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第2章 ドワーフの国〈イルーヴァタール〉
第19話:鉱石採取の旅【前編】
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俺はトーリンさんについて行った。
ロビンは俺の腕の中で寝息を立てている。
呑気なやつだ・・・・・・。
そして数分後。ドワーフ国の中央あたりに立ちはだかる大きな建物の前に来た。
トーリンさんはそこに慣れたように入っていく。
さすが国に使える地位持つ人だ。
そう思いながらも部屋に案内される。
「ここだ」
トーリンさんの部屋に入る。
鍛治職だけあって部屋は隅のような鉄のような匂いが広がっている。
一つだけ別の材料で作られている扉があった。きっとその扉の奥が鍛冶場なのだろう。
「それでだ。坊主の魔法石を見せてくれ」
「はい」
俺はトーリンさんに言われるがままポケットから取り出した灰色の魔法石を取り出す。
「ほう、これは綺麗な灰色だな」
この世界に来て分かったのだが、色の種類が少ない。実際に存在してないわけではないが、たとえば、黄緑や水色、白、紺色などが知られていない、または別の言い方がある。
たとえば白。俺的にはこの魔法石は白色にしか見えない。
灰色と聞くと、黒と白を混ぜたグレーを想像するのだ。
しかし、この世界の灰色は、白。つまり灰そのものの色を指しているのだ。色々面倒だ。
「なるほど、形も綺麗なだな。問題は」
トーリンさんは、俺の魔法石を観察するなり、立ち上がって何かを選び、持ってきた。
「何するんですか?」
「まあ見てな」
言われるがままに俺は魔法石をみる。
トーリンさんの手には俺の魔法石以外に、ぽっかり穴が空いた鉄の塊を持っていた。多分、額だろう。
トーリンさんは魔法石をその穴に入れた。
サイズがぴったりで綺麗に入った。さすが鍛治氏。見ただけで大きさを暗記するとは、流石だ。
しかしその瞬間、魔法石が大きな音を立てた。
パギン!
魔法石を包む鉄の額がひどい悲鳴をあげて、俺とトーリンさんの間の机に散らばる。
どういうことだろうか。あの立派な鉄の額が割れ散った。だが、あの額に不備があったわけではない。俺でも見ただけでわかる。
「やっぱりな」
トーリンさんは大きくため息をついた。何を予想していたのだろうか。どんな予想が的中したのか。俺は気になった。
「これ、弁償しないといけないですよね」
気にはなったが、それより先に金銭問題の方がもっと気になった。
「そうだな。売ったら、ざっと100G|《ギガ》もするだろうな」
ひゃ、100G|《ギガ》⁉︎つまり100万M|《メガ》もするものだった。やばい、これ一生かけて返す金額だろう。
だって、冒険者登録費の5000倍もするんだぞ。えげつない・・・・・・。
「だが、これは試作品だから安心しろ。もともと売る気なんてねぇよ」
軽い口調でそういう。俺は一生かけて返す事にならなくて安堵する。
「じゃあ、ハリコンを使うしかなさそうだな」
これぞファンタジー。オリハルコン待ってました!。異世界定番の優秀な鉱石、お目にかかれるとは。神様ありがとう!
俺の脳内は大はしゃぎをしているが、外には出していない。
「まず検査をする」
そう言って、立ち上がるトーリンさん。
「ついて来い」
俺は何も考えずロビンを抱えてトーリンさんについていく。
そう何も考えず。自分がこれから試されることも考えずに・・・・・・。
ロビンは俺の腕の中で寝息を立てている。
呑気なやつだ・・・・・・。
そして数分後。ドワーフ国の中央あたりに立ちはだかる大きな建物の前に来た。
トーリンさんはそこに慣れたように入っていく。
さすが国に使える地位持つ人だ。
そう思いながらも部屋に案内される。
「ここだ」
トーリンさんの部屋に入る。
鍛治職だけあって部屋は隅のような鉄のような匂いが広がっている。
一つだけ別の材料で作られている扉があった。きっとその扉の奥が鍛冶場なのだろう。
「それでだ。坊主の魔法石を見せてくれ」
「はい」
俺はトーリンさんに言われるがままポケットから取り出した灰色の魔法石を取り出す。
「ほう、これは綺麗な灰色だな」
この世界に来て分かったのだが、色の種類が少ない。実際に存在してないわけではないが、たとえば、黄緑や水色、白、紺色などが知られていない、または別の言い方がある。
たとえば白。俺的にはこの魔法石は白色にしか見えない。
灰色と聞くと、黒と白を混ぜたグレーを想像するのだ。
しかし、この世界の灰色は、白。つまり灰そのものの色を指しているのだ。色々面倒だ。
「なるほど、形も綺麗なだな。問題は」
トーリンさんは、俺の魔法石を観察するなり、立ち上がって何かを選び、持ってきた。
「何するんですか?」
「まあ見てな」
言われるがままに俺は魔法石をみる。
トーリンさんの手には俺の魔法石以外に、ぽっかり穴が空いた鉄の塊を持っていた。多分、額だろう。
トーリンさんは魔法石をその穴に入れた。
サイズがぴったりで綺麗に入った。さすが鍛治氏。見ただけで大きさを暗記するとは、流石だ。
しかしその瞬間、魔法石が大きな音を立てた。
パギン!
魔法石を包む鉄の額がひどい悲鳴をあげて、俺とトーリンさんの間の机に散らばる。
どういうことだろうか。あの立派な鉄の額が割れ散った。だが、あの額に不備があったわけではない。俺でも見ただけでわかる。
「やっぱりな」
トーリンさんは大きくため息をついた。何を予想していたのだろうか。どんな予想が的中したのか。俺は気になった。
「これ、弁償しないといけないですよね」
気にはなったが、それより先に金銭問題の方がもっと気になった。
「そうだな。売ったら、ざっと100G|《ギガ》もするだろうな」
ひゃ、100G|《ギガ》⁉︎つまり100万M|《メガ》もするものだった。やばい、これ一生かけて返す金額だろう。
だって、冒険者登録費の5000倍もするんだぞ。えげつない・・・・・・。
「だが、これは試作品だから安心しろ。もともと売る気なんてねぇよ」
軽い口調でそういう。俺は一生かけて返す事にならなくて安堵する。
「じゃあ、ハリコンを使うしかなさそうだな」
これぞファンタジー。オリハルコン待ってました!。異世界定番の優秀な鉱石、お目にかかれるとは。神様ありがとう!
俺の脳内は大はしゃぎをしているが、外には出していない。
「まず検査をする」
そう言って、立ち上がるトーリンさん。
「ついて来い」
俺は何も考えずロビンを抱えてトーリンさんについていく。
そう何も考えず。自分がこれから試されることも考えずに・・・・・・。
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