上 下
1 / 10

第1話恋姫物語

しおりを挟む
 今日も部屋の中で一人ゲームに没頭していた。

仕事はしていない。いわゆる引きこもりニートというやつだ。

「よっしゃ!これでユウラシアルートに入れた!」

今俺がプレイしているのは『恋姫物語』という成人向け美少女ゲーム、いわゆるエロゲーだ。

貴族の学園に通う主人公と、同じ学園に通う皇女『メアリー』たちの物語だ。

現在の時刻は午前2時だ。

「腹減ったな・・・なんかあったっけ?」

冷蔵庫を開けるが、特に見つからなかった。

戸棚のカップラーメンも見当たらない。

「ちっ・・・しょうがない。買いに行くか」

取り敢えずコンビニに食べ物を買いに行くことにした。

近所のコンビニ『セイカーマート』にやってきた。

「おっ、新発売『大盛り牛カルビ弁当』か」

美味しそうな見た目に惹かれ即決した。

「あとは・・・お、生ジョッキ缶あるじゃん」

冷蔵庫からビールを取り出した時のことだった。

ピロリローン。

誰かが店に入ってきたようだ。

(珍しいな。こんな時間に・・・)

そして俺は弁当とビールを持ってレジに向かった。

「金を出せ!」

レジの前には怪しい男が店員にお金を要求していた。

ーー強盗だ。

「おい、お前。何やってんだ」

俺は強盗に話しかけた。

「く、くるな!」

強盗は俺に向かって包丁を構える。

「そんな震える手で握ったもんが当たるかよ!」

片手に弁当とビールを持ったまま強盗に詰め寄った。

そして包丁を持っていた腕をひねり上げると強盗は包丁を落とした。

「店員さん、警察に電話。あと弁当温めといて」

「は、はい!」

俺は弁当とビールをレジに置くとそのまま強盗の右腕を背中に回し、床に倒した。 

剣道三倍段。素手で剣を持つ相手に勝つには三倍の段が必要だという。

俺は学生時代は剣道の全国大会で優勝した腕前だ。

「クソッ!」

バンッ!

強盗が何か叫んだと思ったら、何かが破裂するような激しい音が聞こえた。

次の瞬間、胸元に激痛が走った。

見てみると、俺の胸元は真っ赤になっていた。

どうやら強盗に撃たれたようだ。

「な・・・まだ全員クリアしてない・・のに・・・せめて牛カルビ・・・を」

そこで俺の意識はなくなってしまった。

「牛カルビー!!」

そう叫びながら起き上がると何故かベッドの上だった。

「レアードさま!」

声のする方を見るとメイドさんがいた。

「うっ・・・頭が」

「レアードさま!まだ安静になさってください。頭をぶつけになられたのですから!」

そうだ。確か、メイドのアリスに嫌がらせをしようとして足を滑らせて・・・。

いや、違う。強盗に銃で撃たれて・・・。

「転生したーーっ!?」

「レアードさま!?」

俺には確かに引きこもりニートだった記憶がある。

だが同時にレオン王国王子レアード・ビスマルク(現5歳)としての記憶もある。

つまり、前世の記憶をもったまま転生してしまったというわけだ。

てゆうかレアード・ビスマルクって・・・。

「なんだってーっ!?」

「レアードさま!お気を確かに!」

レアード・ビスマルク。恋姫物語に出てくる主人公の友人キャラだ。

そして、メインヒロイン『メアリー』の兄である。

確か小さな頃からレアードにいじめられて育ったって設定だったな。

「えっと・・・アリス・・さん?」

「レアードさま・・・やはり頭を・・・」

「いや、頭はもう大丈夫。ちょっと一人にしてもらえるかな?」

「・・・・はい。かしこまりました」

アリスが不思議そうな顔をしながら部屋を出ていく。

しかし、前世の記憶を取り戻した今、今までのようなワガママ王子のような態度はとてもとれそうにない。

とりあえずこの世界のことを調べてみるのが先決だ。

部屋を出ると、とても広い廊下が続いていた。

どうやらお城の中らしい。

何人かの使用人に出会い、色々と訊ねてみた。

すると、やはり恋姫物語の世界に間違いないようだった。

そして、いよいよ問題の人物と遭遇した。

俺を見た途端に物陰に隠れる金髪の幼女。メアリーだ。

「メアリー」

俺はメアリーに呼びかけた。

「な、なんでしょうか、お兄さま」

怯えたように訊ねるメアリー。

それもそうだ。レアードはメアリーに嫌がらせばかりしていたのだから。

「何もしないからこっちへおいで」

まずは兄妹仲を改善しなくては。

そして、恐る恐る近づくメアリー。

「僕の手をみてごらん。種も仕掛けもありません」

俺は広げた右手の上にハンカチを被せる。

「はいっ!」

ハンカチを取るとそこには薔薇の花があらわれる。

「わーっ!」

メアリーが驚きの声を上げる。

昔趣味で覚えた手品だ。

「さ、どうぞお姫様」

かっこをつけて薔薇の花を差し出すと、メアリーは少し嬉しそうにそれを受け取った。

ちなみにすぐそこに飾ってあった花瓶から拝借した薔薇の花だった。

しかし、それからもしばらくメアリーは俺を避けていた。

そして、この王子としての生活を数日続けていて思ったことがある。

「今日は何して過ごそうかな」

そう、暇なのだ。

日本なら幼稚園にでも通うのだろうけど、俺の身分は王子だ。一人で外に出ることすら許されない。

そこで、父親である王『リース・ビスマルク』に頼んでみることにした。

「僕に家庭教師をつけていただけませんか?」

せっかく生まれ変わったのだし、知識を吸収しやすい今からこの世界の勉強を学ぶことにした。

「ほう、レアード。性格がまるで変わったと聞いていたが真のようだな・・・よかろう。ようやくお前にも次期国王としての自覚が出てきたようだな」

いや、次期国王はどうだっていいんだが。

それしかすることがなさそうなだけだし。

なんたってテレビもゲームもない世界だ。

そして、翌日から家庭教師による授業が始まった。

「はじめまして、家庭教師のアンと申します」

やってきたのは20歳くらいの美人さんだった。

「では、まずは算術から・・・」

「あ、それは分かるので大丈夫です」

「は?いえ、でも・・・」

そして書いてあった足し算などの問題を解いていく。

「す、すごいですレアードさま!」

「数学は微積分くらいまでできるから、違う授業がいいです」

「数学?微積分?違う授業ですか・・・」

そしてアンが開いたのは魔術の本だった。

「そう!そういうのが学びたかったんです!」

「では、これから魔術について説明いたします。私達生き物にはみんな『魔力』が宿っています。人はその魔力を『詠唱』により水や火、風などの力に変化させて出力することができます」

そう、主人公は桁外れの魔力を持っていて、魔術でメアリーを助けたところから物語は始まるのだった。

この日は、『魔術には詠唱が必要』と『魔力の最大量は生まれつき決まっている』ということを教わった。

そして『光明』というただ小さい光の玉を出すだけの魔術を教わった。

それから毎日自室で光明を出す訓練をつづけた。

「光よ、我が力にて照らし給え、光明!よし、今度は10個出せた。でも毎回面倒くさいな」

今では光明を同時に10個出すことができるようになった。

「今のをイメージしてできないかな・・・よし」

ダメ元で挑戦してみることにした。

光の玉を出すイメージを強く想像する。

「光明!」

するとなんとイメージ通りに光の玉が現れた。

「わ、出た!?」

詠唱なしで魔術を出すことに成功したのだ。

最初の授業から一週間後、次の授業の時がきた。

アンと一緒に中庭へやってきた。

「本日は水の魔術を行ないます。まずはお手本をお見せしますのでご覧ください」

そして、アンは木に向かって手を伸ばした。

「水よ、大いなる力を我にしめせ。ウォーターボール!」

すると水の玉が現れ、木に向かって飛んでいく。そして見事に枝に命中した。

「さあ、今のを復唱してやってみましょう」

「はい。水よ、大いにゃる」

(やば、噛んじゃった。まあいいや、イメージはできた)

「ウォーターボール!」

アンと同じように水球が現れ飛んでいった。

「レアードさま!?」

アンが叫ぶ。

「あれ、なんか違いました?」

「いえ、魔術は合ってます。じゃなくて詠唱が!」

「あー、なんかしなくてもできちゃいました」

そして、アンの使える魔術を全てできるようになり、家庭教師も終わってしまった。

それから数日後のこと。

お城でパーティーが開かれることになった。

建国記念パーティーらしい。

立食形式で、様々なご馳走が並んでいる。

「うーん・・・うまいんだけどなぁ」

俺は一人物足りないでいた。

前世の記憶を取り戻して以降、恋しい食べ物があった。

日本の主食、そう『お米』だ。

「どこかにないかな?あとで調べてみよう。あれ、そういえば・・・」

辺りを見回して違和感に気付いた。

メアリーの姿が見えない。

何か嫌な予感がする。

「メアリー知りませんか?」

とりあえずその辺のメイドに訊いてみた。

「メアリーさまならお父上がお呼びですと云われ公爵様がお連れに」

「え?父様ならそこにーーーはっ!?」

それが誘拐だとすぐに気がついた俺は慌てて会場を飛び出していた。

そして、縛られたメアリーを馬車に乗せようとしている男を見つけた。

「待て!」

声にびっくりした誘拐犯だったが俺を見てすぐに態度が変わる。

「ちっ。脅かしやがって。ワガママ王子じゃねえか。こうなったらお前もだ!」

「うわっ!」

大人の力には敵わず、アッという間に縛られて口も塞がれてしまう。

そしてメアリーと一緒に荷台に載せられ馬車が発進する。

まさか初めて城から出るのが誘拐なんて。

幸い荷台には俺とメアリーだけだ。

(とりあえず、これを切らないと・・・エアカッター!)

魔術で縛られていたロープを切る。

そして、メアリーに小声で話しかける。

「今から口の布を外すけど、静かにできる?」

するとメアリーが頷く。

メアリーの拘束を解き、馬車から出ようと思ったが、さすがに走る馬車から飛び降りることはできなかった。

なので、土魔法で止めることにした。

「サンドロック!」

目の前に岩を出現させると馬車が止まった。

「な、なんだ!?」

誘拐犯が驚いている隙にメアリーの手を繋ぎ馬車から飛び降りる。

そして反対方向に走り出す。

するとそれに気付いた誘拐犯が追いかけてきた。

「おい!待てっ!」

必死に逃げたがやはり大人の足には追いつかれてしまった。

「メアリー!逃げろ!」

「お兄さま!でも」

「いいから!!」

すると誘拐犯が剣を抜いた。

「おとなしくしてりゃ奴隷として生きれたものを」

「ふん!大事な妹を助けられるならこんな命くれてやるよ。メアリーは絶対お前なんかに渡さねぇ!!」

そして剣を構えた誘拐犯が攻撃してくる。

「ストーンキャノン!」

無我夢中で繰り出したその魔術は今まで出したことのない凄まじい威力で誘拐犯の腹を貫いた。

「はあ・・はあ・・・やった・・のか?」

俺は両膝をついた。

そこへメアリーが駆けてきた。

「お兄さま!」

「メアリー。無事か・・・?お前は俺が・・まも・・るか・・ら」

そこで意識が途絶えてしまった。

(あれ?もう魔力切れ・・・?)

そして目を覚ますとそこは自室のベッドの上だった。

「レアードさま!大丈夫ですか!?国王さま!お目覚めになられました!」

アリスはそう言いながら部屋を飛び出した。

そして、父様がやってきた。

「おお、レアード。目覚めたか。此度はすまなかった」

「あの、父様。状況の説明をお願いできますか?」

「そうであったな。今回、クラエス公爵になりすました賊がメアリーを狙って誘拐を企てたのだ。お前が気を失った直後、兵が馬車に追いついたのでメアリーは無事だ。メアリーに聞いたが、魔術で賊を倒したそうだな」

「はい。無我夢中でした」

「うむ。ならばこれだけは言わせてほしい」

「なんでしょうか」

「よくやった」

父様はそう云いながら俺の頭をなでた。

いつぶりだろうか、こんなふうに誰かに褒められたのは・・・。

「メアリーを護ってくれてありがとう」

悪くないと思った。

(前世は引きこもりニートのクソみたいな人生だったけど、人のために頑張るのも悪くないな)

この時から、俺はこのゲームと同じ世界を主人公じゃないけど全力で頑張って生きてみようと思ったのだった。

父様が部屋を出ていくと、入れ替わりでメアリーが入って来た。

「お兄さま!大丈夫ですか?」

メアリーは駆けてきたかと思えば、俺の手を握りしめた。

「うん、大丈夫。メアリーこそ大丈夫か?」

「はい、お兄さまのおかげでわたくしはこの通り元気です!」

「それなら良かった」

「あの、お兄さま・・・」

「ん?」

「助けていただきありがとうございました」

「兄なんだから当たり前だろ?それから・・・今までお前に意地悪してすまなかった。この通りだ、許してほしい」

幼いメアリーに向かって頭を下げた。

「いいえ、許しません!」

まぁ、そうだよな。

これくらいで許してくれるとは思っていない。

でも、できるなら今みたいに話くらいはさせて欲しいな・・・。

そう思っていたら、メアリーの口からは思いもしないセリフが出てきた。

「許してほしかったら、毎日わたくしと遊んでください」

「え?」

「そして今晩は一緒に寝てください!そしたら許します」

「ぷっ」

思わず吹き出してしまった。

「お兄さま?わたくしは本気ですよ!?」

「あはは。わかったよ。うん、メアリーに許してもらえるよう頑張るよ」

こうしてようやくメアリーと仲直りすることができたのだった。

それからというもの、メアリーは俺にべったりになっていた。

可愛い妹に懐かれるのは悪くないと思った。

「ここにリンゴが3個あるだろ?そこへまたリンゴを3個持ってきました。さあ、全部で何個になる?」

「ええと、いち、にぃ・・・6個です!」

「正解。メアリーは賢いな」

「えへへ・・・」

頭を撫でるとメアリーはすごい笑顔になる。

俺は毎日メアリーに勉強を教えていた。

時には前世のおとぎ話を聞かせたりもしていた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約者すらいない私に、離縁状が届いたのですが・・・・・・。

夢草 蝶
恋愛
 侯爵家の末姫で、人付き合いが好きではないシェーラは、邸の敷地から出ることなく過ごしていた。  そのため、当然婚約者もいない。  なのにある日、何故かシェーラ宛に離縁状が届く。  差出人の名前に覚えのなかったシェーラは、間違いだろうとその離縁状を燃やしてしまう。  すると後日、見知らぬ男が怒りの形相で邸に押し掛けてきて──?

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

美しく優秀な次女がいるのなら、私は必要ありませんよね? 〜家を捨てた私は本当の姿に戻り、追いかけてきた皇子と街で暮らす〜

夜野ヒカリ
恋愛
アスラート帝国のカトル公爵家の長女リーナは、プラチナブロンドに青銀の瞳の美しく聡明な少女だったが、 母親と妹からの命令で、カツラを被り、肌を汚して生活していた。 そうしなければ暴力を振るわれたためである。 しかし、母親と妹はリーナの本当の姿も、自分たちが強制したことも忘れて、リーナを“醜い無能”と罵った。 自分の扱いに耐えられなくなったリーナは、ある決意をした。 ───── 「お父様、今日より私は、カトルの姓を捨て、平民として生きたく思います」 リーナの18歳の誕生日、リーナは父親である公爵にそう切り出す。 ───── リーナが公爵家を出た時、公爵家の財政管理、領地管理、他家との関係の保持─── ほとんどの仕事はリーナがしていたのだが…………。 貴族としての身分を捨て、街の食堂で働き始めたリーナはそこで幸せになれるのか!? 密かなにリーナに想いを寄せていて、リーナを追いかけて街に下りた皇子との恋の行方は!? 話、設定、登場人物の口調etc. 色々とブレブレですが、ご容赦くださいm(__)m 本編は最後まで執筆、公開予約済みです。本編完結後、のんびりと番外編を更新していく予定です! 3/18 : Hotランキング 60位→30位→15位→10位→6位 3/19~21 : Hotランキング1位 ありがとうございます!!

婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな

カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界 魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた 「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね? それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」 小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く 塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう 一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが…… ◇◇◇ 親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります (『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です) ◇◇◇ ようやく一区切りへの目処がついてきました 拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです

妹に出ていけと言われたので守護霊を全員引き連れて出ていきます

兎屋亀吉
恋愛
ヨナーク伯爵家の令嬢アリシアは幼い頃に顔に大怪我を負ってから、霊を視認し使役する能力を身に着けていた。顔の傷によって政略結婚の駒としては使えなくなってしまったアリシアは当然のように冷遇されたが、アリシアを守る守護霊の力によって生活はどんどん豊かになっていった。しかしそんなある日、アリシアの父アビゲイルが亡くなる。次に伯爵家当主となったのはアリシアの妹ミーシャのところに婿入りしていたケインという男。ミーシャとケインはアリシアのことを邪魔に思っており、アリシアは着の身着のままの状態で伯爵家から放り出されてしまう。そこからヨナーク伯爵家の没落が始まった。

処理中です...