魔王の宝珠

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仮契約から本契約へ

何か変

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夕刻、フリードが帰ってきた。
帰りに買い物をしてきたのか、レジ袋をさげて。

「お帰り」
数本目の録画を見ながら、振り替える。

「ただいま。良い子にしてましたか?」
「俺は子供か!!」

クスクス笑うフリード。

食材をキッチンにしまっているようだ。

「昼食、美味しかったよ。ありがとう!」

食べた食器は片付けてある。
作ってもらって、食器そのままはあり得ないからな…

フリードがいない間、風呂場は洗って準備した。
部屋はいつ掃除したのか、片付けられてるから、してないけど。

録画を見てる間も、散らかさないようには注意した。時々子供扱いしてくるから、散らかしてたら何を言われるかわかったもんじゃない。

「友人、元気だったか?楽しめた?」
「ん?それは嫉妬ですか?」

少し嬉しそうに返事する。

「んな訳あるか!」
「それは残念。」

フリードはキッチンで夕食の準備をしている。

「あのさ、俺はフリードの知人の孫で、同居人だろ?」
「そうですね~私的にはそれだけではないのですが……私がいなくて寂しくなかったですか?」

トントンと包丁の音がする。ジュワ~と何か焼く音も…生姜と醤油の臭いがしてくる。

「まぁ、いつも居るのが居なかったら……でも…」
「寂しかったんですね。良かった。」

カチャカチャと食器の音

「良かったのか?」
「はい。もう少し踏み込みたいですけどね!」

レンジの音も聞こえてきた。作りおきでも温めたのか?

「踏み込む?親友にか?もう、それに近いだろ。」

食事を運ぶのを手伝おうと、キッチンへ向かう。

お皿に盛られた夕食をテーブルに運びながら、椅子に座るよう促された。
仕方なく、座って待つ。

テーブルに夕食がならぶ。
冷やされたお茶も出された。

「………」
じとっと見られた。そのまま席につくフリード。

「なんだよ!」
「この鈍さが可愛いし、憎らしい……」
ため息をつきながら、

「食べましょ。」

と促された。
よくわからん。まぁ、冷めたらもったいないから食べよ。

そのまま2人で食事する。
フリードは会った友人宅の事を、俺は録画していた映画の話を話した。

時折笑いながら話しながら…
ほのぼのとした時間を過ごしたと思う。

時折、いつもと違う視線を感じたが…ソファーに移動してくつろぎながら、フリードお勧めのワインとチーズで少し酔ったのかな?そう思った。

フリードのスキンシップは相変わらずで、側に座りながら、背中や腰を触ってくる。

フリード、飲み過ぎか??それとも俺が飲み過ぎ?

なんだかソワソワする。

フリードが俺を見つめてくる。
フリードはかなりのイケメンだ。そんな目で見られたら、男の俺でもドキドキする。
頬が熱い。

「何だよ。何か付いてるか?」

チーズでも口元に付いてるのか?
「ふふっ、可愛らしいと思って。もうそろそろ私の気持ちわかってるんじゃないですか?焦らしてます?」

思わずワインを吹き出しそうになる。何とか飲み込んだ。
少し口元から垂れたのは仕方ない。

クスクス笑いながら、口元を舐められた。

「もったいない。」

そう言いながら笑っている。

一瞬もしかして…と思ってしまった。

酔っぱらい過ぎた?俺なんか変??

何かもやもやするのは何故だ??




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