです?」
クリトリスの裏側、ザラついた場所をギリギリまで引き抜いた亀頭で押し上げる。
「やあ! 出ちゃう、出ちゃうのぉ! おもらししちゃうぅ!」
「良いですよ。ここには僕しかいませんから、たくさん気持ちよくなってくださいね」
ロベルトは言葉では優しいが、その下半身は激しくエスメラルダを攻め立てた。
「あぁ~出ちゃう、出ちゃうぅ!」
プシャ! と音をさせてエスメラルダの尿道口から透明な飛沫があがった。その雫はテーブルへと飛び散り、ロベルトが持ってきたティーセットにまでかかる。
「あ、あ、」
ハッハッ、と息を上げるエスメラルダは潮を噴いた解放感と羞恥心で身体をピクピクと痙攣させている。
「上手にできましたね」
「じょうず……?」
不安そうな声でロベルトの言葉を問い返すエスメラルダに、ロベルトは満足そうに笑い、乱れた金髪を撫でた。
「えぇ、とても上手です」
「嬉しい……」
へにゃりと破顔したエスメラルダ。
エスメラルダはその地位から幼い頃より出来て当たり前の評価を受けてきた。褒められることなど皆無に等しかったのだ。
「さあ、いい子にはご褒美をあげましょう」
「ごほうび?」
「えぇ」
もちろん褒美とは無縁だったので、ロベルトの甘言にエスメラルダは頬を緩ませた。
「さあ、ベッドへ行きましょうね」
ロベルトはソファーまで来た同じ体勢のままベッドへ移動する。
その際も歩く度にエスメラルダはプシ、プシ、と細かく潮吹き、完全に潮吹きが癖になっていた。
「さあ、ご褒美は何が良いですか? ゆっくり動くの? それとも激しくですか?」
ロベルトから与えられた選択肢に、エスメラルダは恥じらいながら小さく呟いた。
「は、激しいの……」
「分かりました。いっぱい声を出してくださいね」
そう言うとロベルトは腰を引き、一気に叩きつけた。
「ひぃん!」
犬の鳴き声のような嬌声を上げたエスメラルダに、ロベルトはクスクスとこぼす。
「これではどちらが犬か分かりませんね」
「あん! あぁ、あ、あ、気持ちいい! 凄いの、交尾すごい! しゅごいのぉ!」
パンパン! と肌をぶつけ合う音が広い部屋に響き渡る。それと同時に狂喜に溢れた喘ぎ声が上がった。
「おん! あうん! あ~気持ちいいのぉ!」
エスメラルダの視点は定まらず、ただ男根から与えられる快楽に狂うメス犬のようになっていた。
「そういえば、お嬢様は卑猥な言葉をどこで覚えたんです?」
ロベルトは意地悪に質問した。
しかし淫蕩に溺れているエスメラルダには興奮を煽ることにしかならず、そしてそれはロベルトの目論見通りだ。
「あん! 小説でぇ! 覚えたのぉ!」
「へぇ。僕は人間のことには知識としか知らないので、お嬢様の知ってる言葉で教えて下さいよ」
「んあぁ! おまんこにぃ、ロベルトのおちんぽが入って気持ちいいのぉ! おまんこキュンキュン悦んでるのぉ!」
「はは、お嬢様が読んだ本のタイトルはなんていうんです?」
ロベルトは腰の動きを緩めず、肌を打ち付けすぎて赤くなったエスメラルダの尻を軽く叩いた。
「きゃうん! 侯爵令嬢の、いけない遊び……、あん! 昼下がりの情事……ひう! あと、あと……!」
言い淀むエスメラルダを急かすように緩い刺激を与えると、我慢できないと言うように蜜壺が吸い付いてきた。
「ほら、言わないとこのままですよ?」
「あ、あ、……し、……執事とエッチなレッスン……」
エスメラルダが言い難かった理由が判明した時、ロベルトは天を仰ぎそうになった。
「ハハハ、なんだ、そんなタイトルの小説を読んでいたんですか?」
「うん、うん……! 読んでたあ!」
「じゃあ現実になって嬉しいですね」
ご褒美と言わんばかりに巨根を蜜壺へ沈めると、歓喜の声が上がる。
「あぁぁ!」
「ほんと、淫乱なお嬢様ですね!」
バチュン! バチュン! と肉棒を抜き差しして蜜壺を犯す。
「あひぃ! 交尾気持ちいい! おちんぽ好きぃ! もっと、もっとぉ! おまんこ気持ちよくしてぇ!」
「じゃぁもっと気持ちよくして差し上げます」
それまで前後の抽挿だったが、亀頭を子宮口に押し付けグリグリと擦り付けるように動かす。
「あ、あぁぁ! これすごいぃ! おまんこ気持ちいい!」
コリコリとした子宮口は精子を求めてキュウキュウと亀頭に吸い付き吐精を促す。
「あ、イク! おまんこグリグリされてイクぅ!」
「こんな交尾したら、もう戻れませんね」
「交尾好きぃ、おちんぽでおまんこゴチュゴチュされるの良いの! ロベルトとの交尾しゅきぃ!」
肉襞が竿にしゃぶりつくように蠢く。
本能に正直になった今のエスメラルダは、もう清廉な令嬢などではなかった。男の肉竿を求め狂うただの雌、それが今のエスメラルダだ。
「あぁん、中出してぇ! 生ハメ交尾してぇ!」
「仕方ないお嬢様ですね」
ロベルトは子宮口に押し付けていたペニスを引き抜き、ドチュン! と打ち付けた。
「ひぃぃぃん! あ~あ~おちんぽすごいのぉ! おまんこいっぱい濡れちゃうのぉ!」
「お嬢様イクときは潮を噴くんですよ?」
「あああん! わかったからあ、早く精子ちょうだい」
グポ、グチュン、パンパン! 激しく濡れた音をさせて、ロベルトは迫り上がってくる吐精感をギリギリまで我慢した。それは快楽に悶え苦しむエスメラルダをもっと見ていたかったからだ。
しかし何度も精液を強請るエスメラルダに、ロベルトはいよいよ限界を感じた。
巨根を蜜があふれる肉壷へ押し込み、エスメラルダの細い腰を掴むと、腰をブルリと震わせる。
「あ、あ、中出しされてるぅ! ああん! あ、イク、中出しされながらイク! イク! イグぅぅぅ!」
喜悦の雄叫びを上げながらエスメラルダは大量の潮を噴きながら絶頂した。
本能が快楽の名残に震える身体を休ませようとするが、ロベルトはエスメラルダを休ませようとはしなかった。
むしろここからが本番と言わんばかりに腰を細かく揺する。
そしてぐったりしているエスメラルダに向かって低く甘い声で言った。
「狼の射精は確実に孕ませるために三十分は続くんですよ」
その言葉を聞いたエスメラルダは驚愕に目を見開いたが、それはほんの一瞬の出来事だ。
「うれしぃ」
まるで甘い蜜のような声と蕩けた笑顔を浮かべる。
その表情は既に戻れない令嬢への未練など微塵も感じさせなかった。
特にヴァンヒリ王国は亜人に広く門を開けた最初の国であり、耳と尻尾を隠せるためか大勢の亜人が暮らしている。ヴァンヒリ王国出身の亜人も居るくらい、王国は居心地の良い場所だった。
ロベルトは狼の亜人であり、ヴァンヒリ王国に四つあるうちの一つであるバロン公爵家の娘、エスメラルダの執事として幼い頃より従事している。
エスメラルダは美しい外見とは裏腹に気性の激しい持ち主で、よく言えば貴族らしく、悪く言えば我儘だった。
しかしそのエスメラルダも今夜の舞踏会には輝かんばかりの笑顔を浮かべ、機嫌よくロベルトに良くしてくれていた。
それもそうだろう、なにせ今夜はエスメラルダの婚約者、ヴァンヒリ王国の皇太子であるラインハルトとパーティーへ同行するのだから。
鼻歌を歌いながら馬車に乗ったエスメラルダを見送り、ロベルトはつかの間の休息を得た。
しかし……。
「お嬢様! お開け下さい!」
「どうしました?」
エスメラルダの自室の扉を何度もノックする侍女が泣き出しそうな顔でこちらを見る。
「急に帰ってきたと思ったら部屋に閉じこもってしまって……」
もしかしたら具合でも悪いのかも……と青ざめた顔をする侍女に、ロベルトは溜息をついた。
こういうことはエスメラルダが幼い頃よりあった行動だ。気に食わず喚いて、意思が通らないと不貞腐れて自室に籠もる。成人を間近に控え、その行動はほぼ皆無になっていたが、ここへ来てぶり返したか……とロベルトは呆れたように溜息をついた。
「君はお嬢様の好きな紅茶とお茶菓子を用意してくれ」
「はい……!」
余程心配だったのだろう、侍女は大急ぎで用意を終えて紅茶と焼き菓子を持ってきた。
「お嬢様、ロベルトです。お嬢様が好きな紅茶と焼き菓子を持ってきましたよ」
数回ノックをしても、部屋の中から返事はない。
仕方ない、とロベルトは深く息を吸ってもう一度ノックをした。
「仕方ありませんね。お嬢様、ドアを壊します」
亜人であるロベルトには貴族御用達の重厚なドアなど、所詮は木材と難なく破壊できる。
そしてドアを破壊して怒られるのは不貞腐れて部屋から出なかったエスメラルダだった。
ロベルトの言葉に、ドスドスと部屋の奥から走り寄ってくる音が聞こえて扉が開け放たれる。
「ちょっと止めてよ!!」
「お嬢様……!」
「どうしたんですか、その顔は!」
「うるさいうるさい! お茶を持ってきたなら早く寄越しなさい!」
エスメラルダの顔を見て侍女とロベルトはギョッとする。あれだけ時間をかけて満足のいったメイクがドロドロに落ちていたのだ。
「良いから早くしなさいよ!」
「君は部屋から離れて、他の者たちも近づかないように言って下さい」
「は、はい!」
ロベルトは侍女に言いつけると、お茶を持ってエスメラルダの自室に入った。
ティーセットをテーブルに置き、エスメラルダに向き直るが、その華奢な身体は背中を向けている。
クローゼットから引っ張り出したトランクにドレスを詰め込むが、畳むということをしたことのないエスメラルダに荷造りなど到底出来ない。
「何があったんです?」
「アンタには関係ないでしょ!」
「主人がそんな顔でパーティーから帰宅して気にしない執事がいますか?」
グスグスと鼻を啜るエスメラルダの金色の髪は折角セットしたというのに崩れている。まるで暴漢にでもあったように見ていられない格好だ。
「執事? そうしていられるのも今だけよ。そのうちお父様からお前も追い出されるわ」
エスメラルダの口から信じられない言葉が飛び出す。
「なんですって?」
「……その言葉通りよ。私はもう公爵家の娘として価値はないの……」
エスメラルダはポツリポツリと先ほどまで楽しんでいたパーティーの内容を話し始めた。
エスメラルダは婚約者のラインハルトを愛していた。それは盲目的であり、凄まじい情熱を持って。
しかしラインハルトに想い人が出来たというのだ。女性の名前はエリザベス・ファース。
エリザベス・ファースの噂はロベルトの耳にも入っていた。容姿端麗で品行方正な彼女はアカデミーを優秀な成績で卒業し、成人間近になった今では慎ましい性格と清楚な顔立ちを揶揄され社交界の撫子と言われている。
容姿が派手で社交界の薔薇と言われているエスメラルダとは対象的な令嬢だった。
「あの女! 私のラインハルト様と!」
苦々しい表情をしたエスメラルダはドレスを引っ掴んで地面へ叩きつける。
エリザベスとエスメラルダ、そして皇太子であるラインハルトはアカデミーの同級生だった。その中でもエリザベスとラインハルトの仲の良さは評判で、嫉妬したエスメラルダはエリザベスにラインハルトを諦めさせようと嫌がらせをした。
今夜はそれを咎められ、婚約破棄を言い渡されたのだ。
「なによ! なによ! 婚約者がいる殿方に近づくエリザベスが悪いのに!」
エスメラルダの怒りはもっともだった。婚約者がいる男と親しくなるのは貴族社会では憚れることだ。
しかしエリザベスはそんなことお構い無しでラインハルトに近づき、そして寵愛を得た。エスメラルダの絶望はどれほどなのか。自業自得だとしても、ラインハルトに自身の立場を顧みてほしいと思うのは、主人を心配する執事心だ。
「それではお嬢様は廃嫡(嫡子を廃する、なので、跡継ぎでないなら勘当でよいかと)ということになるのでしょうか?」
「そうよ! だからアンタもクビ!」
そう言い捨て、エスメラルダは荷物が入らないトランクに怒りをぶつける。
「あぁもう!」
細い金糸の髪を振り乱して目元を擦る。
「とりあえず落ち着いて下さい。そんなに乱暴では入るものも入りません」
今にもドレスを破かんばかりに力が入っている手を優しく包み込むロベルトに、エスメラルダはやっと肩の力を抜いた。
「まずは化粧を落としましょう」
慣れた手付きでコットン製の布にオイルをなじませ、エスメラルダの目元を拭き取る。
厚く塗られた化粧はスルスルと落ちていき、素顔に戻ったエスメラルダは幼い顔立ちをしていた。
「落ち着きましたか?」
「無理よ、もうこの家にも居られないのよ? 私がなにをしたというのよ!」
またパーティーでのことを思い出したのか、フツフツと怒りの炎が燃えだしたエスメラルダは、キッとロベルトを睨みつける。
「アンタも私のこと内心笑ってるんでしょう? 意地悪で高飛車な私が痛い目を見て気味だって!」
泣かんとする気丈さは、いっそ尊敬に値する。貴族らしいエスメラルダにとって泣くことは弱みを見せること。彼女が涙を噛み殺すのは自然なことだった。
しかし素直に泣けないエスメラルダをロベルトは哀れに思った。ラインハルトに涙のひとつでも見せて縋れば違う未来もあっただろうに……。
「もう何もないの、もう……私には何も……」
落胆する肩に、ロベルトはエスメラルダはこんなに小さい人だったかと思う。幼い頃からエスメラルダは横柄でロベルトはいつも辟易していたが、気付いたらエスメラルダは成人を迎えようとして、多少気難しいところはあるが立派な淑女だ。
美しい金髪は艶があり、白い肌は陶器のように滑らかで、果実を食べたように色づいている唇、瞳は薄いスミレ色をしていおり、黙っていれば絶世の美女だ。更に公爵令嬢の肩書があるのだから、結婚したい男はごまんといるだろう。
しかし社交界の噂は早い。皇太子から婚約破棄されたエスメラルダが行く末は暗雲が立ち込めている。むしろ廃嫡はエスメラルダにとってまだマシなのかもしれない。
「……お嬢様が廃嫡されるのなら、僕もついていきます」
「本気で言ってるの? どうして私がアンタを連れて行かなきゃいけないのよ。それも亜人を!」
ロベルトの肩がピクリと動いた。
ヴァンヒリ王国では亜人への差別を禁止している。しかし亜人の貴族はおらず、亜人はいくら功績を上げても貴族にはなれないのだ。それは貴族社会に根を張る亜人は人間の下に着くべきだという傲慢さだった。
そしてエスメラルダは生粋の貴族であり、やはり亜人に対して下に見る傾向があった。それでも口にはしてこなかったので、ロベルトは付き従っていたのだ。
それが、こんな形で知ることになるとはロベルトも思っておらず、悔しさに炎に囲まれたように目の前が真っ赤になる。
「……亜人だからなんです……?」
「え……?」
それまでの物腰の柔らかさは鳴りを潜め、ロベルトは瞳孔を細めた。
「人間なんて亜人からすれば赤子のようなものですよ」
ロベルトはエスメラルダの手首を捻り上げる。
「痛い……! 離しなさい! ロベルト! 私にこんなことしていいと思っているの!」
エスメラルダは信じられない、と睨みつける。
しかしロベルトからすれば大したことではないのだ。
ザワリ、と身体の緊張を解くと、大きな耳と豊かな毛に覆われた尻尾が現れる。鋭い牙が伸び、爪も長く尖っている。
その姿を見た途端エスメラルダは恐怖に震えた。
ロベルトがこの姿をエスメラルダに見せたのは初めてのことだ。驚くのも無理はなかった。
「あ、あ……」
「平民に堕ちるなら、私が貴方を頂いても構いませんね?」
ロベルトの眼光がギラリと光った。それは獰猛な狼そのもので、エスメラルダの顔は青ざめる。
「何を言っているの! 離しなさい! 離しなさいったら!」
ロベルトの言葉通り、大の男でも亜人の力には叶わない。エスメラルダのようなか細い女性をベッドへ押し倒すなど造作もないことだった。
「な、何をするの!」
両腕を頭の上でロベルトの手で固定されたエスメラルダは目を見開く。
ベッドへ押し倒されブルブルと肩を震わせるエスメラルダのドレスを鋭い爪で切り裂けば悲鳴が上がる。
「誰か! 誰かいないの!」
「無駄ですよ、侍女は部屋から離れていますし周りにも部屋へ近寄るなと言付けていますから」
「ひぃ!」
長い爪で谷間を撫でれば、エスメラルダの抑えきれなかった悲鳴が漏れ出る。
「可哀想なお嬢様。今のような悲壮感を漂わせればラインハルト様もお嬢様の印象が変わったでしょうに」
ロベルトはエスメラルダの身体を締め上げるコルセットすら、その腕力で引きちぎる。
するとコルセットに押さえつけられていた豊満な双丘がブルン、と揺れて開放された。
「な、なにをするの……!」
「鈍いですねお嬢様。人間の男女と同じことですよ」
色素の薄いエスメラルダの乳頭は桃色で、谷間からは甘い香りが漂う。
これは雌のフェロモンだ……。
背中が粟立ち、その興奮が下半身に集まるのを感じると、ロベルトは舌なめずりをした。
「震えて可哀想に、今にその震えは甘美なものになりますよ」
「そんなわけないでしょう!」
身体は恐怖で強張っているのに、エスメラルダはそれでも涙のひとつすら見せない。最初こそ驚いて悲鳴を上げたが、今は歯を食いしばりロベルトを睨みつけている。その強い視線がこの後どうなるのか想像して、ロベルトはその双丘の片方に舌を這わせた。
「やめなさい! い、いや!」
ピチャピチャとミルクを飲む子猫のように乳房を舐め回し、敏感な先端を尖った舌でチロチロと遊ぶ。
胸の中心にある小さな果実は恐怖と刺激で固くなっていき、ロベルトは食べごろだと口に含んだ。
「んん!」
エスメラルダの肌は鳥肌が立っており、身体が危機感を感じているのだろう。
ロベルトはニヤリと笑うと、口の中に含んだ果実を飴を舐めるようにコロコロと転がす。程よい大きさと弾力がある乳首はロベルトの好みで、舐めることが止められない。
「いや、いや」
刺激から逃げるように頭を振るエスメラルダはそれでも涙は見せない。
唾液をたっぷり纏わせた舌で果実を舐め上げて、押しつぶす。
「ひん!」
ジュルルル、と下品に音を立てて乳首を吸い上げるとエスメラルダの腰が僅かに浮いたのをロベルトは見逃さなかった。
「おやおや、お嬢様も楽しんで頂いているようで」
「どこを見て言っているのよ!」
未だ睨みつけてくるエスメラルダの腕を解放すれば逃げようと藻掻く。
そうはさせないと、裾まで破れたドレスから見える白い太腿を割り開き、純白の下着へと舌を這わせた。
「きゃあ!」
汗と雌の匂いが充満しているそこは、鼻のいい狼の亜人であるロベルトには咲き乱れる花畑そのままだ。
「やめなさい!」
泣き出しそうな声を無視して長い舌で恥列をなぞり、陰核をグリグリと押しつぶす。
「ひぃ!」
ロベルトの頭を押し退けようと掴むエスメラルダは、ビクともしない力強さに涙目になっていた。
「やめて、やめてぇ!」
とうとう涙声になったエスメラルダに、それでもロベルトは行為を止める気はなく、花芯に吸い付いた。
「あぁ!」
肉芽への刺激に仰け反ったエスメラルダの力は弱まる。
ジュルジュル、と音を立てながら思う存分花芯を弄んだロベルトは下着を引きちぎり、薄く産毛が生えているだけの花園へ顔を近づけた。
「んあ!」
たっぷりと濡れた肉壺へ舌を挿れる。
狼の亜人の特徴である長い舌は蜜壺の中を我が物顔で暴れまわった。
ジュル、ジュルル、グポ、ジュポ、まるで男の逸物で膣を蹂躙されるような動きに、エスメラルダの足はピクピクと痙攣が止まらない。
「ひ、やぁ、あ、あ、」
エスメラルダの口から甘い声が混じり始める。
「だめ、いやぁ、あ、あんん」
言葉では嫌がっているが、頭を掴んでいた力は自分の身体の方へ、そしてロベルトの顔に恥部を押し付けている。
エスメラルダの身体は敏感なようで、肉壷を舐めていると放置されているにも関わらず、陰核が包皮を押しのけて顔を出していた。
「あぁ、寂しそうにしていますね」
長い爪で突付くと鋭い刺激にエスメラルダの身体がビクン! と飛び跳ねる。
親指の腹でクリクリ、と愛撫し、ロベルトはまた肉壷に舌を挿れた。
「あひ、あ、あ、」
短い喘ぎは与えられる快感に戸惑っているようにも見える。
貴族社会では婚前交渉は禁止されており、成人を控えたエスメラルダも例に漏れなかった。
だからこそ、ロベルトは最大限の誠意を持ってエスメラルダに愛撫をする。せめて痛みがないように、と。
ロベルトから与えられる快感に拒絶する力を完全に失ったエスメラルダは燻る熱を持て余しているようだ。
それもそのはずで、ロベルトが加減をしているせいだった。
「あ、あ、あ」
イキたいけど、イッたらいけない。
そのもどかしさと、公爵令嬢としてのプライドがエスメラルダを混乱させているのは、ロベルトには手に取るように分かる。
もっと自分から求めるようにしなければ……。
「お嬢様」
秘部から顔を離したロベルトはエスメラルダに声をかけた。その瞬間に力強い光が宿り、ロベルトをキッと睨みつける。
「今なら飼い犬に噛まれたと思ってやるわ! 早く退きなさい!」
バラ色に染まった頬でそんな事言われても説得力はないが、なけなしのプライドだとしてもエスメラルダは気高さを失われていない。
「まさか、僕がそんな言葉で止めるとでも?」
「……くっ!」
上体を起こしてロベルトの胸を押し退けようとするが、亜人の強い力で押さえつけられている太腿は全く動く気配すらない。
ロベルトは必死なエスメラルダを見てニッコリ、と笑った。
「お嬢様が処女を奪われる瞬間、きちんと覚えておいてくださいね」
「や、やめて……! 嫌よ、初めてが亜人なんて!」
「あぁ悲しいです」
涙を流すフリをして、ロベルトは片手でスラックスの前を寛げると、未だ立ち上がっていない男根を取り出して、柔らかいままエスメラルダの恥裂にヌチュリ、と擦りつけて入り口にあてがった。
「いや、やめて……!」
「それは聞けない命令ですね」
ニュルン、と入ってしまった柔らかい肉竿はエスメラルダの蜜壺を傷つけることなく、肉壁の柔らかさを確かめるように動く。
想像していたよりもずっと軽い衝撃に、エスメラルダは嘲笑を浮かべた。
「なによ、アンタ大したことないわね」
「お嬢様、アカデミーでは亜人について学ばれましたか?」
「当たり前でしょう? さ、退きなさい!」
ロベルトは興奮の片鱗すら見せていなかった。いや、見せまいとしていた。
「アカデミーでは亜人の性交については確かに学びませんね」
「そんなこと興味ないわ……!」
「お嬢様、後学のために教えて差し上げます。僕たち狼の亜人は、挿入してからペニスが膨張するんですよ」
「え……、あ!」
もどかしい刺激で熱を持て余し煮えたぎったような蜜壺の中で柔らかく擦りつけていただけのペニスに質量が宿っていく。
「あ、あ、」
「ほら、お嬢様のナカを満たしていきますよ」
あっという間に大きくなった巨根と呼ぶに相応しい肉竿がエスメラルダの肉壷をミチミチ、と押し上げた。
「あう! 苦しい……!」
「初めてですから優しく、と言いたいところですが、このぐらい濡れているなら大丈夫でしょう」
「いや、やめて、今動かれたら……!」
ズチュン! と打ち付けられた腰にエスメラルダが声を上げる。
「あぁ!」
それまでの刺激はなんだったのか、と言いたいようなエスメラルダの反応にロベルトは口角が上がった。
「ほら、気持ちいでしょう?」
「き、気持ちよくなんて……ああ!」
ロベルトは緩急をつけてエスメラルダを攻め続け、組み敷かれたエスメラルダは喘ぎ声を噛み殺すことしか出来ない。
「ふう! んん!」
「強情なお嬢様ですねぇ」
ペロリ、とエスメラルダの紅潮した頬を舐めたロベルトは、そのままエスメラルダの耳へとその長い舌を這わす。
「は、ああ!」
エスメラルダは耳が弱いようで、這う舌の快感に力が抜けていき、声も甘く変わる。
「や、んん! やめ、耳はだめぇ……!」
「なぜです? 耳が気持ちいいのでしょう? ほら、舐める度にナカがキュンキュンと締めてきますよ」
「あ、あ、あ」
如何に剛直を締め付けているか分からせるために、ロベルトの動きはゆっくりになり、それはエスメラルダに自覚させるには十分だった。
「認めない……! こんなのセックスなんて!」
エスメラルダにとって性交は神聖なものだった。
婚約者であり、想い人であったラインハルトと睦言を交わしながら行う、愛を伴った行為。
しかしいま行われているのは強姦以外にない、とエスメラルダは叫ぶ。
ロベルトはエスメラルダの言葉を一頻り聞き、そして彼女の身体を反転させた。
「う……!」
エスメラルダの背面に伸し掛かり、ロベルトは真っ赤になった耳にひっそりと囁く。
「そうですよ、これは愛のあるセックスではありません。……ただ快楽を貪るだけの交尾です」
「こう……び……」
「そう、愛なんて必要ない、ただ男女の身体だけ必要な、獣の交尾です。そこに理性なんてそんなものは必要ありません」
「そんな、そんなものって……!」
エスメラルダはスミレ色の瞳からビー玉のように大きな雫を零した。
「ほら、気持ちいいでしょう? 身を任せてしまいたくなるでしょう? 今まで我慢ばかりしてきたでしょう? 愛する人に愛されず、周りのプレッシャーに潰されそうになって……。全て忘れて自分の欲に素直になれば楽になれますよ」
まるで悪魔の囁き。
エスメラルダはガクガクと震えながら怯えた瞳をロベルトに向けた。
「イヌ科の生き物は主人の気持ちに敏感なんです。お嬢様の苦しみ、僕が一番理解しています」
「あ、あぁ……」
「お嬢様が素直になれるように体勢を変えましょうか?」
ロベルトは挿入したまま上体を起こすと、エスメラルダの太腿を掴み、そのまま持ち上げた。
「あぁ!」
背面駅弁の格好のまま、ロベルトは広い部屋にある一席のカウチに腰を掛ける。
「あひぃ」
ロベルトが腰をかけると、エスメラルダの体重が負荷となり、突き立てられた長物が蜜壺の奥深くまで沈む。
「ぅうん!」
息苦しさで繰り返す浅い呼吸に混じって甘い吐息が混じっているのをロベルトは見抜く。
小さく腰を揺すれば、エスメラルダの爪先はピクンピクン、と上下した。
「お嬢様が刺繍に勤しんだソファーの上で足を広げて執事のペニスを咥えこんでいる気分はどうです?」
「ひ……あぁ」
「素直じゃないですねぇ」
ロベルトはエスメラルダを素直にするため、掴んでいた太腿を持ち上げてズルズルと肉棒をギリギリまで引き抜き、そして打ち付けた。
「んあ!」
いよいよエスメラルダの声は甘い声を隠せなくなり、蜜壺の中から溢れていくる愛液が肉竿を揺らす度にプチュ、グチュン、と水音が大きくなる。
「あぁ…‥!」
もう少し激しくしてみようか、そうロベルトが思った時、部屋のドアがノックされた。
「お嬢様大丈夫ですか? 長い時間経ちましたので様子を伺いに来ました」
先程の侍女だ。
その声は本当にエスメラルダを心配していて、何度もノックを繰り返している。これはエスメラルダ自身が応対しなければ納得しないだろう。
執事人生もこれで終わりか、と自嘲気味に笑みを浮かべたところで、エスメラルダが息を吸った。
「だ、大丈夫よ。少し、気分が悪いの……ぁ、近くにロベルトが、いてくれるか、ら、心配、しない、で」
プルプルと小刻みに震えるエスメラルダのナカはこれ以上無いくらいに剛直を締め付けていた。肉襞が竿に絡みつき、無数の突起が愛撫を繰り返している。
「そうですか……、お呼びがなければ失礼しますね」
「え、えぇ、ありがと、う」
ロベルトは破顔する。
侍女が部屋から遠ざかる音を聞いてから、ロベルトは腰を下から突き上げた。
「あひん!」
「良いんですか? 折角助けを呼べたのに……」
それまで静止の言葉ばかり口にしていた唇がゆるゆると上がった
「いいのぉ、ロベルトと交尾するぅ」
「あぁお嬢様、亜人に犯されて悦んでしまったんですね?」
「あぁん、そうなの、私亜人に犯されて嬉しいのぉ」
腰をくねらせながらロベルトに顔を向けたエスメラルダに気高い公爵令嬢の面影はなかった。
理性を手放した目は蕩けて、頬は林檎のように赤く、いつも生意気ばかり言っていた唇は甘い声しか上げない。
「お嬢様、侍女がノックした時に僕のペニスを締めていたのは何故です? ほら教えて下さい」
ロベルトは甘く囁く。
口の端から唾液を垂らして、エスメラルダは恍惚の表情を浮かべた。
「ロベルトとのぉ、生ハメ交尾見られると思って興奮したのぉ、気持ち良くてアヘ顔してるところ見られたら公爵家の娘として生きていけなくなっちゃうぅ」
「大丈夫ですよ、もうお嬢様は廃嫡になるのですから」
ロベルトは汗の浮かんだエスメラルダの項を舐める。塩辛くも甘く感じる不思議な味は癖になりそうだった。
「あぁん! そうだったぁ、じゃあいっぱい交尾しても良いんだあ」
力のないスミレ色の瞳は、新たな希望を見つけたようにロベルトを見つめて輝く。
「哀れなお嬢様。僕が一生側にいてあげます。ほら交尾もいっぱいしてあげますね」
「あひん!」
腰を揺すってエスメラルダの好きな場所を擦れば、今までの堪えてきた強情さは何処へ行ったのか、今では全ての快楽を得ようと貪欲になって自らペニスに肉癖を擦り寄せる。
「あぁん! 交尾ぃ、嬉しいぃ、あひ、あ、あぁ~そこダメ、ダメェ」
「ん? どこです?」
クリトリスの裏側、ザラついた場所をギリギリまで引き抜いた亀頭で押し上げる。
「やあ! 出ちゃう、出ちゃうのぉ! おもらししちゃうぅ!」
「良いですよ。ここには僕しかいませんから、たくさん気持ちよくなってくださいね」
ロベルトは言葉では優しいが、その下半身は激しくエスメラルダを攻め立てた。
「あぁ~出ちゃう、出ちゃうぅ!」
プシャ! と音をさせてエスメラルダの尿道口から透明な飛沫があがった。その雫はテーブルへと飛び散り、ロベルトが持ってきたティーセットにまでかかる。
「あ、あ、」
ハッハッ、と息を上げるエスメラルダは潮を噴いた解放感と羞恥心で身体をピクピクと痙攣させている。
「上手にできましたね」
「じょうず……?」
不安そうな声でロベルトの言葉を問い返すエスメラルダに、ロベルトは満足そうに笑い、乱れた金髪を撫でた。
「えぇ、とても上手です」
「嬉しい……」
へにゃりと破顔したエスメラルダ。
エスメラルダはその地位から幼い頃より出来て当たり前の評価を受けてきた。褒められることなど皆無に等しかったのだ。
「さあ、いい子にはご褒美をあげましょう」
「ごほうび?」
「えぇ」
もちろん褒美とは無縁だったので、ロベルトの甘言にエスメラルダは頬を緩ませた。
「さあ、ベッドへ行きましょうね」
ロベルトはソファーまで来た同じ体勢のままベッドへ移動する。
その際も歩く度にエスメラルダはプシ、プシ、と細かく潮吹き、完全に潮吹きが癖になっていた。
「さあ、ご褒美は何が良いですか? ゆっくり動くの? それとも激しくですか?」
ロベルトから与えられた選択肢に、エスメラルダは恥じらいながら小さく呟いた。
「は、激しいの……」
「分かりました。いっぱい声を出してくださいね」
そう言うとロベルトは腰を引き、一気に叩きつけた。
「ひぃん!」
犬の鳴き声のような嬌声を上げたエスメラルダに、ロベルトはクスクスとこぼす。
「これではどちらが犬か分かりませんね」
「あん! あぁ、あ、あ、気持ちいい! 凄いの、交尾すごい! しゅごいのぉ!」
パンパン! と肌をぶつけ合う音が広い部屋に響き渡る。それと同時に狂喜に溢れた喘ぎ声が上がった。
「おん! あうん! あ~気持ちいいのぉ!」
エスメラルダの視点は定まらず、ただ男根から与えられる快楽に狂うメス犬のようになっていた。
「そういえば、お嬢様は卑猥な言葉をどこで覚えたんです?」
ロベルトは意地悪に質問した。
しかし淫蕩に溺れているエスメラルダには興奮を煽ることにしかならず、そしてそれはロベルトの目論見通りだ。
「あん! 小説でぇ! 覚えたのぉ!」
「へぇ。僕は人間のことには知識としか知らないので、お嬢様の知ってる言葉で教えて下さいよ」
「んあぁ! おまんこにぃ、ロベルトのおちんぽが入って気持ちいいのぉ! おまんこキュンキュン悦んでるのぉ!」
「はは、お嬢様が読んだ本のタイトルはなんていうんです?」
ロベルトは腰の動きを緩めず、肌を打ち付けすぎて赤くなったエスメラルダの尻を軽く叩いた。
「きゃうん! 侯爵令嬢の、いけない遊び……、あん! 昼下がりの情事……ひう! あと、あと……!」
言い淀むエスメラルダを急かすように緩い刺激を与えると、我慢できないと言うように蜜壺が吸い付いてきた。
「ほら、言わないとこのままですよ?」
「あ、あ、……し、……執事とエッチなレッスン……」
エスメラルダが言い難かった理由が判明した時、ロベルトは天を仰ぎそうになった。
「ハハハ、なんだ、そんなタイトルの小説を読んでいたんですか?」
「うん、うん……! 読んでたあ!」
「じゃあ現実になって嬉しいですね」
ご褒美と言わんばかりに巨根を蜜壺へ沈めると、歓喜の声が上がる。
「あぁぁ!」
「ほんと、淫乱なお嬢様ですね!」
バチュン! バチュン! と肉棒を抜き差しして蜜壺を犯す。
「あひぃ! 交尾気持ちいい! おちんぽ好きぃ! もっと、もっとぉ! おまんこ気持ちよくしてぇ!」
「じゃぁもっと気持ちよくして差し上げます」
それまで前後の抽挿だったが、亀頭を子宮口に押し付けグリグリと擦り付けるように動かす。
「あ、あぁぁ! これすごいぃ! おまんこ気持ちいい!」
コリコリとした子宮口は精子を求めてキュウキュウと亀頭に吸い付き吐精を促す。
「あ、イク! おまんこグリグリされてイクぅ!」
「こんな交尾したら、もう戻れませんね」
「交尾好きぃ、おちんぽでおまんこゴチュゴチュされるの良いの! ロベルトとの交尾しゅきぃ!」
肉襞が竿にしゃぶりつくように蠢く。
本能に正直になった今のエスメラルダは、もう清廉な令嬢などではなかった。男の肉竿を求め狂うただの雌、それが今のエスメラルダだ。
「あぁん、中出してぇ! 生ハメ交尾してぇ!」
「仕方ないお嬢様ですね」
ロベルトは子宮口に押し付けていたペニスを引き抜き、ドチュン! と打ち付けた。
「ひぃぃぃん! あ~あ~おちんぽすごいのぉ! おまんこいっぱい濡れちゃうのぉ!」
「お嬢様イクときは潮を噴くんですよ?」
「あああん! わかったからあ、早く精子ちょうだい」
グポ、グチュン、パンパン! 激しく濡れた音をさせて、ロベルトは迫り上がってくる吐精感をギリギリまで我慢した。それは快楽に悶え苦しむエスメラルダをもっと見ていたかったからだ。
しかし何度も精液を強請るエスメラルダに、ロベルトはいよいよ限界を感じた。
巨根を蜜があふれる肉壷へ押し込み、エスメラルダの細い腰を掴むと、腰をブルリと震わせる。
「あ、あ、中出しされてるぅ! ああん! あ、イク、中出しされながらイク! イク! イグぅぅぅ!」
喜悦の雄叫びを上げながらエスメラルダは大量の潮を噴きながら絶頂した。
本能が快楽の名残に震える身体を休ませようとするが、ロベルトはエスメラルダを休ませようとはしなかった。
むしろここからが本番と言わんばかりに腰を細かく揺する。
そしてぐったりしているエスメラルダに向かって低く甘い声で言った。
「狼の射精は確実に孕ませるために三十分は続くんですよ」
その言葉を聞いたエスメラルダは驚愕に目を見開いたが、それはほんの一瞬の出来事だ。
「うれしぃ」
まるで甘い蜜のような声と蕩けた笑顔を浮かべる。
その表情は既に戻れない令嬢への未練など微塵も感じさせなかった。
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