父は異世界で魔王してます。

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家族で魔界に

懐かしい思い出だ

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10年たった阿佐美は可愛らしく成長していた。

我が国から逃げ出した者を追いかけ、追い詰めながら遊んでいた。

ほら、魔王だから。
ついつい、いたぶってしまうのは、仕方ないと……

やつは地盤を揺るがし、大きな音をたてて建物を壊して遊んでいた。
この世界でいうと、地震だ。

自然に起こるものもあるが、これは明らかに奴の魔力での災害。

奴が地盤に魔力を込めて揺るがし遊んでいた所をみつけ、捕獲用魔方陣を展開した。
暴れるから、羽や尻尾。手足を炎で燃やしながら。

私は緋の国の者だから、炎の方が得意だ。
他も使えるけどね……

少しやり過ぎて、他にも火の粉が飛んでしまった。

「やばい…」

慌てて火の粉を回収する。

「大人しくしろよ。お前との遊びは飽きたからな!」
「ぐっ」
「お前はやりすぎだ。しかも、我が国でも、この国ても死者をだしすぎた。だから」

おもいっきり燃やす。

「サヨナラだ!」

この光景はこの世界の者には見えないよう魔力行使していたはずだったが……

何故か視線を感じる。
視線の先をさがす。場合によっては記憶操作が必要になるから。

視線のさき……
一人の少女が愕然としてこちらを見ていた。
距離はある。

全て見て、聞こえた訳ではないだろうが、あの距離からだと、何か得たいの知れないものが燃えて消えたぐらいだろうか。

少女の側に近づき、彼女の後ろから声をかけ、記憶を消そうと試み………

振り返る彼女にあの少女の面影が……
「もしかして、阿佐美?」
一瞬キョトンとする少女。
間違いない。
「はい。そうですが…どなたでしょう??」
一瞬愕然とする。

確かに阿佐美は幼かったから、しかも10年たったのだから、忘れていても仕方がない。

だが、見つけたからには、逃がすわけにはいかない。 
確実に囲いこんで、今度こそ自分の物に。

そして、あらゆる手を使った。

阿佐美の学校の養護教諭として近づいて、阿佐美に近づこうかとする異性を牽制した。

阿佐美の自宅を確認して、その近くのマンションに拠点を置いた。勿論、偶然を装って一緒に学校に向かったり、偶然を装って一緒に出掛けたり。

彼女の戸惑う姿は可愛らしかった。

徐々に囲い込み、好意を持たせた。

途中、また悪戯者がやって来て、阿佐美を襲うから……その時は遊ばず、紳士的対応で消させてもらいました。
怖がらせたくなかったから。

阿佐美に正体がばれたけど、逃がさないよう頑張った。

そして、阿佐美を、妻に迎え、子供達が産まれたのは最高に幸せで、魔界の仕事をほったらかしにした。

しばらくはガザルに任せておけば大丈夫だろう。

そうこうしたら、ガザルが迎えに来た。
泣きつかれて…

阿佐美や子供達の事も考えて、私だけ帰ることになった。いわゆる単身赴任。

今住んでいるのは彼女の祖父母が住んでいた一戸建て。
そこの書斎と魔界の私の自室とを繋いだ。

自分専用のゲートを作ったんだ。
勿論、私が作ったんだから、私の意に反することはできない。
私と、私が通したいものしか通れない特別製だ。

ガザルいわく、無駄な魔力行使は止めて欲しいらしけど、家族大事だからね~

いや~懐かしい思い出だ。

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