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第三話白い少女
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そして六年後。
メアリーの10歳を祝うパーティーが開催された。
「メアリー、おめでとう」
俺はメアリーにプレゼントを渡す。
「ありがとうございます、お兄さま!開けてもよろしいですか?」
「うん、いいよ」
メアリーが包みを開くと、メアリーそっくりの人形が出てくる。
「わ、お兄さま。もしかしてこれ」
「うん。僕が作ったんだ。我ながら上手くできたと思うんだけど」
「嬉しいです!一生の宝物にいたします!」
「あはは、そんな大げさな・・・ん?あれは・・・」
一人の少女が複数の少女に無理やり連れて行かれるのが見えた。
「あっ、お兄さま!?」
「ごめん、ちょっとトイレ行ってくる」
そう言い残して俺は彼女らの後を追った。
そして人のいない中庭にやってきた。
「なんであんたみたいな魔女が姫のパーティーなんか来てるわけ?」
「姫が呪われたらどうすんの?」
やはりイジメだったようだ。
イジメられていたのは白い髪に白い肌、紅い瞳の少女だった。
(あの子、どっかで見たことあるような・・・まぁいいか)
「今どきの貴族のご令嬢は寄ってたかって一人の少女を責めるのが流行ってるのかな?」
相手は女の子たちだ。できるだけ優しく話しかけた。
「王子!?」
「レアードさま!?」
突然の王子の登場に驚く少女たち。
「僕の城で不埒な真似は許さないよ?今回は見なかったことにしてあげるから一刻も早く消えてくれないかな?」
「は、はい!すみませんでした!」
虐めていた少女たちは脱兎の如く逃げ出した。
「全く・・・どこの世界もイジメってあるんだね。君、大丈夫?」
「は、はい!ありがとうございます!」
「綺麗な目・・・」
しまった。うっかり声に出てしまった。
メアリーの様な碧の瞳も綺麗だけど、この子の真紅の瞳もとても綺麗だった。
何より顔立ちがとても整っている。将来は美人になること間違いないだろう。
「あの、王子は私のこと気持ち悪くないんですか?」
「気持ち悪い?どうしてそう思うの?」
「だってみんな私を見て気持ち悪がります。この老婆のような白い髪に血のような紅い瞳・・・みんな私を魔女と呼びます」
「それはみんな見る目がないんだね。君のそのサラサラの輝く銀髪も、まるで宝石のような真紅の瞳もとても綺麗で美しいと思うよ。何よりすごく可愛い」
なんかどっかで聞いたようなセリフだったけどまぁいいか。
すると彼女の目から涙が出てきた。
あれ?素直な意見を言っただけだったけどなんかいけなかった?
「嬉しいです・・・そんなことを云われたのは生まれて初めてです」
「君は綺麗なんだから自信を持っていいよ。またいじめられたら僕が追っ払ってあげるからさ」
「ありがとうございます・・・王子」
「レアードでいいよ。君の名前は?」
「リディアです。リディア・アスカルトといいます」
リディア・・・?
(思い出した!攻略ヒロインの一人だ。確か今みたいに外見で虐められていたところを主人公が助けるんだっけ?そしてこう云うんだ『君の絹のように輝く銀髪もルビーのような真紅の瞳もとても綺麗だ』と。って、俺のセリフゲームの丸パクリやないかい!)
「あの、レアードさま?」
「あ、いや。何でもないよ。せっかく出会えたんだ、友達になろう」
「よろしいんですか!?」
「もちろん。君はこの世界での初めての友達だ」
「この世界?」
「いや、こっちの話だよ。気にしないで。いつでも遊びに来てくれ」
「はい!」
こうして俺に初めての友人ができたのだった。
(でも、確かゲーム内ではリディアとレアードに接点は無かったよな?ま、いいか)
それからと云うもの、リディアは毎日城にやってくるようになった。
最初はリディアに戸惑っていたメアリーだったが、次第に仲良くなっていった。
「リディア、そんな毎日来てくださるのも大変でしょう?たまにはおうちでゆっくりお休みいただくのも大切ですよ?」
「いいえ、メアリーさま。お構いなくーーこちらでもゆっくり休めていますわ。レアードさまにお会いするだけで心が休まりますもの。それよりも少しくっつき過ぎではありませんか?」
「あら、妹とはこういうものです。お兄さまにくっつけるのは妹の特権なのです」
(うんうん、すっかりメアリーもリディアと打ち解けたようで何よりだ)
「そういえばレアードさま、それは何ですか?」
俺が作っているものを見てリディアが訊ねる。
「ああ、これ?トランプだよ」
「トランプ?」
「よし、描けた!ゲームの一種だよ。今まではメアリーと二人だけだったから作るのを躊躇ってたんだけどね。さっそくやってみよう」
そして二人にルールを説明し、ババ抜きなどを楽しんだのだった。
メアリーの10歳を祝うパーティーが開催された。
「メアリー、おめでとう」
俺はメアリーにプレゼントを渡す。
「ありがとうございます、お兄さま!開けてもよろしいですか?」
「うん、いいよ」
メアリーが包みを開くと、メアリーそっくりの人形が出てくる。
「わ、お兄さま。もしかしてこれ」
「うん。僕が作ったんだ。我ながら上手くできたと思うんだけど」
「嬉しいです!一生の宝物にいたします!」
「あはは、そんな大げさな・・・ん?あれは・・・」
一人の少女が複数の少女に無理やり連れて行かれるのが見えた。
「あっ、お兄さま!?」
「ごめん、ちょっとトイレ行ってくる」
そう言い残して俺は彼女らの後を追った。
そして人のいない中庭にやってきた。
「なんであんたみたいな魔女が姫のパーティーなんか来てるわけ?」
「姫が呪われたらどうすんの?」
やはりイジメだったようだ。
イジメられていたのは白い髪に白い肌、紅い瞳の少女だった。
(あの子、どっかで見たことあるような・・・まぁいいか)
「今どきの貴族のご令嬢は寄ってたかって一人の少女を責めるのが流行ってるのかな?」
相手は女の子たちだ。できるだけ優しく話しかけた。
「王子!?」
「レアードさま!?」
突然の王子の登場に驚く少女たち。
「僕の城で不埒な真似は許さないよ?今回は見なかったことにしてあげるから一刻も早く消えてくれないかな?」
「は、はい!すみませんでした!」
虐めていた少女たちは脱兎の如く逃げ出した。
「全く・・・どこの世界もイジメってあるんだね。君、大丈夫?」
「は、はい!ありがとうございます!」
「綺麗な目・・・」
しまった。うっかり声に出てしまった。
メアリーの様な碧の瞳も綺麗だけど、この子の真紅の瞳もとても綺麗だった。
何より顔立ちがとても整っている。将来は美人になること間違いないだろう。
「あの、王子は私のこと気持ち悪くないんですか?」
「気持ち悪い?どうしてそう思うの?」
「だってみんな私を見て気持ち悪がります。この老婆のような白い髪に血のような紅い瞳・・・みんな私を魔女と呼びます」
「それはみんな見る目がないんだね。君のそのサラサラの輝く銀髪も、まるで宝石のような真紅の瞳もとても綺麗で美しいと思うよ。何よりすごく可愛い」
なんかどっかで聞いたようなセリフだったけどまぁいいか。
すると彼女の目から涙が出てきた。
あれ?素直な意見を言っただけだったけどなんかいけなかった?
「嬉しいです・・・そんなことを云われたのは生まれて初めてです」
「君は綺麗なんだから自信を持っていいよ。またいじめられたら僕が追っ払ってあげるからさ」
「ありがとうございます・・・王子」
「レアードでいいよ。君の名前は?」
「リディアです。リディア・アスカルトといいます」
リディア・・・?
(思い出した!攻略ヒロインの一人だ。確か今みたいに外見で虐められていたところを主人公が助けるんだっけ?そしてこう云うんだ『君の絹のように輝く銀髪もルビーのような真紅の瞳もとても綺麗だ』と。って、俺のセリフゲームの丸パクリやないかい!)
「あの、レアードさま?」
「あ、いや。何でもないよ。せっかく出会えたんだ、友達になろう」
「よろしいんですか!?」
「もちろん。君はこの世界での初めての友達だ」
「この世界?」
「いや、こっちの話だよ。気にしないで。いつでも遊びに来てくれ」
「はい!」
こうして俺に初めての友人ができたのだった。
(でも、確かゲーム内ではリディアとレアードに接点は無かったよな?ま、いいか)
それからと云うもの、リディアは毎日城にやってくるようになった。
最初はリディアに戸惑っていたメアリーだったが、次第に仲良くなっていった。
「リディア、そんな毎日来てくださるのも大変でしょう?たまにはおうちでゆっくりお休みいただくのも大切ですよ?」
「いいえ、メアリーさま。お構いなくーーこちらでもゆっくり休めていますわ。レアードさまにお会いするだけで心が休まりますもの。それよりも少しくっつき過ぎではありませんか?」
「あら、妹とはこういうものです。お兄さまにくっつけるのは妹の特権なのです」
(うんうん、すっかりメアリーもリディアと打ち解けたようで何よりだ)
「そういえばレアードさま、それは何ですか?」
俺が作っているものを見てリディアが訊ねる。
「ああ、これ?トランプだよ」
「トランプ?」
「よし、描けた!ゲームの一種だよ。今まではメアリーと二人だけだったから作るのを躊躇ってたんだけどね。さっそくやってみよう」
そして二人にルールを説明し、ババ抜きなどを楽しんだのだった。
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