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9.焔(ほのお)に包まれて

代理戦争

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 春の到来を目前にした3月。

 遅めの降雪は都心のコンクリートジャングルを白く染め上げ、未だ止む様子もなく宵闇よいやみを静寂の世界へと変貌させてゆく。

 日付が変わってもなお、マンションの一角の窓には灯りが点っていた。

 「……」

 しん、としたサークル事務所の中で、キーボードを叩く音だけが無機質に鳴り響く。

 「ふぅん……〝元カノさん〟ね……」

 ノートPCを睨む久美は、スクリーンに映った履歴書データを眺めながら口元で微笑む。

 そしてその備考欄に【重要人物】と赤文字で書き加えると、そのデータをメール添付して送信ボタンをクリックした。

 「はぁ……」

 久美はひと仕事終えたとばかりに事務椅子の背もたれに身体を預け、大きく伸びをしながら欠伸あくびをする。

 「まさかこんなところで繋がるなんて。アハッ、おもしろ……」

 言葉とは裏腹に、彼女は表情ひとつ変えず、ぼんやりと天井を眺める。

 その時、玄関の扉が開く。

 ガチャッ……

 「!?」

 時刻は深夜1時。

 他の従業員数名は既に帰宅し、管理人代行である恭子は今まさにハプニングバー「DEEP LOVERディープラヴァー」に出勤している真っ最中のはずだ。

 (誰?)

 予期せぬ訪問者に、久美の鼓動が早まる。

 「……あのー、どなたですか?」

 いぶかしげに暗がりを覗く久美だが、不安を悟られぬよう声色だけは平静を装う。

 トッ、トッ、トッ……

 徐々に迫る足音に、久美も表情が強張る。

 「……あっ」

 だが、そこに現れた者の姿を見た途端、思わず肩を落として安堵の溜め息を漏らす。

 入ってきたのは、夏樹。

 「はぁ~……ちょっと夏樹さぁん……ノックくらいしてくださいよぉ~!強盗かと思って超怖かったですよ!」

 「……」

 だが、夏樹は久美の言葉に反応しない。

 雪の掛かったコートを脱ごうともせず、目線だけで事務所内を見渡す。

 「……夏樹さん?どうしました?」

 久美は怪訝けげんに思い、言葉を投げかけるが、夏樹はそれにも応じない。

 不意に、夏樹と視線が交わる。

 「……ッ」

 その鋭さに、久美は二の句がでてこない。

 その時、夏樹が口を開く。

 「なるほどね、ARISAの言う通り……まだまだココも〝史織の匂い〟がプンプンするわ」



 「Fightッ!!」

 ゴォォォン……!!

 闘いを告げる銅鑼の音とともに、両者は同時に歩み出す。

 ステージ中央でかち合ったケイと紅花ホンファは、互いに鼻を付けるように睨み合い、胸を押し付け合い、どちらも一歩も譲る気配はない。

 頭身の高い、均整の取れたボディ。スラリと伸びた肢体。

 そして、コスチュームの上からもはっきりと分かる、互いの股間に秘めた〝最大の武器〟……。

 「ヤバ……綺麗すぎ……❤︎」

 見守る観客さえ、そのビジュアルからも2人が〝只者ではない〟事は明白だった。

 「ふッ、んんッ……!」

 「うンッ、ふぅンッ……!」

 2人の荒い息遣いだけがステージに響き、無言のせめぎ合いの中で先に動いたのは紅花だった。

 グイッ……!

 ケイの腰に両手を回し、自らの腰に引き寄せる。

 コスチュームの生地を隔て、2人の隆起したペニスが擦れ合う。

 「まずは小手調べ。こんなんでイクなよ?」

 「……アンタがね」

 ケイも受けて立つとばかりに紅花の肩を両手で掴み、密着した2人は腰を動かし始める。

 ズッ❤︎ズリュッ❤︎ズリュッ❤︎

 「ふゥッ❤︎んンッ❤︎」

 「んふーッ❤︎くッ……❤︎」

 前後左右の腰のグラインドを巧みに操り、互いの最もで相手を責める。

 性的興奮の高まりとともに、ペニスの硬度と感度はさらに高まり、2人の呼吸もますます荒くなってゆく。

 「ハァッ❤︎ハァッ❤︎……オラッ❤︎」

 「ふゥッ❤︎んッ❤︎……くゥ……❤︎」

 互いの勃起したペニスを打ち付けて優位を奪い合う様は、まるで剣士が鍔迫り合いをする様にも似ていた。



 「あぁくそッ❤︎じれったいッ❤︎」

 紅花が股間を覆う腹掛けの前垂れをたくし上げると、そり返るように力強く勃起したペニスが露わになった。

 ヌトォ……❤︎

 前垂れの裏地とペニスの先端に、透明な粘液がネットリと糸を引く。

 膨れた亀頭はテラテラと輝き、紅花が腰を振るたびに先端の鈴口からはその淫らな蜜が湧水のように溢れ出ていた。

 激しく責め立てる紅花に対し、ケイは腰を落としたままそれを受け止め動じない。

 (そろそろ反撃するか……)

 「んべェ……❤︎」

 ダラァ……ピトッ

 ケイは長い舌を出し、自らと紅花のペニスに唾を垂らす。

 「んぅッ!?❤︎」

 ヌルヌルとした生温かい感触に、紅花の身体がビクンと震える。

 「今度は私の番……ついてきなさい?よッ!」

 ケイが紅花の腰に両手を回し、激しく腰を振り始めた。

 ヌチュッ❤︎ヌチュッ❤︎ヌチュッ❤︎ヌチュッ❤︎

 「はァオッ!?❤︎あぐッ❤︎あぁウッ!!❤︎」

 紅花の剥き出しの裏筋と、ケイの剥き出しの裏筋が激しく擦れ合う。

 小刻みに突くケイの腰使いは、紅花のペニスの敏感な箇所を止め処なく責め立て、休む間すら与えない。

 「はゥッ❤︎くっそッ……やめッ……❤︎」

 紅花は堪らず両手でケイを突き放そうとするが、ケイはその両手を掴まえると肘の位置で腕を固定してしまう。

 「なッ!?あッ……❤︎あァ……❤︎」

 「ふッ、逃げられると思う?この私から……」

 「クソッ❤︎ふざッ……お"ッ……❤︎」

 両腕の自由を奪われ、直立不動の姿勢でケイの絶え間ない〝百烈突き〟をまともに喰らい続ける紅花。

 歯を食いしばり必死に性感に耐えるが、ケイは一切の手を休めない。

 コスコスコスコスコスコス❤︎❤︎❤︎

 「さっきの言葉、そっくりそのまま返すわ……〝こんなんでイクなよ〟ってね?」

 「あぐッ❤︎……該死的ちくしょう……!❤︎❤︎」

 ケイが一際ひときわ強く抱き締めると、紅花の上半身が力無く後ろに仰け反る。

 もはや反撃の余地がない紅花は、ただ果てる以外になかった。

 「クソッ!❤︎クソッ❤︎……くゥゥッ❤︎あッ❤︎あッ❤︎イッ❤︎イクッ❤︎射精るッ❤︎イクッ❤︎イッ……イクッ!!❤︎❤︎❤︎」

 ビュルッ❤︎ビュルッ❤︎ドクッ……❤︎❤︎



 「んッ……」

 紅花はそり返るペニスの先端から白濁の太い精液を何度も吐き出し、その放物線はケイの顔を目掛けて盛大に飛翔、ケイは思わず顔を背けた。

 「おッ❤︎おォォ……❤︎❤︎」

 絶頂の快感に脈打つペニスはなおも鈴口からダラダラと白濁液を吐き出し、その性的絶頂オルガズムの深さを物語る。

 「……ふん、無様ね」

 ドンッ

 「あうッ」

 ドサァ……
 
 ケイは抱き締めた紅花を突き離すと、紅花はその場に尻餅をついて倒れ込んだ。

 ケイの顔や腹、胸にはゼリーのようにコッテリとした精液がむせ返るような臭気を放ってこびり着いていたが、ケイはそれを気にする様子も見せず、倒れ込んだ紅花の眼前に立ちはだかった。

 「私との実力差、アンタが一番分かってるはずでしょ。それでもまだやる?やるなら容赦しないけど」

 「ぐッ……」

 冷たく見下ろすケイの視線に、先程までの紅花の威勢はすっかり鳴りを潜めてしまう。

 「紅花、アンタがEl Doradoに上がった理由……愛理だけじゃなさそうね」

 「ハァッ、ハァッ……フンッ、私らだけじゃない……が気に食わない連中がまだまだいるんだよ。あの独りよがりな〝女王様〟の事がね……!」

 「……なるほどね」

 紅花から発せられた言葉の意味を、ケイはすぐに理解した。

 同時に、表舞台から消えた〝史織〟の輪郭が、このサークルの根深い部分で未だ強烈な執念の炎となって黒く燃えていることを実感せざるを得なかった。



 「……悪いけど、アンタらの目論もくろみは叶わない。史織が何を考えていようと、あの女がARISAを出し抜いてこのサークルの実権を握るなんて……」

 「……ふッ……ははッ!」

 ケイの言葉に、紅花は可笑しくて堪らないといった風に肩を揺すりながら、手のひらで口元を抑えてゆっくりと立ち上がる。

 その不気味な笑いに、ケイはふと〝妙な胸騒ぎ〟を覚えた。

 「このサークルの実権?アンタまだそんな事考えてるんだ」

 「……なに?」

 ゆらゆらと揺れながら紅花が近づくと、ケイも重心を落として身構える。

 「史織はね、このサークルの事なんてもうどうでもいいんだよ……全部、全部〝ブッ壊して〟やれればねッ!!」

 ダッ!!

 「うッ!?」

 紅花は力強く踏み込み突進すると、ケイに正面から体当たりをかます。

 ケイはそれを両手でガードし、すぐさま紅花の身体に抱きついて動きを制しようとした。

 その瞬間──。

 ドチュッ!

 「ぐァァッ!?」

 悲鳴を上げながら、前のめりにひざまずくケイ。

 紅花は崩れ落ちたケイの背後に回り込み、羽交い締めにして仰向けに倒れ込むと、ケイの首に腕を回して締め上げた。

 「ぐゥッ!?あ……ぐッ……!」

 「ハハッ!アタシがココに来た理由、お望み通り教えてやろうか?愛理も、El Doradoも、このサークルも……全部まとめてんだよッ!」



 「ケイ!?」

 アナウンスブースから試合を見守っていた恭子は思わず身体を乗り出して叫んだ。

 (な、何が起こった!?)

 まさに一瞬の出来事。

 ケイが紅花の突進を受け止め組み付いた瞬間、ケイは悲痛な叫びを上げて膝から崩れ落ちた。

 先程まで圧倒的な強さを見せつけていたケイが、今度は紅花の腕の中で悶えている。

 「くッ……ふざッ……ぐふッ」

 首を腕、胴体を両脚に絡め取られたケイは、まるで蛇に巻き付かれたようにギリギリと呼吸器官を締め上げられる。

 「ふざけるな、って?誰も見ちゃいないんだよバーカ」

 「くァァァ……!!」

 耳元で囁きながら、紅花がブリッジする様に上体を弓形ゆみなりに反らせると、ケイの呼吸はますます浅くなる。

 (まずい……)

 ケイの視界が揺れ始め、食いしばった歯の間からは飲み下せないままの唾液が顎をつたって首筋へと滴り落ちる。

 「おいおい、まさかたりしないよね?」

 その時、紅花は腕の締め上げを緩めると同時に、右手をケイの局部へと伸ばした。

 「お前の、ちゃんと使いものになるか確かめてやるよ❤︎」



 (ぐッ……クソッ!脚に力が……入らない……!)

 あの時、股間を襲った衝撃。立つ事さえ困難にする、壮絶な痛み。

 紅花はケイに組み付かれた瞬間、観客席からは死角となる左手の甲でケイのを打ったのだ。

 ケイにはそれが故意である事は勿論分かったが、この状況下でそれに気付く者は誰もいない。

 紅花の巧妙な〝裏技〟に、ケイは圧倒的不利に追い込まれた。

 ギュムッ……!

 「はうッ!?」

 未だ痛みが残る股間に、紅花の手が伸びる。

 ハイレッグの隙間からまろび出た陰嚢を紅花の細く長い指で包み込まれると、ケイは反射的に身体を硬直させて〝耐え〟の姿勢に入る。

 「うぐッ!うぁ……!」

 「ハハッ、暴れたら痛いよ?ケイちゃん❤︎」

 敵意ある相手にを握られるという、恐怖とおぞましさ。

 百戦錬磨のケイも、そればかりは例外ではない。

 早くこの状態から脱しなければ、次こそ危うい──!!

 「くッ!やめッ……離せッ!!」

 ケイは叫ぶが、陰嚢という頼りない薄皮一枚に包まれた二つの睾丸を〝人質〟に取られた状態では反撃もままならない。

 「ほら、抵抗してみたら?フフッ、キンタマ千切れていいなら……ねッ!」

 キュッ!

 「お"ゥ“ッ!!?」

 紅花が右手をひねると同時に、ケイの短く太い悲鳴がフロアに鳴り響く。

 ケイはされるがまま、マットに四つん這いに伏せられた。



 ワァァァァァァ……

 「なんか、すごく盛り上がってるみたい」

 「だってケイの試合だもの。そりゃあ盛り上がるわよ」

 同じソファで横並びに座る愛理と綺羅は、ドア越しに聴こえてくるフロアの歓声に耳を傾けながらぼんやりと言葉を交える。

 つい先程まで激闘を演じた2人も、今や落ち着きを取り戻していた。

 「ケイって人、そんな凄いんだ?」

 「ええ……同じ女として、嫉妬しちゃうくらい。まさかEl Doradoに出場するなんて思わなかったけど……」

 言い終わると愛理はソファから重たそうに立ち上がり、おぼつかない足取りで控え室の出口へ向かう。

 「ケイの闘い、この目で見届けなきゃ。こんなの滅多に見られないからね!」

 愛理はまるで憧れのスポーツ選手でも観に行くかのように、声を弾ませてフロアへと歩いてゆく。

 だが、そこで見た俄かには信じがたい光景に、愛理は絶句する──。



 ステージを照らす眩ゆいライトの逆光に、2人の影が浮かんでいた。

 片方の女は四つん這いにマットに突っ伏し、もう一人はそんな女の股間をまさぐる。

 (ケイ、El Doradoに出るなら一言くらいあってもよかったのに)

 愛理は小さな背をつま先でうんと伸ばし、ステージに詰める観客の肩越しに顔を覗かせてみる。

 「えっ……」

 そこに飛び込んできたのは、あまりに予想外の光景だった。

 (ウソ……そんなッ!?)

 「ケイッ!?」

 「フーッ❤︎フーッ❤︎……おッ❤︎くゥン❤︎」

 四つん這いにひれ伏したケイが、対戦相手の女に一方的にペニスをしごかれていた。

 コスコスコスコスコスコスコスッ❤︎

 「ホラッ❤︎イけイけイけイけッ❤︎観客の見てる前でザー汁ビュービュー飛ばせッ❤︎」

 「はッ❤︎あぐッ……❤︎あッ❤︎あッ❤︎くォォォ……イッ……❤︎……ッ……❤︎❤︎❤︎」

 ブビュッ❤︎ビュルッ❤︎ビュッ❤︎ビュッ❤︎

 凄まじい勢いで吐き出された精液が、マットを瞬く間に白く染めてゆく。

 「ぐッ❤︎……くゥゥ……❤︎❤︎」

 バンッ!バンッ!

 快楽への抗いか、それとも不覚をとった事に対する後悔なのか、ケイは四つん這いのまま握った拳をマットに何度も叩きつける。

 「ケイ……どうして……?」

 愛理はまるで夢でも見ているかのような感覚に囚われながら、呆然と立ち尽くしたままステージを見つめていた。

10

 常に冷静沈着、かつ体力的にも精神的にも、もちろんテクニックも、愛理が「絶対に敵わない」と思い知らされたケイ。

 それゆえに愛理や恭子が絶対的な信頼と、畏敬の念さえ抱いていたケイが、今目の前で、肉体を蹂躙されながら、感情を露わにして身悶えている。

 「おい、まだ終わりじゃねぇよ?ケツ向けろ❤︎」

 パァンッ!

 「あぐッ!?」

 睾丸の痛みと射精の余韻に打ち震えるケイの尻を、紅花は平手で叩く。

 乾いた音がフロアに響くと、ケイは力無く膝を折ってその場に突っ伏してしまった。

 「ちょっとキンタマに手がだけで大袈裟なんだけど?ウザいから〝お仕置き〟ね❤︎」

 ズプッ!

 「何ッ……はォォッ!?❤︎」

 紅花が次に責めたのは、ケイの陰嚢の裏側。

 ケイの隠れた〝女性器〟に、左手の中指を根元まで挿し込んだ。

 「そこッ❤︎やめッ❤︎ひッ……❤︎」

 予想外の刺激に思わず声を裏返して叫ぶケイを、紅花はニヤニヤと眺めながら膣内を責め立てる。

 「ふたなりのアンタじゃ使う機会無さそうだけど、まさか処女ってワケないでしょ?たまにはも楽しまなきゃ❤︎」

 グチュッ❤︎クチュッ❤︎

 「あァぐッ!?❤︎膣内なかッ❤︎ほォォォ……❤︎❤︎」

 紅花が小慣れた手つきでケイの膣内を掻き立ててやると、ケイの呼吸がますます荒くなる。

 「アハハッ!ケイのオマンコ、ドロッドロで指がふやけそう❤︎飢えちゃってるねぇ……❤︎」

 ジュプッ❤︎ジュプッ❤︎グチュッ❤︎グチュッ❤︎

 「おッ❤︎おッ❤︎くゥゥッ❤︎」

 責められることに慣れていない〝女の秘所〟を荒々しい指使いで犯され、ケイは快感から逃げ惑うように腰をクネクネと動かす。

 ズルゥゥ……チュピッ❤︎

 「あンッ❤︎」

 焦らすように指をゆっくり抜き取ると、白濁した粘液が太い糸を引いて紅花の手にベッタリとまとわり付いていた。

 「ジュルッ❤︎ズルルッ❤︎んふふ……❤︎」

 紅花は粘液に汚れた手を、ステージライトの光に照らしてわざとらしく観客に見せつけると、音を立てて濡れた指をしゃぶってみせる。

 「さて……と❤︎」

 パァンッ❤︎パァンッ❤︎

 紅花は両手でケイの尻を叩き、ケイに対してを決めさせた。

 「ケイ、準備はいいか?今日はお前、アタシの〝オンナ〟だから……❤︎」

11

 「くッ!このッ……!!」

 「おッ……まだ諦めないんだ?ナマイキ❤︎」

 ケイは抵抗しようと四つん這いのまま後ろ脚で紅花を突き飛ばそうとするが、うまく力が入らず未遂に終わる。

 そればかりか、逆に挙げた右脚を捉えられ、大きく開脚させられてしまった。

 (しまっ……!)

 普段のケイならば絶対にしないはずのミス。

 痛みと焦りが、ケイの冷静な思考判断を失わせていた。

 まるで犬が小便をするような格好で捉えられたケイの、それでも凛として勃起する逞しいペニスも、今や衆目に晒される〝発情の証明〟でしかない。

 ズプッ……❤︎

 「くそッ……おッ……❤︎」

 パンパンに張った紅花の亀頭が、ケイの陰嚢の裏側にある〝女の象徴〟に呑まれてゆく。

 「くゥ……❤︎狭いッ❤︎ホントになんじゃない!?❤︎」

 紅花が腰を突き出しながら、ケイの秘所にゆっくりとペニスを挿入してゆく。

 ケイは歯を食いしばりながら、膣壁をえぐる生々しい感触にひたすら耐えるしかない。

 ズルッ……❤︎ズプププ……❤︎

 「ホラッ❤︎挿入ってくッ❤︎ケイのオマンコ、生チンポ挿入ってるよッ❤︎」

 「ふーッ❤︎ふーッ❤︎だからッ……どうしたッ……はゥッ❤︎」

 言葉で強がるが、紅花のペニスはついにケイの〝最深部〟を突いた。

 「はぁーッ❤︎全部挿入ったッ❤︎一番奥に射精してやる……可愛く鳴けよ?ケイ❤︎」

12

 めすを犯すために勃起して膣内に深々と挿入されたペニス。

 欲情を無視され、やり場なく勃起してカウパー液に濡れる無様なペニス。

 「ペニスを持つ女たち」のセックスは、より優位な女が雄となり、虐げられた女は雌となる。

 文字通り雌雄を決する闘いの中で、ケイは紅花に抱かれる「雌」にされたのだ。

 (不覚……!この女がどんな女なのか知りながら、心のどこかで「あり得ない」と考えていた……!まさかこのEl Doradoで、地下格闘アンダーグラウンドの戦い方をするなんて……!)

 グイッ!

 「あぐッ……!」

 紅花はケイの後ろ髪を手荒に引っ張り、ケイの上体を仰け反らせる。

 「オラッ、❤︎動くぞ❤︎せいぜい可愛く媚びろッ❤︎」

 ズチュッ❤︎ブチュッ❤︎ドチュッ❤︎

 性欲を満たすための〝前戯なきセックス〟は、紅花による愛のない自己満足のような荒々しい腰振りで始まった。

 「お"ッ❤︎う"ォッ❤︎お"ォォッ❤︎」

 「ふンッ❤︎ふンッ❤︎おォッ❤︎スッゴイ締まりッ❤︎アハッ❤︎ケイッ❤︎アンタでも客取れるよッ❤︎紹介してやろうかッ?❤︎」

 パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎

 肉と肉がぶつかり合う音に混じって、2人の喘ぎが熱い吐息に混じってフロアの空気に溶けてゆく。

 紅花に突かれるたびにケイのペニスも弧を描くようにブルンと重たげに揺れ、先端からはダラダラと淫蜜が垂れ落ちる。

 行き場のないペニスに観客の視線が刺さり、その恥辱と情けなさにケイは奥歯を噛み締めて耐えるしかない。

 「もっとアンアン鳴けよッ❤︎チンポに媚びろッ❤︎今のお前は〝アタシの女〟なんだからさァッ!!❤︎」

 そんな事はお構いなしとばかりにケイの膣内をペニスで掻き回す紅花。

 「んぐッ❤︎お"ッ❤︎ん"ッ❤︎ん"ンッ❤︎」

 カリ高の亀頭が膣壁をこそぐたびに、ケイは叫びそうになる声を必死に殺して飲み込んだ。

 (くそッ❤︎耐えろッ❤︎耐えるしかないッ❤︎)

 その時、観客席の後方から一際大きな声が響く。

 「ケイッ!!何やってるのよッ!!そんなヤツ相手にッ!!」

 鋭い叫びに、一瞬フロア全体が水を打ったように静まり返った。

 「……あっ、愛理……!」

13

 (愛理ッ!?)

 ケイの視界に飛び込んできたのは、先程までの試合と変わらない衣装コスチュームの愛理だった。

 「情けないッ!!私に対してあれだけ偉そうなこと言ってたクセに!!そんなヤツ相手に手も足も出ないワケッ!?」

 愛理の激しい叱咤がフロアに響いても、紅花は責める事をやめない。

 「アハハッ、愛理がわざわざアンタの雌犬っぷりを見に来てくれたね❤︎ホラッ、犬らしくチンポ振って悦べッ❤︎」

 パンパンパンパンパンパンパンパンッ❤︎❤︎❤︎

 「おほォォォォッ!!❤︎❤︎んォォォォォォォォッ!!❤︎❤︎」

 加速した紅花の腰は、先程までの倍以上のパワーとスピードでケイの膣内を責め立てる。

 明らかに〝仕留め〟に来ていた。

 「くッ❤︎あッ……愛理ッ……!」

 昂まる絶頂の予感に身震いしながら、ケイは口を開いて叫んだ。

 「愛理ッ!❤︎見るなッ!!❤︎見ないで……ッ!!❤︎❤︎」

 ケイは愛理に向かって手を伸ばし、顔を塞いで懇願した。

 愛理は思わず目を瞑る。

 (そんな……)

 想像さえできなかった、哀れな姿。

 愛理は視界がグラグラと揺れ動くような、足元にぽっかりと大穴が空き真っ逆さまに落ちてゆくような、そんな衝撃を覚えた。

 「ハハハッ!愛理ちゃーん!❤︎」
 
 自らを呼ぶ声に、愛理はハッと我に帰って顔を上げる。

 それは今まさにケイを犯すその相手、紅花だった。

 「ちゃーんと見てなきゃダメじゃんッ❤︎お友達の超貴重な〝女の子セックス〟なんだからさッ❤︎愛理ィ……」

 そして紅花は愛理に向かって中指を突き立て、その指をクイクイと動かし「来い」と促がす。

 「次はお前だよッ❤︎愛理ちゃんッ❤︎」

 パンパンッ❤︎パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンッ❤︎❤︎❤︎

 「あ"ォォォォッ!?❤︎くォォッ❤︎おぐッ……イッ❤︎イグッ❤︎イグイグッ……!!❤︎❤︎」

 「ケイッ!!」

 「あ"ィ"ッ……❤︎イ グ ッ ❤︎❤︎❤︎」

 ドプッ❤︎ビュルッ❤︎ビュルルッ❤︎

 ケイのペニスから発射された精液は、観客席に向かって虚しく弧を描いた……。
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