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痛みと快楽④

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「おまえたち、弥助と交代しろ」

 松田は、満足そうにお酒を飲み干した。

 ノアと隆一、克也は、一斉に不満そうな顔をする。隆一は、露骨に「はぁ?」と声を上げ、睨みつけた。

 松田は、隆一には歯牙にもかけず、弥助に向かって、「縛りの魅力をたっぷり刻むんだぞ」と言って、くくくっっと下卑た笑みを浮かべた。

 それから、倫子に視線を送り、「おまえらは、ここにいる倫子を可愛がってあげるんだ。藍華に負けないぐらいいい女だぞ」と言う。

 すっかり藍華たちに魂を奪われていた倫子は、ムッと色気漂い、抗えない魅力をもつ3人に快楽の渦へと巻き込まれていった。







「弥助さん……」

 跪き、顔を上げた弥助は、天から舞い降りた天使のように、清らかで、純粋無垢の存在に見えた。

 熱い淫血が身体中を巡り、灼熱の劣情が彼を求める。縛られた手を伸ばすと、弥助の手が、藍華の頬を撫で、彼の美貌が間近に迫ってきた。

(あぁ~、やっと……)

 吸い寄せられるように、唇を重ね、舌を絡ませた。抱き締めたいのに、抱き締められない不自由さが、もどかしい。

 弥助は、慈しむように藍華を見つめると、固定している縄を引っ張った。すると、宙に吊されたまま上半身が起き上がり、手を吊り上げていた縄も緩んだ。

「あぁ、弥助さん、弥助さん」

 愛する恋人の名を呼ぶように、何度も弥助の名を呼んだ。弥助は、ふわりと包み込むように抱き締めてくると、藍華も括られた両腕ごと弥助の首にしがみつき、夢中で舌を絡めた。愛おしさに胸が熱くなる。

「ぁふんっ、んっ……はぁぁっ、ぁあっ」

 思いの丈を吐くように熱烈なキスを繰り返した。

 弥助は、熱っぽい瞳で、頬に手を添え、熱くて柔らかな舌を味わい、唾液を啜ると、自分の唾液を送り込んだ。藍華は、うれしそうにゴクゴクッと飲んでいった。

 頬に撫でた手をキスをしながら、唇に当てた。すると、口と一緒に指を舐め始めた。舌を伸ばすとレロレロと互いに上下に動かす。と同時に指まで愛撫する。指や舌だけでなく口の周りまで唾液で濡れた。

 すぐ目の前で、藍華が舐める姿を弥助はじっと見つめていることに気付いた。蕩けるようなキスに夢中になりすぎて、今の今まで気付かなかったのだ。

 頬に熱が集まり、急に恥ずかしさを覚えた。

 弥助の妖艶な目が心をとろりとさせるほど狂おしく、胸にドクッと響いた。

(お願い、苛めて)

「あ~~、弥助さん」

 感情が迸った。目が媚び、甘えているのが分かる。

 指が、優しく舌を撫でてくる。まるで顎を撫でられた猫になった気分だ。気持ち良さそうに目を細めてしまう。

 舌を掴まれ、身体が脱力する。すべてを支配されてしまったようになった気さえして、昂揚した。舌からツゥーーと朝露が落ちようとするのを舌ですくい、艶のある甘ったるい目をした弥助の口に吸い込まれていった。自分の体液が、彼のものになると思うと、うれしい。

 華藍は、このあと弥助がすることを想像して、心臓の鼓動が早くなった。舌を掴んでいる指に、「ハァ、ハァ」と熱い吐息を吐く。上目使いで弥助に催促した。

「んんっ」

 弥助の指が、舌を引っ張ると、手際よく二本の棒で舌の上下に挟み、たこ糸で縛って固定した。挟んだ棒が、舌を締めつけ、糸の圧力によって舌がヒリヒリとする。もう口を閉じるどころか、唾液すら垂れ流すしかない。身体の芯が震え、下腹部がきゅんっと疼く。

 弥助の瞳が、嗜虐的な色に変わっていく。優しい笑みはそのままなのに、胸の昂ぶりが抑えられない。

 藍華のすでに十分に膨らんだ乳首をピンピンと弾く。

「ぅううっ」

 小さなさざ波が、全身を悦ばせ、閉じられない口からはしたなく唾液を零れていく。

 指は、弄ぶようにカリカリと引っ掻き始めた。「ぅんんっ」と呻き、身体を仰け反らせた。

 弥助の虹彩がゆらゆらと揺れ、目が「早く苛めて欲しいんでしょう」と言っている。舌を縛っているたこ糸を目の前で見せつけた。これからあなたを縛るぞと。

 藍華は、期待に満ちた瞳を向けながら、顔を横に振った。舌から垂れる唾液がだらだらと増していく。

 弥助の手が、これ以上ないくらい敏感になっている乳首にたこ糸を巻き、ぎゅっと締めつけた。

「ぅ゛ぅっっ」

(あぁぁぁぁ……)

 痛みが強烈な快感となって、身体の芯を駆け上がった。仰け反った瞬間、乳首と繋がるたこ糸が、藍華の舌を容赦なく引っ張った。乳首をくびった糸が、キリキリと締めつける。

「ぅぅ……ぅぅううううっ」

(ぁあぁあああっ、いっ、いくっ)

 反対の乳首も根元から縛られ、悶える。舌と乳首の間をピンと糸が張り、淫靡さが充満する。

 妖しい双眸に身体を熱くしながら、彼の太い指にくびられた乳首が触れられる。

(あぁ~~~、弥助様)

 心酔した殉教者となて、彼の名を呼ぶ。

 彼の綺麗に整った唇の端が、淫らに上がった。それだけで、気を遣ってしまいそうになる。

 充血した乳首を、サディスティックに潰し、わたしの瞳を覗き込む。

 「ぅ゛ぅ゛う゛う゛ぅう……」

 ふっと微笑むと、引き千切らんばかりに捻っていった。

 「ぉ゛~~~、ぅぅうぅぅうううう」

 頭の中が真っ白になり、絶頂に達したことに気付いた。

 弥助は、手を離すと、嬲った乳首を舌で舐め始めた。労るように、それでいて、愛おしそうに。優しく乳首を舐めていく。

 ヒリヒリとした痛みに痺れるような心地よさが同居し、恥も外聞もなくよがるしかなかった。血が沸き立ち、沸騰し、淫血の濃度が増す。
 
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