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最愛の女
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「ぅぅっ」
火照りの冷めやらぬ顔を横にねじって,鈴音はすすり泣いた。最奥には南川が放った精液が,まだ生々しく熱を保っていた。濡れた唇の端からツゥーーっと唾液が垂れ,喘ぎと痙攣も収まっていなかった。
「鈴音のイクときの顔はとても素晴らしかった。なんて美しい顔だろうと思ったよ。でも,鈴音がこんなに淫乱だったとはね。うれしい誤算だよ。イクイクってうれしそうに腰を振っているんだからな。あの気品溢れた鈴音が・・・・・。エッチなことなんて知りませんって顔して,娼婦顔負けのドスケベだったなんて,最高だね」
南川の怒張は,射精してもいまだに堅さと太さを維持したまま,鈴音を貫いたままだった。
「し,知りません・・・・・・」
鈴音は,消えそうなほど小さな声でそう答えるのが精一杯だった。
「ほらっ,まだわたしのをぎゅっつぎゅっと締め付けてくる。もっと欲しいんだろう?」
南川は,緊縛した鈴音の身体を起こして四つん這いにすると,後ろからズブリと突き刺すと,ゆっくりと腰を動かし始めた。緊縛された身体をシーツの上に投げ出し,腰を持ち上げられ,激しく貫かれる。
「ぁあっっ,そんな・・・・・」
絶頂の余韻も冷めぬうちに,熱くたぎる恥肉をえぐられて,たちまち官能に火がついた。
「ぁあああっ,ぁ,ぁあ,あぁぁぁぁああ」
顎があがり,眉がたわんだ。リズミカルに送り込まれる肉の甘美に腰骨が痺れ,最奥がざわめく。子宮がひきつるような反応を示しはじめた。引きかけた生汁が再びじっとりと滲み,身体の芯がせつないまでに疼いた。
「ふふふ。その顔だよ,鈴音。ゾクゾクするほど艶っぽいよ。どうやらわたしのに馴染んだようだね。ぎゅうぎゅうと締め付けてくる。奥が感じるんだろう?ほらっ,ここが・・・・・」
後ろから覗き込むようにして,南川は鈴音の感じる姿を堪能した。
「ぁああああっ,す,すごい,ぅぅんんっっ,だ,だめぇぇーー」
灼けるように熱い肉棒が逞しく脈打ちながら,ズブリ,ズブリと官能の源泉を突き刺してくる。浅く突き,深くえぐる。鈴音の感じるところが最奥だと分かると,そこを執拗に突いていった。バックだとさらに奥まで突きやすい。
「いぃ,いぃぃいいいい,た,たまらない・・・・・」
気が変になるほどの快感に,声を放って歔きたくなった。勝手に腰が蠢いて,もう止めることができなかった。快感のあまり,縛られた身体に力が入り,縄がキリキリと皮膚に食い込んでいった。その痛みが,さらに鈴音を昂ぶらせていく。
南川は老獪だった。これまでの豊富な性経験から,相手の反応をじっくりうかがい,最奥を中心に責めながら,左手は乳房への愛撫を,右手は腹部まで伸ばして,陰核への刺激も同時に行っていった。
「なぁ,愛してるって言うんだ。南川様,愛してるって」
ヒクヒクと収縮する肉の感触を味わいながら,南川は鈴音の耳に暗示を吹き入れる。経験上朦朧としたエクスタシー状態に繰り返し囁きかければ,消しがたい刻印を心に刻みつけることができる。
最奥をここぞとばかりに突きながら,愛液で濡らした指で,入念に陰核を扱き上げた。愛らしい乳首をギリギリと捻ると,右手は,陰核をヌルヌルと嬲り続けた。甘い痛みと意識を呑み込まんとする激しい快感に,鈴音はなすすべなくシーツの上で悶えた。
「ぁあああっ,ひっ,ひっ,ひぃぃいいいいーーーおかしくなる・・・・・・」
「愛してるって言うんだ,愛しているって」
ぐちゅつ ずぶっ ぬちゅっ ぐちゅっ
南川は,容赦なく腰を叩きつけていくと,鈴音はうねり狂う官能の大波に呑み込まれた。
「イクッ・・・・・・ひっ,ひぃ,ひぃいいい・・・・・・イクッ,イクッ,イクッ・・・・・・・」
ゆっくり引いた腰をとどめと言わんばかりに,子宮口まで突き刺した。
「ひぃぎぃいい,いくぅううううううううーーーーー」
突っ張った裸身を痙攣させ,あられもない声をあげた。いや実際には声がかすれて言葉にならず,凄艶な身悶えの中に獣めいた咆哮を発していた。
「ふふふ,いい声だ。聞いているこっちの身体が熱くなるよ」
そう言うと,ぐったりと力尽きたカエルのように両足をだらしなく広げて俯せになっていた鈴音の腰を持ち上げ,腹部に2つの枕を差し込んだ。手を離すと,腰が枕の上に乗って,突きだした格好になる。
緊縛され何度も絶頂に達した身体は,ほんのり赤く色づき,鳥肌が立つほど妖しかった。挿入されたままの肉棒は,欲望のままにさらに凶暴さを増した。咥えたままの秘部の中で,ぐっと膨らみ,鈴音の性感を揺さぶる。
「ぁあんっ」
鈴音の背中に覆い被さるようにして倒し,寝バックの態勢でぐいっと腰を突き入れた。
「ヒィイイッ」
白眼を剥いて鈴音は顔を持ち上げた。それだけでアクメに達したかのように四肢を突っ張らせる。南川の下でシーツを握りしめたまま,激しく腰を痙攣させた。
「ぁ゛ぁ゛ぁ゛っっ,ぁ,ぁ゛あ゛」
唇端に涎を垂らす美貌は,苦悶すれすれの喜悦を彷徨っていた。絶頂が引かぬうちに。次の大波に襲われ,もう鈴音の肉体は,ますます輝いていった。
「す,すごい締め付けだよ。最高だ」
甘美な膣の動きを味わいながら,太股の上を滑るようにして,容赦なく膣奥を突いていった。鈴音も俯せになったままなので,快楽に集中できるのだろう。ただひたすらに鈴音の感じるところを責められ,官能の渦に身を任せていた。
「ぁ゛,ぁぁぁ゛ぁ゛・・・・・・・」
すでに声が声になっていなかった。身体の奥底から溢れ出る悦びが,そのまま声帯につながり,獣のような声として鈴音の口から出てくる。バチバチとしとした激しい火花が脳の中を飛び交い,全身を強烈な電流が走って,これ以上ない快楽に溺れそうになる。
このままずっとこの快感が続けばどれだけ幸せだろうか。ぐちゅっ,ぐちゅっと淫らな音をBGMに,迫り来る大きな快感の波に備え,シーツを掻きむしり,全身に力を入れた。
「ひぃ,ぃぐぅぅ゛ぅ゛,いっぢゃぅぅうう,ぁ,ぁぁぁ゛,いぃぃいいいい」
「ほらっ,またイクのか・・・・・節操がないな・・・・・」
「ぁ゛ぁ゛ああ,ご,ごめんなざいぃい,いぐの,また,いっぢゃぅうううーーー」
「イケ,イケ・・・・・・いっちゃえ・・・・・・」
「ひぃいいいいいいーーーーーー」
すると,腹の底から出た絶叫とともに,南川の下でこれ以上ない痙攣が始まった。後ろ手に縛られた手が,痛々しく絶頂の余韻のように跡がついている。全身が電流を浴びたようにガクガクと痙攣し,愛液でシーツの上に水たまりを作っていた。南川は,優しく包み込むように抱き締めると,やがて痙攣が収まっていき,そのまま静かになった。
南川は,死んだように横になっている鈴音を見つめた。さっきまでの鬼気迫るような顔から穏やかな女神のように,優しい寝顔を見せていた。額に汗で髪が張り付いているのを,指で流し整えた。
鈴音の背中から人肌の温もりが伝わってくる。ずっとこうすることを願っていた南川にとって,幸せでしかなかった。ぎゅっと抱き締めると,愛おしい気持ちでいっぱいになってくる。
「あああ,鈴音。愛している」
南川は,鈴音の背中に頬を当て,,そう呟いたのだった。
鈴音は夢を見た。
きつく縄で縛られ,喘いでいる夢だった。縛られ,無残に叩かれて恍惚とした表情でいる。自分でも,思わず引き込まれそうなほど淫靡な世界だった。
「どうだ。うれしそうだろう。あれが本当のおまえだ」
姿を見せない男とも女ともつかない声が,そう囁いてきた。
「ち,違うわ・・・・・あれはにせものよ」
「違わない。これまで逃げ続けてきたが,心の底で,死ぬほどの快感を味わいたいと思ってるのさ」
「そんなことない……絶対にないわ」
鈴音は必死に否定した。
それなのに,身体の芯が,ぐつぐつと炙られたように灼け,見えない愛撫に喘ぎながら,快楽の中枢はひきしぼられるような感覚におそわれた。
「気持ちいいだろう?もっと気持ち良くなりたいだろう?正直になるんだ」
声の主は低く囁きながら,鈴音の心をさいなんだ。
「あなた・・・・助けて・・・・・ぁああっ,いいいっ・・・・・・」
どうしたことか,亡夫の面影は叫ふほど遠のいた。
「もっと鳴け・・・・・・もっと喘げ・・・・・・」
鈴音はその言葉につられて恥ずかしい声をあげ,身震いせんばかりの愉悦に歔いた。固くいましめられていたはずの下肢がいつしか見知らぬ人の身体を,しっかと挾み込んで淫らな動きに合わせて腰を舞わせていた。
いや,いやぁ,と喘ぎ,そして感じながら,鈴音はしっかりと快楽にからみついていた。
眼が覚めるとビッショリの汗だった。カーテンの向こうではすっかり夜は明け切っている。かすかに小鳥のさえずりも聞こえてくる。
鈴音は南川とひとつ床に,胸に顔を埋めて眠っていた。鈴音も南川も全裸のままだった。
昨夜のことがどっとおそいかかってきて,鈴音は小さな悲鳴をあげて,南川の体から離れた。
南川はぐっすり眠っている。昨夜あれほど妖気をただよわせていた顔は,いつもの端正な表情にもどっている。
床からすべり出て素肌の胸に脱ぎすてられた浴衣を抱いた。床の間の薄闇の中に,白木の位牌と白絹の骨壺がひっそり鎮まっている。
あわてて眼をそらして,鈴音は湯殿に降りた。
湯殿はいっぱいの陽射しで,なめらかな湯に陽の光が躍っていた。浴槽は,温泉宿のように広く,檜造りで風情があった。
ほつれきった髪を手早くまとめて,肩まで湯につかった。のびのびと手足を伸ばすにはあまりもに陽射しが明る過ぎ,その中におのが裸形を見るには昨夜の記憶がなまなまし過ぎた。
一夜にしてつつましい未亡人からふしだらな娼婦に堕ちた感じだった。あれほどの深い感覚を自分の体が秘めていたとは信じられなかった。「死ぬ」という実感を何度も味あわされた。今想い出しても身ぶるいが出るほどの悦びであった。
手首にも二の腕にも乳ぶさの上にも,繩目の痕がうっすらと血をにじませていた。鈴音はひとりぼうと頬を染めながら,その痕を指でなぞった。
あのいましめを,いつ解かれたのか,鈴音は覚えていなかった。夢うつつの間にさまざまな体位をとらされ,ひとつの体位ごとに一度あて絶頂を極めさせられた。最後には声もでなくなり,ひからびた悲鳴をあげるだけになった。それからどうなったのか──。
腰がけだるく,太腿の付け根がうずく。まだ太いものを呑み込んでいるような感覚が,体の中にあった。
膝をしっかり閉じようとしても,すぐけだるく拡がってしまうようだ。
(どうなるのかしら,これから……)
もう南川とは離れられない体にされてしまったと観念しながらも,南川の持つ底知れない不気味さに戦慄せずにはいられなかった。
自分には娘の優花が居る。優花と同じ屋根の下に住みながら,夜毎にあのようなさいなまれ方をするのかと思うと,おそろしかった。南川と母との関係を知ったら,優花はどう思うだろう。考えれば考えるほど不安の黒雲が頭をもたげてくる。
脱衣場の人の気配に,鈴音は体を小さくすくめた。この明るい陽射しの中で,ゆうべあれほどの狂乱を見せた肉体を見られるのかと思うと,総身がすくみ上がった。
「やあ,早いじゃないか」
眼も上げられずうつむいている鈴音に,南川は快活に声をかけた。隠そうともしない肉棒は,隆々と勃起しており,いささかも衰えを見せていなかった。
ザブンと湯舟に入り込んで来た南川に,鈴音はたちまち抱きすくめられた。
「ひと晚で,ぐっと色っぽくなった」
「いや……こんな明るいところで……」
「どれ,その恥ずかしがるところをゆっくり見てやろう」
唇を奪われると,たちまち鈴音はめくるめく快感におそわれた。白い腕をさしのべて,しっかり南川を抱いた。
ふさがれた口の奥で歔くような声をあげ続けた。唇を吸われたまま片腕をはずされ,下に持って行かれた。
「いや……」
すくめようとする手で強引に握らされた。その太さに,あらためてショックを受けた。
「抱かれると愛おしく感じるだろう」
「…………」
南川に乳ぶさを揉まれながら,鈴音はゆっくり手を動かし始めていた。息がはずみ腰がけだるくなった。南川は,鈴音を浴槽に足をつけさせたまま縁に座らせた。昨日の荒淫が嘘のように,鈴音の恥部は,上品に閉じられていた。
「どれ,見せてごらん」
「あっ,こ,ここでは・・・・・・」
南川は,全く聞き耳持たずに,太股を拡げ,ひっそり佇む恥部の割れ目の左右に2本指を置いた。そして,左右にゆっくり開くと,甘いスイーツの中から心ときめかす液体が出てくるように,甘蜜がトロリと溢れ出てきた。
「もう感じているじゃないか。ふふふ」
お湯に浸かったまま,南川は,愛液をペロリと舌ですくうと,そのまま包皮を被った陰核に舌を伸ばした。包皮をペロンと剥くと,舌先でチロチロとクリトリスの頭頂部を舐めた。
「ぁ,ん,ぅぅっ,ぁああんっ,だ,だめぇ」
ムクムクとすぐに敏感な陰核は固く勃起した。舌先でピンピンと弾くと,たまらず檜の縁をしっかり掴んだまま,足先をぐいんと伸ばした。お湯が,ピちゃと溢れる。
「ぁああっ,は,激しい,ああんっ,そ,そんなに・・・・・嬲らないで・・・・・」
唾液の中で溺れたような陰核は,ヌルヌルとした液体の中で,弄ばれた。ジュルジュルと口の中で,舌に縛られ,弾かれる。
「ぅぅんん,あぁぁぁあっ,か,感じちゃいます・・,ぁあああっ」
その途端,唾液と一緒に,南川の口に中に思い切り吸引される。
ヒィイイイイイーーーー!
陰核が,根元から引っ張られ,全身の痙攣とともに潮を噴いてしまった。
「潮まで噴いちゃって・・・・・・わたしの顔に鈴音のイヤラシイ液がいっぱいかかってしまったよ」
「あぁぁ,ご,ごめんなさい」
鈴音は,慌てて,近くに置いていたタオルをとろうとするが,南川は,にこやかな笑みを浮かべて,鈴音を立たせた。
「どれ,ゆうべの山桜がここからも見えるか見てみよう」
南川は壁面いっぱいのガラス窓に,鈴音を並んで立たせた。鈴音は支えられねば立っておれない情態になっていた。ガラスの曇りを拭うと,山桜は真正面にあった。朝の光をまともに浴びて,艶に咲き誇っていた。鈴音はふたたび蒼い蛇を握らされ,湯上りの肌をその山桜の花の色に染めた。
「あの山桜は人に見られもせずに美しく咲いているが,こっちの出桜は,人に見られてますます美しくなるようだ」
「は,恥ずかしいです・・・・・」
声をあげて恥じらう鈴音の両手首を手拭で前しばりにした南川は,その手拭をシャワーフックに掛けた。
「こんなところで・・・・・お願いです,部屋に戻ってからに・・・・・」
誰もいないと分かっていても,朝早くから風呂場でするなど,鈴音にとって考えられないことだった。
「さぁ,お尻を突き出して。後ろから嵌めてあげるよ」
南川の言葉に逆らえようはずもなかった。諦めてお尻を突き出すと,後ろから火のような猛りを埋め込まれた。
「ぅぐぅうう・・・・・ヒィッッ」
長い艶やかな髪を後ろから鷲づかみにされ,手綱のように後ろから引かれる。すると,埋め込まれた怒張が,さらに奥まで突き進んだ。
「ぁぁぁああっ・・・・」
鈴音の顎が上がり,朝日に浴びた鈴音の顔が,満たされた牝のように悦びに満ちた顔をしていた。
「後ろから嵌められるのは,好きだろう?他の体位より感度が上がるからな」
「あんっ,ああんぅ,ぁ,ぁんっ,そ,そんなこと・・・・・・ありません,ぁああっ」
「よく言うよ。うれしそうに自分から腰を振っているじゃないか。牝犬としての才能もあったとはな」
鈴音はイヤラシイ牝犬だーーそう繰り返し暗示をかけながら,片手で鈴音の髪を引っ張り,よく発達し,素晴らしい曲線を描いた臀部をパチンパチンと叩いた。
「あぁぁぁ,お尻を・・・・・・叩かないで・・・・・・」
浴場では,南川がお尻を手のひらで打ちつけるたびに,パチーーーーンという音が響いた。
「何が叩かないでだ。うれしそうな顔しおって」
確かに鈴音の顔は,トロンとしたような恍惚の表情を見せていた。すでに2ケタも叩かれると,真っ白い肌が真っ赤に染まっていく。手のひらがお尻を打ちつけた瞬間,身体を小刻みに揺らし,ぁああっ,艶めかしい声で喘ぐところを,次第にピッチをあげながら突いていった。
「あぐぅぅう・・・・あぁぁぁぁ」
逞しい突き上げに,狂ったように頭を振って,全身でむせび泣いた。
「ヒィッ,ヒィイイッ・・・・・・・・いいっ・・・・・・あぁぁ,いいわ・・・・・・・ぁああ,もっと・・・・・・・もっと叩いて・・・・・・」
そのうち,感極まったように快楽を貪り始めた。目の前が霞み,鈴音の頭には,快楽のみがすべてのように感じた。矯声も誰はばかることなく,無我夢中であげている。
鈴音の腰は,南川の腰の突き上げを迎えるように,自分から腰を振った。南川の下腹が鈴音の豊満な尻肉にあたって,パンパンと激しい性交の音を響かせた。
「あああああ,いいっ,凄い,凄すぎます,いぃいいいいーー」
鈴音は,仰け反ったまま,悦びに声を震わせる。突かれる度に,総身が痺れた。このまま気を遣ることができれば,死んでもいい,そう思った瞬間,南川の動きが止まった。
あぁぁ,どうして,と鈴音は心の中で呟いた。突然の中断に,蛇の生殺しのようで,鈴音を苦しめた。
「い,いやぁ,やめないで・・・・・・」
「どこにどうして欲しいのかな?はっきり言わないと分からない」
「つ,突いてください。お願いします」
鈴音は,切羽詰まったように南川に哀訴した。深く繋がったまま,鈴音は淫らに腰振りダンスをして,少しでも快感を得ようとしていた。
自分から快楽を得るために,プライドも矜恃も捨て,お尻を淫らに振っている。その姿は,まさに発情した牝犬そのものだった。
「イカせて・・・・・鈴音をイカせてください」
「ふふふ,やっぱりその姿が一番よく似合おうよ。素直になったご褒美に,何度でもイカせてあげる」
すると,南川は,溜めていた力で,ズンと膣の最奥を抉った。
「あぁぁぁぁぁーーーー」
仰け反った鈴音の美貌と汗と涙にまみれ,隷従の喜悦に恍惚と光り輝いていた。
鈴音は東京から引っ越し,南川の屋敷の一郭に住まわされた。これを機会に娘ともどもどこかにアパートを借りたいと言ったのだが許されなかったのである。
「毎晚そこからわたしの所まで通うつもりかね? それとも優花ちゃんの寝ているとなりでわたしに抱かれたいのかな?」
そう言われて鈴音は真っ赤になった。
「でも,そんなことをして,人さまがなんと言うでしょう。それに,優花が……」
つつましい抗議は無視された。
古い貴族の邸宅を買ったものだったから,来客を泊めるための半ば孤立した続き部屋がいくつかあり,食事以外は屋敷の人と顔を合わせずに暮らすこともできた。同じ屋敷内といっても小さなアパートに住むよりははるかに独立した生活を送ることができる。
母の後ろめたさなど知るよしもない優花は,むろん大喜びであった。「おじさまといつ結婚なさるの?」などと口走って,鈴音をあわてさせた。
まだ年端のいかない娘さえ自分と南川のことをそういう目で見ているのかと思うと,鈴音は面映ゆいような哀しいような気持ちになる。
鈴音自身,南川とはいわゆる「夫婦」と呼ばれるものにはなれそうもない気がしている。夫婦は,起伏のない安定した日々の日常だと思うのだが,南川とは,激しい愛情と劣情でつながっている。
子供を寝かした後,茶の間に向き合ってゆっくりとお茶を飲む。老後の年寄りのような,何を話さなくとも満ち足りた気分。そんな情景ともそんな気分とも南川は縁が遠い。
それに温泉宿でのことはどうだろう。あれは完全に並の夫婦のSEXからは逸脱した行為だった。
まだ若くてセックスに対する好奇心が旺盛なときならまだしも,中年の夫婦のやるべきことではなかった。
と,そこまで考えてくると,鈴音はハタと戸惑ってしまうのだ。体が熱っぽくなって,ジワリと汗が湧いてくる。
温泉宿での一夜のあの狂乱がよみがえってくるのである。
三十五になる今日まで二人の夫に仕えながら,つつましい夫婦生活しか知らなかった鈴音にとって,あの一夜は悪夢であった。あれほどの辱ずかしめに耐えられるとは信じられなかったし,またあんなふしだらになれるとも信じられなかった。
そのくせあの時のことに思いが及ぶと,平静ではいられなくなる。体が地鳴りにゆさぶられるようになるのだ。
それが鈴音には不安であると同時に,おそろしかった。まるで,自分の身体が,自分の身体でないような気がした。
「わたしがいないとダメな身体にしてあげないとね」
あの夜,息もつけない状態に追い込まれていたとき,南川が囁きかけた言葉だった。そして,
「南川さを愛しています」
亡夫の位碑の前で,素っ裸をうしろ手にくくし上げられた姿で,誓わされた。
誓ったのはまぎれもなく「最愛の女になる」ことで「妻になる」ことではなかった。
現に,「いずれ落ち着いたら,和装の着付け教室でも開いたらいい」と自活の道を開いてくれてはいるものの,現在は生活費その他すべて丸抱えにされた状態だし,身のまわりの世話をすることさえ許されていない。
「そんなことはメイドに任せておけばよい」
南川は軽く言うが,これらの現実はますます鈴音を「囲われ者」の立場に迫い込むばかりであった。
「南川の最愛の女になる」
肉はその言葉に妖しくおののきながら,頭はまだそんな立場を受け入れられないでいる。そんな鈴音だったが,はっきりわかることは,南川の苛烈なまでの愛情からはもう逃れることはできない,ということだった。
火照りの冷めやらぬ顔を横にねじって,鈴音はすすり泣いた。最奥には南川が放った精液が,まだ生々しく熱を保っていた。濡れた唇の端からツゥーーっと唾液が垂れ,喘ぎと痙攣も収まっていなかった。
「鈴音のイクときの顔はとても素晴らしかった。なんて美しい顔だろうと思ったよ。でも,鈴音がこんなに淫乱だったとはね。うれしい誤算だよ。イクイクってうれしそうに腰を振っているんだからな。あの気品溢れた鈴音が・・・・・。エッチなことなんて知りませんって顔して,娼婦顔負けのドスケベだったなんて,最高だね」
南川の怒張は,射精してもいまだに堅さと太さを維持したまま,鈴音を貫いたままだった。
「し,知りません・・・・・・」
鈴音は,消えそうなほど小さな声でそう答えるのが精一杯だった。
「ほらっ,まだわたしのをぎゅっつぎゅっと締め付けてくる。もっと欲しいんだろう?」
南川は,緊縛した鈴音の身体を起こして四つん這いにすると,後ろからズブリと突き刺すと,ゆっくりと腰を動かし始めた。緊縛された身体をシーツの上に投げ出し,腰を持ち上げられ,激しく貫かれる。
「ぁあっっ,そんな・・・・・」
絶頂の余韻も冷めぬうちに,熱くたぎる恥肉をえぐられて,たちまち官能に火がついた。
「ぁあああっ,ぁ,ぁあ,あぁぁぁぁああ」
顎があがり,眉がたわんだ。リズミカルに送り込まれる肉の甘美に腰骨が痺れ,最奥がざわめく。子宮がひきつるような反応を示しはじめた。引きかけた生汁が再びじっとりと滲み,身体の芯がせつないまでに疼いた。
「ふふふ。その顔だよ,鈴音。ゾクゾクするほど艶っぽいよ。どうやらわたしのに馴染んだようだね。ぎゅうぎゅうと締め付けてくる。奥が感じるんだろう?ほらっ,ここが・・・・・」
後ろから覗き込むようにして,南川は鈴音の感じる姿を堪能した。
「ぁああああっ,す,すごい,ぅぅんんっっ,だ,だめぇぇーー」
灼けるように熱い肉棒が逞しく脈打ちながら,ズブリ,ズブリと官能の源泉を突き刺してくる。浅く突き,深くえぐる。鈴音の感じるところが最奥だと分かると,そこを執拗に突いていった。バックだとさらに奥まで突きやすい。
「いぃ,いぃぃいいいい,た,たまらない・・・・・」
気が変になるほどの快感に,声を放って歔きたくなった。勝手に腰が蠢いて,もう止めることができなかった。快感のあまり,縛られた身体に力が入り,縄がキリキリと皮膚に食い込んでいった。その痛みが,さらに鈴音を昂ぶらせていく。
南川は老獪だった。これまでの豊富な性経験から,相手の反応をじっくりうかがい,最奥を中心に責めながら,左手は乳房への愛撫を,右手は腹部まで伸ばして,陰核への刺激も同時に行っていった。
「なぁ,愛してるって言うんだ。南川様,愛してるって」
ヒクヒクと収縮する肉の感触を味わいながら,南川は鈴音の耳に暗示を吹き入れる。経験上朦朧としたエクスタシー状態に繰り返し囁きかければ,消しがたい刻印を心に刻みつけることができる。
最奥をここぞとばかりに突きながら,愛液で濡らした指で,入念に陰核を扱き上げた。愛らしい乳首をギリギリと捻ると,右手は,陰核をヌルヌルと嬲り続けた。甘い痛みと意識を呑み込まんとする激しい快感に,鈴音はなすすべなくシーツの上で悶えた。
「ぁあああっ,ひっ,ひっ,ひぃぃいいいいーーーおかしくなる・・・・・・」
「愛してるって言うんだ,愛しているって」
ぐちゅつ ずぶっ ぬちゅっ ぐちゅっ
南川は,容赦なく腰を叩きつけていくと,鈴音はうねり狂う官能の大波に呑み込まれた。
「イクッ・・・・・・ひっ,ひぃ,ひぃいいい・・・・・・イクッ,イクッ,イクッ・・・・・・・」
ゆっくり引いた腰をとどめと言わんばかりに,子宮口まで突き刺した。
「ひぃぎぃいい,いくぅううううううううーーーーー」
突っ張った裸身を痙攣させ,あられもない声をあげた。いや実際には声がかすれて言葉にならず,凄艶な身悶えの中に獣めいた咆哮を発していた。
「ふふふ,いい声だ。聞いているこっちの身体が熱くなるよ」
そう言うと,ぐったりと力尽きたカエルのように両足をだらしなく広げて俯せになっていた鈴音の腰を持ち上げ,腹部に2つの枕を差し込んだ。手を離すと,腰が枕の上に乗って,突きだした格好になる。
緊縛され何度も絶頂に達した身体は,ほんのり赤く色づき,鳥肌が立つほど妖しかった。挿入されたままの肉棒は,欲望のままにさらに凶暴さを増した。咥えたままの秘部の中で,ぐっと膨らみ,鈴音の性感を揺さぶる。
「ぁあんっ」
鈴音の背中に覆い被さるようにして倒し,寝バックの態勢でぐいっと腰を突き入れた。
「ヒィイイッ」
白眼を剥いて鈴音は顔を持ち上げた。それだけでアクメに達したかのように四肢を突っ張らせる。南川の下でシーツを握りしめたまま,激しく腰を痙攣させた。
「ぁ゛ぁ゛ぁ゛っっ,ぁ,ぁ゛あ゛」
唇端に涎を垂らす美貌は,苦悶すれすれの喜悦を彷徨っていた。絶頂が引かぬうちに。次の大波に襲われ,もう鈴音の肉体は,ますます輝いていった。
「す,すごい締め付けだよ。最高だ」
甘美な膣の動きを味わいながら,太股の上を滑るようにして,容赦なく膣奥を突いていった。鈴音も俯せになったままなので,快楽に集中できるのだろう。ただひたすらに鈴音の感じるところを責められ,官能の渦に身を任せていた。
「ぁ゛,ぁぁぁ゛ぁ゛・・・・・・・」
すでに声が声になっていなかった。身体の奥底から溢れ出る悦びが,そのまま声帯につながり,獣のような声として鈴音の口から出てくる。バチバチとしとした激しい火花が脳の中を飛び交い,全身を強烈な電流が走って,これ以上ない快楽に溺れそうになる。
このままずっとこの快感が続けばどれだけ幸せだろうか。ぐちゅっ,ぐちゅっと淫らな音をBGMに,迫り来る大きな快感の波に備え,シーツを掻きむしり,全身に力を入れた。
「ひぃ,ぃぐぅぅ゛ぅ゛,いっぢゃぅぅうう,ぁ,ぁぁぁ゛,いぃぃいいいい」
「ほらっ,またイクのか・・・・・節操がないな・・・・・」
「ぁ゛ぁ゛ああ,ご,ごめんなざいぃい,いぐの,また,いっぢゃぅうううーーー」
「イケ,イケ・・・・・・いっちゃえ・・・・・・」
「ひぃいいいいいいーーーーーー」
すると,腹の底から出た絶叫とともに,南川の下でこれ以上ない痙攣が始まった。後ろ手に縛られた手が,痛々しく絶頂の余韻のように跡がついている。全身が電流を浴びたようにガクガクと痙攣し,愛液でシーツの上に水たまりを作っていた。南川は,優しく包み込むように抱き締めると,やがて痙攣が収まっていき,そのまま静かになった。
南川は,死んだように横になっている鈴音を見つめた。さっきまでの鬼気迫るような顔から穏やかな女神のように,優しい寝顔を見せていた。額に汗で髪が張り付いているのを,指で流し整えた。
鈴音の背中から人肌の温もりが伝わってくる。ずっとこうすることを願っていた南川にとって,幸せでしかなかった。ぎゅっと抱き締めると,愛おしい気持ちでいっぱいになってくる。
「あああ,鈴音。愛している」
南川は,鈴音の背中に頬を当て,,そう呟いたのだった。
鈴音は夢を見た。
きつく縄で縛られ,喘いでいる夢だった。縛られ,無残に叩かれて恍惚とした表情でいる。自分でも,思わず引き込まれそうなほど淫靡な世界だった。
「どうだ。うれしそうだろう。あれが本当のおまえだ」
姿を見せない男とも女ともつかない声が,そう囁いてきた。
「ち,違うわ・・・・・あれはにせものよ」
「違わない。これまで逃げ続けてきたが,心の底で,死ぬほどの快感を味わいたいと思ってるのさ」
「そんなことない……絶対にないわ」
鈴音は必死に否定した。
それなのに,身体の芯が,ぐつぐつと炙られたように灼け,見えない愛撫に喘ぎながら,快楽の中枢はひきしぼられるような感覚におそわれた。
「気持ちいいだろう?もっと気持ち良くなりたいだろう?正直になるんだ」
声の主は低く囁きながら,鈴音の心をさいなんだ。
「あなた・・・・助けて・・・・・ぁああっ,いいいっ・・・・・・」
どうしたことか,亡夫の面影は叫ふほど遠のいた。
「もっと鳴け・・・・・・もっと喘げ・・・・・・」
鈴音はその言葉につられて恥ずかしい声をあげ,身震いせんばかりの愉悦に歔いた。固くいましめられていたはずの下肢がいつしか見知らぬ人の身体を,しっかと挾み込んで淫らな動きに合わせて腰を舞わせていた。
いや,いやぁ,と喘ぎ,そして感じながら,鈴音はしっかりと快楽にからみついていた。
眼が覚めるとビッショリの汗だった。カーテンの向こうではすっかり夜は明け切っている。かすかに小鳥のさえずりも聞こえてくる。
鈴音は南川とひとつ床に,胸に顔を埋めて眠っていた。鈴音も南川も全裸のままだった。
昨夜のことがどっとおそいかかってきて,鈴音は小さな悲鳴をあげて,南川の体から離れた。
南川はぐっすり眠っている。昨夜あれほど妖気をただよわせていた顔は,いつもの端正な表情にもどっている。
床からすべり出て素肌の胸に脱ぎすてられた浴衣を抱いた。床の間の薄闇の中に,白木の位牌と白絹の骨壺がひっそり鎮まっている。
あわてて眼をそらして,鈴音は湯殿に降りた。
湯殿はいっぱいの陽射しで,なめらかな湯に陽の光が躍っていた。浴槽は,温泉宿のように広く,檜造りで風情があった。
ほつれきった髪を手早くまとめて,肩まで湯につかった。のびのびと手足を伸ばすにはあまりもに陽射しが明る過ぎ,その中におのが裸形を見るには昨夜の記憶がなまなまし過ぎた。
一夜にしてつつましい未亡人からふしだらな娼婦に堕ちた感じだった。あれほどの深い感覚を自分の体が秘めていたとは信じられなかった。「死ぬ」という実感を何度も味あわされた。今想い出しても身ぶるいが出るほどの悦びであった。
手首にも二の腕にも乳ぶさの上にも,繩目の痕がうっすらと血をにじませていた。鈴音はひとりぼうと頬を染めながら,その痕を指でなぞった。
あのいましめを,いつ解かれたのか,鈴音は覚えていなかった。夢うつつの間にさまざまな体位をとらされ,ひとつの体位ごとに一度あて絶頂を極めさせられた。最後には声もでなくなり,ひからびた悲鳴をあげるだけになった。それからどうなったのか──。
腰がけだるく,太腿の付け根がうずく。まだ太いものを呑み込んでいるような感覚が,体の中にあった。
膝をしっかり閉じようとしても,すぐけだるく拡がってしまうようだ。
(どうなるのかしら,これから……)
もう南川とは離れられない体にされてしまったと観念しながらも,南川の持つ底知れない不気味さに戦慄せずにはいられなかった。
自分には娘の優花が居る。優花と同じ屋根の下に住みながら,夜毎にあのようなさいなまれ方をするのかと思うと,おそろしかった。南川と母との関係を知ったら,優花はどう思うだろう。考えれば考えるほど不安の黒雲が頭をもたげてくる。
脱衣場の人の気配に,鈴音は体を小さくすくめた。この明るい陽射しの中で,ゆうべあれほどの狂乱を見せた肉体を見られるのかと思うと,総身がすくみ上がった。
「やあ,早いじゃないか」
眼も上げられずうつむいている鈴音に,南川は快活に声をかけた。隠そうともしない肉棒は,隆々と勃起しており,いささかも衰えを見せていなかった。
ザブンと湯舟に入り込んで来た南川に,鈴音はたちまち抱きすくめられた。
「ひと晚で,ぐっと色っぽくなった」
「いや……こんな明るいところで……」
「どれ,その恥ずかしがるところをゆっくり見てやろう」
唇を奪われると,たちまち鈴音はめくるめく快感におそわれた。白い腕をさしのべて,しっかり南川を抱いた。
ふさがれた口の奥で歔くような声をあげ続けた。唇を吸われたまま片腕をはずされ,下に持って行かれた。
「いや……」
すくめようとする手で強引に握らされた。その太さに,あらためてショックを受けた。
「抱かれると愛おしく感じるだろう」
「…………」
南川に乳ぶさを揉まれながら,鈴音はゆっくり手を動かし始めていた。息がはずみ腰がけだるくなった。南川は,鈴音を浴槽に足をつけさせたまま縁に座らせた。昨日の荒淫が嘘のように,鈴音の恥部は,上品に閉じられていた。
「どれ,見せてごらん」
「あっ,こ,ここでは・・・・・・」
南川は,全く聞き耳持たずに,太股を拡げ,ひっそり佇む恥部の割れ目の左右に2本指を置いた。そして,左右にゆっくり開くと,甘いスイーツの中から心ときめかす液体が出てくるように,甘蜜がトロリと溢れ出てきた。
「もう感じているじゃないか。ふふふ」
お湯に浸かったまま,南川は,愛液をペロリと舌ですくうと,そのまま包皮を被った陰核に舌を伸ばした。包皮をペロンと剥くと,舌先でチロチロとクリトリスの頭頂部を舐めた。
「ぁ,ん,ぅぅっ,ぁああんっ,だ,だめぇ」
ムクムクとすぐに敏感な陰核は固く勃起した。舌先でピンピンと弾くと,たまらず檜の縁をしっかり掴んだまま,足先をぐいんと伸ばした。お湯が,ピちゃと溢れる。
「ぁああっ,は,激しい,ああんっ,そ,そんなに・・・・・嬲らないで・・・・・」
唾液の中で溺れたような陰核は,ヌルヌルとした液体の中で,弄ばれた。ジュルジュルと口の中で,舌に縛られ,弾かれる。
「ぅぅんん,あぁぁぁあっ,か,感じちゃいます・・,ぁあああっ」
その途端,唾液と一緒に,南川の口に中に思い切り吸引される。
ヒィイイイイイーーーー!
陰核が,根元から引っ張られ,全身の痙攣とともに潮を噴いてしまった。
「潮まで噴いちゃって・・・・・・わたしの顔に鈴音のイヤラシイ液がいっぱいかかってしまったよ」
「あぁぁ,ご,ごめんなさい」
鈴音は,慌てて,近くに置いていたタオルをとろうとするが,南川は,にこやかな笑みを浮かべて,鈴音を立たせた。
「どれ,ゆうべの山桜がここからも見えるか見てみよう」
南川は壁面いっぱいのガラス窓に,鈴音を並んで立たせた。鈴音は支えられねば立っておれない情態になっていた。ガラスの曇りを拭うと,山桜は真正面にあった。朝の光をまともに浴びて,艶に咲き誇っていた。鈴音はふたたび蒼い蛇を握らされ,湯上りの肌をその山桜の花の色に染めた。
「あの山桜は人に見られもせずに美しく咲いているが,こっちの出桜は,人に見られてますます美しくなるようだ」
「は,恥ずかしいです・・・・・」
声をあげて恥じらう鈴音の両手首を手拭で前しばりにした南川は,その手拭をシャワーフックに掛けた。
「こんなところで・・・・・お願いです,部屋に戻ってからに・・・・・」
誰もいないと分かっていても,朝早くから風呂場でするなど,鈴音にとって考えられないことだった。
「さぁ,お尻を突き出して。後ろから嵌めてあげるよ」
南川の言葉に逆らえようはずもなかった。諦めてお尻を突き出すと,後ろから火のような猛りを埋め込まれた。
「ぅぐぅうう・・・・・ヒィッッ」
長い艶やかな髪を後ろから鷲づかみにされ,手綱のように後ろから引かれる。すると,埋め込まれた怒張が,さらに奥まで突き進んだ。
「ぁぁぁああっ・・・・」
鈴音の顎が上がり,朝日に浴びた鈴音の顔が,満たされた牝のように悦びに満ちた顔をしていた。
「後ろから嵌められるのは,好きだろう?他の体位より感度が上がるからな」
「あんっ,ああんぅ,ぁ,ぁんっ,そ,そんなこと・・・・・・ありません,ぁああっ」
「よく言うよ。うれしそうに自分から腰を振っているじゃないか。牝犬としての才能もあったとはな」
鈴音はイヤラシイ牝犬だーーそう繰り返し暗示をかけながら,片手で鈴音の髪を引っ張り,よく発達し,素晴らしい曲線を描いた臀部をパチンパチンと叩いた。
「あぁぁぁ,お尻を・・・・・・叩かないで・・・・・・」
浴場では,南川がお尻を手のひらで打ちつけるたびに,パチーーーーンという音が響いた。
「何が叩かないでだ。うれしそうな顔しおって」
確かに鈴音の顔は,トロンとしたような恍惚の表情を見せていた。すでに2ケタも叩かれると,真っ白い肌が真っ赤に染まっていく。手のひらがお尻を打ちつけた瞬間,身体を小刻みに揺らし,ぁああっ,艶めかしい声で喘ぐところを,次第にピッチをあげながら突いていった。
「あぐぅぅう・・・・あぁぁぁぁ」
逞しい突き上げに,狂ったように頭を振って,全身でむせび泣いた。
「ヒィッ,ヒィイイッ・・・・・・・・いいっ・・・・・・あぁぁ,いいわ・・・・・・・ぁああ,もっと・・・・・・・もっと叩いて・・・・・・」
そのうち,感極まったように快楽を貪り始めた。目の前が霞み,鈴音の頭には,快楽のみがすべてのように感じた。矯声も誰はばかることなく,無我夢中であげている。
鈴音の腰は,南川の腰の突き上げを迎えるように,自分から腰を振った。南川の下腹が鈴音の豊満な尻肉にあたって,パンパンと激しい性交の音を響かせた。
「あああああ,いいっ,凄い,凄すぎます,いぃいいいいーー」
鈴音は,仰け反ったまま,悦びに声を震わせる。突かれる度に,総身が痺れた。このまま気を遣ることができれば,死んでもいい,そう思った瞬間,南川の動きが止まった。
あぁぁ,どうして,と鈴音は心の中で呟いた。突然の中断に,蛇の生殺しのようで,鈴音を苦しめた。
「い,いやぁ,やめないで・・・・・・」
「どこにどうして欲しいのかな?はっきり言わないと分からない」
「つ,突いてください。お願いします」
鈴音は,切羽詰まったように南川に哀訴した。深く繋がったまま,鈴音は淫らに腰振りダンスをして,少しでも快感を得ようとしていた。
自分から快楽を得るために,プライドも矜恃も捨て,お尻を淫らに振っている。その姿は,まさに発情した牝犬そのものだった。
「イカせて・・・・・鈴音をイカせてください」
「ふふふ,やっぱりその姿が一番よく似合おうよ。素直になったご褒美に,何度でもイカせてあげる」
すると,南川は,溜めていた力で,ズンと膣の最奥を抉った。
「あぁぁぁぁぁーーーー」
仰け反った鈴音の美貌と汗と涙にまみれ,隷従の喜悦に恍惚と光り輝いていた。
鈴音は東京から引っ越し,南川の屋敷の一郭に住まわされた。これを機会に娘ともどもどこかにアパートを借りたいと言ったのだが許されなかったのである。
「毎晚そこからわたしの所まで通うつもりかね? それとも優花ちゃんの寝ているとなりでわたしに抱かれたいのかな?」
そう言われて鈴音は真っ赤になった。
「でも,そんなことをして,人さまがなんと言うでしょう。それに,優花が……」
つつましい抗議は無視された。
古い貴族の邸宅を買ったものだったから,来客を泊めるための半ば孤立した続き部屋がいくつかあり,食事以外は屋敷の人と顔を合わせずに暮らすこともできた。同じ屋敷内といっても小さなアパートに住むよりははるかに独立した生活を送ることができる。
母の後ろめたさなど知るよしもない優花は,むろん大喜びであった。「おじさまといつ結婚なさるの?」などと口走って,鈴音をあわてさせた。
まだ年端のいかない娘さえ自分と南川のことをそういう目で見ているのかと思うと,鈴音は面映ゆいような哀しいような気持ちになる。
鈴音自身,南川とはいわゆる「夫婦」と呼ばれるものにはなれそうもない気がしている。夫婦は,起伏のない安定した日々の日常だと思うのだが,南川とは,激しい愛情と劣情でつながっている。
子供を寝かした後,茶の間に向き合ってゆっくりとお茶を飲む。老後の年寄りのような,何を話さなくとも満ち足りた気分。そんな情景ともそんな気分とも南川は縁が遠い。
それに温泉宿でのことはどうだろう。あれは完全に並の夫婦のSEXからは逸脱した行為だった。
まだ若くてセックスに対する好奇心が旺盛なときならまだしも,中年の夫婦のやるべきことではなかった。
と,そこまで考えてくると,鈴音はハタと戸惑ってしまうのだ。体が熱っぽくなって,ジワリと汗が湧いてくる。
温泉宿での一夜のあの狂乱がよみがえってくるのである。
三十五になる今日まで二人の夫に仕えながら,つつましい夫婦生活しか知らなかった鈴音にとって,あの一夜は悪夢であった。あれほどの辱ずかしめに耐えられるとは信じられなかったし,またあんなふしだらになれるとも信じられなかった。
そのくせあの時のことに思いが及ぶと,平静ではいられなくなる。体が地鳴りにゆさぶられるようになるのだ。
それが鈴音には不安であると同時に,おそろしかった。まるで,自分の身体が,自分の身体でないような気がした。
「わたしがいないとダメな身体にしてあげないとね」
あの夜,息もつけない状態に追い込まれていたとき,南川が囁きかけた言葉だった。そして,
「南川さを愛しています」
亡夫の位碑の前で,素っ裸をうしろ手にくくし上げられた姿で,誓わされた。
誓ったのはまぎれもなく「最愛の女になる」ことで「妻になる」ことではなかった。
現に,「いずれ落ち着いたら,和装の着付け教室でも開いたらいい」と自活の道を開いてくれてはいるものの,現在は生活費その他すべて丸抱えにされた状態だし,身のまわりの世話をすることさえ許されていない。
「そんなことはメイドに任せておけばよい」
南川は軽く言うが,これらの現実はますます鈴音を「囲われ者」の立場に迫い込むばかりであった。
「南川の最愛の女になる」
肉はその言葉に妖しくおののきながら,頭はまだそんな立場を受け入れられないでいる。そんな鈴音だったが,はっきりわかることは,南川の苛烈なまでの愛情からはもう逃れることはできない,ということだった。
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