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2.〝淫乱〟の称号

愛されるオンナ

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 「あ"ゥ❤︎あ"ン❤︎お"ぉ"❤︎ケツぅ❤︎ケツイクぅぅぅッ❤︎❤︎❤︎」

 西の空へ陽がとっぷりと暮れ始めた夕方4時。住宅地にある真新しいアパートの一室では、一人の女の淫らな喘ぎ声が響き渡っていた。
 その声に合わせるように、汁気を帯びた卑猥な音がリズミカルに鳴る。

 ブリュッ❤︎ヌッチャ❤︎グッポグッポ❤︎❤︎

 その女の声は徐々に大きくなり、やがて悲鳴にも似た叫びとなって、一瞬の静寂を迎えたのちに遂に鳴り止んだ。
 声の主は部屋の床に突っ伏したまま身体全体を荒い呼吸で大きく揺らし、無防備に晒した尻や太腿は小刻みな痙攣を繰り返していた。その姿はまるで潰されたヒキガエルのように無様だ。

 「お"ォ……❤︎アナルぅぅ……❤︎」

 全身を襲う性的絶頂オルガズムの甘い快感に酔い痴れ、快楽のために羞恥心すらかなぐり捨てた女の大きく広げた股間からは、女性の腕ほどもある太いディルドが、下品な黒光りを放ちながら覗いている。

 異様なことは、この凶暴なディルドの〝挿入部〟である。

 本来、女性が自慰行為に耽る際に用いる『生殖器』の側ではなく、排泄器官である『肛門』にその物体は深く突き刺さっていた。
 絶頂の脱力と共にの締め付けが緩み、ズルズルとその黒く太いディルドがり出されてゆく。それはさながらのようで、思わず眉を顰めたくなる程にグロテスクな光景だ。

 肛門に挿入された極太ディルドは思った以上に全長があり、丸々と肥えた蛇のように女の体内から這い出てくる。 

 「おッ❤︎おッ❤︎おぉ~~~❤︎❤︎❤︎」

 ブリュリュ……ブプゥ……ブピッ❤︎

 ボトッ……

 「あゥッ………ん❤︎」

 放屁の恥ずかしい音を立てて、ディルドが床へと勢いよく滑り落ちた。
 全て出し切り半ば意識朦朧とした女の肛門は酷く緩みきり、ポッカリと口を開けてヒクヒクと痙攣したまま粘膜が外気に晒されていた。
 女は未だ床にうつ伏せに倒れ、起き上がることができずにいる。
 倒錯的でハードな自慰行為で頭のてっぺんから足の爪先までグッショリと汗ばみ、「健康的な小麦色」などはとうに超越した、サロン焼けの真っ黒な肌をギラギラと光り輝かせている。
 ちょうど女が先ほど肛門からひり出した、腸液にコーティングされた黒いディルドがテラテラと黒光りする様にも似た姿だ。

 「はァン❤︎」

 小さく呻き声を上げると、女はやっとの事で上体を起こす。しかしまだ意識が混沌としているようで、四つん這いに伏せたまま、また突っ伏してしまった。

 外はすでに漆黒の夜を向かえていた。



 どれくらいの時間が経過しただろう。玄関の鍵が開く音がした。ドアが開かれ、聞き慣れた声がする。
 ブーツのファスナーを下ろす音、上着を脱ぐ布が擦れる音。次第に近付き、遂に女のいるリビングのドアが開かれた。

 「あッ…❤︎ハァ…あっ…おかえり愛理…」

 「……なんて格好してんのアンタ」

 ムワッとした不快な湿度と、部屋中に篭る強烈な臭気に愛理は思わず顔を顰めた。それと同時に、同居人のあられもない姿にただ唖然とした表情を浮かべた。

 「ハァ……❤︎だって愛理、帰ってくるの遅いし…ガマンできなかった……❤︎」

 「オナニーだったら風呂かトイレでやってって言ったわよね?床がビチョビチョ……最悪」

 口では言うものの、汗まみれで床に転がる同居人にタオルを投げて渡す愛理。同居人は無言で受け取り、タオルに顔をうずめる。

 「美雪みゆき、アンタ21時からキャバでしょ?そんなんで行けんの?早くシャワー浴びて支度しなさいよ」

 「いいもん、今日キャバ休むって電話入れたから。愛理と朝までシまくるから」

 「はぁ?仕事よりセックス取るんかい…このエロギャルめ」

 この『美雪みゆき』という女は、愛理の幼馴染で、以前は恋人同士の時もあった。
 小学校時代からの同級生である二人は中学二年の時に付き合い始め、高校卒業後に愛理の短大進学と共に一時別れたが、今では都内のマンションで同棲生活を送っている。

 美雪の現在の仕事はキャバクラ嬢であり、金髪に近い明るい茶色の盛り髪と、ギラギラと映える濃いめのアイライン、全身くまなく黒く焼けた肌、笑った時にチラリと光って見える舌ピアスから〝遊び好きな黒ギャル〟という雰囲気だが、その実、元恋人の愛理に対する想いは今でも一途であり、愛理のいない日は今日のように自慰行為で性欲を発散することは日常茶飯事であった。

 リビングで愛理が服を脱ぎ、下着姿になったのを見計らい、美雪は即座に立ち上がって後ろから愛理の背中に強く抱きついた。

 「ちょっと美雪……とりあえずシャワー浴びさせて。私も汗臭いから。美雪も浴びなさいよ」

 「いい、このまま愛理とシたい……」

 愛理は何事かを言おうとしたが、それは美雪の柔らかな唇に塞がれた。今までの欲望を全て爆発させたような情熱的な美雪のキスに、愛理も思わず身体の力を緩ませる。舌をしっかりと絡め合い〝恋人の淫らな味〟が互いの口いっぱいに広がる。
 美雪が唇をすぼめて愛理の舌を音を立てて愛撫する。まるで、舌にフェラチオをしているかのようないやらしい動きに、愛理も思わず喘ぎ声が漏れる。
 互いの口の中を行き来する、二人の唾液が混じり合った〝淫らなジュース〟は繋いだ唇から滴り落ち、二人の胸元を濡らして妖しく輝かせた。
 垂れ落ちた唾液の糸を美雪は舌で追いかける。愛理の豊満な胸の谷間に舌を挿し入れ、音を立てて吸い上げる。

 焦れた愛理が自らブラジャーのホックを外すと、質量を感じる乳房が露わになった。美雪は待ってましたとばかりに、愛理のすでに興奮で充血し、勃起した乳首に素早くむしゃぶりつく。ジュポジュポと音を立てて一心不乱に乳首に吸い付く美雪に、愛理は微笑みながら囁く。

 「ふふっ、なんか赤ちゃんみたい❤︎ねぇ、美雪のおっぱいもしゃぶらせて…❤︎」

 美雪は一瞬ドキッとした表情を浮かべ小さく頷くと、愛理の乳首を舐るのを止めて、恐る恐る愛理の口元に自らの二つの乳房を寄せて近付けた。
 愛理は悪戯いたずらな笑みを浮かべ、焦らすように乳輪の周りを舌先で舐め回す。吸い込まれそうな大きな瞳で美雪の目を見つめながら、それでも美雪の〝一番敏感な部分〟は責めないでいた。
 美雪はそんな愛理の意地悪な責めに苦悶の表情を浮かべ、瞼と口をぎゅっと閉じ〝その瞬間〟を待ち続けている。

 ふと、愛理が責める手を休めて目線を窓の方に向けた。美雪は理解ができずにキョトンとした表情を浮かべていたが、愛理の視線に誘導されるかのように同じく窓を見る。
 美雪が目線を逸らした瞬間、愛理は勢いよく美雪の乳首に齧り付くと、渾身の吸引力で乳頭を吸い上げた。
 油断した一瞬の隙を突かれて〝弱点〟を責め立てられる美雪。覚悟を決め損ねた無防備な乳房に、怒濤のような快感が駆け抜ける。

 「ふあァァッ?!❤︎愛理ずるいッ❤︎ずるいよッ❤︎乳首ずるいッ❤︎ダメダメダメダメッ❤︎そんな強くしちゃダメぇぇ❤︎❤︎❤︎」

 健気けなげに訴える美雪は愛理を乳首から引き離そうとするが、愛理は意に介さずに責め続ける。先ほどの美雪よりもより下品に、より卑猥に美雪の乳首にしゃぶりつき、吸い上げては唾液をたっぷり含ませた舌でねろねろと舐め上げてゆく。
 美雪は堪らずその場にへたり込んでしまい、胸を押さえてうつ伏せになった。

 「どうしたの美雪?乳首舐められただけで腰抜かすなんて。そんなんで5日ぶりの私とのセックス耐えられる?」

 息を切らせた美雪が許しを請うように、上目遣いで愛理を見つめる。

 「そんな可愛い顔してもダメよ?ほら、リビングでオナニーした罰。こっちに来なさい❤︎」

 愛理はへたり込む美雪の背後から脇の下に腕を入れると、半ば強引に立ち上がらせて羽交い締めのままベッドルームへと向かった。
 美雪はイヤイヤと首を振りながら、涙ながらに抵抗を試みたが、愛理の小柄な体型に似合わぬ腕力の強さを知っていた為、遂には観念しベッドルームに自ら入っていった。



 「ふふっ、お仕置きターイム❤︎」

 「キャッ……!」

 後ろからトンッ、と乱暴に押し倒され、美雪はベッドに倒れ込む。黒ギャル然としたイケイケな風貌に似合わず、愛理というの前ではどこまでも従順な乙女である。
 愛理は普段遣いのバッグの中から何やら袋を開封すると、Tバックショーツのような形をしたハーネス状の物体を取り出し、それに両脚を通してグイッと股に喰い込ませるようにキツく装着する。
 単なるショーツと異なるのは、前部にが着いており、ショーツの内側、つまり愛理の陰部側にもひとまわり小さな張り形の突起があることである。

 「んっ❤︎……さ、美雪。今日はこの極太ペニバンでとことん可愛がってあげる。気絶したってベッドから降りられないから、覚悟しなさいよねっ❤︎」

 「愛理にチンポ……❤︎なんか……すっごくヤラしい格好……❤︎」

 股間に〝ペニス〟を生やした愛理が、美雪の前に仁王立ちで立ちはだかる。艶やかな長い黒髪を後ろに掻き上げ、手を腰にやり誇らしげに微笑む。まるで「服従せよ」と言わんばかりの、サディスティックなオーラをムンムンと放っている。
 美雪も、そんな普段とは違う愛理のオーラに気押され、まるで犬が主人に服従するかのように仰向けになって股を広げた。先ほどの乳首への愛撫で性器はぐっしょりと濡れそぼっており、滴り落ちた愛液はシーツに染み跡を残している。
 愛理は身体を美雪の股の間に滑り込ませ、中腰になり四股を踏むように大股を開くと、そのまま前に倒れ込み仰向けの美雪の身体に覆い被さり、数秒ほど美雪と見つめ合う。

 「美雪、私のこと愛してる……?」

 「うん、愛理……愛してるよ……❤︎」

 「なら……最後までしっかりついてきてっ❤︎」

 「たっぷり愛して❤︎愛理のチンポで…狂っちゃうくらい愛してッ❤︎❤︎」

 愛理はペニバンの先端を美雪の柔らかい膣の入り口に当てがう。クチュ…という湿った音を鳴らし、美雪の膣は〝愛理のペニス〟を迎え入れる。
 ゆっくりと押し込み、亀頭まで挿入されると美雪の呼吸は一層荒くなった。

 「美雪のマンコ、プリップリ❤︎愛されたくて媚びてるわね?じゃあ次…奥まで挿れるわよ…いい?」

 「ハァッ…くる…愛理のデカチンポ…マンコにくる……❤︎」

 美雪が言い終わるのが先か、愛理は腰を一気に沈め、ペニバンで美雪の狭い膣内を押し拡げながら、最深部まで挿入した。

 「ああッ❤︎キタぁ❤︎愛理チンポ奥までキタぁぁッ❤︎ッッッん"ァ"ァ"?!?!❤︎❤︎❤︎」

 愛理のペニバンの先端が美雪の子宮口まで届いた瞬間、美雪は身体を仰け反らせて大きな絶叫を上げる。腰がガクガクと浮き上がり、両脚はつま先までピンッと伸ばされたまま硬直する。

 「美雪、まさか挿れただけでイッちゃったの?弱っちいなぁ❤︎ホラ、しっかりしなさい。動くわよッ❤︎」

 目を白黒させて絶頂感に呑まれる美雪を嘲笑する愛理。中学時代から、美雪をここまで過剰な程の敏感な肉体に調教したのは他でもない愛理自身である。

 「さっきも乳首舐められただけでイキそうだったんでしょ?私から逃げても無駄なのは分かってるハズよね?秒殺で仕留めてあげる、淫乱ギャルの美雪ちゃん❤︎」

 「愛理ィ❤︎待って❤︎今動いちゃダメッ❤︎今イッてるからッ❤︎ダメなのッ❤︎マンコヤバイッって❤︎ヤバッ…んぉぉ❤︎❤︎……アゥッ❤︎❤︎❤︎」

 美雪の必死の懇願も虚しく、愛理は無慈悲に腰を動かし始めた。
 ゆっくりと極太の張り形を抜き差しする度に、美雪は短い叫びを上げて身を震わせる。
 愛理はその反応を楽しむように、美雪の身体に覆い被さり、美雪の色欲に紅潮したとろけ顔を間近で凝視しながら腰を振る。

 「あっ❤︎あっ❤︎あっ❤︎愛ッ❤︎理ッ❤︎はッ❤︎はッ❤︎激ッ❤︎激しッ❤︎❤︎❤︎」

 「はッ❤︎はッ❤︎ねぇッ❤︎美雪ッ❤︎トビそう?❤︎マンコイッちゃいそう?❤︎ダメよ簡単にイッちゃ❤︎」

 愛理のピストンは次第に加速し、男顔負けの激しい腰使いで美雪の膣を荒々しく責め立てる。
 腰の動きは中断せず、さらに美雪にディープキスをしたり、器用に乳首や腋を舐めて確実に性感の〝ダメージ〟を与えてゆく。
 美雪は既に息も絶え絶えになりながら、ただ愛理の猛攻に意識を保つだけで精一杯である。愛理と繋いだ両手を強く握り締め、絶え間ない全身への強い快感に何度も気を失いそうになりながら、歯を食いしばって愛理の手加減なしの〝全力の愛〟を受け止めている。
 しかし、やがて美雪の肉体に最大級の波が襲い掛かってきた。

 「ヤッ……バィ…❤︎あぁッ❤︎イク…❤︎愛理イクッ❤︎愛理ッ❤︎愛理ッ❤︎……あぁぁぁヤバイッ❤︎ダメダメイクイクイクイクぅッッッ❤︎」

 「いいよ美雪ッ❤︎美雪イッて❤︎いいよッ❤︎私のチンポでマンコ本気イキしてッ❤︎❤︎❤︎」

 フィニッシュへと昇り詰める瞬間、ここぞとばかりに愛理の腰使いは速くなり、〝最上級の性的絶頂オルガズム〟を美雪の肉体の最深部へ叩き込もうと全身全霊を絞り出す。
 美雪は愛理にすがるように強く抱きつき、〝その瞬間〟に備えている。
 美雪がキスを求め、愛理がそれに応える。口腔と性器、二ヶ所で繋がる肉体が互いに昇り詰め、女同士の愛が最高潮を迎えた時、美雪が待ち望んだ最高の瞬間が訪れた。

 「愛理ィィッッ❤︎あ''ッッ❤︎イグッッッ❤︎❤︎❤︎」

 抱きついた美雪の全身が一瞬にして硬直すると、上からのし掛かる愛理の身体を痛いくらいに締め上げた。激しい痙攣が数秒続き、その後急激に脱力した美雪は、そのまま白目を吹いて意識を失った。

 「ハァ…❤︎やっぱり美雪じゃ耐えられないか…ケツでイッたりマンコでイッたり、忙しいね……❤︎」

 気絶した美雪の健闘を労うように頬を優しく撫でながら、愛理はどこか不満げな表情を浮かべて笑った。



 美雪の意識が戻ったのは23時。外は人気ひとけもなく、時たまタクシーや原付バイクと思しきエンジン音だけが聴こえる。
 5日ぶりに〝愛の巣〟に戻った同居人の愛理はペニバンを腰に携え、気の狂うようなハードなセックスで一方的になぶられ、凄まじいほどの快感の嵐の中で気を失ったことだけは確かに覚えている。
 実際に美雪の身体に付着する他人の体液の匂いは、誰よりも嗅ぎ慣れた〝恋人の匂い〟だった。

 しかし意識を取り戻した時には、既に愛理の姿はなかった。ベッドに「また5日後戻ります」という書き置きだけを残して…。

 「愛理、ペニバンセックスするためだけに戻ってきたの?エロギャルはそっちじゃん……バカ」

 行き先も告げず、またも都会の闇に消えていった恋人の残り香に、美雪は精一杯の憎まれ口を叩いた。



 深夜1時のインターネットカフェに愛理はいた。
 平日のこの時間にも関わらず店内には多くの利用客が居り、思い思いの時を過ごしている。
 愛理は個室のインターネット環境が整備されたスペースで、ヘッドホンを装着して動画を観ていた。

 モニターには、猥褻な成人動画アダルトビデオが映し出されている。

 一人の女優の周りを複数の男優が取り囲み、女優は挑発するような眼差しで男優のペニスを代わる代わる咥えて口淫奉仕する。
 深く咥えて、喉奥で強烈にしごき、嗚咽で溢れた粘着質な唾液をペニスに塗りたくっては素早く手でしごく。空いた口で、さらに別のペニスを咥えて同様にまたしごく。

 一度に2本のペニスを相手取り、華麗さとパワフルさを兼ね揃えた女優のフェラチオ・テクニックは、次々と男優の逞しいペニスを射精へと導いてゆく。

 「ふぅん……なんか……すご……」

 経験したことも無いハードな非現実世界のセックスを、愛理は食い入るように見つめながら思わず感嘆の声を漏らした。
 
 恭子とセックスしたあの日以来、愛理もまた恭子の身体カラダが忘れられずにいた。

 初めて本物のペニスを咥えたあの日──。

 太く、硬く、逞しい恭子の〝肉の槍〟を口いっぱいに頬張った瞬間の、あの感触、味、匂い……。
 秘所をひと思いに貫かれ、激しく女の弱点を責め立てられ、恭子のペニスが自らの膣内なかで果てる瞬間のあの底知れぬ恐怖と圧倒的な快感……。
 あらゆる女とあらゆるプレイをしてきた愛理が、恭子のペニスを思い出すたびに、脳がふやけてしまうような錯覚の中に堕ちてゆく。

 屈強なペニスを眼前にしてなおも微笑みながら、さも愛おしそうにねっとりと口に咥えて離さない女優に、いつしか愛理は自らを重ね、無意識に生唾を飲み、舌舐めずりを繰り返していた。
 
 (ダメ……また欲しくなってる……!)

 自らの思考を支配しようとする〝ペニスの誘惑〟を、単なる気の迷いであると己に言い聞かせる愛理。
 だが、いくら邪念に囚われまいと必死に心でもがいてみても、〝ペニスの味〟を覚えているのは愛理の頭脳だけではない。

 愛理のが、〝ペニスに犯される快楽〟を覚えてしまっているのだ。
 
 「……フッ、フゥッ、フゥーッ❤︎」

 疼いて堪らない女肉の蕾に指を伸ばすと、下着に糸を引く程に恥ずかしい蜜で濡れていた。
 隣接するスペースからの他人の気配を気にしながらも、一度点火した〝劣情のともしび〟は急速的に燃え広がり、愛理という美しい肉体の堂内でメラメラと燃え盛って〝本性〟を照らし出す。

 「うっ…❤︎ふぅッ❤︎ん"んッ……❤︎」

 モニターに映る女優は妖艶な笑みを浮かべ、乳房へ発射された複数の男たちの精液を指で掬い取っては綺麗に舐め取ってゆく。

 (チンポなんて……所詮は精液ザーメン飛ばすだけのデカいクリトリスよ……恭子だって……!)

 弱い自分を必死に内側へ押し込ませ、自分自身をあざむこうとする愛理だが、抗う精神に反して秘所の疼きを慰める指の動きは早くなるばかりだ。

 (どうしてっ…どうしてよっ……!?)

 精神と肉体の両離反のため、愛理自身でさえ本心が分からない。

 (支配したい?)

 (当たり前よ)

 (支配されたい?)

 (冗談じゃないわッ)

 快感がたかぶるに連れ、〝一人の女〟が脳裏に浮かぶ。愛理は否定すれど、それはもはや必然であった。

 「イッ❤︎……んン"ッ❤︎……う"ッ❤︎」

 愛理は唇を硬く結び、息を殺して絶頂へ達した。その女の名前を、心の中で叫びながら……。

 (恭子ッ……❤︎)

 甘く切ない絶頂の先に見えたものは、〝あのひとに抱かれたい〟という純粋な願いだった。
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