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ダンジョンに来たけど大丈夫だよね?
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◇◇◇
「というわけで今日はダンジョンにやってきましたー!」
「何が『というわけで』かわからないが」
冒険者ギルドでダンジョン探索の依頼を受けて私達は東のダンジョンへやってきていた。
なんでも、出るはずのない階層の魔物が浅い階層で出ているから調査してほしいとのこと。
ただの調査なので特に討伐する必要はない。
「ダンジョンってわくわくするね、お兄ちゃん」
「そうか?ただの洞窟にしか見えないが」
「暗くて怖いからこうしてていーい?」
お兄ちゃんの腕にしがみつく。
「そんなふうには見えないけどな」
「そう言いながらも左腕に当たるひなたの柔らかな膨らみに顔を赤らめる勇太なのであった」
「勝手におかしなナレーションしてんじゃねぇ!」
ポカッ。
お兄ちゃんが頭を叩く。
「あの~、さすがに緊張感がなさすぎじゃ?」
「ですねぇ。漫才をしに来たわけじゃないですし」
そうつっこむのはクリスとミリアだった。
今回はその二人との合同依頼だ。
それは2時間前のこと。
私達は冒険者ギルドで適当な依頼を探していた時だった。
「あっ!ユウタにヒナタじゃない」
クリスが声をかけてきたのだ。
「無事に冒険者になれたみたいね」
「ああ、俺達も立派なDランク冒険者だ」
「これは私達も追い越されないように頑張らないとですね」
クリスとミリアはCランク冒険者だ。
「ちょうど良かったわ。ねぇ、一緒に依頼を受けない?Bランクの調査依頼なんだけど、Cランクの私達とパーティを組めば受けられるんだけど」
ギルドでは一つ上のランクまで依頼を受けることができる。
「それは願ったり叶ったりだな。そろそろ雑用依頼にもうんざりしてたところだ」
「そうだねお兄ちゃん。もうペット探しとかドブさらいは嫌だし」
「よし、決まりね!じゃあ依頼書だしてくるわ」
そういう訳で今回は4人でダンジョンへとやってきたのだ。
「20m先に蛇みたいな影が見えるよ」
私は探索の魔術を展開している。
「やはりヒナタさんの魔法は便利ですね」
「だね~。周囲の魔物が全部分かっちゃうなんて」
そして出てきた大蛇『アシッドスネーク』をお兄ちゃんが真空波で倒す。
すかさずクリスが魔石を回収する。
今回、敵は私達が倒して、魔石回収をクリス達にお願いして山分けするということにしている。
だってグロテスクなのは嫌だもんね。
さらに深層に進むと今度は石化光線を放つカメレオンに遭遇した。
事前に情報を得ていた為対処は簡単だった。
『反射鏡』という光を反射する魔術でカメレオン自身を石化させた。
石化するのは体表面だけのようで砕くと普通の死体が出てきた。
死因は石化による窒息死といったところだろう。
「ねぇ、そろそろ戻らない?」
20階層あたりでクリスが言った。
「そうですね。調査なのでもう十分でしょう」
だが断る。せっかく調子出てきたところなのに。
「もうちょっとだけ先に進みたいな」
「たしかに。ここまで来たらもう少しだけ」
「う~ん・・・まあ、あなた達となら大丈夫か」
というわけでさらに進むことにした。
そしてやがて広い空間へと出てきた。
洞窟とは思えない広さだった。ドームくらいはあるかな。
中央には謎の黒い玉が。
「なっ!?」
「うそっ!?」
私とお兄ちゃんは同時に叫んだ。
「魔力を吸い取ってるだと!?」
「私も感じた。急にごっそり持って行かれた。今は結界貼ったから大丈夫だけど・・・」
後ろを見ると魔力を吸われた影響か、クリスとミリアは気を失っていた。
「これはすぐに逃げたほうがいいかもな」
「だね・・・てゆうか・・・見てお兄ちゃん!」
なんと黒い玉は宙に浮かぶと突然弾け飛んだ。
するとその場に空間の歪みが生じた。
「何か・・・くる!」
そして現れたのは2mほどの人型の魔物?だった。
「フハハハ!ようやく復活できたぞ!ん?貴様ら人間か?」
凄まじい魔力を放っている。
「まさか悪魔か!!」
お兄ちゃんが叫ぶ。
「いかにも。我は誇り高きアークデーモン。ちょうど良かった。復活の贄として貴様らは我が美味しく喰ろうてやろう」
元の世界でも悪魔は存在していた。
「まずはしっかりと火を通さないとな。火よ来たれ・・・」
悪魔が詠唱を始める。
えっ!?悪魔も詠唱しなきゃ魔法を使えないの?
そして悪魔が詠唱を終えそうな頃には大きな火球が出現していた。
するとお兄ちゃんはそれに向けて手を伸ばす。
そしてパリンという音とともに火球が消えた。
「何!?なぜ我の魔法が!」
「そんな簡単な術式、すぐに打ち消せる。だいたいこんな閉鎖空間で炎なんか使うなよ。ここじゃクリミリを巻き込んじまうな・・・。ヒナタ、時間を稼いでくれ」
クリミリ=クリスとミリア。
「わかった、お兄ちゃん!」
「I am with my sword・・・my sword is to defeat the enemy・・・」
お兄ちゃんが地面に右手をつきながら詠唱を始める。
すると悪魔がお兄ちゃんめがけてまた火球を放つ。
魔術を打ち消す魔術は私にはまだ使えない。
そのため防御結界を貼る。
『アイギス!』
空気を圧縮した絶対防御の壁だ。
「this is the sword world!」
お兄ちゃんが最後にそう叫ぶと私とお兄ちゃん、そして悪魔だけが別の空間に移動した。
いや、空間が入れ替わったというべきかな。
そこは灰色の空間で地面には無数の剣が突き刺さっている。
「な、なんだ!?ここは!?ま、魔法が使えないだと!」
「ようこそ俺の世界へ誇り高きアークデーモン様。ここは固有結界。すべてが俺の自由になる世界だ。こうやってな」
アークデーモンの背後から突然剣が飛び出し肩に突き刺さる。
「ぐあ~っ!」
「おっと、急所を外したか」
するとアークデーモンは苦しみながら剣を引き抜いた。
そして勝てないと悟ったアークデーモンは突然お兄ちゃんに命乞いを始めた。
「た、たのむ!見逃してくれ!ほんの出来心だったんだ!もう二度と人間に危害は加えないと約束する!」
しかしお兄ちゃんが怪異を許すはずもない。
お兄ちゃんはゆっくりと手を上に伸ばす。
「そうやって命乞いしてきた人間を今までどれくらい殺したんだ?おっと、そろそろ魔力が尽きそうなんでな。地獄でじっくり反省するといい」
「ま、待て!待ってくれ!」
「サウザンドソード」
お兄ちゃんが上に突き出した右手をさっと下に下ろすとアークデーモンの頭上から無数の剣が落下してアークデーモンは見えなくなった。
「あ、完全に魔力は消えたよお兄ちゃん」
「だな・・・。そろそろ俺も限界・・・」
すると元のダンジョンに戻った。
お兄ちゃんは魔力切れで気を失った。
「よく頑張ったね、お兄ちゃん。ちゅ」
私はお兄ちゃんの唇にキスをする。
いや、魔力をお兄ちゃんに注ぐためだよ?
そしてしばらくするとクリス達は目を覚ました。
「あれ?私達いったい・・・」
「いつのまに気絶したのでしょうか」
とりあえず、魔力を吸う玉のことは説明したがアークデーモンのことは誤魔化しておいた。
その時私達は気づいていなかった。
天井に張り付く目玉のような魔物に。
魔力切れになったお兄ちゃんは3日は目を覚まさないので私が背負って宿に戻った。
お兄ちゃんが固有結界で魔力切れになるのはこれで2度目だ。
前回も悪魔が相手だった。ただし今日みたいな人型じゃなく、エクソシストが相手にするような悪魔だ。
「それにしても何でダンジョンの中層なんかにあんなものが・・・。復活とか言ってたけど・・・」
とりあえずギルドには魔力を吸う不思議な玉があったので破壊しておいたと伝えた。
そして三日後・・・。
タラタッタタタ~(宿屋のメロディ)
「夜が明けるたびにそのメロディを口ずさむのか?」
目を覚ましたお兄ちゃんが開口一番にツッコミを入れる。
「いやぁ、宿屋のメロディといえばこれかなと・・・それよりお兄ちゃん良かった!目を覚ましたんだね」
「ああ、世話をかけたな。あの魔力の悪魔相手じゃ魔術は分が悪かったからな」
「あの黒い玉はなんだったんだろうね」
「まあ、何者かがダンジョンに持ち込んだと考えるのが自然だよな」
「だよね、あんないかにもな場所だもんね」
あんな広い空間のど真ん中に置いてあるなんて絶対仕組まれてるよね。
「そうそう、今回の依頼で私達のランクはCランクに昇格しました~!」
「ようやくかぁ。長かったな。そういえばそろそろこの国を出ようと思うんだけど」
「私も思った!もう我慢の限界だよ」
「よし、行くか!」
「うん、行こう!」
「「エルフの国!」」
そう、私達はお米を求めてエルフの国へ行くことを決めた。
◇◇◇
ここは魔人族が収める国、『魔帝国』である。
「魔王様、先日人族の国のダンジョンに仕掛けた封印の宝玉ですが・・・」
「おお、アークデーモンがついに復活したか!で、人族の被害はどれくらいだ?王都くらいは消し飛ばしたか?」
「いえ、それが・・・監視のダークアイによる情報だと、復活はしたのですがすぐに倒されたそうです」
「なんだと!?あれは人族ごときに倒せるような存在か?我々ですら封印という手段しかなかったというのに」
「それが不思議なんです。これをご覧ください」 目玉の魔物が映像を映し出す。
そこにはたしかに復活したアークデーモンと4人の人間が映っていた。
しかし突然、気絶している女二人を除いて他は消えてしまう。
「これは一体何が起きている?」
「さ、さあ?私にも何がなんだか・・・」
そしてしばらくすると人間の男女だけが突然現れて映像はそこで終わっていた。
「クソっ!王国に攻め入る絶好の機会だったというのに!」
「噂によると異世界から勇者が召喚されたとか」
「うぬぬ・・・人族めが・・・。もう少し機会を伺うしかないか」
◇◇◇
「というわけで今日はダンジョンにやってきましたー!」
「何が『というわけで』かわからないが」
冒険者ギルドでダンジョン探索の依頼を受けて私達は東のダンジョンへやってきていた。
なんでも、出るはずのない階層の魔物が浅い階層で出ているから調査してほしいとのこと。
ただの調査なので特に討伐する必要はない。
「ダンジョンってわくわくするね、お兄ちゃん」
「そうか?ただの洞窟にしか見えないが」
「暗くて怖いからこうしてていーい?」
お兄ちゃんの腕にしがみつく。
「そんなふうには見えないけどな」
「そう言いながらも左腕に当たるひなたの柔らかな膨らみに顔を赤らめる勇太なのであった」
「勝手におかしなナレーションしてんじゃねぇ!」
ポカッ。
お兄ちゃんが頭を叩く。
「あの~、さすがに緊張感がなさすぎじゃ?」
「ですねぇ。漫才をしに来たわけじゃないですし」
そうつっこむのはクリスとミリアだった。
今回はその二人との合同依頼だ。
それは2時間前のこと。
私達は冒険者ギルドで適当な依頼を探していた時だった。
「あっ!ユウタにヒナタじゃない」
クリスが声をかけてきたのだ。
「無事に冒険者になれたみたいね」
「ああ、俺達も立派なDランク冒険者だ」
「これは私達も追い越されないように頑張らないとですね」
クリスとミリアはCランク冒険者だ。
「ちょうど良かったわ。ねぇ、一緒に依頼を受けない?Bランクの調査依頼なんだけど、Cランクの私達とパーティを組めば受けられるんだけど」
ギルドでは一つ上のランクまで依頼を受けることができる。
「それは願ったり叶ったりだな。そろそろ雑用依頼にもうんざりしてたところだ」
「そうだねお兄ちゃん。もうペット探しとかドブさらいは嫌だし」
「よし、決まりね!じゃあ依頼書だしてくるわ」
そういう訳で今回は4人でダンジョンへとやってきたのだ。
「20m先に蛇みたいな影が見えるよ」
私は探索の魔術を展開している。
「やはりヒナタさんの魔法は便利ですね」
「だね~。周囲の魔物が全部分かっちゃうなんて」
そして出てきた大蛇『アシッドスネーク』をお兄ちゃんが真空波で倒す。
すかさずクリスが魔石を回収する。
今回、敵は私達が倒して、魔石回収をクリス達にお願いして山分けするということにしている。
だってグロテスクなのは嫌だもんね。
さらに深層に進むと今度は石化光線を放つカメレオンに遭遇した。
事前に情報を得ていた為対処は簡単だった。
『反射鏡』という光を反射する魔術でカメレオン自身を石化させた。
石化するのは体表面だけのようで砕くと普通の死体が出てきた。
死因は石化による窒息死といったところだろう。
「ねぇ、そろそろ戻らない?」
20階層あたりでクリスが言った。
「そうですね。調査なのでもう十分でしょう」
だが断る。せっかく調子出てきたところなのに。
「もうちょっとだけ先に進みたいな」
「たしかに。ここまで来たらもう少しだけ」
「う~ん・・・まあ、あなた達となら大丈夫か」
というわけでさらに進むことにした。
そしてやがて広い空間へと出てきた。
洞窟とは思えない広さだった。ドームくらいはあるかな。
中央には謎の黒い玉が。
「なっ!?」
「うそっ!?」
私とお兄ちゃんは同時に叫んだ。
「魔力を吸い取ってるだと!?」
「私も感じた。急にごっそり持って行かれた。今は結界貼ったから大丈夫だけど・・・」
後ろを見ると魔力を吸われた影響か、クリスとミリアは気を失っていた。
「これはすぐに逃げたほうがいいかもな」
「だね・・・てゆうか・・・見てお兄ちゃん!」
なんと黒い玉は宙に浮かぶと突然弾け飛んだ。
するとその場に空間の歪みが生じた。
「何か・・・くる!」
そして現れたのは2mほどの人型の魔物?だった。
「フハハハ!ようやく復活できたぞ!ん?貴様ら人間か?」
凄まじい魔力を放っている。
「まさか悪魔か!!」
お兄ちゃんが叫ぶ。
「いかにも。我は誇り高きアークデーモン。ちょうど良かった。復活の贄として貴様らは我が美味しく喰ろうてやろう」
元の世界でも悪魔は存在していた。
「まずはしっかりと火を通さないとな。火よ来たれ・・・」
悪魔が詠唱を始める。
えっ!?悪魔も詠唱しなきゃ魔法を使えないの?
そして悪魔が詠唱を終えそうな頃には大きな火球が出現していた。
するとお兄ちゃんはそれに向けて手を伸ばす。
そしてパリンという音とともに火球が消えた。
「何!?なぜ我の魔法が!」
「そんな簡単な術式、すぐに打ち消せる。だいたいこんな閉鎖空間で炎なんか使うなよ。ここじゃクリミリを巻き込んじまうな・・・。ヒナタ、時間を稼いでくれ」
クリミリ=クリスとミリア。
「わかった、お兄ちゃん!」
「I am with my sword・・・my sword is to defeat the enemy・・・」
お兄ちゃんが地面に右手をつきながら詠唱を始める。
すると悪魔がお兄ちゃんめがけてまた火球を放つ。
魔術を打ち消す魔術は私にはまだ使えない。
そのため防御結界を貼る。
『アイギス!』
空気を圧縮した絶対防御の壁だ。
「this is the sword world!」
お兄ちゃんが最後にそう叫ぶと私とお兄ちゃん、そして悪魔だけが別の空間に移動した。
いや、空間が入れ替わったというべきかな。
そこは灰色の空間で地面には無数の剣が突き刺さっている。
「な、なんだ!?ここは!?ま、魔法が使えないだと!」
「ようこそ俺の世界へ誇り高きアークデーモン様。ここは固有結界。すべてが俺の自由になる世界だ。こうやってな」
アークデーモンの背後から突然剣が飛び出し肩に突き刺さる。
「ぐあ~っ!」
「おっと、急所を外したか」
するとアークデーモンは苦しみながら剣を引き抜いた。
そして勝てないと悟ったアークデーモンは突然お兄ちゃんに命乞いを始めた。
「た、たのむ!見逃してくれ!ほんの出来心だったんだ!もう二度と人間に危害は加えないと約束する!」
しかしお兄ちゃんが怪異を許すはずもない。
お兄ちゃんはゆっくりと手を上に伸ばす。
「そうやって命乞いしてきた人間を今までどれくらい殺したんだ?おっと、そろそろ魔力が尽きそうなんでな。地獄でじっくり反省するといい」
「ま、待て!待ってくれ!」
「サウザンドソード」
お兄ちゃんが上に突き出した右手をさっと下に下ろすとアークデーモンの頭上から無数の剣が落下してアークデーモンは見えなくなった。
「あ、完全に魔力は消えたよお兄ちゃん」
「だな・・・。そろそろ俺も限界・・・」
すると元のダンジョンに戻った。
お兄ちゃんは魔力切れで気を失った。
「よく頑張ったね、お兄ちゃん。ちゅ」
私はお兄ちゃんの唇にキスをする。
いや、魔力をお兄ちゃんに注ぐためだよ?
そしてしばらくするとクリス達は目を覚ました。
「あれ?私達いったい・・・」
「いつのまに気絶したのでしょうか」
とりあえず、魔力を吸う玉のことは説明したがアークデーモンのことは誤魔化しておいた。
その時私達は気づいていなかった。
天井に張り付く目玉のような魔物に。
魔力切れになったお兄ちゃんは3日は目を覚まさないので私が背負って宿に戻った。
お兄ちゃんが固有結界で魔力切れになるのはこれで2度目だ。
前回も悪魔が相手だった。ただし今日みたいな人型じゃなく、エクソシストが相手にするような悪魔だ。
「それにしても何でダンジョンの中層なんかにあんなものが・・・。復活とか言ってたけど・・・」
とりあえずギルドには魔力を吸う不思議な玉があったので破壊しておいたと伝えた。
そして三日後・・・。
タラタッタタタ~(宿屋のメロディ)
「夜が明けるたびにそのメロディを口ずさむのか?」
目を覚ましたお兄ちゃんが開口一番にツッコミを入れる。
「いやぁ、宿屋のメロディといえばこれかなと・・・それよりお兄ちゃん良かった!目を覚ましたんだね」
「ああ、世話をかけたな。あの魔力の悪魔相手じゃ魔術は分が悪かったからな」
「あの黒い玉はなんだったんだろうね」
「まあ、何者かがダンジョンに持ち込んだと考えるのが自然だよな」
「だよね、あんないかにもな場所だもんね」
あんな広い空間のど真ん中に置いてあるなんて絶対仕組まれてるよね。
「そうそう、今回の依頼で私達のランクはCランクに昇格しました~!」
「ようやくかぁ。長かったな。そういえばそろそろこの国を出ようと思うんだけど」
「私も思った!もう我慢の限界だよ」
「よし、行くか!」
「うん、行こう!」
「「エルフの国!」」
そう、私達はお米を求めてエルフの国へ行くことを決めた。
◇◇◇
ここは魔人族が収める国、『魔帝国』である。
「魔王様、先日人族の国のダンジョンに仕掛けた封印の宝玉ですが・・・」
「おお、アークデーモンがついに復活したか!で、人族の被害はどれくらいだ?王都くらいは消し飛ばしたか?」
「いえ、それが・・・監視のダークアイによる情報だと、復活はしたのですがすぐに倒されたそうです」
「なんだと!?あれは人族ごときに倒せるような存在か?我々ですら封印という手段しかなかったというのに」
「それが不思議なんです。これをご覧ください」 目玉の魔物が映像を映し出す。
そこにはたしかに復活したアークデーモンと4人の人間が映っていた。
しかし突然、気絶している女二人を除いて他は消えてしまう。
「これは一体何が起きている?」
「さ、さあ?私にも何がなんだか・・・」
そしてしばらくすると人間の男女だけが突然現れて映像はそこで終わっていた。
「クソっ!王国に攻め入る絶好の機会だったというのに!」
「噂によると異世界から勇者が召喚されたとか」
「うぬぬ・・・人族めが・・・。もう少し機会を伺うしかないか」
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