君に逢えてよかった

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甘やかされながら

何故?

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ふふっと嬉しそうに微笑みながら、食後も側を離れようとしない。
美丈夫の微笑み、恐るべし。
自分の頬が火照り、何だかいたたまれない…
ただのテレだと良いんだが、なんというか…

「殿下、そろそろ会議のお時間ですが」

おっと、もうそんな時間か…
これでやっと平穏になる。
どうも、この所のごく甘くで、どうにもいたたまれなかったんだよね。

「よかった…」

ホッとしながら、ぽそっと呟いた。
本当に小さな小声で呟いたんだよ…

側近と会話していたはずなのに、空気が一瞬冷え、笑顔でこっちを見つめている。
笑顔…何だけど…目が…笑ってねぇ~~~~~~
怖…

アルフレッド・エル・シュナイゼル   
この世界の皇族男子は時に力の強い魔力持ちが生まれるらしいが、特に、好戦的な神の末裔であるこの国、シュナイゼル皇国の皇族族は、時々莫大な魔力持ちが生まれるらしい。
それが、彼だ。
銀髪碧眼。『氷の貴公子』の異名のあるこの男。

ほんと『氷の貴公子』だよ。一瞬で凍らされそうだ…
部屋の隅に見えるのは……凍ってるな…
みなかった事にしたい…

アルフレッドの幼馴染であり、側近であるイルバーシュ・コンラートが、アルフレッドに声かける。
金髪碧眼で、派手な外見をして、女性に人気の彼だが、剣と魔法の腕も確かで、確か近衛騎士隊長でもあったはず。
そんな2人が何か話してるから、今のうちにこの場を退場しようと思って、そぉっと席を立とうとした。
邪魔したらダメだろ。うん、空気読めるから…
逃げたいのもあるけどね…

「何処に行こうとしている?」

そう言うと、ひょいと抱き上げられた。

「ひぇ…」
「大人しくしていないと、落ちるぞ。落としはしないけどな…」
「なっなっなっ…」
「ふふふっ、可愛いな…暴れるな。それとも、お仕置きが必要か?」
「お仕置きって…どう言う…」
「まぁ、後でしっかりするがな…」

器用に頬を撫でられて、唇を奪われる。
俺、男なんですけど……

スタスタと廊下を歩き、会議室にそのまま連れて行かれるのはどうなんだ?
そんなのアリなのか??
あり得ないだろう!!
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