竜の国のご都合主義?

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未来に向けて

友人とのちょっとした旅

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「『契約』とはどう言う事でしょうか?僕には身に覚えがありません。僕は…僕はカルバンの『運命の番』です。彼と生涯を共に生きて行くつもりです。」

シルビィが少し震えながらもカルバンの前に出て相手にそう訴えた。
その姿は何と言うか、庇護欲が増しそうだ。
彼なりに頑張ってるんだけどね…

「ふふふっ、そうですね。シルビヌクスには直接契約が残念ながら出来ておりません。ですが、御両親はどうでしょうか?」

意味深な雰囲気でそう話しかけてきた。
声は優しく悟らせるように。表情もだ。
見た感じでは慈愛に満ち、神を愛し熱烈に信仰している者の姿に見える。

「もしかして…」
「母上?どうかされましたか?」

シルビィの母親の顔色が悪い。人形のように真っ白だ。
しかも、いつ倒れてもおかしくない感じだ。

シルビィの父親が急いで支えている。

何か知っているのか!?

「私共も無理強いはしたくはありませんが…約束は約束です。しかも神との約束。それを反故するのはどうかと思いますが、如何でしょうか?まぁ、今日のところは一旦引きましょう。ご家族でよく話し合いをされればよろしいかと。ふふふっ、三日後にはお迎えに参りますので、それまでに心の準備をされるとよろしいかと思いますよ。特に貴方。例え竜人族であろうとも、神との約束。契約は絶対です。それでは失礼いたします。さぁ兄弟よ帰りましょう。三日後には花嫁としてお迎えしなければいけませんので、忙しくなりますよ。それと…」

チラッと僕の方に視線を飛ばして来る。
何故か嫌な予感がする。
もう、あのストーリーは終結したはずだ。
モブに僕には…
もちろん、シルビィの問題も解決する必要性があるけれども、それはあのゲームのストーリーとは別物だ!

「私個人としては、貴方様を我が花嫁としてお迎えしたいですね。ふふふふっ」

そう言うと、他の者達を従えて帰って行った。

室内が乱れているが…

「失礼いたします。」

そう言うと、この屋敷の家令?執事?が魔法を展開して修復し、元の姿に戻った。
すごい…


思わず感動したが、いや今はあの怪しいセリフの事実を確認しないとどう行動したらいいのか計画が立てられない。
こんな時にいてくれたら…

思わず下唇を噛み締めた。腰のあたりで両手を握りしめながら…

「カル。そんなに噛み締めたらダメだ。」

背後から抱きしめられるあたたかさに思わず力が抜けていった。
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