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第九話幕間
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私には親友がいる。中学三年の頃からなのでまだ一年くらいなのだけど。
「さくらちゃん!おはようっ」
朝の登校途中、元気に私を呼ぶ長い髪が綺麗な可憐な少女。
私を『さくらちゃん』と呼ぶのはこの『小鳥遊ほのか』だけだ。
私の名前は『神宮寺さくら』。
私の実家である神宮寺家は神ノ宮流剣術の道場を営んでいる。
一人娘の私も父さんに次ぐ実力を持っている。
しかし、神ノ宮流奥義だけは未だに教えてもらっていない。
「父さん!なぜ私に奥義を伝授していただけないのですか!」
「・・・・・」
私の問いに父さんは目を瞑り黙り込んでいた。
「私はもうこの道場の誰よりも強くなりました!私はもっと先へ進みたいのです」
「わかった。ならば付いて来なさい」
父さんに連れられて道場裏にやってきました。
そして一振りの真剣を渡された。
「これであのパイプを斬ってみせろ。それができたならお前を認めよう」
「・・・そんな。刀であのような鉄のパイプを切るなど・・・」
「ならば諦めるのだな」
「わかりました」
私は覚悟を決めました。
(あの硬い鉄を切るには・・・)
刀を構えて腰を低く落とした。
「ふむ。抜刀術か」
そして一度目を閉じ深呼吸する。
「神ノ宮流、八の型『神月』!」
渾身の一撃を鉄パイプに入れた。
しかし鉄パイプは切れることなく刀の刃が欠けてしまった。
「やはりお前にはまだ早かったようだな。斬る的の呼吸を感じ取ることができなければならない。それを踏まえてこれから精進しろ」
斬る的の呼吸を感じる?
考えても分からなかった。
「はい・・・」
この日以降、いくら鍛錬を積んでも斬鉄はできなかった。
しばらく経ったある日のこと。
クラスメイト全員が異世界に召喚されるという事件が起こった。
そして、ステータスプレートというものが配られた。
血を垂らすとステータスが浮かび上がった。
名前 神宮寺さくら
職業 剣士
レベル1
体力158
魔力75
力120
素早さ195
スキル ハヤブサ斬り
と表示される。
剣士・・・私にぴったりな職業だ。
そして次の日から実践訓練が行われた。
いくつかの武器の中から、私は日本刀を見つけたのでそれを選択した。
東方の国から流れ着いたものらしい。
「神ノ宮流壱の型、水龍!」
しかし私の放った剣技はエドガーさんに防がれてしまった。
「ぐ・・・すごいな神宮寺は・・・。私でなければやられていただろう。これは私の教えることは何もないな」
「ありがとうございました」
私は実力をエドガーさんに認められたことが嬉しかった。
その油断があったせいで、私は大切な友人と、愛しい人を失ってしまった。
『小鳥遊太一』。私が密かに想いを寄せる人だ。
頼りなくて、目立たなくて逃げてばかりの人・・・。
出会いは最悪でした。
あれは中学三年の頃だ。
廊下で大きなゴミ箱を抱えて歩いていた男子生徒に、私が持っていたモップがひっかかり彼は転んでしまったのだ。
「もう!何やってんのよ!早く片付けてよね!」
私が悪かったのだが、おどおどしている彼にイラッとした私は彼にそう叫んだのだ。
「す、すみません!今片付けますからっーーあっ」
その時、私はスロープ状になっている廊下の上にいたのです。
「何よ!?」
「いえ、あの・・・スカートが」
「っ!?」
私は慌てて前を押さえた。
「見た?」
「み、見てないです!パンダなんて・・・」
「見てるじゃないの!!も~っ!」
「ご、ごめんなさい~っ」
そんな最悪な出会いでした。
それから、いつも彼は私に気づいて目が合えば先に笑ってくれました。
その無邪気さにどこか救われるような気がしました。
そのしばらく後のことです。
彼が親友の兄だと知ったのは。
私は絶対信じてる。
ほのかも小鳥遊くんも絶対生きてるって!
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「さくらちゃん!おはようっ」
朝の登校途中、元気に私を呼ぶ長い髪が綺麗な可憐な少女。
私を『さくらちゃん』と呼ぶのはこの『小鳥遊ほのか』だけだ。
私の名前は『神宮寺さくら』。
私の実家である神宮寺家は神ノ宮流剣術の道場を営んでいる。
一人娘の私も父さんに次ぐ実力を持っている。
しかし、神ノ宮流奥義だけは未だに教えてもらっていない。
「父さん!なぜ私に奥義を伝授していただけないのですか!」
「・・・・・」
私の問いに父さんは目を瞑り黙り込んでいた。
「私はもうこの道場の誰よりも強くなりました!私はもっと先へ進みたいのです」
「わかった。ならば付いて来なさい」
父さんに連れられて道場裏にやってきました。
そして一振りの真剣を渡された。
「これであのパイプを斬ってみせろ。それができたならお前を認めよう」
「・・・そんな。刀であのような鉄のパイプを切るなど・・・」
「ならば諦めるのだな」
「わかりました」
私は覚悟を決めました。
(あの硬い鉄を切るには・・・)
刀を構えて腰を低く落とした。
「ふむ。抜刀術か」
そして一度目を閉じ深呼吸する。
「神ノ宮流、八の型『神月』!」
渾身の一撃を鉄パイプに入れた。
しかし鉄パイプは切れることなく刀の刃が欠けてしまった。
「やはりお前にはまだ早かったようだな。斬る的の呼吸を感じ取ることができなければならない。それを踏まえてこれから精進しろ」
斬る的の呼吸を感じる?
考えても分からなかった。
「はい・・・」
この日以降、いくら鍛錬を積んでも斬鉄はできなかった。
しばらく経ったある日のこと。
クラスメイト全員が異世界に召喚されるという事件が起こった。
そして、ステータスプレートというものが配られた。
血を垂らすとステータスが浮かび上がった。
名前 神宮寺さくら
職業 剣士
レベル1
体力158
魔力75
力120
素早さ195
スキル ハヤブサ斬り
と表示される。
剣士・・・私にぴったりな職業だ。
そして次の日から実践訓練が行われた。
いくつかの武器の中から、私は日本刀を見つけたのでそれを選択した。
東方の国から流れ着いたものらしい。
「神ノ宮流壱の型、水龍!」
しかし私の放った剣技はエドガーさんに防がれてしまった。
「ぐ・・・すごいな神宮寺は・・・。私でなければやられていただろう。これは私の教えることは何もないな」
「ありがとうございました」
私は実力をエドガーさんに認められたことが嬉しかった。
その油断があったせいで、私は大切な友人と、愛しい人を失ってしまった。
『小鳥遊太一』。私が密かに想いを寄せる人だ。
頼りなくて、目立たなくて逃げてばかりの人・・・。
出会いは最悪でした。
あれは中学三年の頃だ。
廊下で大きなゴミ箱を抱えて歩いていた男子生徒に、私が持っていたモップがひっかかり彼は転んでしまったのだ。
「もう!何やってんのよ!早く片付けてよね!」
私が悪かったのだが、おどおどしている彼にイラッとした私は彼にそう叫んだのだ。
「す、すみません!今片付けますからっーーあっ」
その時、私はスロープ状になっている廊下の上にいたのです。
「何よ!?」
「いえ、あの・・・スカートが」
「っ!?」
私は慌てて前を押さえた。
「見た?」
「み、見てないです!パンダなんて・・・」
「見てるじゃないの!!も~っ!」
「ご、ごめんなさい~っ」
そんな最悪な出会いでした。
それから、いつも彼は私に気づいて目が合えば先に笑ってくれました。
その無邪気さにどこか救われるような気がしました。
そのしばらく後のことです。
彼が親友の兄だと知ったのは。
私は絶対信じてる。
ほのかも小鳥遊くんも絶対生きてるって!
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
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