番になんてなりたくない!

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これって………

クロさん

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数日の調べで出るわ出るわ、汚職の臭い……って感じだった。
今日は1人でこの部屋に来ている。
懐中時計は私が持っている方が良いだろうとリリィがくれたから、それを使って作業中。

リリィは魔道具の保管している部屋で今日もゴソゴソやっている。
廃棄処分の物で修理出来そうな物を持ち帰り直しているんだ。

この前拾ったロケットペンダントを首に掛けて……それも魔道具だったみたいで、直してた。
ロケットには家族写真を入れてたなぁ……
本人いわく、何でも入る収納ボックスみたいな物らしい。

中途半端に作られて、上手く作動せず破棄された……
そんな感じだったとか、自分の魔力を注ぎ込んで操作したら上手くいったと言ってウキウキしてた。

今は自分使用登録してるから、リリィにしか使えないらしい。
そのうち、贈りたい相手のみ使えるようにしていきたいとも言っていた。
どんだけチートなんだか……

そんな事を考えながら、集中して作業をしてたら、急にカタッと音がした。
誰か入ってきた?
そっと机の下に隠れる

足音は聞こえない……気配を消してる?
でも、近づいてくるのはわかった。

黒い影が足元近くにやってきて……

「こんにちは。」

思わず挨拶してしまった。
相手は一瞬動揺していたが、持っていた刀をこちらに向けるのはやめてくれた。

誰だろう……でも、早く帰ってもらいたいな……

「お兄さん、何探してるの?」
「………………」
「教えてくれたら、何処にあるか探してあげるよ。」
「………………」
「その方が早く出ていけると思うし、その格好からして、見つかりたくないんでしよ?」

机の下から這い出てきて、よっこいしょと立ち上がる。
中身は成人女性だから、この掛け声は許して欲しい……

「で、何探してるの?」

一瞬たじろいでいたが、隠していた顔を見せる様に口元をあらわにした。

「俺が怖くないのか?」

一瞬凄まれたが、なにせ、もう少ししたら巡回の騎士が来る。だから、早く出て行ってもらいたい。
騒ぎは避けたい

「怖くないって言ったら嘘になるけど、欲しいもの渡して直ぐに出て行ってくれるならね。で、何が欲しいの?クロさん」
「クロさん?」
「ほら、服装が真っ黒だから。で、何がいるの?」

「今年のアデレードの収穫に関する……」
「それなら、右の壁際の上から3番めの箱の中にあるよ」

その書類は確認済みだし、懐中時計に写してあるから大丈夫。

クロさんは言われた所を探し、書類を確認し『間違いない』と言って懐の中に入れていた書類と交換していた。
ふむ、後でそれを確認するか……
思わずニマニマしてしまう。
そうだ、ついでに、聞いてみよう……

「クロさん。見つかった?」
慌ててこちらを見てくる。
だから、すかさず持っていた書類を見せた。
聞きたいんだよね~~~~

「この剣の値段ってどう思う?後盾と。費用価格ってこんなものかなぁ?」
「何故俺に聞く?」
「だって、剣持ってるでしょ?自分で買ったんだよね、それ。だったら武器屋とかに行くはず。見た感じ、他にも持っていそうだから、価格も詳しいのでは?その剣良いものそうだし……ね。クロさんには欲しいものの場所を教えたんだから、このぐらい教えてもらってもバチ当たらないよね」

ニッコリ笑って見せる。
チッと舌打ちしながら、奪い取る様に書類に目を通してくれる。

うん。思った通り、悪い人ではなさそうだ。
悪い人なら、直ぐに私を消しにかかるはずだし、そうでなくても、いる物を見つけたら速攻消す。
でも、しなかった……これは感だ。
それに、ゲームにいた『クロさん』とよく似ているから間違いない。

「有り得ない………通常の2~3倍だ。」
「そうなんだ。」
「これと、これは3倍。以外はほぼ2倍だ。」

あっ、意外と親切に教えてくれる。やっぱ、良い人だ……

あっ、そろそろ

「クロさん。ありがとう。少しそこにいてね」

そう言うと、私は外に出て行く

「殿下。またここにおられたのですか?」
「こんばんは。いつも大変なのにありがとう」
ニコニコして、声をかける。

「こんな時間に……怒られますよ」
「ねむれなかったんだ。ごめんね」

いつもの巡回の騎士だ。
少し年配で、いつも可愛がってくれている。

「困った方だ、お部屋に送ります」


そう言って、一緒に歩き出す。
そっと振り返り、隠れて見ていたクロさんに手を振る。
「おやすみ」と声を出さず言ってみた。
多分、彼のことだから、わかっただろうけどね……

部屋に戻ると、リリィは寝たフリをしていた。
まだ子供だから、相部屋なんだ。

「どうだった?」
「良いもの見つけた」

2人でお互いの成果を簡単に話して眠りについた
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