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中立都市に来たけど大丈夫だよね?

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◇◇◇

 アルカパの街を出て馬車を走らせること三日。

俺達勇者パーティはエルフの国、エルハンド王国、ムーラニア帝国の3つの国が重なる国境付近にいた。

この3日、夜は野営をしたのだがキャンプなんて中学の授業以来だった。

その間、グリッドさんには『帝国には気を付けろ』と散々言われた。

どうやらムーラニア帝国では奴隷制度があり、一度捕まって奴隷にされると『隷属の首輪』を嵌められ一生こき使われるのだとか。

許せないな・・・。

そして俺達は国境の町、『中立都市リガル』にやってきた。

ここはどの国にも属していないため、エルハンドの法律は届かないのだ。

「やっと宿屋に泊まれるのね」

「だな。もうキャンプはうんざりだ」

そして宿屋にやってきてチェックインを済ませた時だった。

「お兄ちゃん、今日は満室だって。1足遅かったみたい」

「しかたない、別の宿を探そう」

またしても聞き覚えがある声が聞こえたがすでに姿はなかった。

「どっかで聴いた声なんだよなぁ・・・」

◇◇◇

 「というわけでやってきました中立都市リガル!」

「もうその前振りはいいよ・・・」

国境の町にやってきた私達は宿屋を探した。

最初の大きな宿屋は満室だと言われたので中くらいの宿屋に泊まることにした。

「やっと横になれる~!」

「ひなたは休んでていいよ。俺は少し情報を集めてくる」

「お兄ちゃん、情報を集めるの好きだね~」

そして私は少し横になって一休みするのだった。

◇◇◇

 帝国について少し調べようと思い、俺は町を散策した。

色々聞いているうちに少し気になる情報があった。

『この町に勇者がいる』というものだ。

「勇者ねぇ・・・どれだけ強いか少し気になるな」

そして俺は酒場にやってきた。

いや、お酒は飲まないよ?未成年だからな。

中に入り、談話している男達に声をかける。

「なんだあんた?ガキはおうちに帰ってミルクでも飲んでな」

「まあ、そうつれないこと言うなよ。ちょっと聞きたいことがあるだけなんだ。マスター、この人達に同じ酒をもう1杯」

「なんだ、わかってるじゃねぇか。で、何を聴きたいんだ?」

「帝国による奴隷狩りについて・・・」

◇◇◇

 「ただいま」

「おかえり、お兄ちゃん。何かいい情報はあった?」

「ん~、特にないな。エルフは美人が多いらしいぞ」

「お兄ちゃん!?」

「冗談だよ。ひなたが一番美人だよ」

「なんかとってつけたような言い方・・・」

そして夜は更ける。

「さて、今晩もお兄ちゃんの布団に・・・」

そう思いお兄ちゃんのベッドに近づいた時だった。

「痛っ!」

結界魔術に遮られた。

「もう!また結界!」

今日も同衾は叶わなかった。

タラタッタタタ~(宿屋のメロディ)

「朝になるたびそれ言ってるなひなた・・・」

「だってお約束だもん。今日はどうする?」

「それなんだがもう金があんまりない(昨日酒を奢っちまったからな・・・)」

「なら冒険者ギルドだね」

幸いこの町にもギルドがあるため冒険者としての仕事ができる。

「というわけでやってきました冒険者ギルド!」

「そうだな」

「お兄ちゃん反応悪~い」

中に入ると早速いかつい男たちに絡まれた。

「なんだ?ここは子どものくるとこじゃないぞ?」

もうこの駆け引きは何度目だろう・・・。

「え~、そこのお兄さん方?悪いことは言わないからやめた方が身のためだよ?」

「あんだと?てゆうか嬢ちゃん可愛いじゃねぇか。俺達と遊ばねぇ?」

その次の瞬間、お兄ちゃんの殺気が辺りを包み込む。

「は~い、そこまで!ギルド内での私闘は厳禁だよ!それ以上は冒険者資格剥奪だからね?」

割って入ってきたの受付のお姉さんだった。

しかも耳が長い!?

そして声を掛けられるまで全く気配を感じなかった。この人、強い?

「リ、リディの姉御!?す、すいませんしたー!!」

男達は一目散に逃げて行った。

「すまなかったな。てゆうかあんたエルフか?」

「私?そうだよ。私はこのギルドのギルドマスター、リディアよ」

「ギルマス!?」

ギルドマスターといえば普通は最低でもAランクの実力だという。

「えっと、Cランク向けの依頼だったわね」

リディアさんはそう言いながら依頼書を選ぶ。

今あるC~Bの依頼はこんなところね。

『古代遺跡の調査』『オークの討伐』『アルカパへの商隊の護衛』

だった。

「お兄ちゃん、どれにする?」

「とりあえず護衛依頼は論外だな」

「戻っちゃうもんね」

そして私達は依頼を達成するため国境の森へとやってきた。

「というわけでやってきましたオーク討伐!」

オークは肉が売れるらしいので荷車を引いてきた。

こういう時にファンタジーでよくある『アイテムボックス』とか使えたら便利なのに。

そういえば先程久しぶりにステータスを確認したらなんかすごいことになっていた。

名前 ユウタ・タカナシ

レベル130

称号 ヒナタの兄 剣聖 異世界召喚に巻き込まれし者 魔術師 デーモンキラー ラビットキラー

体力 36580

魔力 測定不能

スキル なし


名前 ヒナタ・タカナシ

レベル26

称号 ユウタの妹 異世界召喚に巻き込まれし者 魔術師 ゴブリンキラー ラビットキラー

体力 2260

魔力  測定不能

スキル なし

いや、測定不能って・・・。たしかに最近魔力の増加が著しいけど。

お兄ちゃんなんか寝ながら結界魔術を展開できるようになってるし。

通常、結界魔術は展開するだけでかなりの魔力を消費する。

でも、スキルってどうやれば手にはいるんだろ?

お兄ちゃんのレベルが高いのはあのアークデーモンを倒したからかな?

「ひなた!オークか分からないが魔物が近づいてる」

「オッケーお兄ちゃん」 

すると体長2mほどの、猪を擬人化したような魔物が現れた。

いつものように水の魔術で溺死させる。

するとお兄ちゃんが首を切断し木に吊るす。血抜きをするためだ。

今回の依頼はオークの肉がメインのため、より状態が良くないと駄目なのだ。

そして二人でナイフを使い慎重に解体していく。

その後も、もう一匹オークを討伐して依頼を終えた。荷車に載せたオーク肉は魔術で作り出した氷で冷やしている。

荷車を引いて歩いていると、一台の馬車とすれ違った。

「今の馬車・・・」

「ああ。鉄格子で囲われていたな」

護送でもしているのだろうか?馬車は帝国に向けて消えていった。

ギルドに戻り、オークの肉と毛皮、魔石を換金する。

「リディア、どうかしたのか?」

カウンターではリディアが何やら思いつめた表情をしていた。

「え?あ、うん。さっき実家から手紙が届いたんだけど、私の妹が行方不明になったっていう内容で・・・」

「それは心配だね」

「そうなんだよ。妹はまだ子どもだから心配で・・・」

無事に見つかるといいけど・・・。

そして宿屋に泊まる。

「リディアのあの表情、かなり不安そうだったね」

「そうだな。リディアにはチンピラを追い払ってもらった借りがあるからな」

「さすがに会ったこともない妹ちゃんは探索の魔術じゃ探せないね・・・」

タラタッタタタ~(宿屋のメロディ)

「・・・・・・」

「もうお兄ちゃんが何も言ってくれなくなった・・・ぐすん」

「それより早く支度して行くぞ」

「は~い」

そして私達は乗り合い馬車でエルフの国に向かった。

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