8 / 48
第1章 エルフの町〈アルフ〉
第8話:食の旅【前編】
しおりを挟む
「お、主役の登場だな!」
名前も知らないエルフの男が叫ぶと同時に宴はさらに盛り上がる。
杯を俺に持たせる。中にはワインのようなものが入っていた。
前世でも酒とか飲んだことがない俺だ。絶対酔ってしまうのだろう。すぐ寝落ちしてくれることだけを願って一気飲みする。
『おおぉ!』
精霊たちが声をそろえる。ほとんどの奴はもう顔を真っ赤にしている。
そんな中俺は、一ミリも酔う事はなかった。
ただのぶどうジュースじゃないか・・・。
しかし、精霊たちはなんで酔っているのだろうか。疑問が浮かぶ。
「たのひんでるかぁ~!タクミ~」
顔を真っ赤にしたロビンが俺の元に来た。まさに飲み会で酔っぱらう元上司のようだ。懐かしい時が脳裏に過る。
「飲みすぎじゃないか?ほれ、水」
ロビンに水を渡す。とはいえロビンとほぼ同じ大きさの杯をロビンは持つことはできない。だから俺が飲ませてあげる。
「ほい!お待ちどうさま!猪のステーキだよ!」
肉汁たっぷりに溢れ出しそうなお肉が運ばれてきた。いい香りが鼻の奥までくすぐる。
早速、お肉を一切れ頬張った。
すると肉汁が口の中で広がり、香ばしいさが広がる。この香ばしさに少量の辛みがあるとさらにおいしいのが想像つく。
お肉を平らげると次に来たのは焼き魚だった。
「赤魚の素焼きだよ」
運ばれた魚はタイのような魚だった。いや間違いなくタイだろう。しかも50cmを軽く超えている大きさのもの。
赤魚と言われるほどの赤い魚の表面には焦げが付いている。スプーンを入れるとほろりと身が崩れる。
アツアツの赤魚を頬張る。
あ、タイだった・・・。
まさか本当にタイだったとは。今更ながら目の前の赤魚に輝きを感じてきた。
しかし‥‥‥塩気が欲しいものだ。
俺はどちらかと言えば味は濃い方が好きだ。そんな俺にただ焼いただけの魚は非常に空しい。
「すいません」
俺はお盆にぶどうジュースを載せた人を呼び留める。
「どうかしましたか?」
丁寧に対応してくれるエルフの女の子。大体、17歳くらいだろうか。それにしても、その服は目のやり場に困る。
「塩ってありますか?」
「塩ってなんですか?もしかして!彼方の食べ物ですか!それとも飲み物ですか!」
女の子が身を寄せて俺に聞く。
「えっと調味料ですけど」
「どんな調味料なんですか?」
更に身を寄せてくる女の子。俺は両手を軽く上げながら後ろに退く。
「こら、仕事をしなさい!」
女の子の頭をお盆で軽く叩く、女の子そっくりのエルフ。しかも迫力が女の子と同じくらい凄い。姉妹なのだろうか。顔つきがよく似ている。
「えへへ、つい」
女の子は叩かれた頭を開いている手で押さえて笑って誤魔化す。
「えっとどんな調味料ですか?」
女の子は改めて俺に尋ねてきた。
「えっと、白くてしょっぱいやつなんですけど」
塩をどう説明したら良いのか分からずあやふやな説明になってしまう。
「すまない。多分、塩というのはないな」
そうか‥‥‥塩が無いってどういう世界なんだ!
塩がない?近くに海があるのに?
何て世界だ!
名前も知らないエルフの男が叫ぶと同時に宴はさらに盛り上がる。
杯を俺に持たせる。中にはワインのようなものが入っていた。
前世でも酒とか飲んだことがない俺だ。絶対酔ってしまうのだろう。すぐ寝落ちしてくれることだけを願って一気飲みする。
『おおぉ!』
精霊たちが声をそろえる。ほとんどの奴はもう顔を真っ赤にしている。
そんな中俺は、一ミリも酔う事はなかった。
ただのぶどうジュースじゃないか・・・。
しかし、精霊たちはなんで酔っているのだろうか。疑問が浮かぶ。
「たのひんでるかぁ~!タクミ~」
顔を真っ赤にしたロビンが俺の元に来た。まさに飲み会で酔っぱらう元上司のようだ。懐かしい時が脳裏に過る。
「飲みすぎじゃないか?ほれ、水」
ロビンに水を渡す。とはいえロビンとほぼ同じ大きさの杯をロビンは持つことはできない。だから俺が飲ませてあげる。
「ほい!お待ちどうさま!猪のステーキだよ!」
肉汁たっぷりに溢れ出しそうなお肉が運ばれてきた。いい香りが鼻の奥までくすぐる。
早速、お肉を一切れ頬張った。
すると肉汁が口の中で広がり、香ばしいさが広がる。この香ばしさに少量の辛みがあるとさらにおいしいのが想像つく。
お肉を平らげると次に来たのは焼き魚だった。
「赤魚の素焼きだよ」
運ばれた魚はタイのような魚だった。いや間違いなくタイだろう。しかも50cmを軽く超えている大きさのもの。
赤魚と言われるほどの赤い魚の表面には焦げが付いている。スプーンを入れるとほろりと身が崩れる。
アツアツの赤魚を頬張る。
あ、タイだった・・・。
まさか本当にタイだったとは。今更ながら目の前の赤魚に輝きを感じてきた。
しかし‥‥‥塩気が欲しいものだ。
俺はどちらかと言えば味は濃い方が好きだ。そんな俺にただ焼いただけの魚は非常に空しい。
「すいません」
俺はお盆にぶどうジュースを載せた人を呼び留める。
「どうかしましたか?」
丁寧に対応してくれるエルフの女の子。大体、17歳くらいだろうか。それにしても、その服は目のやり場に困る。
「塩ってありますか?」
「塩ってなんですか?もしかして!彼方の食べ物ですか!それとも飲み物ですか!」
女の子が身を寄せて俺に聞く。
「えっと調味料ですけど」
「どんな調味料なんですか?」
更に身を寄せてくる女の子。俺は両手を軽く上げながら後ろに退く。
「こら、仕事をしなさい!」
女の子の頭をお盆で軽く叩く、女の子そっくりのエルフ。しかも迫力が女の子と同じくらい凄い。姉妹なのだろうか。顔つきがよく似ている。
「えへへ、つい」
女の子は叩かれた頭を開いている手で押さえて笑って誤魔化す。
「えっとどんな調味料ですか?」
女の子は改めて俺に尋ねてきた。
「えっと、白くてしょっぱいやつなんですけど」
塩をどう説明したら良いのか分からずあやふやな説明になってしまう。
「すまない。多分、塩というのはないな」
そうか‥‥‥塩が無いってどういう世界なんだ!
塩がない?近くに海があるのに?
何て世界だ!
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
魔道具作ってたら断罪回避できてたわw
かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます!
って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑)
フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
★恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
連載希望のコメントをいただきましたので、
連載に向け準備中です。
*他サイトでも公開中
日間総合ランキング2位に入りました!
冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる