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京都へ
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鈴音は,急いで東京に戻り,引っ越しや知人や親戚たちへの挨拶回りなど慌ただしい日々を過ごした。それもどうにか一段落し,落ち着いた生活を取り戻しつつあった。
夕食後の時間を鈴音は南川と居間のテレビの前で過していた。優花は宿題があるとかで部屋に上がって居なかった。
メイドたちは台所でにぎやかにおしゃべりしながら後片付けをしている。その声をテレビニュースのあい間に耳にするにつけても,鈴音はつい腰を浮かしたくなる。メイドにだけ仕事をさせて自分だけがのんびりしているのは鈴音の性に合わなかった。上げ膳下げ膳の生活には慣れていないのだ。
向き合った椅子に坐っていた南川が,鈴音のすぐ隣に移動した。
「離れへ行かないか」
耳元で囁かれ,膝の手を握られた。
鈴音は体を硬くした。訊き返すまでもなく南川が何を求めているのか痛いほどわかる。京都に引っ越ししてから今日まで一度も南川は鈴音を求めていない。
しかしまだ時間が早いだけに,鈴音は素直に承知するわけにはいかなかった。
「何かご用でしょうか」
鈴音はとぼけながら,頬が火照るのをどうしようもなかった。
「鈴音を抱きたいんだ」
「いや」
思わず叫んで両手で顔を覆った。単刀直入な物言いに,かえって心に響いた。
「優花ちゃんは夜おそくまで勉強だし,その隣で変な声をあげることもできないだろ?」
「いや……」
「かといって,きみが降りてくるのをいくら待っても来ないし」
「…………」
肩を抱きすくめられて立ち上がらされた。ひとりで行けますから,ともがいても許されなかった。
「……こんなことをメイドさんが知ったら,なんて噂するでしょう」
磨き上げられた廊下を步まされながら,鈴音は恥ずかしさに身がすくんだ。
「なに,連中はとうに知ってるさ。離れに床をのべるように命じたんだからね。食事中連中がきみを見る眼ったらなかったぜ」
ああっと,穴があれば入りたかった。
メイドばかりではない。二階に上がった優花が何かの用で降りて来て,自分が南川と一緒に離れに籠っていることを知られたらと思うと,死んでしまいたいほどだ。
突然,唇を奪われた。いつものことながら甘い甘いキスだった。これがSEXが始まると,気が遠くなるほど,甘美で蕩けるキスへと変わる。
「あまり駄々をこねると,このままここで縛ってしまうよ」
痺れかけた頭を南川の言葉が電気のように貫いた。
「そんなおそろしいことを……」
「わたしはしても構わないんだけどな」
渡り廊下の途中で,鈴音は麻縄で手首を後ろにくくり合わされ,白足袋の爪先をよろめかせて,離れへと追いたてられた。まっ先に飛び込んできたのは,皺ひとすじなく敷きのべられえ眩いばかりのシーツと,仲良く並べられた枕だった。
だが今の鈴音にとっていちばん気がかりなのは,たて切られた障子の外のことだ。声が漏れて,他の者達に噂されるのだけは避けたかった。
「おねがいです……雨戸を閉じて下さい……」
「おやおや,今夜は思い切って声をたてるつもりとみえる。雨戸を閉じてやったら,どんな要求にも素直に応じるかね?」
鈴音はその場逃れの気持ちでうなずいてみせた。
南川は縁側に出て雨戸をたてた。だが,いくら雨戸をたて切っても聞こえるものは聞こえるのである。
「さて,これで完全に二人きり。メイドたちも呼ばれなければやってくる気づかいはない。思い切っていい声を張り上げてもらうよ」
南川は鈴音を立ち上がらせ,床柱を背中に押しつけた。いったん手首の縛りが解かれ,あらためて柱を背負う恰好で手首が縛り合わされた。
「約束通り,何でも言うことを聞いてもらうよ」
そう言いながら,南川は鈴音の帯を解きはじめた。
すでに体の交わりもあり羞恥を曝し尽しているのだが,しっかり身にまとったものを一枚ずつ脱がされていく恥ずかしさに変りがあるはずはなかった。
体を巻き締めている紬紐がひとすじ,ひとすじゆるめられ体を離れてゆく心細さに,鈴音はすすり泣いた。
いましめの身が切なかった。
「下着はつけていないんだね。いい身だしなみだ」
それでこそ着付け教室のお師匠さんになれる,と言いながら,南川はゆるんだ着物の前を大きくくつろげ,肩をはずした。真っ白な乳ぶさがまろび出し,あと身につけているものといえば,ピンクの腰巻と白足袋ばかり。後ろ手のいましめまでたくり降ろされた着物は,いたずらにあられもなさを強調する小道具でしかなかった。
「一週間も見ないと,その白いからだが夢の中にまでチラついてね。肉棒が勃起して困るんだよ」
「ゆるして……」
鳩尾の汗を光らせながら,鈴音は腰巻の紐をほどかれまいと腰をゆすった。いい匂いが立った。
「さあ,一週間ぶりのご対面といくかな」
「いやあ……」
硬直させた豊かな腰の張りを,絹が音もなくすべり落ちた。
「……はずかしい……ごらんにならないで……」
鈴音は火のような羞恥にくるまれて,片脚をくの字なりにつぼめた腰から下を激しく悶えさせた。
白足袋を脱がされ,爪先まで一糸まとわぬ姿にされた。
スッと南川の気配が遠のいたのに,薄目を開けてうかがうと,やや離れた所に後ろ手をついて見上げ見降ろしている。
「いや……」
鈴音はさらにきつく下肢をよじり合わせて身も世もない思いに悶えた。細紐のひとつひとつが恥じらいにすくみ上がって,ジワジワあぶら汗を噴き出すようだ。
「優花ちゃんみたいな大きな娘がいるなんてとても思えない綺麗な身体だね。おっぱいもピンと張ってるし,腹だってだぶついていない」
鈴音はすすり泣くような喘ぎを洩らした。
「こうやって見ていると,優花ちやんの美しいのは親ゆずりだってことがよくわかる。何よりも肌が……」
「優花のことはおっしゃらないで……」
今この時間に同じ屋敷内で優花が机に向かっていると思うと,鈴音は居ても立ってもいられない気持ちにさいなまれるのだ。
「あの美少女の見本みたいな優花ちゃんでも,やがて男を識って,こんな体にされてゆくのかねえ」
鈴音はギクリとなって,おそるおそる南川を見た。
母親の保護本能が,南川の意識の中にひそむ娘への関心を嗅ぎ当てたのだ。南川は冗談めかして笑っている。
優花に南川の関心を向けさせてはならない,と鈴音の母性は囁いた。そのためには自分が南川の関心を引くように務めねばならない。
そう覚悟した瞬間から,鈴音の羞じ悶える五体のすみずみから媚びの匂いが霞のように立ちのぼりはじめた。
南川はそれを見逃さなかった。恍惚となるほどの美しい眺めであった。
初めて出会ったときのことがふと思い出される。彼女の瑞々しいまでの透明感のある美しさに金縛りにあった。魂を吸い取られたように惚け,彼女の美しさに心を奪われてしまった。
そして,今初めて会ったとしても,同じように心を奪われるであろう。他の人が見れば,彼女より,また美しい人はいっぱいいるというかもしれない。
もちろん,これまでに,多くの美女と呼ばれる女性と数多く接してきた。その経験を踏まえて,ここまで震えさせられるのは彼女1人だと断言できる。もしかしたら,前世というものがあれば,彼女と何らかの繋がりというか,因縁というかあったのかもしれない。だから,これだけ,強力に惹き付けられるのだと言う者もいるだろう。
だが,そんなことはどうでもいい。長年思い続けた彼女が,自分のすぐそばにいて,一生愛し続けられるという事実こそが,すべてだ。
この匂い立つような美しさに素直に感動し,愛でることができる。その幸せに,感謝したいぐらいだった。
「美しいよ,鈴音。わたしは,もう一生君を手放さないよ」
鈴音は,南川の思いに応えようとするかのように,じっと南川の瞳を見つめ返した。
鈴音は乳ぶさを優しく愛撫される気持ちよさに,のどを絞って喘いだ。南川は優しく揉む乳房とは反対に乳首を嬲るように苛め抜き,片手で鈴音の頭を抱いて,唇を重ねた。
「はぁぁっっ」
唇を離されたときにはもう,鈴音はどうしようもない情態に追い込まれていた。全身を這いまわる手が乳ぶさや,背すじのくぼみや腰のくびれに触れるたびに,体に電気が起った。体じゅうのゼンマイがもどり切って,よじり合わせた膝に力が入らなくなった。
「もう,ゆるして……」
腰を抱き寄せられ,首すじを愛撫されながら鈴音は声を顫わせた。そこらじゅう汗になっているのが消え入りたいほど恥ずかしかった。
立ったままこれほどの愛撫を受けるのは,はじめての経験だった。快感が垂直に鋭く突き刺さってくる。
南川の唇が肩を這い降りて乳首を咥えた。キュンと引き絞れるような快感に貫かれた。舌先に転がされつつ,みるみるふくれあがるのがわかる。それにつれて快感がうわずった悲鳴になってほとばしり出た。甘噛みされるとその声もつまって,腰が自然にうねりだす。
その腰をガッシリ両手に掴まれた。お尻を掌が舐めるように這う。
「いや……」
鈴音は我知らず透き通るような声をあげた。しっかりと何かにしがみつきたいのに,その手を縛られているのがうらめしく切ない。
ふと異様な感覚がおそいかかってきた。狼狽が体を吹き抜けた。
「そんなとこ,おさわりにならないで……」
南川の指が秘められた蕾に触れているのだ。
「ねえ……いやぁ……」
あまりの恥ずかしさに,鈴音は小娘のように泣き声を放った。お尻をよじりたてながら腰を前に突き出したところへ,もう一方の手がおちてきた。
飾り毛をふっくり盛り上げた丘を掌いっぱいに掴まれていた。一方,恥唇をまさぐる動きは止む気配を見せない。鈴音は狂おしく身を揉んだ。前の手が力を失った腿のあわいにツルリともぐり込んできた。
「ああ……」
「濡れきってるじゃないか」
「は,恥ずかしい」
「もっと股を拡げてさわらせてごらん」
「いやです」
股を閉じても,すぐ力が抜けた。充血して蜜を吐く秘肉を分けるようにうごめく指に鈴音は気が遠くなった。気が遠くなりながらドクンドクンと音をたてて,淫液があふれ出してくる。
「お尻,いじるの,やめて……」
「前ならいいというんだね?」
鈴音は歔きながら,激しくかぶりを振った。
「はっきり言わなきゃ,許さないよ」
「ああ,なんて意地悪なの……」
「さ,お尻の代りにオマンコをいじめて,と言いなさい」
思いもがけぬ卑猥な言葉に,鈴音はドキンとなった。火がいっきに燃えさかった。
「そんな,はずかしいこと,言えません……」
「言わないんなら,お尻の穴に指を入れるよ。大声でわめきたてたら,雨戸を閉めてあっても外に聞こえるからね」
「……前を,いじめて……」
泣きながら鈴音は小さく口走った。汗がドッと噴き出した。
「前ってどこのことだね」
と,南川はさらに追いつめる。
「……言えません……ああ,恥ずかしい……」
「自分の体の一部じゃないか。言えなくてどうする」
蕾を割らんばかりに指の庄力が加わった。鈴音は息もつけない情態に追い込まれた。
「さ,どうかね。言わないのなら指を入れるよ」
「あ……い,言いますから……」
「今度ためらったら,容赦なく突っ込むからね」
顎をしゃくり上げられて,羞じらいと困惑に悶える貌を曝し上げられた。
「……鈴音の……鈴音の……」
胸が張り裂けんばかりになった。固く目をつぶって清水の舞台から飛び込むつもりで,その言葉を口にした。
「……オマンコをいじめて……」
言い終ったとたん,火を噴かんばかりになって,ああ,と泣き声をあげた。湯を浴びたような汗になって悶えた。
「フフ,よく言ったね。鈴音のような上品な人妻がよくあんなことを言ったもんだ」
「ひどい……」
鈴音は全身で恨んだ。
「もう,ほどいて……ゆるして……」
「オマンコをいじめてくれって頼んだばかりじゃないか」
「ああ……」
それから,南川によるめくるめく前戯が,始まった。繊細な指や舌の動きによって,何度も何度も絶頂に達した。我に帰ると,いましめを解かれた体はシーツの上に横たえられていた。
汗に湿ってうっとうしくまつわりつく髪をけだるく払って頭を上げると,間近かに精悍な顔つきの南川の顔が柔らかく笑っていた。
「恥ずかしいです」
覆おうとする両手を押さえられ,閉じようとした股は南川の腰でさえぎられた。
「かんにんして……」
鈴音は真っ赤な顔を振りたくった。
「綺麗だよ,鈴音」
「…………」
「まだ前戯だけだが,もう十分かい?」
「抱いて・・・・・ください・・・・・・」
消え入りそうな声で,鈴音の口からそう言葉が漏れた。
「よかった。たっぷり天国にいかせてあげる」
「……ああ…」
鈴音は体の力を抜いた。
大きく引き締まった身体が,さも大事そうに優しく包み,ゆっくりと南川のものが入ってきた。
「ぁああっ・・・・・・いいっ」
鈴音は矯声をあげ,反射的に南川の首に手を回した。両腕で抱き締めた確かな温もりが,鈴音に安心感をもたらし,悦びへの期待感を高めた。両手のいましめなしで南川に愛されるのは,これが初めてなのだ。
鈴音にひしっと抱き締められながら,南川は存分に腰を使って,鈴音の花園を突いた。
「ひぃいっ,ひぃいい!」
絶叫とともに,鈴音の脚が跳ね,南川の胴に脚を絡みつけた。スラリと伸びた美しい脚が,捕らえた獲物を逃すまいとする大蛇のように南川の身体にまとわりつき,艶やかな矯声と一緒にキリキリと胴部を絞りあげる。
強烈な性の快感を,足指を内側に曲げ,全身で震えるような快感を享受した。存分に悦びを味わいながら,あああ,愛しています,愛していますと,熱にうなされるように呟いているのを聞き,南川は,ますます鈴音の女の園を責め立てた。
「ぁ,ぁああ,し,死ぬ・・・・・・・死んじゃぃうますぅうう」
火のように喘いで,せつなさを告げた直後,激しい痙攣の発作が始まった。
「ぅぅぅんん,んんっ,ぁぁぁああっ,ひぃ,ひぃ,ひぃ」
ヒィイイイイイーーー
お香の匂いが漂う和室に,鈴音の今際の絶叫が後を引く。両足を投げ出して,がっくりと弛緩し,寝具の上でダラリと横たわる。
ハァハァと荒い息を吐く鈴音の太股を持ち上げ,怒張が嵌まったまま,ぐいっと鈴音へ向かって身体を倒した。鈴音の膝は,乳房につくほど深く折り曲げられ,南川の体重がのしかかった分,深々と秘部を貫いた。
「ぅぅんんっ,おっ,奥まできてます・・・・・・・」
真上から串刺しにされ,鈴音は腹の底から低い呻き声が出てしまう。苦悶の表情とは裏腹に,蜜壺は再び蠢き始める。弛緩した裸身が感電したように,ヒクヒクッと震えた。
「すればするほど気持ちがよくなる。名器ってやつか」
気をやればやるほど,蜜壺は,南川のものに馴染み,具合がよくなっていく。甘美な収縮で喰い締めつつ,奥へ奥へと引き込もうとする。並の男ならたまったものではない。
「あぁぁぁ,ぅ,ぅんんっ,いいっ,す,すごい・・・・・ぁあああっ,感じちゃう・・・・・・はぁぁっ」
「わたしもだ。最高に気持ちいいよ」
どちらからともなく相手を求め,舌を絡めては,唾液を啜り合い,飲み干した。ズンズンと体重をかけて責めると,鈴音は歓喜に満ちた顔で,快楽をさらに掴むように,南川の背中に爪を立てた。真上からまっすぐに貫く怒張は,ちょうどいい感じで鈴音のGスポットを刺激した。
「ぃぃいい・・・・・・・気持ちいい・・・・・・・ぅぅううううんn」
「ここかい?ここがいいのかい?ふふふ,もっと擦ってあげるよ」
しがみついた鈴音は,自分から腰を振って,快楽を貪り始めた。腰を振るたびに,ぐちゅっぐちゅっっと淫らな音が響き,南川の背中へのひっかき傷が増えていった。
「あぁぁ,いいわ・・・・・・すごくいいの,ぁあああっ,もっと,もっと」
「そうだ鈴音。もっと狂うんだ」
妖艶な美貌を仰け反らせ,南川の背中を掻きむしる。烈火のごとく責めながら南川の顔にも汗が滲み出た。お互いがまるで一つになろうとするかのように,呼吸を合わせ,せわしなく腰を使った。
「あああっ,また・・・・・・・また,イクッ」
快感に身を震わせて,南川の背中に食い込ませた爪跡からタラリと血が流れた。激しい性交を物語るように,南川の背中には爪痕がくっきりと残っている。絶頂のせつなさに追い求めるように鈴音の唇が,南川の唇をぴったりつけ,さらなる快楽を求めようとした。
南川は,そのとろけるような柔らかさを味わうと,舌を差し入れて,甘い口腔粘膜を蹂躙する。鈴音は待ってましたとばかりに,舌と舌が激しく絡み合い,唾液の交換を行った。
「ぅぅぅうううんんっ・・・・・・・」
濃厚なキスの最中に,鈴音は重く呻いて気を遣った。迸る熱い精液を子宮に受け止め,息絶えたように南川の下でぐったりとして,ハァハァと苦しげに喘いでいた。
夕食後の時間を鈴音は南川と居間のテレビの前で過していた。優花は宿題があるとかで部屋に上がって居なかった。
メイドたちは台所でにぎやかにおしゃべりしながら後片付けをしている。その声をテレビニュースのあい間に耳にするにつけても,鈴音はつい腰を浮かしたくなる。メイドにだけ仕事をさせて自分だけがのんびりしているのは鈴音の性に合わなかった。上げ膳下げ膳の生活には慣れていないのだ。
向き合った椅子に坐っていた南川が,鈴音のすぐ隣に移動した。
「離れへ行かないか」
耳元で囁かれ,膝の手を握られた。
鈴音は体を硬くした。訊き返すまでもなく南川が何を求めているのか痛いほどわかる。京都に引っ越ししてから今日まで一度も南川は鈴音を求めていない。
しかしまだ時間が早いだけに,鈴音は素直に承知するわけにはいかなかった。
「何かご用でしょうか」
鈴音はとぼけながら,頬が火照るのをどうしようもなかった。
「鈴音を抱きたいんだ」
「いや」
思わず叫んで両手で顔を覆った。単刀直入な物言いに,かえって心に響いた。
「優花ちゃんは夜おそくまで勉強だし,その隣で変な声をあげることもできないだろ?」
「いや……」
「かといって,きみが降りてくるのをいくら待っても来ないし」
「…………」
肩を抱きすくめられて立ち上がらされた。ひとりで行けますから,ともがいても許されなかった。
「……こんなことをメイドさんが知ったら,なんて噂するでしょう」
磨き上げられた廊下を步まされながら,鈴音は恥ずかしさに身がすくんだ。
「なに,連中はとうに知ってるさ。離れに床をのべるように命じたんだからね。食事中連中がきみを見る眼ったらなかったぜ」
ああっと,穴があれば入りたかった。
メイドばかりではない。二階に上がった優花が何かの用で降りて来て,自分が南川と一緒に離れに籠っていることを知られたらと思うと,死んでしまいたいほどだ。
突然,唇を奪われた。いつものことながら甘い甘いキスだった。これがSEXが始まると,気が遠くなるほど,甘美で蕩けるキスへと変わる。
「あまり駄々をこねると,このままここで縛ってしまうよ」
痺れかけた頭を南川の言葉が電気のように貫いた。
「そんなおそろしいことを……」
「わたしはしても構わないんだけどな」
渡り廊下の途中で,鈴音は麻縄で手首を後ろにくくり合わされ,白足袋の爪先をよろめかせて,離れへと追いたてられた。まっ先に飛び込んできたのは,皺ひとすじなく敷きのべられえ眩いばかりのシーツと,仲良く並べられた枕だった。
だが今の鈴音にとっていちばん気がかりなのは,たて切られた障子の外のことだ。声が漏れて,他の者達に噂されるのだけは避けたかった。
「おねがいです……雨戸を閉じて下さい……」
「おやおや,今夜は思い切って声をたてるつもりとみえる。雨戸を閉じてやったら,どんな要求にも素直に応じるかね?」
鈴音はその場逃れの気持ちでうなずいてみせた。
南川は縁側に出て雨戸をたてた。だが,いくら雨戸をたて切っても聞こえるものは聞こえるのである。
「さて,これで完全に二人きり。メイドたちも呼ばれなければやってくる気づかいはない。思い切っていい声を張り上げてもらうよ」
南川は鈴音を立ち上がらせ,床柱を背中に押しつけた。いったん手首の縛りが解かれ,あらためて柱を背負う恰好で手首が縛り合わされた。
「約束通り,何でも言うことを聞いてもらうよ」
そう言いながら,南川は鈴音の帯を解きはじめた。
すでに体の交わりもあり羞恥を曝し尽しているのだが,しっかり身にまとったものを一枚ずつ脱がされていく恥ずかしさに変りがあるはずはなかった。
体を巻き締めている紬紐がひとすじ,ひとすじゆるめられ体を離れてゆく心細さに,鈴音はすすり泣いた。
いましめの身が切なかった。
「下着はつけていないんだね。いい身だしなみだ」
それでこそ着付け教室のお師匠さんになれる,と言いながら,南川はゆるんだ着物の前を大きくくつろげ,肩をはずした。真っ白な乳ぶさがまろび出し,あと身につけているものといえば,ピンクの腰巻と白足袋ばかり。後ろ手のいましめまでたくり降ろされた着物は,いたずらにあられもなさを強調する小道具でしかなかった。
「一週間も見ないと,その白いからだが夢の中にまでチラついてね。肉棒が勃起して困るんだよ」
「ゆるして……」
鳩尾の汗を光らせながら,鈴音は腰巻の紐をほどかれまいと腰をゆすった。いい匂いが立った。
「さあ,一週間ぶりのご対面といくかな」
「いやあ……」
硬直させた豊かな腰の張りを,絹が音もなくすべり落ちた。
「……はずかしい……ごらんにならないで……」
鈴音は火のような羞恥にくるまれて,片脚をくの字なりにつぼめた腰から下を激しく悶えさせた。
白足袋を脱がされ,爪先まで一糸まとわぬ姿にされた。
スッと南川の気配が遠のいたのに,薄目を開けてうかがうと,やや離れた所に後ろ手をついて見上げ見降ろしている。
「いや……」
鈴音はさらにきつく下肢をよじり合わせて身も世もない思いに悶えた。細紐のひとつひとつが恥じらいにすくみ上がって,ジワジワあぶら汗を噴き出すようだ。
「優花ちゃんみたいな大きな娘がいるなんてとても思えない綺麗な身体だね。おっぱいもピンと張ってるし,腹だってだぶついていない」
鈴音はすすり泣くような喘ぎを洩らした。
「こうやって見ていると,優花ちやんの美しいのは親ゆずりだってことがよくわかる。何よりも肌が……」
「優花のことはおっしゃらないで……」
今この時間に同じ屋敷内で優花が机に向かっていると思うと,鈴音は居ても立ってもいられない気持ちにさいなまれるのだ。
「あの美少女の見本みたいな優花ちゃんでも,やがて男を識って,こんな体にされてゆくのかねえ」
鈴音はギクリとなって,おそるおそる南川を見た。
母親の保護本能が,南川の意識の中にひそむ娘への関心を嗅ぎ当てたのだ。南川は冗談めかして笑っている。
優花に南川の関心を向けさせてはならない,と鈴音の母性は囁いた。そのためには自分が南川の関心を引くように務めねばならない。
そう覚悟した瞬間から,鈴音の羞じ悶える五体のすみずみから媚びの匂いが霞のように立ちのぼりはじめた。
南川はそれを見逃さなかった。恍惚となるほどの美しい眺めであった。
初めて出会ったときのことがふと思い出される。彼女の瑞々しいまでの透明感のある美しさに金縛りにあった。魂を吸い取られたように惚け,彼女の美しさに心を奪われてしまった。
そして,今初めて会ったとしても,同じように心を奪われるであろう。他の人が見れば,彼女より,また美しい人はいっぱいいるというかもしれない。
もちろん,これまでに,多くの美女と呼ばれる女性と数多く接してきた。その経験を踏まえて,ここまで震えさせられるのは彼女1人だと断言できる。もしかしたら,前世というものがあれば,彼女と何らかの繋がりというか,因縁というかあったのかもしれない。だから,これだけ,強力に惹き付けられるのだと言う者もいるだろう。
だが,そんなことはどうでもいい。長年思い続けた彼女が,自分のすぐそばにいて,一生愛し続けられるという事実こそが,すべてだ。
この匂い立つような美しさに素直に感動し,愛でることができる。その幸せに,感謝したいぐらいだった。
「美しいよ,鈴音。わたしは,もう一生君を手放さないよ」
鈴音は,南川の思いに応えようとするかのように,じっと南川の瞳を見つめ返した。
鈴音は乳ぶさを優しく愛撫される気持ちよさに,のどを絞って喘いだ。南川は優しく揉む乳房とは反対に乳首を嬲るように苛め抜き,片手で鈴音の頭を抱いて,唇を重ねた。
「はぁぁっっ」
唇を離されたときにはもう,鈴音はどうしようもない情態に追い込まれていた。全身を這いまわる手が乳ぶさや,背すじのくぼみや腰のくびれに触れるたびに,体に電気が起った。体じゅうのゼンマイがもどり切って,よじり合わせた膝に力が入らなくなった。
「もう,ゆるして……」
腰を抱き寄せられ,首すじを愛撫されながら鈴音は声を顫わせた。そこらじゅう汗になっているのが消え入りたいほど恥ずかしかった。
立ったままこれほどの愛撫を受けるのは,はじめての経験だった。快感が垂直に鋭く突き刺さってくる。
南川の唇が肩を這い降りて乳首を咥えた。キュンと引き絞れるような快感に貫かれた。舌先に転がされつつ,みるみるふくれあがるのがわかる。それにつれて快感がうわずった悲鳴になってほとばしり出た。甘噛みされるとその声もつまって,腰が自然にうねりだす。
その腰をガッシリ両手に掴まれた。お尻を掌が舐めるように這う。
「いや……」
鈴音は我知らず透き通るような声をあげた。しっかりと何かにしがみつきたいのに,その手を縛られているのがうらめしく切ない。
ふと異様な感覚がおそいかかってきた。狼狽が体を吹き抜けた。
「そんなとこ,おさわりにならないで……」
南川の指が秘められた蕾に触れているのだ。
「ねえ……いやぁ……」
あまりの恥ずかしさに,鈴音は小娘のように泣き声を放った。お尻をよじりたてながら腰を前に突き出したところへ,もう一方の手がおちてきた。
飾り毛をふっくり盛り上げた丘を掌いっぱいに掴まれていた。一方,恥唇をまさぐる動きは止む気配を見せない。鈴音は狂おしく身を揉んだ。前の手が力を失った腿のあわいにツルリともぐり込んできた。
「ああ……」
「濡れきってるじゃないか」
「は,恥ずかしい」
「もっと股を拡げてさわらせてごらん」
「いやです」
股を閉じても,すぐ力が抜けた。充血して蜜を吐く秘肉を分けるようにうごめく指に鈴音は気が遠くなった。気が遠くなりながらドクンドクンと音をたてて,淫液があふれ出してくる。
「お尻,いじるの,やめて……」
「前ならいいというんだね?」
鈴音は歔きながら,激しくかぶりを振った。
「はっきり言わなきゃ,許さないよ」
「ああ,なんて意地悪なの……」
「さ,お尻の代りにオマンコをいじめて,と言いなさい」
思いもがけぬ卑猥な言葉に,鈴音はドキンとなった。火がいっきに燃えさかった。
「そんな,はずかしいこと,言えません……」
「言わないんなら,お尻の穴に指を入れるよ。大声でわめきたてたら,雨戸を閉めてあっても外に聞こえるからね」
「……前を,いじめて……」
泣きながら鈴音は小さく口走った。汗がドッと噴き出した。
「前ってどこのことだね」
と,南川はさらに追いつめる。
「……言えません……ああ,恥ずかしい……」
「自分の体の一部じゃないか。言えなくてどうする」
蕾を割らんばかりに指の庄力が加わった。鈴音は息もつけない情態に追い込まれた。
「さ,どうかね。言わないのなら指を入れるよ」
「あ……い,言いますから……」
「今度ためらったら,容赦なく突っ込むからね」
顎をしゃくり上げられて,羞じらいと困惑に悶える貌を曝し上げられた。
「……鈴音の……鈴音の……」
胸が張り裂けんばかりになった。固く目をつぶって清水の舞台から飛び込むつもりで,その言葉を口にした。
「……オマンコをいじめて……」
言い終ったとたん,火を噴かんばかりになって,ああ,と泣き声をあげた。湯を浴びたような汗になって悶えた。
「フフ,よく言ったね。鈴音のような上品な人妻がよくあんなことを言ったもんだ」
「ひどい……」
鈴音は全身で恨んだ。
「もう,ほどいて……ゆるして……」
「オマンコをいじめてくれって頼んだばかりじゃないか」
「ああ……」
それから,南川によるめくるめく前戯が,始まった。繊細な指や舌の動きによって,何度も何度も絶頂に達した。我に帰ると,いましめを解かれた体はシーツの上に横たえられていた。
汗に湿ってうっとうしくまつわりつく髪をけだるく払って頭を上げると,間近かに精悍な顔つきの南川の顔が柔らかく笑っていた。
「恥ずかしいです」
覆おうとする両手を押さえられ,閉じようとした股は南川の腰でさえぎられた。
「かんにんして……」
鈴音は真っ赤な顔を振りたくった。
「綺麗だよ,鈴音」
「…………」
「まだ前戯だけだが,もう十分かい?」
「抱いて・・・・・ください・・・・・・」
消え入りそうな声で,鈴音の口からそう言葉が漏れた。
「よかった。たっぷり天国にいかせてあげる」
「……ああ…」
鈴音は体の力を抜いた。
大きく引き締まった身体が,さも大事そうに優しく包み,ゆっくりと南川のものが入ってきた。
「ぁああっ・・・・・・いいっ」
鈴音は矯声をあげ,反射的に南川の首に手を回した。両腕で抱き締めた確かな温もりが,鈴音に安心感をもたらし,悦びへの期待感を高めた。両手のいましめなしで南川に愛されるのは,これが初めてなのだ。
鈴音にひしっと抱き締められながら,南川は存分に腰を使って,鈴音の花園を突いた。
「ひぃいっ,ひぃいい!」
絶叫とともに,鈴音の脚が跳ね,南川の胴に脚を絡みつけた。スラリと伸びた美しい脚が,捕らえた獲物を逃すまいとする大蛇のように南川の身体にまとわりつき,艶やかな矯声と一緒にキリキリと胴部を絞りあげる。
強烈な性の快感を,足指を内側に曲げ,全身で震えるような快感を享受した。存分に悦びを味わいながら,あああ,愛しています,愛していますと,熱にうなされるように呟いているのを聞き,南川は,ますます鈴音の女の園を責め立てた。
「ぁ,ぁああ,し,死ぬ・・・・・・・死んじゃぃうますぅうう」
火のように喘いで,せつなさを告げた直後,激しい痙攣の発作が始まった。
「ぅぅぅんん,んんっ,ぁぁぁああっ,ひぃ,ひぃ,ひぃ」
ヒィイイイイイーーー
お香の匂いが漂う和室に,鈴音の今際の絶叫が後を引く。両足を投げ出して,がっくりと弛緩し,寝具の上でダラリと横たわる。
ハァハァと荒い息を吐く鈴音の太股を持ち上げ,怒張が嵌まったまま,ぐいっと鈴音へ向かって身体を倒した。鈴音の膝は,乳房につくほど深く折り曲げられ,南川の体重がのしかかった分,深々と秘部を貫いた。
「ぅぅんんっ,おっ,奥まできてます・・・・・・・」
真上から串刺しにされ,鈴音は腹の底から低い呻き声が出てしまう。苦悶の表情とは裏腹に,蜜壺は再び蠢き始める。弛緩した裸身が感電したように,ヒクヒクッと震えた。
「すればするほど気持ちがよくなる。名器ってやつか」
気をやればやるほど,蜜壺は,南川のものに馴染み,具合がよくなっていく。甘美な収縮で喰い締めつつ,奥へ奥へと引き込もうとする。並の男ならたまったものではない。
「あぁぁぁ,ぅ,ぅんんっ,いいっ,す,すごい・・・・・ぁあああっ,感じちゃう・・・・・・はぁぁっ」
「わたしもだ。最高に気持ちいいよ」
どちらからともなく相手を求め,舌を絡めては,唾液を啜り合い,飲み干した。ズンズンと体重をかけて責めると,鈴音は歓喜に満ちた顔で,快楽をさらに掴むように,南川の背中に爪を立てた。真上からまっすぐに貫く怒張は,ちょうどいい感じで鈴音のGスポットを刺激した。
「ぃぃいい・・・・・・・気持ちいい・・・・・・・ぅぅううううんn」
「ここかい?ここがいいのかい?ふふふ,もっと擦ってあげるよ」
しがみついた鈴音は,自分から腰を振って,快楽を貪り始めた。腰を振るたびに,ぐちゅっぐちゅっっと淫らな音が響き,南川の背中へのひっかき傷が増えていった。
「あぁぁ,いいわ・・・・・・すごくいいの,ぁあああっ,もっと,もっと」
「そうだ鈴音。もっと狂うんだ」
妖艶な美貌を仰け反らせ,南川の背中を掻きむしる。烈火のごとく責めながら南川の顔にも汗が滲み出た。お互いがまるで一つになろうとするかのように,呼吸を合わせ,せわしなく腰を使った。
「あああっ,また・・・・・・・また,イクッ」
快感に身を震わせて,南川の背中に食い込ませた爪跡からタラリと血が流れた。激しい性交を物語るように,南川の背中には爪痕がくっきりと残っている。絶頂のせつなさに追い求めるように鈴音の唇が,南川の唇をぴったりつけ,さらなる快楽を求めようとした。
南川は,そのとろけるような柔らかさを味わうと,舌を差し入れて,甘い口腔粘膜を蹂躙する。鈴音は待ってましたとばかりに,舌と舌が激しく絡み合い,唾液の交換を行った。
「ぅぅぅうううんんっ・・・・・・・」
濃厚なキスの最中に,鈴音は重く呻いて気を遣った。迸る熱い精液を子宮に受け止め,息絶えたように南川の下でぐったりとして,ハァハァと苦しげに喘いでいた。
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