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【第4話】ウサギが襲ってくる?
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犬のような唸り声をあげて、牙をむき出しに睨んでくるウサギ。
「ウサギ……?」
ウサギにしてはやたらとでかい。
豚よりは小さいが犬よりは大きく、体重は50Kgほどはありそうだ。
しかも額に角が生えているうえに牙まであるし、物凄く狂暴そうな顔をしている。
【ENEMY!】
ウサギの頭の上に敵対者を示す赤い文字が浮かんだ。
【ALERTⅠ】
続けて表示されるのは警戒レベル。
これはグランゼイトの基本的な能力の一つで、相手の脅威度を網膜に直接表示させるものだが……。
「ちょっと待て、アラートⅠって、ウサギが!?」
アラートは低い方から成人男性~一般兵士並みのレベル0を基準として、その3倍がアラートⅠ。
アラートⅡは、アラートⅠの4~6倍。
更に、アラートⅡの7~12倍がアラートⅢ。
アラートⅢは所謂敵の怪人で、このレベルになると、通常の兵器で倒すことは不可能であり、グランゼイトに変身する必要がある。
アラートⅣ、Ⅴ、Ⅵ以上のレベルも存在するらしいが、放送中盤を過ぎたくらいの劇中には未だ登場していない。
ただ、アラートの判定基準が、単純なパワーなのかエネルギーなのかは、設定に明記されていない。
分かっているのはこのウサギ、一般兵士より強い。ウサギなのに。
「俺を刺したおっさん、レベル0だぞ、たぶん……」
漣はこの世界に来て、初めての恐怖を覚えた。
「落ち着け……俺」
よく見るとウサギは全部で五匹。どれもこれも剝き出しの牙を光らせて、今にも飛び掛かってきそうな雰囲気だ。
「うん、そうだ……見た目はウサギだ。ちょっとでかいウサギだ」
ウサギに牙も角もないという事実は、この際無視する。
漣が躊躇したのを弱気と見たのか、一匹のウサギが猛然と突っ込んできた。
「くっ、このっっ」
咄嗟に右足で蹴り上げようとしたら、なんとその足に噛み付かれてしまった。
だが痛みはない。
グランゼイト=右京の服は、防刃防弾になっているという設定がしっかり生きているらしく、ウサギの牙を通さなかった。
「離れろっ、このっ」
思い切り足をふり上げたらつま先が腹に当たり、ウサギは勢いよく飛んでいき樹に激突した。
「おおっ」
自分が発揮した力に、思わず感嘆の声が漏れる。
グランゼイト=早瀬右京は、ナノマシンによって肉体を強化された超戦士。
たとえ変身できないままでも、その身体能力は一流アスリートの10倍という設定通りに強化されているようだ。
ただ、致命傷には程遠かったようで、ウサギはすぐに漣へと向き直り他の個体と並んで唸り声をあげた。
動きは意外に素早い。一度にかかってこられると少々厄介だ。
漣はウサギから目を離さないよう注意しながら、右腰の銃へ手を伸ばす。
銃のグリップに手が触れると、ピッっという小さな音がして、ホルスターのロックが外れた。
右京の変身前の装備バスターガンは、【100m先の自動車を撃ち抜く】という大雑把なスペックの銃だ。
「頼むぞ……こっちは使えてくれよ……」
自分自身の力が分からない状態で、アラートⅠという動物かどうかも怪しい生物と、素手でやり合うのは非常に危険だ。
漣が一瞬目を離した隙に、ウサギたちは一斉に飛び掛かってきた。
銃を抜き放ち、腰だめのままトリガーを引く。
グゥォォォォォン!!
エレクトリックサウンドに似た発射音が響き、青い尾を曳いた光弾がウサギたちを射抜いた。
銃声は一発だが、撃ったのは五発。全ての光弾が、ウサギの眉間を正確に穿っている。
この間、僅か0.1秒。
時空騎行グランゼイトの主人公、『早瀬右京』は銀河一の早撃ち。
さすが子ども向けヒーロー番組といったところか、設定のスケールが謎にでかいのはご愛敬として、今はその設定のおかげで助かったのだから悪くはない。
バスターガンを指先で回転させ、ホルスターに収める。
その瞬間。
〝レベルアップしました!〟
特変[特撮変身ヒーロー]
レベル1➡2
基礎能力
攻撃力:5➡10[×10]
体力:4➡7[×10]
俊敏:8➡15[×10]
守備:5➡10[×10]
スキル
変身[グランゼイトへ変身 特変レベル5で開放]
射撃★★★★★
剣術★★★★★
格闘★★★★★
標準装備
バスターガン
レッグバック[亜空間収納]
サバイバルキット
ピロン、と音が聞こえて、いきなり目の前に画面のような物が開いた。
「ウサギ……?」
ウサギにしてはやたらとでかい。
豚よりは小さいが犬よりは大きく、体重は50Kgほどはありそうだ。
しかも額に角が生えているうえに牙まであるし、物凄く狂暴そうな顔をしている。
【ENEMY!】
ウサギの頭の上に敵対者を示す赤い文字が浮かんだ。
【ALERTⅠ】
続けて表示されるのは警戒レベル。
これはグランゼイトの基本的な能力の一つで、相手の脅威度を網膜に直接表示させるものだが……。
「ちょっと待て、アラートⅠって、ウサギが!?」
アラートは低い方から成人男性~一般兵士並みのレベル0を基準として、その3倍がアラートⅠ。
アラートⅡは、アラートⅠの4~6倍。
更に、アラートⅡの7~12倍がアラートⅢ。
アラートⅢは所謂敵の怪人で、このレベルになると、通常の兵器で倒すことは不可能であり、グランゼイトに変身する必要がある。
アラートⅣ、Ⅴ、Ⅵ以上のレベルも存在するらしいが、放送中盤を過ぎたくらいの劇中には未だ登場していない。
ただ、アラートの判定基準が、単純なパワーなのかエネルギーなのかは、設定に明記されていない。
分かっているのはこのウサギ、一般兵士より強い。ウサギなのに。
「俺を刺したおっさん、レベル0だぞ、たぶん……」
漣はこの世界に来て、初めての恐怖を覚えた。
「落ち着け……俺」
よく見るとウサギは全部で五匹。どれもこれも剝き出しの牙を光らせて、今にも飛び掛かってきそうな雰囲気だ。
「うん、そうだ……見た目はウサギだ。ちょっとでかいウサギだ」
ウサギに牙も角もないという事実は、この際無視する。
漣が躊躇したのを弱気と見たのか、一匹のウサギが猛然と突っ込んできた。
「くっ、このっっ」
咄嗟に右足で蹴り上げようとしたら、なんとその足に噛み付かれてしまった。
だが痛みはない。
グランゼイト=右京の服は、防刃防弾になっているという設定がしっかり生きているらしく、ウサギの牙を通さなかった。
「離れろっ、このっ」
思い切り足をふり上げたらつま先が腹に当たり、ウサギは勢いよく飛んでいき樹に激突した。
「おおっ」
自分が発揮した力に、思わず感嘆の声が漏れる。
グランゼイト=早瀬右京は、ナノマシンによって肉体を強化された超戦士。
たとえ変身できないままでも、その身体能力は一流アスリートの10倍という設定通りに強化されているようだ。
ただ、致命傷には程遠かったようで、ウサギはすぐに漣へと向き直り他の個体と並んで唸り声をあげた。
動きは意外に素早い。一度にかかってこられると少々厄介だ。
漣はウサギから目を離さないよう注意しながら、右腰の銃へ手を伸ばす。
銃のグリップに手が触れると、ピッっという小さな音がして、ホルスターのロックが外れた。
右京の変身前の装備バスターガンは、【100m先の自動車を撃ち抜く】という大雑把なスペックの銃だ。
「頼むぞ……こっちは使えてくれよ……」
自分自身の力が分からない状態で、アラートⅠという動物かどうかも怪しい生物と、素手でやり合うのは非常に危険だ。
漣が一瞬目を離した隙に、ウサギたちは一斉に飛び掛かってきた。
銃を抜き放ち、腰だめのままトリガーを引く。
グゥォォォォォン!!
エレクトリックサウンドに似た発射音が響き、青い尾を曳いた光弾がウサギたちを射抜いた。
銃声は一発だが、撃ったのは五発。全ての光弾が、ウサギの眉間を正確に穿っている。
この間、僅か0.1秒。
時空騎行グランゼイトの主人公、『早瀬右京』は銀河一の早撃ち。
さすが子ども向けヒーロー番組といったところか、設定のスケールが謎にでかいのはご愛敬として、今はその設定のおかげで助かったのだから悪くはない。
バスターガンを指先で回転させ、ホルスターに収める。
その瞬間。
〝レベルアップしました!〟
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攻撃力:5➡10[×10]
体力:4➡7[×10]
俊敏:8➡15[×10]
守備:5➡10[×10]
スキル
変身[グランゼイトへ変身 特変レベル5で開放]
射撃★★★★★
剣術★★★★★
格闘★★★★★
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ピロン、と音が聞こえて、いきなり目の前に画面のような物が開いた。
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