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第2章 ドワーフの国〈イルーヴァタール〉
第17話:冒険者協会、登録の旅【中編】
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「久しぶりだな。ロビン」
「本当に鍛冶屋のトーリンなのか!」
ロビンは驚いた表情を浮かべる。
「随分と大きくなったな」
「トーリンは、30くらい若返ったか?」
なんて、冗談混じりの話で盛り上がっている二人だが、俺は男の自己紹介を待った。いや、自己紹介しろ、と言うように睨みつけた。
「おっと、俺はトーリン・ユミル。元ドワーフ族で今は国家維持協会支部の鍛治職に所属している」
元ドワーフ?この男が?どっからどう見ても普通の人間じゃん。
「ドワーフ国には、国王がいて、国王に支える部に所属すると、ユミルという名前を授かるんだ。すると、その名前の影響で、見た目や身体能力、寿命が長くなったりするんだ」
ロビンのかいつによって、やっと状況を理解した。
つまり、ロビンは知り合いが大きく変化したことによって、さっき会ったときに気がつく事はなかった、ということだろう。
「あの、このお金は結構です。ちょうど売りたいものがあったので」
そう言って、お金を返そうとする。
「ああそれ、前払いな」
トーリンさんは200M|《メガ》の入った小袋をさした。
前払い、つまりこのあと俺たちは働かないといけない。
「ルイラットから話を聞いている。少し手伝って欲しいことがあるんだ」
「とりあえず、登録が終わったら言ってくれ」
トーリンさんは近くの椅子に座ってお酒を頼んで待っていた。
真昼間からお酒って大丈夫か?・・・・・・
「じゃあ、まずここにお名前、出身、歳、属性魔法、スキルをお書きください」
そう言われて書きはじめた。
日本語で書いていき、後で魔法で言語を変更する。もちろんこの魔法も魔法スキルになっている。
「書けました」
俺は用紙を美人さんに渡す。
「はい、えっと、タクミ・・・⁉︎す、すいません!」
美人さんが急に立ち上がっては頭を下げる。周りは何事かとざわつき、俺も何事かと驚く。
「貴族の方だと知らず、失礼な対応をしてしまって」
はい?俺、平民ですけど。ごく普通の旅人なんですけど?どう言うこと?
「あの、俺平民ですけど?」
頭を下げる美人さんに訂正を入れる。
「そんなご冗談を、苗字を持っていらっしゃるではないですか」
いや、それをいえばトーリンさんだって貴族じゃないか。トーリンさんは普通に接していたじゃないか。
俺はチラリとトーリンさんをみる。
冒険者に交えて酒を飲んでいる姿は全く鍛治氏には見えない。ついでにいつの間にかロビンも混ざっている。
きっとあの人のことだから、普通に接してくれとか言ったんだろう。
「あの、本当に俺、平民なんです。俺の故郷は全員、名前と苗字があるんですよ。ほら、出身のところ見て。日本って国、聞いたことないでしょ?」
「日本?確かにそんな名前の国は聞いたことありませんが」
よし、美人さんの緊張が溶けてきている。
「本当に、俺は平民なんで普通でお願いします」
本当に面倒な世界だ。苗字があるだけで貴族扱いされるなんて。俺そういうの苦手なんだよな。
「わかりました。ですが一つ質問いいですか?」
「はい、何ですか」
「いくら貴族様でも、嘘はいけません」
・・・・・・はい⁉︎
「本当に鍛冶屋のトーリンなのか!」
ロビンは驚いた表情を浮かべる。
「随分と大きくなったな」
「トーリンは、30くらい若返ったか?」
なんて、冗談混じりの話で盛り上がっている二人だが、俺は男の自己紹介を待った。いや、自己紹介しろ、と言うように睨みつけた。
「おっと、俺はトーリン・ユミル。元ドワーフ族で今は国家維持協会支部の鍛治職に所属している」
元ドワーフ?この男が?どっからどう見ても普通の人間じゃん。
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ロビンのかいつによって、やっと状況を理解した。
つまり、ロビンは知り合いが大きく変化したことによって、さっき会ったときに気がつく事はなかった、ということだろう。
「あの、このお金は結構です。ちょうど売りたいものがあったので」
そう言って、お金を返そうとする。
「ああそれ、前払いな」
トーリンさんは200M|《メガ》の入った小袋をさした。
前払い、つまりこのあと俺たちは働かないといけない。
「ルイラットから話を聞いている。少し手伝って欲しいことがあるんだ」
「とりあえず、登録が終わったら言ってくれ」
トーリンさんは近くの椅子に座ってお酒を頼んで待っていた。
真昼間からお酒って大丈夫か?・・・・・・
「じゃあ、まずここにお名前、出身、歳、属性魔法、スキルをお書きください」
そう言われて書きはじめた。
日本語で書いていき、後で魔法で言語を変更する。もちろんこの魔法も魔法スキルになっている。
「書けました」
俺は用紙を美人さんに渡す。
「はい、えっと、タクミ・・・⁉︎す、すいません!」
美人さんが急に立ち上がっては頭を下げる。周りは何事かとざわつき、俺も何事かと驚く。
「貴族の方だと知らず、失礼な対応をしてしまって」
はい?俺、平民ですけど。ごく普通の旅人なんですけど?どう言うこと?
「あの、俺平民ですけど?」
頭を下げる美人さんに訂正を入れる。
「そんなご冗談を、苗字を持っていらっしゃるではないですか」
いや、それをいえばトーリンさんだって貴族じゃないか。トーリンさんは普通に接していたじゃないか。
俺はチラリとトーリンさんをみる。
冒険者に交えて酒を飲んでいる姿は全く鍛治氏には見えない。ついでにいつの間にかロビンも混ざっている。
きっとあの人のことだから、普通に接してくれとか言ったんだろう。
「あの、本当に俺、平民なんです。俺の故郷は全員、名前と苗字があるんですよ。ほら、出身のところ見て。日本って国、聞いたことないでしょ?」
「日本?確かにそんな名前の国は聞いたことありませんが」
よし、美人さんの緊張が溶けてきている。
「本当に、俺は平民なんで普通でお願いします」
本当に面倒な世界だ。苗字があるだけで貴族扱いされるなんて。俺そういうの苦手なんだよな。
「わかりました。ですが一つ質問いいですか?」
「はい、何ですか」
「いくら貴族様でも、嘘はいけません」
・・・・・・はい⁉︎
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