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4.肉欲の海原へ

弱いオンナ

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 都心の高層ホテルの一室に恭子の姿はあった。

 その日はサークルの強力なパトロンである女性経営者の誕生日パーティーが催されており、サークル主催者であるARISA以下幹部も出席していた。

 パーティーが閉幕した後、恭子はその女性経営者の目に留まり、プライベートで彼女の泊まる部屋へと呼ばれたのだった。

 「お"ッ❤︎お"ォッ❤︎恭子ォッ❤︎激しいわッ❤︎スゴイ腰付きィィッ❤︎」

 「はっ❤︎はっ❤︎志津子しずこさんッ❤︎気持ちいいッ❤︎イキそうッ❤︎」

 「あぁンッ❤︎いいわッ❤︎イッて頂戴ッ❤︎恭子ッ❤︎可愛くおねだりしながらッ❤︎一番奥でイクのよッ❤︎」

 「はッ❤︎はィッ❤︎イッ❤︎イキます❤︎志津子さんのおマンコのッ❤︎一番奥にッ❤︎射精させてくださいィィ❤︎❤︎」

 「イッ❤︎イキなさいッ❤︎私もォォ……イク❤︎イクイクイクイク……❤︎❤︎」

 ドクッ!❤︎ビュッ❤︎ビュルッ❤︎

 恭子は彼女の命令通りに果て、朦朧もうろうとしながら彼女の胸に
抱かれた。

 「あはッ……❤︎す、スゴかったわぁ……❤︎」

 「はぁ……はぁ……❤︎あぁン❤︎志津子さん……名器すぎて……チンポ負けちゃいます……❤︎」

 身体の大きな恭子が、甘い猫撫で声で五十路間近の好色な熟年オンナに媚を売る。

 有力なサークルの後援者であるVIPにするのも、すべては仕事のうちだと恭子は心得ていた。 
 相手の思うように、相手の最も悦ぶやり方で、自らの性をアピールする狡猾なプレイ──。

 そんな計算100%の、まるで愛の無いセックスでさえ、恭子は凄然とはせずにひたすら〝歳上好みの女〟を演じ切ってみせた。

 「恭子ちゃんみたいな若い娘に求められちゃって大満足よ❤︎私も久しぶりにタフなセックスだったわ……❤︎」

 志津子は水を浴びたように汗を掻き、獣のように荒い呼吸が脂の乗った腹周りを大きく揺らしている。

 「志津子さんのカラダ、色気がハンパないから❤︎今日のこと思い出したら、何度でもシたくなっちゃう……❤︎」

 「ふふっ……もう、こんなオバサンを揶揄からかわないでよ❤︎」

 リップサービスだと分かっていても、歳下の若い女に肉体を褒めそやされる事は、容姿に対する自信を失い始めた中年女には嬉しいものだった。無論、恭子はすべて計算の上で会話をしている。

〝ナンパ師〟を生業とする恭子にとって、こんな会話は日常だった。



 ふと、机上で充電器に繋げていた恭子のスマホが鳴る。

 上客の手前、一度は無視を決めようとした恭子だったが、スマホは何秒経っても鳴り止まない。

 「あら、出なくていいの?お仕事なんじゃない?」

 「ああ……ごめんなさい、ちょっと電話してきます」

 思い掛けず志津子に促され、恭子は断りを入れてからベッドを降りてスマホを手に取る。

 画面には「愛理」の二文字が浮かんでいた。

 (愛理……?)

 意外な電話の主に恭子は目を見開くが、動揺を志津子には悟られぬようにしながら何食わぬ顔で洗面所へと向かう。

 「もしもし?」

 『もしもし?ごめんなさい、こんな時間に……』
 
 「愛理じゃん、どうしたの?」

 電話口の愛理の声は、いささか震えているように感じた。

 愛理がサークルに正式に入会して以来、恭子は愛理と連絡を取っていなかった。
 恭子は、今の愛理がどのような立場にいるかを知らない。ナンパ師とは、メンバーをスカウティングするまでが仕事であり、その後の処遇には関与していない。
 ただ、愛理の入会はサークル主催者であるARISAの肝煎りという事もあり、他のサークル会員とは異なる「特別待遇」であることは、何となく想像が付いていた。

 その愛理が、今にも消え入りそうな声で恭子に電話を掛けてきた。

 『恭子、今日の夜……会えない?』

 意外すぎる、愛理からの誘いだった。

 この一言で、恭子は愛理の心情を理解した。プライドが高く、自信家である愛理が、恭子を頼ってSOSを求めている。

 「えっ?今日?何かあったの?」

 恭子は単的に事情を聞いてみた。返答によって、今の愛理の精神状態を図ろうと試みる。

 『ううん、何も無いわ。ただ恭子に会いたくなっただけ』

 愛理は力なく笑いながらそう答えた。
 
 弱みを見せたくない愛理の、精一杯の返答と恭子は捉えた。

 「ふふっ、何それ。前に会った場所でいいの?」

 多くは聞かず、恭子は愛理の提案を許諾する。
 愛を捨てて利を得るナンパ師の心にも、愛理という女をこの世界に招き入れた多少の責任は感じていた。

 愛理との通話を終えると、志津子の待つベッドルームへと戻る。志津子はすっかり息も整い、ドレッサーの前に座って乱れた髪を梳かしていた。

 「恭子ちゃんも忙しいわね。スカウトなんて大変でしょ?サークルって、女の子達が資本だもんね❤︎」

 恭子の姿を鏡越しに見ながら、志津子がねぎらう。恭子はにっこりと笑って、志津子の背後から抱きついて頬を寄せる。

 「志津子さんって、ベッドの外でも優しいんですね……❤︎」

 なおもって可愛い女を演じ切る恭子の心は、もはや愛理のことで一杯だった。



 と同じ風景があった。異なるのは、昼過ぎから降り始めた雨模様の空だ。

 日の暮れた駅構内は帰宅ラッシュの人混みで溢れ、その波に紛れて恭子は改札を出る。

 ほぼ1ヶ月前、初めて愛理とコンタクトを取り、この場所で遭った。

 ネットで噂のウリ専美女との初接触。期待と緊張、ナンパ師としてのほんの少しの功名心と、純粋すぎるオンナの性欲──。

 スカウトの仕事を始めてかなり経つが、恭子が獲物の中で、愛理という女はまずもって〝最上級〟と胸を張れる、完全に別格の女だった。

 抜群の美貌と官能的な肉体に裏打ちされた、精神の気高さと尊大なまでの自意識。

 そんな女が新たな世界を求め、そして今、挫折を味わっているらしい。

 改札口正面の壁にもたれて、恭子はスマホの画面を睨む。約束の時間より20分も早い。

 (愛理……辞めるっていうのかな)

 事情こそ知らぬが、恭子には確信めいた不安があった。それほどに、昨夜の電話口で聴いた愛理の声は追い詰められていた。

 (何を話そうか)

 下唇を噛み、到着の報をひたすらに待つ時間。

 夜風が、恭子の身体を冷やしていた。



 待ち合わせの時間を5分程過ぎた頃、恭子の手のひらでスマホが振動する。

 『ごめん!今着いた!』

 その言葉どおりに改札内のホームでは、レールを軋ませるブレーキ音とともに10両編成の電車が停まった。ドアが開くと、堰を切ったように人々がホームへと溢れ出す。

 その中に、ベージュ色のフェミニンなロングコートの裾をなびかせながら、早足に改札へ向かう愛理の姿があった。

 愛理と恭子はすぐさま互いの姿を認めると、小さく手を振って微笑み合う。

 やがて愛理が側に立つと、2人は見つめ合ったまま、しばし無言で白い息を吐いていた。

 「……久しぶりだね、愛理」

 「ええ……ごめんなさい、急に」

 先に恭子が言葉を発すると、愛理は咄嗟に視線を伏せて詫びた。
 恭子は何も言わず、別段変わらぬ様子を取り繕う。

 「とりあえず、行こっか」

 恭子が繁華街方面へと歩み出すと、その一歩後ろを愛理も無言のまま歩み始めた。



 繁華街の終着、恭子が顔馴染みだというレズビアン・バー。

 普段ならば一番奥のカウンター席が恭子の所定らしいが、愛理との会話も考慮して2人掛けのテーブル席に座る。

 「愛理、元気してた?」

 「おかげさまでね、また会えて嬉しいわ」

 再会を祝してブランデーグラスを打ち鳴らす。愛理には笑顔もあり、昨晩の電話で感じた程の悲壮感は無さそうだった。

 同じサークルに所属していながらも、会員同士が一堂に会するようなシーンは極めてまれであり、まして恭子のような運営に携わる者が、業務以外でサークルの活動に参加することもあまり無い。

 つまり、今回愛理が連絡を入れなければ、今後サークルにおいて両者が出会う機会はまったく無かった可能性も否定できない。

 愛理はホワイトレディのグラスを傾け喉を潤す。アルコールの循環を感じながら、甘い吐息をひとつ漏らした。

 「あぁ……結構強いかも」

 濡れた瞳を細めて笑う愛理。それを見て、恭子も口元から笑みが溢れる。

 「愛理、お酒弱いんだっけ?」

 「うーん、普通だと思うけど……たまにしか飲まないから」

 愛理は頬をほんのりと桜色に染め、グラス越しに恭子を見つめる。

 「昨日愛理から電話があった時はビックリしたよ、何かあったの?」

 恭子はソファに座り直すと、含みを持たせる事もなく、今一度聞いてみた。

 「ん?別に、ただ会いたかっただけって言ったじゃない」

 無邪気な笑みのまま、二口目のグラスを唇にあてがう愛理。

 それが本心ではない事を、恭子はすでに見抜いていた。
 だが、無理に問い詰めようとすると尚更意固地になるのが愛理の性格であることも知っていた。

 「ん?愛理の方から会いたいだなんて、私のこと好きになっちゃった?」

 「あはは、自惚うぬぼれないでよ。そろそろ連絡でも入れないと、恭子ちゃんが悲しむかなーってね」

 「なにそれ、どっちが自惚れてるんだか」

 2人だけの空間を笑いが包む。
 だが、愛理は不意に真顔になり、恭子を見据えながら小さな声で問いかけた。

 「ねぇ、恭子がサークルに入った理由って何?」

 「えっ……」



 愛理の突然の意図せぬ質問に、恭子は瞬きを2、3回繰り返した。その後ソファの背もたれに大きく寄り掛かると、記憶を辿るようにぽつりぽつりと語り始めた。

 「5年前くらいかな。レズビアンのクラブイベントがあったんだけど、そこでARISAをナンパしたのがキッカケだね」

 「恭子がARISAをナンパしたの?」

 「うーん……まぁ、結果的にのは私の方なんだけどね。まだサークルができる以前で、その時のARISAは……AVとかに出てたみたいだし」

 「AV女優?」

 「現役ソープ嬢で、AVもたまにやってたみたい。そういう娘、割りと多いよ?」

 恭子曰く、ARISAはその当時に築いた人脈でレズビアンサークルを立ち上げ、恭子も創設メンバーとして立ち会ったらしい。
 
 「初めは会員も少なかったし、月イチでハプニングバーを貸し切っての乱交イベントがメインで……でも、この業界って狭いじゃん?だから噂がウワサを呼んで、どんどん会員が増えていったの」

 サークル規模が拡大するに従い、メンバー間のトラブルや会員自体のが起こり始めた。
 そこで、ARISAはサークルの紹介制を取り止め、恭子を〝専属スカウト〟に指名してサークルメンバーの厳選化を図った。

 「このサークルも短期間で何回か潰したり復活したりを繰り返してるから、初期メンバーって今の幹部数名くらい。こんなに色々な業種に手を付け始めたのはつい最近だよ」

 恭子は、どこか感慨深げに手元のカクテルグラスに視線を落とす。

 だが、愛理はもどかしそうに眉間に皺を寄せて、更に恭子に問う。

 「それで……恭子はどんな理由でこのサークルを続けてるのよ?ARISAに誘われたから、だけじゃないでしょ?」

 愛理は恭子の本心が知りたかった。
 このサークルで、スカウトとして、中枢メンバーとして恭子が居続ける理由が知りたかったのだ。

 前のめりに詰問する愛理の真剣な表情に、恭子は思わず吹き出してしまう。

 「ふっ……ははっ!愛理さぁ、やっぱ何かあったでしょ?」

 愛理は驚いたように目を見開いたが、すぐさま首を横に振り否定する。

 「な、何よ……こっちは真剣に聞いてるのよ?それに……」

 愛理が続ける前に、恭子が言葉で遮 さえぎった。

 「サークルにいるのはセックスが好きだから。ナンパした可愛い娘と、性欲のままにセックスをするのが止められないからだよ」

 「……なによ、それ」

 恭子のあっけらかんとした解答に、愛理はやや不満げに口を尖らせる。
 だが、そんな恭子の考えを否定するような言葉を、愛理は持ち合わせていなかった。

 今度は逆に、恭子が愛理に問い掛ける。囁くようだが、低く、耳に絡みつくような声。

 「愛理だって……好きなんでしょ?女同士のセックス」

 「それは……」

 バーの看板のネオンの灯りが窓に反射し、愛理の顔を赤く照らす。

 暫し流れる沈黙の間。
 愛理は、キュッと結んだ口元を緩ませると、恭子の目を真っ直ぐに見つめながら言葉を絞り出す。

 「恭子……何も聞かないでくれる?」

 「え?……まぁ……愛理が言いたくないならね」

 恭子はグラスをテーブルに置き、愛理の目を見つめ返す。

 「何も聞かずに……今日、私とセックスしてよ」

 愛理の肩が、小さく震えていた。



 バーを出て、繁華街から一本外れた路地裏を歩く愛理と恭子。

 握った愛理の小さな手は、汗でひどく濡れていた。

 恭子に対してセックスの誘いを打ち明けた時、愛理の胸ははち切れそうな程に鼓動が高まり、目眩がするような感覚すら味わった。

 愛理の人生において、「自ずからセックスを願い出る」などということはまるで初めての事。

 まるで、想い人と初夜を迎える生娘きむすめのよう──。

 〝顔から火が出る〟という形容通りに、愛理の顔は耳たぶまで紅潮している。

 「ここでいい?」

 足を止めた事に気付かず、愛理は恭子の背中にぶつかる。
 そこは、恭子と愛理が初めてプレイした、ウリ専時代に愛理自身が最も利用していたラブホテルだった。

 愛理は恭子の腕にすがりながら、顔を伏せつつ、小さくコクリと頷く。

 女2人が身を寄せながら、ホテルの中へと消えていった。



 煙草のヤニ臭さと冷たい空気に包まれた空間が〝あの日〟の記憶を呼び起こさせる。

 あの夜、愛理が出会ったによって、愛理自身でも気付かずにいた扉がこじ開けられた。

 いや、ともするとその扉は、誰かに壊される事を遥か以前から愛理は望んでいたのかもしれない──。

 「どうする?一緒にシャワー浴びる?」

 恭子が愛理に尋ねる。だが、愛理は首を横に振り、無言のまま服を脱いでゆく。
 ひと足先に全裸になった愛理は、恭子をじっと見据えたまま、恥部を隠すこともせずに立ち尽くす。

 「恭子……」

 「ん?」

 愛理がポツリと呟いた。名を呼ばれた恭子は、不思議そうに眉を上げて小さく微笑む。

 愛理は駆け出すように真っ直ぐ恭子に近づくと、下着姿の恭子の胸に思い切り飛び込んだ。

 「あ、愛理……?」

 「……」

 恭子は戸惑いながらも、愛理の濡れた睫毛を認めると、何も言わずに優しい抱擁で応える。

 プライドが高く、常に気丈に振る舞う愛理。
 弱みを見せる事を何よりも嫌う彼女が、他人の前で見せた初めての表情。

 愛理は今、迷いの中にたたずんでいる──。

 「んッ……❤︎」

 恭子は愛理を強く抱き寄せ、唇を重ねる。

 打算のない、恋人に与えるような甘いキスを、腕の中で切なく震える〝弱いオンナ〟に、精一杯の愛を込めて……。

 2人の息遣いと、唇を求め合う湿った音が空間を満たしてゆく。
 言葉以上に饒舌じょうぜつな、女と女、肉体の融合……。

 繋がったまま、2人はベッドに倒れ込む。

 「愛理ッ」

 恭子は愛理の肩を掴み、ベッドに押し付ける。
 ねじ伏せられた愛理は、ギラギラと輝く大きな瞳で力強く恭子を見つめ返していた。

 「……ふふ、ちゃんとスイッチ入ってんじゃん」

 「おかげさまでね、恭子のキスでちょっとだけ目が覚めたかも」

 愛理は恭子の首に腕を回し、キスをする。恭子もそれに応えて舌をねじ込む。

 (あっ……この味……この匂い……)

 愛理と恭子は、互いのたかまりを隠すことなく相手にぶつける。ただそれだけで、2人は肉体のみならず、精神までもが繋がれるような気さえしていた。

 愛理が恭子の背中に腕を伸ばし、ブラジャーのホックを巧みに外す。
 弾むように飛び出した恭子の乳房は、確かな重量をもって仰向けに待ち構えた愛理の顔にこぼれ落ちた。

 筋肉質でボーイッシュな外見とは裏腹に、しっとりとキメの細かい女性的な肌質。
 確かに柔らかな二つの膨らみから放たれる、目眩がするほど淫靡な芳香。

 愛理は堪らず、その先端へとしゃぶりつく。

 「うぅんッ❤︎あッ……❤︎」

 張り詰めた乳房への甘い刺激に思わず声をあげる恭子。
 そんな期待どおりの反応に気を良くし、愛理は指先でもう片方の乳首をもてあそぶ。

 「早くもビンッビンね❤︎」

 「んふ……❤︎あッ❤︎気持ちい……❤︎」

 指先で弾くたびに、恭子の大きな身体がビクンッと跳ねる。愛理は口内で硬度を増してゆく恭子の乳首を舌先で転がしながら、ゆっくりと体勢を逆転させた。

 促されるように仰向けにされた恭子は、服従する犬のように腹を見せて寝転がる。自ずと大股を開き、その中心には雄々しく隆起した〝恭子自身〟が天に向かってそびえる。

 「なんてさらにビンビン……❤︎可愛がってあげるわ……❤︎」

 愛理はその立派すぎるペニスを両手で握る。それでもなお、亀頭は愛理の手からはみ出て主張する。

 ドクドクと脈打つペニスの鼓動と熱は、愛理の手のひらを伝って愛理の鼓動とシンクロする。
 眼前に突きつけられた肉の槍は、怖いくらいに逞しく、凛々しく、そして美しかった。

 先端の鈴口から自然と湧き出る透明な露が、愛理の指を濡らす。愛理は濡れた指を口元へ運び、露を舐め取る。

 塩っぱく、淫らな味。

 愛理は鼻息をひとつ大きく吐くと、恭子に尻を向けて跨り、槍の先端を咥え込んだ。

 ジュルッ……

 「おゥッ!?❤︎」

 一際ひときわ大きな恭子の喘ぎ。無意識だったのか、恭子は咄嗟に手で口元を押さえて声を殺す。

 愛理の追撃は止まず、今度は舌でペニスの根本から先端へとゆっくり舐め上げる。
 何度も、何度も、まるで幼い子供がキャンディを夢中で舐めるように、隅々までペニスの味を堪能してゆく。

 ナメクジが這ったように、ギラギラと光る唾液の跡。
 恭子のペニスはあっという間に愛理のとなってしまった。

 「あッ❤︎あッ❤︎くぅ……❤︎愛理……ずいぶん……あッ❤︎……チンポしゃぶり……上手く……あふッ❤︎……なったね……❤︎」

 「ふふっ、そう?ありがと❤︎それも恭子のおかげかもね。ホント、恭子様々ね❤︎」

 ペニスを散々にねぶられて感じまくる恭子だが、そんな軽口を叩いて平静をアピールする。

 愛理もまた、恭子の苦し紛れの皮肉をさらりと受け流す余裕を見せる。

 (私たちって、やっぱり似てる)

 頬に掛かる黒髪を掻きあげ、愛理は大きく口を開けると、恭子のペニスを咥え込んだ。
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