鬼の華

またしても…

母の知り合い？

「お嬢様。終わりましたよ」

そう言って起こされた。
あまりにも気持ち良すぎて、夢の世界に旅立ってしまっていた。

拉致されるように連れてこられたのに、待遇が全然違い、香りで癒されすぎたのかもしれない。
ここがどんな場所かもわからないのに、少し自分の図太さが信じられなかった。

「まぁ、大人しくしてるのが無難なような気もするし…」

準備された服に着替えさせられ、部屋に戻されるのかと思ったら、リビングに呼ばれた。
そこには、出迎えてくれた人達が優雅にくつろいでいた。

「その服、思ったとおりね。よく似合うわ」
「ありがとうございます？」

お礼を言うのも変かもしれないけど、褒められたのなら、言った方が良いよね…

「急に連れてきてもらったから、あれなんだが、まぁ気を楽にしなさい。何もしないから」
「ほんと、彼女によく似てる。もう逢えないなんて残念過ぎるけど、その娘に逢えるなんて…私達が迎えに行きたかったのに、先を越されたなんて、何とも言えない気持ちだったのよ！」

そう言って、抱きしめられそうになるから、少し後ろに下がりそうになる。
が、向こうの動きの方が早かった。
気になるセリフを言われたからか？それとも他の何かなのか…

「私と貴女のお母様とは長い付き合いなのよ。ふふっ。ほんと逢えて嬉しい。そうそう、こちらにいらして」

そう言って、手を取られ、椅子に座らされ、テーブルに置かれていたアルバムを見せられた。