魔王の宝珠

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魔界に連れ込まれ

体調が…

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城に帰ってから、ゆっくりと時間が流れるかのような穏やかな日々を過ごしたが…………
何だか腹がおかしい……
ウズウズするというか、重だるいというか……
時々下腹が張るような……

フリードの姿を探すも、朝早くから執務室で仕事のようだ……
ガルシアが朝食の準備が出来たと声をかけに来た。もちろんアルホスも一緒だ。

「ガルシア、いい所に来てくれた。何だか身体が変なんだ……」
時折たって歩けないほど、変な感じがする……

ガルシアとアルホスが顔を見合わせて、アルホスは急いで医師を呼びに行ってくれた。
ガルシアはフリードに念話を送っているようだ。
そして、俺を支えて、ベットに移動させてくれる。

「もう少ししたら医師が見えます。それまで頑張ってくださいね。」
「何を⁇」
「多分、陣痛です。ただ、御自身で出産は無理なので、医師とフリードの様のお力が必要かと……」

う………腹が痛い。腰も痛い……

そうこうしていたら、フリードが髪を振り乱して寝室に入ってきた。
「ユキ、大丈夫ですか?」
「フリード?仕事は?」
痛みで虚になっていく……

フリードに口づけられて、何か温かいものが流し込まれる。
呼吸が落ち着き、痛みで意識が飛びそうになったのが抑えられた。

「魔力を少し分けたので、気分が少し落ち着きましたか?ユキは人間なので、魔力で分けないと出産に耐えれないかも知れないんです。」

そう言って、腰をさすってくれる。
腰が重だるくて、腹が張り裂けそうで……なんとも言えない感じが少し和らぐ。

やがて、医師がやって来て、簡単な診察後、出産用に準備してある部屋へ移動するよう指示された。
ガルシアとアルホスが部屋を温めたり、産湯の指示をしたりしている。
執事やメイド達が慌てて動き出す。

俺はフリードに抱かれて、部屋に運ばれた。
フリードに片手を握り締められ、そこから魔力を注がれる。
医師が魔法陣を展開し、魔手術が開始だ。

数分後、室内から大きな産声が聞こえ出す。
順番に取り出され、産湯につけられ、小綺麗にしたら、ベビー用の移動ベッドに寝かせていく。
3人とも無事生まれ、傷跡も残さないようにしてくれた。
ただ、医師より3人のお子を産まれたので、最低3日はベットで休むようにと言われた。

子供の魔力量が大きかったのと、3人も産んだから魔力のないものにおいてはかなりの負担が考えられるからだと……
よって、子供3人をほんの数分抱きしめて、ガルシアとアルホスに頼んだ。
「俺の子供……可愛い」
「ユキ、ありがとう。嬉しいです。子供やあなたのためにも、もっと良い国にして見せますね。ですが、今はお休みです。ユキの世話が最優先ですからね」
そう言って、一瞬涙したようだ。
抱きしめられ、顔中に口づけられた。

そこまで喜んでくれるとは思わなかったし、まさか、自分が本当に母親になるとは夢にも思わなかった……
今でも信じられない……
かなり痛くて、しんどかったけど……

子供達の為にも幸せになろう。
みんなで力を合わせていこう……

そう心に誓ったのだった………


Fine


このストーリーを読んでいただきありがとうございます。
機会があれば、子育て及び子供達のストーリーを書きたいと思います。
それでは、また。





髪の赤い方はガルシアです。魔神族です。髪が黒い方はアルホスです。吸血
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