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第3章 獣人族の町〈ヒュユク〉

第30話:病気対策の旅【後編】

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俺達は早速、ちょうどいい石を探しをしていた。

魔石とは、石や鉱石に魔法が付与されてある物である。

その石に俺の無属性魔法、消滅空間を付与する。そしてそれを各家々に配り設置させ、一日に3回魔石を使うように声を駆け回る。

その後、俺達への歓迎を含めた感謝祭が始まった。

多くの獣人族に囲まれながらも名物を食べては酒で少し酔ってしまい、宿屋で横になっていた。

「お気分どうですか?」

「だいぶ落ち着いたよ」

俺の様子を窺うのはクリハだった。魔力もいつもより多めに消費したせいか、ドッと疲れた。

「ロビンは?」

「まだ飲んでいます」

呆れ気味に答えてくれた。体を何とか起こし外の様子を見る。

外では顔を真っ赤にした獣人の男衆とそこに混じっている、混血精霊|《ハーフフェアリー》のロビンが楽しそうにしていた。

ここ獣人族とエルフは、貿易を行っている繋がりで、ロビンを知っている獣人族もいた。

だが、最近貿易が上手くいっていないそうだ。なんでも貿易の荷馬車を狙う盗賊がここ最近増えているそうだ。

面倒事だ。しかし、ルイラットさんやトーリンさんなど世話になっている事は変わりがない。

盗賊を始末しに行くか・・・・・・。

「クリハ、明日からしばらくここを離れる。夕方までには帰ってくると思うから心配しないで」

「お出かけですか?なら私も」

俺はすぐにクリハを止めようとするがそれを遮るようにロビンが部屋に入ってきた。

「おいらも行くぞ!」

部屋には冷たい空気が流れる。

「言われなくてもロビンは連れて行くよ。だからささっと寝て酔いを醒ませ」

俺は俺ようにクリハが用意してくれた水をロビンに渡す。

「だが、クリハは留守番な。盗賊が関わっているから危ない」

「大丈夫です。護身術は見に付けてますから」

クリハは袖をめくって、細い腕を俺に見せつける。

「それでも、女の子を危険な場に連れて行くのは良くない」

「ご主人様が言っても、私も行きますよ」

「ダメだ」

「行きます」

意外な一面を見せるクリハ。案外駄々っ子みたいだ。まあ甘えてくれるのは嬉しいのだが、今回ばかりは難しいだろ。

それに武器もないし・・・・・・。

魔法石を持たないクリハは後衛に回ることもでき無し、他に後衛としていられるのは弓くらいだが、俺がそんなものを持っているわけでも・・・・・・あ、あった。

俺は時空間収納魔法を開き、ある物を取り出す。

イルーヴァタールでトーリンさんが作ってくれた弓だ。

この弓は普通の弓と違い、風属性が付与された魔石で作られた弓だ。だから魔力を込めるだけで矢を作ることが出来る。

「これを扱えたらいいよ」

俺は糸のない弓をクリハに渡す。

「これは、トーリンさんから頂いたものですよね?」

「そうだ。魔力を込めてこの」

俺は3重の魔法スキル、魔力障壁結界を発動する。

「ーー結界を一枚でも割ったら付いてきていいよ」

猪の突進でも破壊されなかった魔力障壁結界。つまり、猪の突進以上の威力を出さなければならないという事だ。

今のクリハに到底不可能だろう。だが、試すだけ試してもいい。

クリハの戦闘力を知らない俺だ。もしかしたら、隠れた才能があるかもしれない。

「では行きます」

クリハは弓を構える。

すると、弓の両端から緑のふわふわとしたものが浮き出た。そして点と点を結ぶように風属性の糸が出来上がった。

糸もしっかりと張っている。魔力の込め方を十分に理解している。魔力の込める量も最小限に抑えられている。

クリハは風属性の糸を引いた。

その引いた糸から矢が現れる。その矢をクリハは撃ち放った。

瞬間、猛烈な爆風が俺に迫ってきた。そしてすぐに自分が危険な状態であることを自覚する。

結界の枚数を増やすにも時間がない。

俺は多少焦りながらもすぐに魔力の込める量を増やし強度を上げた。

結界と矢が衝突した。体には多少の衝撃が走った。

そんな衝撃と爆風はすぐに収まった。

結界は一枚も破れる事が無かった。

「ダメ、でしたね」

「ああ」

だが、矢が結界の真ん中に当たったのだろう。その証拠に結界の真ん中はへこんでいて、そこから罅がたくさん入っていた。

そしてそのへこみは、多少ながらも2枚目の結界まで到達していた。

俺の仲間はチート級に強いですけど!神様!
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