父は異世界で魔王してます。

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何故かトラブル発生中

父が来た。

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ぼーっと待ってても暇だから、スマホで遊ぶ訳にもいかず、買った本を眺めることにする。

パラパラとめくりながら、ここからでたら、手芸店か、パーツショップに行こうと思いを巡らせます。

「さすがは緋の姫ぎみですね。泣き叫ぶ事もなく堂々とされている。」

声のする方をちらっと見る。
綺麗系だ。ということは、力が強い魔族…

「誉めてくれても嬉しくないんだけど…それに、私、あなたの事知らないし。だれだか知らないけど、この檻、悪趣味だと思うんだけど…」

魔族はすぐに遊びながら、いたぶったりもするから、面倒だ。父まだかなぁ…

「そうですか?姫ぎみにはピッタリだと思いますが。籠の小鳥を愛でるように、姫ぎみを愛でる。素晴らしい考えでは?」

嬉しそうに微笑みながら話す魔族の男。
何処かのバンドボーカルが着そうな服を着てる。
なんと言うか、きらびやか?似合ってるといえば、似合ってるけどさ……

「どんな理由か知らないけど、私は小鳥じゃないから、困るんだけどなぁ…」
早くここを出て、友人との約束守りたいのに!!

心の中でも文句を言う。

「私を捕らえてどうするつもり?父に抗議する?それとも、何かメリットが?」

半分人間だから、たいしたことないと思うのだけど…私なんて…

「ふふっ、私は貴女が欲しいだけです。」
「お断りします。」

私の趣味じゃない。

「ふふっ、今の貴女に選択権はないと思いますよ。私のものになって、楽しませて下さい。まだ誰のものでもなかったはずですよね。」
「私にも選ぶ権利があるはずなので、断固拒否します。」
「契約してしまえば、逆らえませんよ。」

ん?契約?なんの事??
父からそこら辺は詳しく教えてもらってないからわからない。
変な事されたら困るんだけどなぁ。
お嫁に行けない…

「いつまでもこの空間でいると、緋の魔王に見つかるかも知れませんから、移動しましょう。私と貴女の門出のために。」

「だから、嫌だって言ってるのに!!」

「私はザラです。姫ぎみ、私と名前を交換し、契約を…」
そう言って、手を伸ばしてくる。

絶対にやだ。

父はまだ!?娘のピンチだから、早く助けに来てよ!!

泣きたくなる。

あの手に捕まって、鳥籠から出されても、訳のわからない契約とかで縛られたくない。

やだやだやだ~~~!!

それも、こんな奴に、いいようにされるなんてごめんだ!!

狭い鳥籠の中をジリジリと逃げる。
もう、父でなくても良いから、誰か助けて!!

そう叫びそうになった時、ブレスレットが光り、熱を持つ。
熱くはない。暖かい。
だんだんと、光が強くなったと思ったら……
ふわりと父が現れた。

「父さん、遅い!」
「ん?ごめんごめん。ちょっと用事があってね…」
「娘の危機とその用事とどっちが大事なのよ!!」

父は笑ってる。

「ん~どっちも大事だよ。でも、間に合っただろ?」

確かに、間に合ったと言えば間に合ったけど……

殺される訳ではなく、貞操の危機だったからか??
でもな、そっちも大事だろ!!

ザラと名乗った魔族の男は一瞬怯んだようだ。
親子でこんな会話したら怯むよね……

優しくニコニコして私を抱き起こしてくれた父。勿論、鳥籠のような檻は消えて失くなってます。

「お前は?確かザラだったか?何故ここにいる?」
「緋の王。我らは欲しいものは力で手に入れるはず。私はあなたの娘が欲しかった。だから、力で奪っただけだ。邪魔しないでいただきたい。」
「確かに欲しいものはどんな手を使っても手に入れたがるのが我らだが、だからと言って、私の宝をお前にやるつもりはない。本人も嫌がってるしね。」

ニヤリと黒い笑みを浮かべる父。

「お前は私から宝を奪うのか?私を納得させれる力があるのか?ただの遊びなら、火遊びが過ぎるから止めたらどうだ?」
「やってみないとわからないでしょ。」

そう言うと、2人の姿が消えた。
あちこちで火花が散る。
2人の動きが速すぎて見えないけど……

どのくらい時間が過ぎたのだろう。
数秒、数分かも知れないが、何時間もたつような感覚だ。

やがて、ボロボロになった男の襟首を掴んでいる父が見えた。
父は涼しい顔をしている。

「美咲、私はこれからこれを国に捨ててくるから。」
「私は?」
「ん~、本屋に送るよ。ここに連れ込まれた時間に。それで大丈夫だろ?」
「お願いします。」
「じゃ…」

そう言って、父の足元と私の足元に魔方陣が出現する。
あっという間に包まれて、本屋の前についた。
誰も気がついていない。
さすが父。

急がないと…今度こそヤバい!!
待ち合わせ場所に急ぐ。
帰ったら、父に結果をきこう。
「契約」についても…でないと、またこんな事があったら困るもんね。
慌てて走り出した。
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